ウースター家の掟

「ウースター家の掟」(P・G・ウッドハウス 国書刊行会 2006)

訳は森村たまき。
ウッドハウス・コレクションの一冊。

ジーブス物の長編。
もったいないので、ちびちび読んでいたらストーリーがわからなくなった。
でもまあ、気にしないで読了。

今回の話は盛りだくさん。
2組の男女の恋路と、18世紀製のウシ型クリーマーをめぐる攻防、茶色の革装の手帖のゆくえに、天才料理人アナトールの雇用問題、世界一周クルーズと巡査のヘルメットの強奪などなど。

プロットはこみいっているけれど、読めばすらすらとわかる。
素晴らしい手腕。
とくにラストは喜劇的状況のつるべ打ち。
なんてすごいんだ。

バーティーの語り口は、ちょっとくどいかなという気がしなくもなかったのだけれど、読み終わってしまえばそんなことは問題にならない。

さらに今回はガッシーがすごい。
以前「ジーヴズの事件簿」を読んだ知人が、
「ビンゴがあんまりバカで腹が立ってきた」
と、いっていたけれど、今回のガッシーはその比ではない。
手のとどかぬ、まぬけの高みに達している。

読み終わった小説はたいてい手放すことにしているのだけれど、ウッドハウスはべつだ。

しばらく寝かせておいてから、また再読しよう。


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