kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

EVで失敗は許されない

2024-06-13 03:52:39 | 日記
中国の過剰生産問題は世界の鉄鋼メーカーに大きな逆風となっています。自国内での成長鈍化を
受け中国メーカーはアジア市場などの輸出ドライブを強めています。5月の中国PMIは再び節目の
50を割り込みました。市場の中国景気回復期待に冷や水を浴びせる格好になりました。このまま
景気低迷が続くと中国からの輸出鋼材が市況低迷に拍車をかけ鉄鋼メーカーの苦悩が続きそうです。

太陽光パネルも液晶パネルも中国企業の巨額な投資で価格低迷が続き多くのメーカーが撤退を余儀
なくされました。シャープが大型液晶パネルからの撤退を発表しました。太陽光パネルに続き両分
野での日本企業の地盤沈下は止まりません。

日本の電機メーカーの地位低下が続いているのはかつて世界のトップランナーだった両分野での
敗戦が象徴的です。電機業界でも家電業界はかつての主力事業が次々に競争力を失い株価低迷も
続いています。シャープがもっとも典型的なケースです。同社は太陽電池や液晶パネルの開発生
産で世界のトップランナーでした。しかし巨額な投資で量産し価格競争を仕掛けられ中韓メーカー
に敗れ去れました。

一方電機業界でも重電メーカーや通信機メーカーは健闘しています。日立は選択と集中で見事に
成長軌道に乗りました。三菱電機もFAなど競争力のある事業で業績は堅調です。NECはPC事業
などハード事業の不振から会社存続の危機に瀕した時期もありました。しかし事業の柱をハード
からソフト分野にシフトしたことが奏功し株価もこの10年で10倍になりました。

明暗が分かれたのは中国企業の影響のあるなしです。太陽光パネルも液晶パネルも日本企業は技
術力を生かし生き残ろうとしましたが政府の支援や大きな自国市場を背景に価格破壊を仕掛け海
外の競合メーカーを駆逐しました。

今EV分野で太陽光パネルや液晶パネルで躍進した成功体験を中国政府や企業は狙っています。EV
やPHVで構成されている新エネ車の販売攻勢を受け中国市場では外資メーカーのシュアは4割まで
低下しました。世界中でEV成長が鈍化しているのに対して伸び率は低下していも尚も販売台数を
伸ばしている中国EV市場は世界でも特異な存在です。

自国市場の拡大で大量生産が可能になり価格競争力の高まったEVを大きな輸出産業に育てることが
中国政府の狙いです。産業高度化政策で付加価値の高い半導体やEVの世界制覇が中国の目標です。
日本は輸出産業の柱は自動車産業です。現状これに代わる産業はありません。自動車産業の競争力
低下は貿易赤字を拡大させかねません。行き過ぎた円安が日本経済にマイナスであることは今回の
円安騒動で証明されました。EVで太陽光パネルや液晶パネルで敗北した二の舞は防がなければなり
ません。
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