はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

さびしい主婦

2010-10-15 23:26:23 | はがき随筆
 今夏の野菜の高騰ぶりには参った。毎日夕食の準備は安価な太モヤシのひげ取りから始まった。今はやりのタジン鍋に、モヤシとシメジを1袋分、次に玉ネギとニンジンを半個分盛り、薄切り豚肉かベーコンでおおいフタをかぶせて弱火にかける。10分ほどで蒸し煮のでき上がり。ポン酢で食べるとおいしい。時には同じ材料で炒めものに。それに市販の野菜ジュースを飲んで耐えてきた。
 それなのに秋がきたというのに、やっぱり私は毎日モヤシのひげ根を取っている。野菜に加え果物までも今年は高くて、私はさびしくなるばかり。
  出水市 清水昌子 2010/10/15 毎日新聞鹿児島版掲載

お母さん

2010-10-15 23:06:19 | はがき随筆
 最近、家族の分の食事を作るようになった。とはいえ、父と兄は仕事と学業で不在のため、母と私の2人分である。だが、これが意外に手間暇がかかる。1品作るのにも、準備から後片付けまで1時間以上かかることもある。
 これを家族4人分、毎日用意していた母には頭が上がらない。思えば母が毎日作った弁当に、冷凍食品が入っていた記憶があまりない。脱水以外はすべて手洗いで丁寧に洗う洗濯は、今も昔も変わらない。
 昔と比べて、母の頭に白いものが増えたような気がする。
 お母さん、ありがとう。
  鹿児島市 梶原莉那 2010/10/13 毎日新聞鹿児島版掲載

あさがお

2010-10-15 14:44:12 | はがき随筆
 夏を思い、ベランダのプランターに種をまいたのは4月の下旬。青々と葉を茂らせたころは大雨ばかり。猛暑に入ると、下から段々と枯れてゆき、まるで破れ障子の様。
 緑のカーテンを願っていたのに残念な事。でも朝夕、色とりどりのたくそんの半を咲かせて楽しませてくれました。10月に入り、“今日こそは引き抜こう”と思っても、明日のために紅を付けているつぼみを見つけると手が止まってしまう。みすぼらしい姿だけど、ひとつも花が咲かなかった朝に片付けようと決めています。
  鹿児島市宇宿浜地恵美子 2010/10/14 毎日新聞鹿児島版掲載