『悪文』

2009-06-09 10:21:11 | 本の話
中村明『悪文』ちくま学芸文庫

もとは1995年(ちくま新書)で出たものを2007年文庫に
されたそうです。
同じ著者同じ文庫に『名文』という本があるので
そちらも読まないといけないかもしれません。

文章を書く上で気をつけなければならないことを
教科書風に、けれども読みやすく、書かれたものです。


日本料理の高名な先生が文章の書き方も教えるのか
なんてそそっかしく間違えましたが
アチラは中村孝明さんでしたね。

『鉄人』で道場六三郎のあとをやってた方です。

そういえば彼が関わった(らしい)レトルトカレー
「雲仙ビールカレー」は旨いですよね。
我が家にとっては価格が高いのであまり食せませんが。

中辛ですので、私はビンダルウペーストをたっぷり効か
せた辛~い焼き飯を作り、その上にこのレトルトを
かけます。・・・旨い。


ええ、まったく違う話になってしまいました。
悪文の代表だね。

自分の考えがまとまらないのに書く文章
読む側に向けての気配りのない文章

こういうものを戒めておられます、ははは。

もちろん、細かい「てにをは」や「誤字」などへも
丁寧に言及されていますが、それよりも大きな
スタンスで(悪文とは何か)を指摘しておられます。

適当に書いている私は冷や汗ばかりがでますね。


「この日本語はおかしいだろう」という文例の中に
私は平気で使っているなあ、なんてものがあり
サスガに恥ずかしい思いがします。

「あのお宅ではいまだに白黒テレビだそうですよ」

この表現に違和感をいだくほどの語感が私には
ありません。
ヤバイなあ。

(いまだに)→(もっていない)が正しい語感。

こういうものは、私のようにいったん狂ってしまうと
あとで直すのが大変です。

言葉を覚えるのは見聞きが中心ですから普段身の回り
にどのような日本語が飛び交っているか、が問題に
なりますね。

マスメディアの日本語のひどさはどうでしょう。

こんな(狂ってしまった)私でさえ唖然とします。

天下の大新聞の日本語で目立つのがマイナスの語感
であった言葉をプラスに使っていることです。

たいへん気になるし問題でもあります。

有名な例では「耳ざわり」をプラスに使うとかね。
耳ざわりが良い、はヘンでしょう。。
これくらいなら私にも分ります。

さすがに(目ざわり)はまだ悪い方に使われている。

先日も新聞で「引っかかる」をプラスで使っていました。
「人として引っかかる存在になりたい」?!

私は、その言い方に(引っかかる)

インタビューで誰かが言ったのならまだしも
記者の感想として書いているのです・・

新聞社にもずいぶんエライ方がおられるでしょうに
こんなの許しておいて良いのかね?

嫌われたくないものだから言わないのか、
注意を聞かない若者が勝ってしまう組織なのか。

いずれにせよ「文法だけ」では到底掬い取れない
言葉の奥深い世界を守らなくてはいけません。


放送局はもっと難しいですね。
アクセントという要素が加わりますから。