kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

波に乗れない自動車株

2016-11-08 08:45:12 | 日記
為替や株価を予想するには現在考えられる様々な材料を吟味して判断
します。そこに想定外の材料が加わると予想が大きく変わり市場に波乱
を引き起こします。今回のクリントン候補のメール再捜査問題は始まりも
突然そして幕引きも突然でした。その間市場は大きく揺れました。先週
にかけてはトランプ候補誕生の可能性が出てきたことからリスク回避に
備える動きから世界的に為替も株価も大きく動きました。

そして世界の為替相場が始まった直後に飛び込んできた再捜査でもクリ
ントン候補への「訴追を求めない」との7月の決定に変更はないといった
ニュースです。この結果を受けて為替相場も株式相場も先週までの動き
と逆になりました。結果的には何もせず動かなかった投資家が報われリ
スクヘッジを行った投資家の行動が裏目に出た格好になりました。

ある日突然降って湧いたようなニュースで市場が急変してそれまでの前
提条件が大きく変わってしまうというケースで投資家が振り回される今年
は本当に多かったようです。システムトレードの普及やネットの発達によ
る情報の拡散のスピードがその背景にあるのかもしれません。

週明け7日の東京市場は早朝に伝わった私用メール問題で再捜査して
いたクリントン民主党大統領候補の訴追を求めない方針との一報で先
週末とはがらりと様相が一変しました。円相場は104円台を回復、日経
平均も日中伸び悩む場面がありましたが、10時過ぎから右肩上がりで
上昇し寄り付き1万7126円を上回り大引けは271円高の1万7177円でし
た。

全面高に近い上昇でしたが、自動車銘柄は大手3社を含めほとんどの
銘柄が伸び悩みました。先週末にインド事業などが好調で今期の連結
純利益を大幅に上方修正したスズキだけは終始堅調でした。スズキの
大きな収益源となっているインド市場での強さに陰りは見られず工場新
設を決めるなど来期以降も期待の持てる内容だったことも株高材料とな
ったようです。

一方大手3社や富士重工やマツダの稼ぎ頭は米国市場です。その米国
市場は9月以降好調だった販売動向に陰りが出てきました。米国市場の
好調と120円台で推移していた昨年とは打って変わって逆風が吹き出し
た自動車各社に対して市場はなかなか警戒モードから脱出できません。
7日の取引も寄り付きは先週時点から1円弱進んだ円相場を好感して
買い戻し主導で高く始まりましたが、勢いが続かなかったのは底流に
業績面での不安が払拭出来ないからのようです。

製造業の中でも自動車各社の稼ぐ金額は巨額なものです。裾野の広
自動車産業の収益停滞は多くの関連企業の収益低迷を招く懸念があ
り日本株全体の足を引っ張る要因ともなります。部品や素材など関連
銘柄の裾野も広くPERなど株価判断の目安となる利益が伸びないとな
るとクリントン大統領誕生で市場が目先リスクオンになったとしても日本
株の上値を抑えることに繋がります。

利幅も大きな米国市場の今後の販売動向は市場の懸念材料となり続
けるかもしれません。当初懸念された日本企業の決算発表は半数の
企業が増益を維持し出来ることになり不安は後退したというのが現在
の市場の受け止め方です。しかし来年の円相場の見通しも12月利上
げの後はしばらく利上げ無しといった見方から一段の円高懸念も予想
されています。外部環境の変化に弱いといった日本企業の弱点は克服
されていません。
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