はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

クリスマス

2009-12-28 21:36:46 | アカショウビンのつぶやき

掲示板のかわいいポスターは教会員の手作りです


Sさん親子共演のヴァイオリン演奏


ハンドベル・ヤンググループはさすがに天使の音色でした


クリスマス恒例・親愛コーラスの賛美は、モーツアルトのグローリアです


中高生のバンドは今年で2回目、グループ名は「ベツレヘムズ」。Dちゃんのオリジナル曲も披露、拍手でした。

30代から80代までと幅広い年齢層が自慢(?)のハンドベルグループです、私がスタートから間違え不協和音を…


鹿屋市で活躍するゴスペルグループ「鹿屋プレイズシンガーズ」の方々が美しいハーモニーを奏でて下さいました。

2009年のクリスマス行事がすべて終わりました。
神様がその一人子を世に送ってくださり、世の闇を照らす光となってくださった喜びの日です。
鹿屋教会では12月20日がクリスマス礼拝、24日はクリスマス祝会、25日はハンセン病療養所のクリスマス祝会と続きますが、多くの方々とともにクリスマスの良き日を祝いました。

新しい年が平安でありますように、そして日本の舵取りを任された新しい政権が人間への愛を実現してくれますようにと祈ります。

今年は子供たちとお正月を過ごすために明日上京します。
さてさて、いつものように、おのぼりさんの珍道中となるのでしょうが行って参ります。しばらくブログお休みします。

今年一年、つたないブログを読んでいただき有り難うございました。
どうぞ皆様良いお年をお迎えください。
新しい年もよろしくお願い申し上げます。

第九

2009-12-28 19:20:01 | かごんま便り
 師走とくれば、やはり「第九」である。
 ベートーベンの交響曲は日ごろから聴くが、それは1~8番の話。ミーハーな私にとって9番はあくまで12月限定だ。この時期、新旧のさまざまなCDを日替わりで聴くのが日課になっている。曲の進行に伴ってお湯割りのピッチも上がり、フィナーレの高揚感と共に浮世の雑事を忘れ、新たな元気もわいてくる。
    ◇
先日「かごしま県民第九演奏会」を聴いた。実演に接したのは久しぶりだったが「音楽とビールは生に限る」というのを改めて実感した。

 県の文化企画として85年に始まり、今回は節目の25回目。毎夏に合唱団の参加者を募り、10月から十数回の練習を重ねて本番を迎える。今年は83歳から高校生まで326人が宝山ホールの舞台に立った。うち2割強は初参加。「日本での思い出づくりに」と自宅にホームステイ中の留学生を誘って参加した女性や「合唱は中学の文化祭以来、四十数年ぶりです」という男性もいたという。

 一方で、10回目以上となる常連組は2割弱、皆勧賞も5人を数えた。その1人でリーダーの田鍋恒治さん(65)は「生の音楽に触れる感動を一人でも多くの県民に伝えたい」と話す。「初参加の人に聞くと『前から参加したいと思い、やっと実現した』という声が少なくない。だから、この先も続けなければ」とも。

 大都市では暮れの第九演奏会は目白押しで「猫もしゃくしも」といった風潮に批判もある。だが地方は事情が違う。「県民第九」がなければ、鹿児島でこの曲を生で聴く機会は皆無に近いだろう。また地方の第九演奏会はアマチュア合唱団がプロのオーケストラを招く例も多いが「県民第九」はオケも地元のアマ(鹿児島交響楽団)だ。この ″地産地消″がいい。

 演奏会の模様は30日午後4時から、MBCテレビで放映される。

鹿児島支局長 平山千里 2009/12/28 毎日新聞掲載

切なさの泉

2009-12-28 18:25:29 | 女の気持ち/男の気持ち
 車の運転をするときはいつもラジオをつける。聞いていると、中には何十年も続いている番組があり、番組のテーマ曲を聞くと若かりし日を思い出し、今もなお切ない気持ちにさせられる。
 中学校の教師をしていたころ、部活動の指導を二十数年間続けた。放課後は毎日暗くなるまで練習に付き合い、休日もほとんど休むことはなかった。新婚当初も、子供が2人、3人と生まれても、日曜日に家にいて子供の相手をしてやったことがなかった。
 日曜日、家を出かけるのは朝の8時ごろだった。家内や子供が見送ってはくれるが「時には子供の相手をしてやってよ」と言いたげなのが表情から読み取れた。自分もそう思っているからかもしれないが、出かけるのがつらく、後ろ髪を引かれる思いだった。
 日曜日の朝8時5分、「音楽の泉」のテーマ曲が流れ、解説とともにクラシック音楽が始まる。
 あれからもう50年近くなるのに、時たま日曜日の朝にこのテーマ曲と出合うことがある。その途端、あのころにタイムスリップしてしまい、悲しいような切ないような複雑な思いに胸が満たされる。
  鹿児島県志布志市 一木 法明・74歳 2009/12/11 の気持ち掲載 


物の価値

2009-12-28 17:50:12 | 女の気持ち/男の気持ち
 それは仕事中に実感したことである。
 プラスチック部品を検査していて、「この後の工程はメッキ塗装です」と聞かされたのだ。   
 釣り竿の部品らしいその検査品を眺めながら、私はなるほどなあと思った。「こんなに小さな部品にまで塗装を施し、それを組み立ててようやく立派な釣り竿になるんだもの。釣り竿って高いはずだよね」と納得したのだ。
 その時、建具屋の主人が常日ごろこう力説しているのを思い出した。
 「家具にしろ、建具にしろ、高いと言われるが、それだけの手間、材料、運賃がかかっているんだ。それらのすべてがその物の価値なんだよ」と。
 物の価値って深いなあ。今、安ければよいという流れになっているけれど、商品の一つ一つにさまざまな人たちの手がかかっているのだ。
 厳しい経済情勢が続いている時世だからこそ、消費者として見知らぬ人たちの生活も支えている一人なんだと思いながら買うことにしたい。
 皆苦しいのだ。そんな心が、ほんの少し生活を豊かに変えてはくれまいか。そう思う今日このごろ。
  山口県萩市・パート 田邊 栄・46歳 200912/24 毎日新聞の気持ち欄掲載

はがき随筆11月度入選

2009-12-28 17:50:01 | 受賞作品
 はがき随筆11月度の入選作品が決まりました。

▽出水市上知識町、年神貞子さん(73)の「常連」(21日)
▽同市昭和町、田頭行堂さん(77)の「出水平野」(17日)
▽垂水市市木、竹之内政子さん(59)の「つるべ落とし」(29日)
--の3点です。

 このところ、季節の移り変わりが目立つようになりました。11月の投稿分には、季節の微妙な推移や人為のかすかな変化に鋭く反応して、所感をつづった文章が目立ちました。一見すると同じ事のくり返しに見える日常に、日々新しい物や事を発見して文章につづることは、生活の極意だと言えるかもしれません。
 年神さんの「常連」は、初夏から秋口にかけて、風呂場のガラス窓にへばりつくヤモリや菜園に飛び交うジョウビタキに、季節感を感じるという内容で、ヤモリとの交感がほほえましいですね。
 田頭さんの「出水平野」は、出水平野に視点を据え、秋の凋落とともに鳥たちも少なくなり、半年間田んぼも眠りにつく自然のたたずまいが描かれています。落ち着いた文章で、静謐な印象を与えます。   
 竹之内さんの「つるべ落とし」は、つるべ落としの秋の日という表現が若い女性に通じなかったという経験談です。私も「いつか・むいか・なぬか」などという言い方が大学生に通じなかったことがあります。文化の継承ということについては考えさせられます。
 以上の入選作の他に数編をあげてみます。
 高野幸祐さんの「自然治癒力」(16日)は、少雨酷暑にもかかわらず、一定の周期で生命活動を行う植物に比べ、サプリメントに頼っている自分を省みて複雑な心境になったというものです。田中由利子さんの「山のおもてと裏」(13日)は、霧島の紅葉に合わせて登山し「四季の恵み」に浴していたら、別の所では少年が遭難し、テレビの悲報に涙したという内容です。対照の妙のある文章です。
 清田文雄さんの「儀式」(4日)は、手が不自由な奥様のブラジャーのホックを留めてあげるのが毎朝の「儀式」だという、ほほえましい内容です。若宮庸成さんの「大分への旅」(2日)は、老後の余生を楽しもうと、奥様と大分を旅したというものですが、羅列される名所づくし料理づくしが読んで痛快です。元気が出る文章です。
(日本近代文学会評議員、鹿児島大名誉教授・石田忠彦)






白寿の年賀状

2009-12-28 17:45:46 | はがき随筆
 年賀状作成中である。前に頂いたのを見ながら作る。中には忘れられないのがある。3年前「白寿になりました。差し上げるのは今年で最後にします。ただし頂くのは百歳のご褒美として歓迎します」という賀状をもらった。今も毎年差し上げているが、同居している娘さんから「喜んで届いたのを読み、昔話のきっかけになるとか。また今でも自分のことは出来るだけ自分でしている」など、おじいさんの近況を寒中見舞いの形で教えてもらっている。私も元気で長生きして、最後の年賀状は、おじいさんのような明るい幕切れにしたいと願っている。
  出水市 田頭行堂(77) 2009/12/28 毎日新聞鹿児島版掲載

勘違い

2009-12-28 17:40:26 | はがき随筆
 友達に中国からの留学生がいる。会えば互いに中国語半分、日本語半分で盛り上がる。
 先日も彼が「私のバイクにはマイケル・ジョーダンの絵が描いてあるよ」と言った。私はマイケル・ジャクソンのことだと思い「そのバイクは後にも走るんだね」と返した。ダンスのことを言ったのだが、彼はキョトンとしている。いろいろ説明して、やっと勘違いと分かり大笑いとなった。彼は「ジョーダンですよ」と笑っていた。
 別れてバスに乗った私は、彼の言うジョーダンがはたしてどっちのじょーだんだったのか分からなかった。まあいいか!
  鹿児島市 高野幸祐(76) 2009/12/27 毎日新聞鹿児島版掲載

私の温室

2009-12-28 17:38:00 | はがき随筆
 同窓生の書家で、温室のないYさん宅に桃花の寒蘭を飾った。書を見事に書いてもらったお礼である。11月初旬だった。
 数日後、花の世話が困難な彼女の家に蘭を引き取りに行った。帰り際、彼女が「私の温室を見ていって」と言う。私はキョロキョロして辺りを見回す。
 見つけられない私に、Yさんは「ここよ」と、手で示す。なんと彼女の温室は、2鉢のイチゴの苗をビニールで覆った簡単な物だ。小さな温室は、幼少期から足の不自由なYさんの、心を温める場所だった。
 私は彼女に「春は、きっと大きい実がなるよ」と言った。
  出水市 小村忍(66) 2009/12/26 毎日新聞鹿児島版掲載

ゴルフ練習場

2009-12-28 17:37:30 | はがき随筆
 仕事が休みで自宅にいる時は、午前中は大概、ゴルフの練習場に行く。皆から熱心だと言われるけど、実はゴルフがうまくなりたい気持ちは少ない。体を動かすということが一番であるが他に事情がある。
 夏だと絞るほどの汗をかいて減量に役立つ。今ごろはコタツを占領していると掃除機が音をたてて近づいてくる。何となく邪魔だと言っている音に聞こえる。要するにいない方が良い。
 練習場は、時間に制約されない。一人でできる。金が安くてすむ。場合によっては練習仲開ができる。利点が多い。
 練習場通いが続くと思う。
  出水市 御領満(61) 2009/12/25 毎日新聞鹿児島版掲載

サンタクロース

2009-12-28 17:36:01 | はがき随筆
 仕事で豪州に居たある日、余りの暑さにプールで泳いでいたらジングルベルの音楽が聞こえてきた。クリスマスは寒さと共にやって来ると体で覚えている私にはどうも実感がない。それでも町中がクリスマス一色になった当日、サンタクロースは大きな袋をかついでキャンディーを配っていた。子供たちは大喜び。ところが私は見てしまった。木陰で一息入れたサンタさんが裸で汗をふいているのを……。私と顔が会った彼はにっこり笑って片目をつぶった。南半球のサンタはなかなか愉快である。水着でスイカをほおばるサンタを、思い出している。
  指宿市 有村好一(60) 2009/12/24 毎日新聞鹿児島版掲載

母100歳

2009-12-28 17:35:05 | はがき随筆
 10月29日は、母の100歳の誕生日。
 お祝いの賞状に添えて金一封が届いた。子供、孫、親類、友人に祝っていただき、誠にうれしそうな笑顔。花束を抱き、カメラに向かってほほ笑む。この良き日に巡り合い、心から感謝している様子がうかがえる。
 農家に嫁ぎ、若き日の苦労も遠のき「人生、今が一番幸せだ」と良く聞かされる。7人の子供、私たちを育ててくれた母。
 お母さんありがとう。今まで生きていてくれてありがとう。いつまでもお元気で。いつも感謝しています。
△母百寿何もて祝がむ返り花▽
  出水市 橋口 社子(75)