こわがりやのおばけ

「こわがりやのおばけ」(ディーター=グリム/作 関楠生/訳 竹山のぼる/絵 講談社 1977)

ドイツの児童書。
原題は、“Archi das Gespensterkind”
原書の刊行は、1973年。

ビルボルン城にすむ、おばけの子どもアルヒバルトは、大変なこわがりや。
カーテンが風でうごいただけで、びくっとしてしまう。

おばけというものは、おばけを信じるひとがそばにいないと生きていけない。
だから、おばけは人間をおどかし、尊敬されるようにならないといけない。
そう、お城のもち主であるユリアーネおばさんにたしなめられるのだけど、アルヒバルトにはなかなかできない。

ある日、ユリアーネおばさんはお城を売りにだすことに。
買ったのは、アメリカに住む億万長者のミスター=ヒルビリー。
アルヒバルトは意を決し、ミスター=ヒルビリーをおどかそうする。
が、ミスター=ヒルビリーは逆に、アルヒバルトを10万ドルで買おうといいだす。

ここまで読んで、このあとアルヒバルトはお城とともにアメリカにいくんだなと思った。
でも、この予想ははずれ。
アルヒバルトは汽車に乗り、ユリアーネおばさんをさがしに大都会に旅立つ。
大都会はおばけを信じないひとたちばかり。
ユリアーネおばさんの居どころもわからず、アルヒバルトは意気消沈。
ところが、ミスター=ヒルビリーがアルヒバルトに10万ドルの懸賞金をかけたものだから、アルヒバルトは町中のひとに追われるはめになる――。

アルヒバルトが旅の途中で出会うのは、汽車の釜焚きネッテルベック、牛乳屋のジェイムズ、博物館長のピムフリン、風見鶏のキキ、それにおまつり広場でアーモンド売りの手伝いをしているトム少年などなど。
次つぎと新しい展開が起こり飽きさせない。

ドイツ以北の児童文学は、登場人物にやけにおじさんがでてくる。
これは一体どういうわけだろうと長年不思議に思っている。

本書には続編、「こわがりやのおばけアメリカへいく」(1985)がある.
こちらは未読。


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