アルバート公売ります

「アルバート公売ります」(マイクル・バタワース 早川書房 1988)。

ハヤカワ・ミステリ文庫の一冊。

イギリス産、コン・ゲーム小説。
お人好しで酔っ払いの観光ガイド、バンベリーは交通事故で職を失う。
簡易宿泊施設で出会った、もと近衛兵のオリアリーは根っからの詐欺師。
ふたりは、テキサスの億万長者にアルバート公の彫像を500万ドルで売りつけようとするが…。

前半は快調。
いくつかの詐欺をはたらき、軍資金をため、やらせの競売でアルバート公をせりにかける。

そこに、さまざまなキャラクターがからむ。
前座の詐欺で出会った心やさしき女性。
秘密の過去をもつ億万長者の7番目の新妻。
その新妻にたかるろくでなし。
オリアリーに恨みをもつギャングの親分。
などなど。

しかし登場人物がでそろったあたりから失速。
なぜだろう?

登場人物は悪くないと思う。
配置も順当。
ストーリーもよく伸びる。

プロットに難があるのだろうか。
ユーモラスな語り口が、くどくなってしまったか。

そんなことを考えながら読むと面白い。
ちょっと意地悪な読みかただけれど。

アルバート公を競売にかけるというアイデアは秀逸。
作者はまずこれを思いついたのかも。

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