はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「命のシートベルト」の警告

2012-12-29 12:00:45 | 岩国エッセイサロンより
2012年12月25日 (火)

     岩国市  会 員   山下 治子

家族旅行の帰路。夕方、高速道路を走行中に突然サイレンが鳴り「後ろの黒い車、左路肩に停車してください」と指示された。「シートベルト」と夫が叫び、締めていなかった母親に素早く装着させた。

パトカーを降りた警官は車内を一通り見回し、免許証の提示を求めてから「真ん中の列の右側にお座りのお年を召したご婦人がシートベルトを締めておられなかったことを確認して止めました」と話した。誰もが「やられた」と身構えた瞬間「この時間帯は事故が多いです。今回は警告としますが、必ず命のシートベルトをお忘れなく。お気を付けて」と言い残すと、敬礼をして去った。

これまで交通違反でキップを切られる都度、苦い思いばかりしてきたが、今回は「命のシートベルト」の一言に納得し、反省しようと思った。

警官が去った後「パト力―は好きではないけれど、気が引き締まるな」と息子。皆同調した。よい旅だった。

(2012.12.25 毎日新聞「みんなの広場」掲載)岩国エッセイサロン転載

悪戦苦闘しつつ

2012-12-29 11:39:23 | はがき随筆


 境内にあるイチョウは樹齢約100年を超す大木である。寺を象徴する主木であるばかりでなく、今日までの移ろいを静かに見守ってきた、寺との共生の樹木でもある。
 このイチョウ、10月の末ごろから紅葉しだし、同時に落葉が始まる。霜の強かった朝は風がなくても、音を立てながら落ちてくる。黄金のじゅうたんを敷き詰めたようで見事である。「そのままにしておいたら」と言う人もあるが、寒風にさらされると大変である。12月の初旬まで悪戦苦闘しつつ、先人もそうであっただろうと思いながら、みんなで掃除に精を出している。
  志布志市 一木法明 2012/12/29 毎日新聞鹿児島版掲載