なんで改憲なんだろう

2013-03-03 11:36:19 | 塾あれこれ
このところ「改憲すべき」という論が多いですね。

私にはどうもピンとこない。

改憲の論拠も多々なのですが、内容の整理もされないまま
気分だけが盛り上がっているようです。
マスメディアが(気分的)だから情けない。

日本人が作っておらず、押し付けられたから改憲だ、
という意見が多いのです。

戦後の新憲法制定の経緯を見れば分かりますが
押し付けられた、というより日本側の新憲法制作能力に
不十分な処があったことが大きいように思われます。

旧態然とした日本案に占領軍側がしびれを切らした。
良い物を出していればそれでもよかったのです。

出来あがった(米国製)現憲法は大日本帝国憲法に比べて

①主権が国民にあること
②国民には基本的人権が尊重されること
③政治権力を分立させたこと
④地方自治を充実させたこと

など、大いに現代的なものが出来あがったのです。

押し付けられたからって、上記①~④を変えちゃうわけですか?
民主主義そのものですよ。
明治憲法は今から見ればとても限定的でした。

日本人自身で手にしたわけではないから、民主主義返上ですか?
中国のように自由でなくたってよいのですか?

まさか、そんなことを言う人は極ごく一部でしょう。

本当に押し付けられたからいけないのでしょうか?
そう言う人は実は平和条項、特に9条が気にいらない
だけなのではないかなあ。


憲法9条は現実に合うかどうか難しいところです。
よってそれを改憲しようと言うのは理があります。

ところがそれでは反対も多く、改憲出来ないから
まず「押し付けられた」というところだけを表に出して
世論操作をしようとしているのではないか?

正しい方法とは思えません。
正面から論争すべきですね。

ましてや三分の二条項だけを先に、とりあえず改憲の
ハードルを低くしようと言うのは何かミエミエ。

諸外国に比べ日本だけが改憲出来ていない、というのが
根拠らしいのですが、はたしてそれだけで悪いのか?
外国と同じがよいという、一種の外国崇拝ですね。

明治憲法は現憲法より改憲がしやすいものでした。
天皇が言えばよいのですから。
国民の三分の二とか投票の過半数とか、全く無関係。

明治~大正~昭和のの激動期に何度改憲されたでしょう。

一度もありません。

仕組みより現実への対処の方法が外国とは違うのでしょう。
憲法は動かさない。

現憲法下でも同じです。

9条と自衛隊との関係でも、いかに融通無碍に対応しているかが
分かりますね。
改憲論者は、もう苦労したくない、のでしょう。

しかし憲法9条を変えれば、どこまで行ってしまうか?
どんどん変えて行っちゃう国だけに10年後20年後が不安です。


現憲法にも変えたり追加したりしたい、ごもっともな話もあります。

けれどそれが呼び水、9条改正の露払いであってはなりません。

これも正々堂々、必要な個所だけを論議すべきと考えます。