kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

挽回生産に黄信号

2022-01-19 06:04:30 | 日記
トヨタの挽回生産は厳しくなったようです。2月と3月は90万台の生産を
計画し今年度世界生産は900万台の目指していましたが、2月は計画比で
2割少ない70万台強のとなりそうです。3月に100万台生産しなければ900万
台に届きません。

計画未達の可能性は高そうです。やはり昨年から続いているマレーシアで
の半導体生産が停滞していることが原因のようです。半導体生産では前工
程と後工程があります。

前工程はシリコンウエハー表面にトランジスタなどの電子回路を形成しま
す。露光装置など大型設備を数多く使用するため、巨額の投資が必要です。
最先端製品を生産できるのは世界で台湾TSMCなど数社です。

一方後工程と呼ばれるのは人手もある程度必要なため、人件費が欧州や東
アジアより安く、国民性が組み立て作業に向く東南アジアへ後工程工場が
相次ぎ進出した経緯があります。

車載用半導体世界大手である独インフィニオンテクノロジーズや蘭NXP
セミコンダクターズ、スイス・STマイクロエレクトロニクスに加えて日
本のルネサスも後工程工場をマレーシアに構えています。

マレーシアでは昨年8月をピークに感染者数が減少しました。トヨタも年明
け以降の挽回生産を計画したのも感染状況が落ち着き半導体生産が正常化す
るだろうと考えたからです。

しかし同国で感染が再拡大して再び操業に影響を与えているようです。おそ
らく日本同様デルタ株から感染力の強いオミクロン株に置き変わり感染が拡
大しているのではないでしょうか。半導体生産も国際分業が進んでいます。

同じ工程でも労働集約型の工程では感染症の影響が大きくなります。自動車
産業のようにたくさんの部品を必要としている分野では部品が一つ足りなく
ても生産に支障が出ます。サプライチェーンが相対的にしっかりしているト
ヨタさえ挽回生産がとん挫したのなら他のメーカーもトヨタ以上に影響を受
ける可能性が高いかもしれません。

自動車セクターは日経平均が年明け以降軟調に推移している中でトヨタだけ
でなく他の企業も1割程度上昇しています。市場の流れがグロース株からバ
リュー株へとシフトしたことや年明け以降の挽回生産で上方修正も期待でき
るということも人気に繋がったようです。

しかし挽回生産が未達に終わり原材料高や工場の稼働率低迷など業績の下押
し要因も無視できません。年明けからの上昇でトヨタ以外は戻り売りの出易
い水準に差し掛かったています。当面は慎重な投資行動が必要なようです。

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