2012年12月16日 (日)
岩国市 会 員 中村 美奈恵
高校時代の友人が「就職活動のアドバイスをして」とメールしてきた。今春娘が大学に入って学費がかかることや、夫の定年退職が近づき生活が不安になったという。実母の世話などで専業主婦をしていた彼女が働くのは二十数年ぶりだ。
「いいよ」と返した私は40歳の時、3歳の三男を保育園に預けて働くことにした。ようやく理解ある会社に就職したものの7年目にリストラにあった。すぐ次の会社に勤めたが、1年足らずで辞めた。再び就活を繰り返し、今の会社で働き始めたのは48歳の時。そんな経歴を知っているから相談してきたのだろう。
2日後、彼女とハローワークで待ち合わせた。職種、時間、賃金……。パソコン画面に条件を打ち込む。細かく入れるほど会社は絞られる。条件を緩めなければ面接にも行けない。私の場合は通勤距離と休日を譲った。
「求人票は細かく見てね。雇用保険は絶対必要よ。焦って決めたら続かないよ」
経験を交えた話に、彼女はうなずいたり顔をしかめたりした。
就活はエネルギーがいる。面接の後はぐったり。不採用が続くと落ち込む。そこを頑張らなくては決まらない。
励まし別れる時、「貴重な時間を使わせたから」と彼女がケーキをくれた。もうそんな気遣いはしないでね。
主婦活は大学生の就活に負けないくらい厳しい。
(2012.12.16 毎日新聞「女の気持ち」掲載)
岩国エッセイサロンより転載