中条きよし『うそ』

2015-01-31 16:05:52 | 塾あれこれ
フォークやロックが良かった時代に先輩から
「トシとったら演歌がよくなるぞ」と
聞かされていたものです。

ワンパタンの古臭い世界がよくなるとは
好む側の衰退じゃないか、そう思いましたね。

で、実際は私も40を過ぎたあたりから少しずつ変化、
今では、紅白に演歌が少なくなったと嘆くほどです。

先輩の格言(?)は正しかった。


時折ラジオで中条きよしの『うそ』が流れます。

♪折れた煙草の吸殻であなたの嘘が分かるのよ

山口洋子作詞、平尾昌晃作曲。
名曲ですね。

調べると1974年のヒットだとか。
40年前ですよ。

その頃はサラリーマンをしてて、流行は知っていましたが
普通の演歌くらいにしか思えませんでした。

「どろどろとした恋愛世界は苦手だなあ」

不誠実な男に騙された馬鹿な女・・ふ~ん。

♪だれか佳いひと出来たのね、できぃたぁの~ね

↑振られちゃったんだよ、しつこい

こんな感想でした。
未練がましい。


ま、そうであるのに違いはありませんが
作り手の意図はそこからは少し深いようです。

♪ああ半年あまりの恋なのに

長く続いた泥沼じゃないんですね。
では軽く騙されたか

♪エプロン姿がよく似合う

女性は多少派手に見えるひとかも。
あるいは水商売か。

ともあれ普通の女性として付き合ってくれてた。
短かかったけれど「ウソのような」

♪爪も染めずにいてくれと女があとで泣けるよぅな

ここですね、
若いころは聞き飛ばしていました。

軽薄男がそれを誤魔化すための口から出まかせ。

本当はマニキュアをした女が好みなのに。
白々しい嘘。
女は気づかなかったのだろうか。


続く歌詞の「あとで泣ける」とは。

爪の化粧をしようとするたびに想いだすのですね。
泣ける、ということは本気度が伺われます。

では、本気女は何も気づかなかったのか。

もしかすると気づいていても仕方が無かったのか。
ならば相手の男も軽薄とは限らないことに。

意識した悪い男ではなくて弱い男かもしれません。
優しすぎる男。
必ずしも100%嘘をついていたわけではないのか。

そこらあたりは女も分かってた・・・
気づいてはいたけれど。


こんな機微が浮かんで来るのです