パイド・パイパー

「パイド・パイパー」(ネビル・シュート 東京創元社 2002)。

創元推理文庫の一冊。
訳は池央耿(ひろあき)。

空襲下のロンドン。
クラブで「私」が、元弁護士のハワード老人から話を聞く、という体裁。

ハワード老人は、フランスへ魚釣りにいったところナチスドイツの侵攻に遭遇。
同宿の夫妻からイギリスにつれていってと預けられた子どもたちとともに、一路イギリスをめざす。
子どもは熱をだし、列車はストップ、バスはドイツ軍飛行機により機銃掃射をうける。

いやはや、ものすごく面白い。
読んでる最中は幸せだったなあと、しみじみ思い出してしまうほど。

描写で読ませる。
一定の距離をおいた描写が、一定の歩幅でしるされる。
出来事は順番どおり。
いかにもイギリスの冒険小説という感じ。

老人がフランスにいった動機や、中盤から老人をたすけるヒロインの動機がたいへん個人的。
これまたイギリス小説的だと思う。

「追われる男」(ジェフリー・ハウスホールド 東京創元社 2002)
「人魚とビスケット」(J.M.スコット 東京創元社 2001)

と、ここ最近読んだイギリス小説みんなに、おんなじ感触があった。
そして、どれも素晴らしく面白い。

あと、子どもが活躍したりしせず、ちゃんとこどもっぽいのも印象的。

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