同窓生の書家で、温室のないYさん宅に桃花の寒蘭を飾った。書を見事に書いてもらったお礼である。11月初旬だった。
数日後、花の世話が困難な彼女の家に蘭を引き取りに行った。帰り際、彼女が「私の温室を見ていって」と言う。私はキョロキョロして辺りを見回す。
見つけられない私に、Yさんは「ここよ」と、手で示す。なんと彼女の温室は、2鉢のイチゴの苗をビニールで覆った簡単な物だ。小さな温室は、幼少期から足の不自由なYさんの、心を温める場所だった。
私は彼女に「春は、きっと大きい実がなるよ」と言った。
出水市 小村忍(66) 2009/12/26 毎日新聞鹿児島版掲載
数日後、花の世話が困難な彼女の家に蘭を引き取りに行った。帰り際、彼女が「私の温室を見ていって」と言う。私はキョロキョロして辺りを見回す。
見つけられない私に、Yさんは「ここよ」と、手で示す。なんと彼女の温室は、2鉢のイチゴの苗をビニールで覆った簡単な物だ。小さな温室は、幼少期から足の不自由なYさんの、心を温める場所だった。
私は彼女に「春は、きっと大きい実がなるよ」と言った。
出水市 小村忍(66) 2009/12/26 毎日新聞鹿児島版掲載
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