2010年10月26日 (火)
岩国市 会 員 安西 詩代
40代のある日、新宿駅の雑踏の中で「もしもし」と肩をたたかれた。見知らぬ男性に声をかけられるのは、独身時代以来のこと。一瞬、胸がときめいた。
「お茶をご一緒にいかがですか」「いえ、私には夫がいますのでお断りします」と光の速さで会話が頭の中を駆け巡った。笑顔で振り向くと彼は小声で「スカートの後ろのファスナーが開いてますよ」。
あの妄想の時の頭の回転の良さ。今のさび付いた頭にも刺激を与えると、少しは回転するのだろうか。テレビでの認知症のテストで、机の上の物4個が、3個しか思い出せない。
(2010.10.26 毎日新聞「はがき随筆」)
岩国エッセイサロンより転載
岩国市 会 員 安西 詩代
40代のある日、新宿駅の雑踏の中で「もしもし」と肩をたたかれた。見知らぬ男性に声をかけられるのは、独身時代以来のこと。一瞬、胸がときめいた。
「お茶をご一緒にいかがですか」「いえ、私には夫がいますのでお断りします」と光の速さで会話が頭の中を駆け巡った。笑顔で振り向くと彼は小声で「スカートの後ろのファスナーが開いてますよ」。
あの妄想の時の頭の回転の良さ。今のさび付いた頭にも刺激を与えると、少しは回転するのだろうか。テレビでの認知症のテストで、机の上の物4個が、3個しか思い出せない。
(2010.10.26 毎日新聞「はがき随筆」)
岩国エッセイサロンより転載