フラッシュ

「フラッシュ」(カール・ハイアセン 理論社 2006)。

カール・ハイアセンは好きな作家。
トリッキーな推理小説、というかエンタテインメントな小説を書く。

このひとの書く作品の道具立てはいつもおんなじ。
舞台はきまってフロリダ。
いつも自然保護がらみ。
やたらと特攻精神にあふれたキャラクターたちが、ストーリーにツイストをかける。

本書は「ホー」につづくハイアセンのヤングアダルト小説第2弾。

主人公のノア少年が、留置所にいる父と面会するところから物語はスタート。
父のペインが捕まったのは、カジノ船を沈めたため。
カジノ船はビーチに汚水をたれ流していたのだ。

ところが、お父さんはカジノ船の悪事の証拠はつかんではいなかった。
例によって先走ってしまった。
そこでノアは、父の頼みを聞き、カジノ船の悪事を法廷で証言してくれるひとのところへ交渉しにでかけるが…

ノアの家族が、みんな家族思いなのが気持ちがいい。

後半、ノアの作戦が功を奏すが、物語はそれでは終わらない。
これがいかにもヤングアダルト小説という感じがする。
物事は、そうそうパッと決着がついたりしないのだ。

「ホー」はクリアしなければならない困難のバーが、ラスト近くで突然下げられたような感じがしたけれど、「フラッシュ」はその点うまくいっていると思う。

大人向けのハイアセン作品には、いつもスキップというレギュラー・キャラクターが登場する。
この「フラッシュ」では、スキップによく似たおじいちゃんがでてくる。
最初、ついにヤングアダルト小説にもスキップがあらわれたと思い、びっくりした。

このおじいちゃんがとても格好いい。
このひとを受け入れられるかどうかで、この本の評価は分かれるかもしれないなあ。

訳は千葉茂樹。
このひとが訳をしている本には、ほとんどはずれがないといっていいと思う。
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