セクレタリー

DVD「セクレタリー 秘書」(アメリカ 2002)

ある若い女性が、自身の性的嗜好を自覚し、それを肯定することで、くずれかかった自分を立て直すという話。
性的嗜好がテーマとなっているため、ポルノめいた描写も多いけれど、そこはユーモラスに、かつ真摯にえがかれている。

自傷癖のあるリーは、学校でタイプをおぼえ、ある弁護士のもとではたらきはじめる。
この弁護士が横暴。
弁護士から,リーはハラスメントを受けるのだが、それが自身をみいだすきっかけになる。
リーには、うっかり婚約までしてしまうボーイフレンドがいる。
にもかかわらず、すっかり弁護士に惹かれてしまう。

ところが、相手の弁護士は、横暴なわりに意気地なしで、自身の性的嗜好を深く恥じている。
そのためリーを遠ざけようとするのだが、そんなことは許せない。
リーは彼女なりのやりかたで、果敢に相手に迫っていく。

リーと弁護士の関係が、後半にいたって逆転するのが劇的。
「苦しいが、もう怖くはない」という彼女のモノローグはひとを打つ。

リーが弁護士と対峙する場面では、これまでの登場人物が一堂に会する。
そして、リーを励ましたり、諭したりする。
ひとりで苦しんでいた彼女は、じつはひとりではなかったのだ。
このわずかなシーンは胸に迫る。


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ハーヴェイ

DVD「ハーヴェイ」(アメリカ 1950)
原題、Harvey。

身長6フィートの巨大白ウサギがみえるという、お金持ちの中年男の話。
この中年男エルウッドを演じるのは、ジェームズ・スチュワート。
もとはブロードウェイで公開された舞台劇だとのこと。

エルウッドと一緒に暮らす姉とその娘は、エルウッドを嫌っている。
幻覚がみえ、そのことの無自覚な男が家族にいると、社交生活もままならない。
娘は結婚相手をみつけなければいけない年頃なのに。
それに、見境なくひとを家に招待するエルウッドはたいそう迷惑。
というわけで、エルウッドは精神病院に入れられそうになるのだが――。

エドウッドは善良な天使的人物。
おかげで、すべてがうまくいくのが愉快だ。

精神病院に入れられそうになるものの、エルウッドはつねに紳士的で物腰柔らかで、一見まともにみえる。
姉のヴィータのほうが騒々しく、支離滅裂。
そのため、ヴィータのほうが病院に収容されてしまう。
(ジョセフィン・ハルはこのヴィータ役で助演女優賞を受賞)

それが間違いだとわかり、病院の面々、ドクターやら院長やら看護婦やら職員やらは、あわててエルウッドをさがしにいく。
でも、コメディというのはミイラ取りがミイラになるのがお決まりの展開。
病院の院長は逆にエルウッドに感化されてしまう。
この本筋に、病院のドクターとその看護婦、それに娘――エルウッドからみれば姪――のマートルと病院の職員(でいいのかな?)の恋愛がからむ。
最後は、すべて丸くおさまり大団円。

ジェームズ・スチュワートが好演している。
心あたたまるコメディだ。


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