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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】良い情報を手に入れる早道

2019年02月05日 | ●佐藤優
 ①佐藤卓己『テレビ的教養 一億博知化への系譜』(岩波現代文庫 1,540円)
 ②熊野英生『なぜ日本の会社は生産性が低いのか?』(文春新書 880円)
 ③井上寿一『機密費外交 なぜ日中戦争は避けられなかったのか』(講談社現代新書 920円)

 (1)①は、テレビというメディアが民主主義にとって重要であることを解明した好著だ。
 <もちろん、「心地よい」テレビ的教養は最良の教養ではないだろう。しかし、より多くの人のより良い輿論public opinionを生み出す公共圏への入場券として、それは必要な教養である。なぜなら、公共圏public sphereとは万人の参加可能性を前提としており、具体的でわかりやすい、すなわち「心地よい」教養のみが万人に共有可能だからである。そうしたテレビ的教養すら欠いた人々が存在するとすれば、それは民主主義の危機というべきだろう>
 との指摘はその通りだ。もっともインターネット空間に流れる不確かな情報で世の中が動くような状況に、テレビがどこまで歯止めをかけられるかについて、評者は懐疑的だ。

 (2)②においては、日本の企業が抱える病理を分かりやすい言葉で解明している。
 <日本型組織はルーティンのなかで、「年長者ほど的確な判断ができる」という発想で組織を動かしている。これは平時は有効に機能するが、大きな変化がゆっくりと近づいてきたときは、十分に機能しない。
 「社内で広く意見を集める」としても、大企業の場合は関連会社から遠隔地の事務所まで広く人材が分散している。正確に言えば、物理的な距離が問題なのではなく、組織のヒエラルキーの下層の従業員ほど自分の会社のことを全体として考える訓練がされていないことが、「広く意見を集める」効果を乏しくしている>
 との熊野氏の指摘はその通りだ。現実的に考えると、危機を回避するために有効なのは、全体像がよく分かった参謀的機能を果たす若手が、会長や社長に耳打ちをするという処方箋なのであろう。

 (3)③で興味深いのは、
 <機密費の多くを占めたのは接待費である。対軍部外交の観点からの「官官接待」は、外務省が軍部とのあいだでコミュニケーションを円滑にし、間接的に軍部をコントロールするのに必要だった。さらに接待外交は、満洲事変や上海事変をめぐって、自国に有利な解決をめざすことも目的の一つとしていた>
 という指摘だ。評者も外交官時代、モスクワの日本大使館で報償費(機密費は現在はこう呼ばれる)をずいぶん使ったが、ほとんどが交際費だった。外国なので、官官接待はまったくなかった。クレムリン(ロシア大統領府)、政府高官や国会議員と会食を重ねることで信頼関係が構築され、機微に触れる情報を入手できるようになる。良い情報を金で買うことはできない。交際費をふんだんに使って人脈を構築することが情報入手の早道だった。

□佐藤優「良い情報を手に入れる早道 ~知を磨く読書 第282回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)

 【参考】
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
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【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
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【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
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【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
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【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
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【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
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【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
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【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
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【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
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【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
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【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引

2019年02月04日 | ●佐藤優
 ①ヤロスラフ・オルシャ・jr.(平野清美・編訳)『チェコSF短編小説集』(平凡社 1,500円)
 ②茅原郁生『中国人民解放軍 「習近平軍事改革」の実像限界』(PHP新書 980円)
 ③佐藤優/金惠京『北東アジア市民圏構想』(第三文明社 1,400円)

 (1)①の編訳者である平野清美氏は、本書のあとがきにこう記す。
 <チェコの本屋に入ると、そのSFおよびファンタジー部門の棚の広さに目をみはる。チェコの著名なSF専門家ズデニェク・ランパス氏によると、チェコでは年間五〇〇冊ものSF・ファンタジー作品が出版されているのだという(その多くは海外ものだが)。いうまでもなく、〈ロボット〉という単語もこの国の作家チャペックの生んだ言葉である。そのわりに作品が邦訳されている作家は、数えるほどしかいない。そこでこの国のSFのたどった道筋を振り返ってみようというのが本書の試みである>
 この試みは成功し、優れたアンソロジーになっている。ヤロスラフ・ハシェク、カレル・チャペックのような文豪から、フランチシェク・ノヴォトニーやオンドジェイ・ネフのような現代作家までの作品を丁寧に紹介している。SFやチェコ文学に関心を持つ人だけではなく、ヨーロッパの論理を知りたい読者にとってもよき手引になる。

 (2)②において、次のような指摘がある。
 <中国は、二十一世紀中葉をめざして覇権追求をするかぎり、核戦力を重要手段として強化し続けよう。同時に、中国は大国化するなかで、大国の責任が求められてくる。このジレンマのなかで中国は、国際的な核軍備管理にどのように対応するのか。中国の核軍縮に向けた姿勢が注目される>
 その通りだ。核廃絶のプロセスに中国を参加させる国際的メカニズムを構築する必要がある。

 (3)③で金惠京氏は、次のような決意を述べる。
 <ただ残念ながら、単に民主主義を制度化し、命や平和の重要性を認識するだけでは政治は変わりません。そうした政治を実現できる政治家を選挙で選ぶために、市民一人ひとりが常に学び続けなければならないのです。平和を願い、そのために対話の道を常に模索する政治家を選ばなければなりません。そうした覚悟と意識が北東アジアに共有されたとき、この地域から世界へ「平和」や「核廃棄」といったメッセージを送ることができるはずです。私はそうした日を願い、今後も発信を続けていきたいと思っています>
 政治学者や法学者は、制度面にしか関心を向けないが、より重要なのはそのような制度をつくり、維持する人間だ。市民の一人一人が政治リテラシーを高め、優れた資質を持った人を国政に送り出すという民主主義の原点に戻る必要がある。韓国と日本の架け橋となることを通じ、北東アジアに平和を担保する市民圏をつくろうとする金惠京氏の構想力に敬意を表する。

□佐藤優「ヨーロッパの論理を知る手引 ~知を磨く読書 第269回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年10月27日号)

 【参考】
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
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【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
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【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
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【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
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【佐藤優】資本主義の内在的論理
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
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【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
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【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】生き残るための教養主義

2019年02月04日 | ●佐藤優
 ①さいとう・たかを『鬼平流 私の長谷川平蔵心得帖』(宝島社 1,200円)
 ②ウンベルト・エーコ(和田忠彦・訳)『永遠のファシズム』(岩波現代文庫 940円)
 ③竹内洋『教養派知識人の運命 阿部次郎とその時代』(筑摩書房 2,000円)

 (1)①には、人生の教訓がたくさん詰まっている。〈『鬼平犯科帳』の主人公である長谷川平蔵の考え方や社会観は、どうしても私に似てきてしまう。では、私と平蔵の違いは何かというと、私はいわゆる「優等生」ではない点だ。/私から見れば、優等生である平蔵が、ときとして非常に窮屈に思えてしまうときがある。私は本来、優等生よりも外れ者が好きだ。この仕事をはじめた当初から分業制の必要性を説いた私の考えを、周囲の作家たちは邪道だと思っていた。だからはじめから私は漫画界の外れ者だったといえる。もっとも漫画を職業として成立させる分業制は、漫画における正しい制作方法だと今も自信を持っていえる〉とさいとう氏は告白する。邪道であっても、それがいずれ王道になるという見通しをさいとう氏は持っていたのだ。真の想像力を持つ人には、このような心眼が備わっている。

 (2)②は、〈原理主義、教条主義、似非科学的人種主義は、ひとつの〈教義〉を前提とした理論的な立場である。不寛容はあらゆる教義の、さらに前提として置かれる。この意味で、不寛容は生物学的な根源をもち、動物間のテリトリー性のようなものとしてあらわれるから、しばしば表面的な感情的反応に起因する。わたしたちが自分と違う人びとに堪えられないのは、わたしたちが理解できない言語を話すからであり、カエルや犬や猿や豚やニンニクを食べるからであり、入れ墨をするからだ……といった具合に〉と指摘する。生物としてテリトリー性のような排除の感情を持つ人間には、常にファシズムのような全体主義体制を構築する危険があることを過小評価してはならない。

 (3)③は、教育に従事する人々の必読書だ。大正教養主義の代表的知識人である阿部次郎の思想の特徴について竹内氏はこう述べる。〈書を読むことや他人の思想を研究することは大事だが、それによって自ら生き、自らを省みることを怠るのであれば、何の意味もないとする。書を読むことも他人の思想を研究することも自ら生き、自らを省みるひとつの途であるとされている。教養とは自らを省みることで力を内に貯め、それによって他日の出力を大きくするものなのである〉。その通りと思う。高校でも大学でも、すぐに役立つような教育が奨励されるが、そのような実学はあっという間に陳腐化してしまう。一見、実用性がないような、哲学、文学、数学基礎論などを学ぶことが、エリートとして生き残る上では重要だ。21世紀の今日においても、教養主義は有効である。

□佐藤優「生き残るための教養主義  ~知を磨く読書 第270回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年11月3日号)

 【参考】
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【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
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【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気

2019年01月31日 | ●佐藤優
 ①服部龍二『高坂正堯 戦後日本と現実主義』(中公新書 1,000円)
 ②小原雅博『日本の国益』(講談社現代新書 880円)
 ③阿比留瑠比『安倍晋三の闘い 官邸からの報告』(WAC 920円)

 (1)服部龍二『高坂正堯』は、優れた評伝だ。高坂正堯は、論壇では中立論が強かった東西冷戦時代に日米安全保障条約を認め、勢力均衡論に立つ現実主義外交を訴え、保守政治家や論壇人に強い影響を与えた。〈高坂は、森本哲郎『ある通商国家の興亡──カルタゴの遺書』(一九九三年)の「解説」で、「解釈にはセンスと勇気とを必要とする。その勇気がないのか、それとも事実の発掘が研究者を疲れさせるのか、あるいは専門化が進行したことがセンスを失わせるのか、面白くもなく、教訓を汲みだすこともできない歴史書が多すぎる」と述べている。/解釈する「勇気」すらなく、「専門化が進行したことがセンスを失わせ」、「面白くもなく、教訓を汲み出すこともできない」のは、歴史書だけではあるまい。/そのように説く高坂が日本でナンバー・ワンの国際政治学者であったのか、評価は分かれるだろう。しかし、高坂がオリジナルな世界を持ち、比類なきスケールを備えるオンリー・ワンの存在であったことに異論は少ないと思われる〉と服部氏は指摘するが、その通りと思う。外交実務においてもセンスと勇気はとても重要だ。

 (2)小原雅博『日本の国益』は、外務省から東京大学に出向している著者による優れた外交の教科書だ。小原氏は、〈集団的自衛権をめぐる論争では、「憲法で国家は守れない」との議論もあった。確かに、国が滅びれば憲法など何の意味もないとの理屈は国民にも分かり易い論理である。しかし、憲法は国家のアイデンティティそのものであり、国家を守るということはすなわち憲法を守ることでもある。仮に「憲法で国家は守れない」との議論が憲法を蔑ろにするような空気を生むならば、それは国家の安全保障を云々する以前の「国家のあり方」として適当ではないし、戦前の日本を想起するまでもなく、危険でもある〉と強調する。外交官を含む行政官は革命家ではない。小原氏のような健全な憲法観を持つ外交官に筆者は共感を覚える。

 (3)阿比留瑠比『安倍晋三の闘い』において、〈日本は、今後の国際情勢が一気に変化することを想定して対応していかなければなりません。三十八度線から対馬海峡にまで、アメリカの防衛ラインが下がる可能性は否めない。/本当に朝鮮半島が非核化されて、在韓米軍も撤退するとなると、朝鮮半島はどこの核の傘に入ることになるのか。前述したように、今の流れだと中国の核の傘に入りたがる可能性が高いでしょう〉との指摘がなされている。このシナリオが実現すると、中国、北朝鮮、韓国の3カ国が日本と対峙するという構造が北東アジアに出来上がる。日本にとっては悪夢のシナリオだ。

□佐藤優「外交でも問われるセンスと勇気  ~知を磨く読書 第271回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年11月10日号)

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【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか

2019年01月30日 | ●佐藤優
 ①小原克博『世界を読み解く「宗教」入門 ビジネス教養として知っておきたい』(日本実業出版社 1,700円)
 ②佐々木雄一『陸奥宗光 「日本外交の祖」の生涯』(中公新書 900円)
 ③松岡正剛『千夜千冊エディション 少年の憂鬱』(角川ソフィア文庫 1,280円)

 (1)①においては、宗教について網羅的に取り扱われている。特に興味深いのは、新宗教に対するアプローチだ。著者は〈真如苑や創価学会など一部の新宗教を除けば、ほとんどの新宗教は、この20~30年の間に信者数をかなりの程度減少させてきました。新宗教の多くが、高度経済成長や、それに伴う都市への人口移動という大きな社会変化の中で、信者数を増やしてきたことを考えれば、現在のように経済活動が停滞している時代において、かつてと同じような拡大路線を歩むことはできないでしょう。しかし、近代以降の社会変化に応答する形で現れてきた新宗教には、日本人の新たな宗教的欲求や宗教性が色濃く映し出されており、海外の宗教研究者からも注目をされてきました。伝統宗教だけでなく、新宗教もまた、日本宗教の紛れもない一部なのです〉と指摘する。まっとうな見解だと思う。同志社大学神学部教授である小原克博氏が、真如苑や創価学会を「日本宗教の紛れもない一部」であると肯定的に評価していることの意味は大きい。

 (2)②において、〈外交を支えるものとして、一般的に言われている武力ではなく、智識が重要であると主張した。そして、国際関係において武力は重要な要素ではあるもののそれがすべてではない、武力に至るまでに操縦の余地は十分にある、道徳による統制はいまだ不完全だがそれが絶無であると考えるのは誤りである、と論じた〉との指摘がなされている。21世紀の外交においては陸奥宗光が活躍した時代のような帝国主義的傾向が強まっている。特に米国、中国、ロシアの間で本格的な軍拡競争が始まっている。このような状況において外交における「道徳による統制」の要因がとても重要になる。

 (3)③においては、中勘助著『銀の匙』、ヘルマン・ヘッセ著『デミアン』、ジュール・ヴェルヌ著『十五少年漂流記』など、多くの読者が少年少女期に読んだ作品が取り上げられている。松岡正剛氏は、本書の意図を〈表題の『少年の憂鬱』は、たんに「憂鯵な少年」のカルテをお目にかけるなどということではない。そんな病跡記をあらわしたいのではなく、洋の東西の少年にひそむ葛藤や憂鬱を、長じたオトナたちがどんなふうに振り返り、どんな物語にしていったのか、その吐息のようなものを案内したかった〉と説明する。少年少女期をどのように総括し、振り返るかで、人生の意味付けがかなり異なってくる。50歳を回り、現役の終わりが視野に入り始めたところで、評者も自分の少年時代を振り返る機会が増えた。

□佐藤優「少年少女期をどう振り返るか  ~知を磨く読書 第272回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年11月17日号)

 【参考】
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
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【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
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【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
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【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
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【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
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【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
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【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
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【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書

2019年01月29日 | ●佐藤優
 ①文藝春秋・編『文藝春秋オピニオン 2019年の論点』(文藝春秋 1,500円)
 ②佐藤優/池上和子『格差社会を生き抜く読書』(ちくま新書 760円)
 ③金成隆一『記者、ラストベルトに住む トランプ王国、冷めぬ熱狂』(朝日新聞出版 1,400円)

 (1)①には、このムックを大学入試にどう活用したらよいかというユニークな論考が収録されている。執筆者は、東進ハイスクールのカリスマ講師、樋口裕一氏だ。〈小論文においては、頭のよさを見せるということがたいへん重要だからです。小論文とは頭のよさをアピールするゲームだと考えていい。だから、本来は課題とストレートにつながっていない根拠であっても、それをうまくつなげることで、独創的な論を展開できれば、大きなアピールになります。/すると、受験生としては、すべての問題に対応できるようにあらゆる知識を詰め込む、といったことをしなくともよいことになる。自分の得意なネタをできるだけ広い分野で十個くらい持てば、それらを使って何とか合格できる答案にたどりつくことができます〉という氏の指摘は、入社試験や社内の昇任試験の準備をする際にも有益だ。このムックは究極の実用書でもある。

 (2)②において、臨床心理士の池上和子氏は、〈困難な状況にある家庭に働きかけ、過酷な環境下にある子どもを早い段階から実親ではない適切な関わりをする大人と接触させ、安定した人間関係を構築していくための最初の土台をつくる。このことに成功すれば、その子は幼少期以降に学校で出会う教師など、他者と円滑にコミュニケーションを取っていくことができる〉と述べる。困難な環境にある子どもに、われわれ一人一人が少しでもいいので、働き掛けることが日本社会を強化するために不可欠だ。

 (3)③は、朝日新聞記者による、トランプ支持者が多い地域を取材し考察した優れたノンフィクションだ。〈誰もが指摘するように、アメリカ社会には分断がある。様々な人種、宗教、文化、考え方の人々が暮らしているので、ある意味で自然だと思う。放っておけば摩擦が起き、分裂してしまうが、それを歴代の指導者は何とか共通の理念や記憶を語り、結束を試みてきた。/それでもあちこちに断層はうっすら見えている。そんなことは、ほとんどのアメリカ人は知っているが、多くの人は、「私とあなたには違いもあるけど、共有している部分のほうが多いはずだから共存しましょう」という姿勢で暮らしている。多民族社会の知恵だろう。/ところがトランプは、その断層を執念深く広げようとしてきた。できた隙間に指先をひっかけ、別の断層も見つけ出しては、そこを足で蹴り続け、少し崩れたところに足場を作り、よじ登ろうとしてきたのだと思う〉との指摘が本質を突いている。トランプは米国の病理が肉体化した存在だ。

□佐藤優「社内試験に使える究極の実用書  ~知を磨く読書 第273回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年11月24日号)

 【参考】
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
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【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
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【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
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【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
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【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
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【佐藤優】資本主義の内在的論理
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
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【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
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【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
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【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定

2019年01月28日 | ●佐藤優
 ①木村草太/佐藤優/山川宏『AI時代の憲法論 人工知能に人権はあるか』(毎日新聞出版 1,600円)
 ②木村誠『大学大崩壊 リストラされざる国立大、見捨てられる私立大』(朝日新書 790円)
 ③堂下哲郎『作戦司令部の意思決定 米軍「統合ドクトリン」で勝利する』(並木書房 2,200円)

 (1)①において、木村氏は、
 <この本の発端となった私の着想は、トランプの行動は、「得票最大化のための特化型AI」のように見えるというものでした。特化型AIは、常識や倫理にとらわれず、目的のために手段を選びません(もちろん、常識や倫理をするように学習させれば別ですが)。トランプは、集票のために、差別も暴言も躊躇しませんでした。なんで、こんなにひどいことができるのだろうか。これをAIとの対比で考えてみたかったわけです>
 と述べる。この着想に基づいて、AI(人工知能)、憲法、国内政局、国際政治などについて、知的刺激に富んだ議論が展開されている。学際対話の重要性がよく分かる。

 (2)②は、日本の大学・大学院教育が抱えている問題を構造的に解明している。
 <文系の修士では学部卒より就職に有利になることはなく、景気が回復しなければ、むしろ大学院生の就活の状況は悪化する。そのため、モラトリアム(猶予期間)としてさらに確たる展望もなく、博士課程に進学する者もいた。彼らの一部が、正規の就職もできずに、もちろん大学内でも確たる教員ポジションを確保できる展望もないため、高学歴貧民になってしまったケースも少なくない。
 一方で「学歴ロンダリング」と言われるような、出身大学より高いレベル(入学難易度で)の有名大学大学院に進学して最終学歴として公表するケースも出てきた。これも大学院の間口が広がったために生まれた皮肉な現象であろう>
 との指摘は、その通りだ。大学院生において「悪貨は良貨を駆逐する」ような現状を早急に改めなくてはならない。

 (3)③は、米軍の教本に基づいた優れたマネジメント論だ。
 <チームのメンバーに起因する問題もあります。どのグループにもほかのメンバーを感化して独自の意見を通す説得力のある人物や、持論を曲げない「信念の人(頑固な人)」がいるものです。
 彼/彼女らがよい影響を与えることもありますが、時間的制約の中でグループとして結論を出して次の課題に取り組まなければならない場合、最も声の大きいメンバーの意見や、自説に固執するメンバーに仕方なく妥協してしまう「誤った合意(False Consensus)」が生じることがあります>
 との指摘がなされているが、企業や役所においても、声の大きい人や過去に実績を挙げている人の声が過大評価されて誤った合意形成に至ることはよくある。本書を研究しておくと、そういった過ちを犯しているときに「ハッ」と気付く可能性が高くなる。管理職にとっての必読書だ。

□佐藤優「米軍の教本に基づく意思決定 ~知を磨く読書 第274回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年12月1日号)

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【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
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【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
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【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい

2019年01月27日 | ●佐藤優
 (1)<読者の中にも転職を考えている人がいると思う。あるいは、部下が転職することをやめさせたいと考えている中間管理職もいると思う。こういう人たちに本書はとても有益だ。小説の構成になっているので読みやすい。印刷機器販売会社に勤務しているが、会社の状況がよくないので転職を考えている主人公(青野)が、やり手の経営コンサルタント・黒岩仁のアドバイスを受けながら成長していく姿が描かれている。>

 (2)<転職エージェントもビジネスだ。その報酬メカニズムについて知っておくことが重要だ。
 〈僕は説明した。黒岩いわく、転職エージェントは、成果報酬型であることがほとんどらしい。そしてその報酬を受け取る権利は「転職候補者が企業と最初に接触した時点」で決められる。
 たとえば、ひとりの候補者が、二つの転職エージェントからA社を紹介された場合、最初に候補者とA社の接点を作ったエージェントが報酬をもらう権利を持つ。
 だから、どれだけ手塩にかけて転職者を世話しても、最終的に他社から紹介された企業に入社してしまうと一円にもならない。従って、転職エージェントは、他のエージェントとの接触を嫌い、できるだけ早くたくさん企業を紹介し、受けさせようとする のだ〉
 転職エージェントは、転職希望者の人生を考えて行動しているのではなく、自らの利益の極大化を追及しているという現実を冷静に認識しておくことが重要だ。もっとも資本主義社会では誰もが利潤を追求しているので、道徳的に転職エージェントを非難するのはお門違いだ。転職エージェントのビジネスモデルを理解した上で、利用するというアプローチをとった方がいい。>

 (3)<転職者を多く受け入れる企業の特徴に関する分析も興味深い。
 〈「でも、人材をたくさん採るってことは、それだけ業績が順調ということではないんですか?」
 「それは、部分的には正しい。だが、全体としては間違っている。まず、転職エージェントというのは使う側からの企業から見ると、金がかかる。一人入社させるごとに想定年収の3割程度の金額をエージェントに払わないといけないからな。だから、そんなに連続して使うべきものではない。それでも、なぜ使うのか? ひとつは、成長が極めて早いケースだ。とにかく人が必要で採用が追いつかない。タナベテクノロジーにも、たしかにそうした側面がある。だが、そこには矛盾がある」
 「矛盾……?」
 「というのも、そもそもIT企業というのは、基本的に規模が大きくなっても、それほどたくさん人がいらないビジネスなんだよ。それでも人が足りないというのは、実質的には、タナベテクノロジーが、IT企業じゃなく、人材派遣の会社だからだ」
 「なるほど」
 「あそこは自社で開発部門は持っておらず、システムは外注している。加えて、社内にいる人間は毎日、新規開拓のために外回りの営業をしているだけだ。表面上IT企業を謳うが、実態はITではない会社は本当に多い。とくに、やたらとメディア露出と、資金調達を繰り返している会社は要注意だ。こういう会社は外からだけでは見極めるのが本当に難しい。タナベテクノロジーはその典型だな」〉
 評者も新卒入社2~3年の若者から転職の相談を受けることがある。「IT企業に就職したんですけれど、会社に開発部門はなく、システムはすべて外注してます。実質は仲介業みたいなもので、営業しかしていません。これではスキルが身につかず、使い捨てにされるのが目に見えているので、転職を考えています」という相談が多い。>

 (4)<評者は、「こういう企業に関しては、先輩訪問やインターネット上の評判で、事前に情報を得ることができるはずだ。就職活動における詰めの甘さを反省し、今度は転職先の情報を事前によく集めておくことを勧める」と答えている。
 そもそも仕事が面白く、職場環境も良好な会社には、自然と人が集まってくる。この点に関する黒岩の説明にも説得力がある。>
 
 (5)<〈「もうひとつ、転職エージェントがやたら頻繁に使われるケースは、社員の紹介によるリファラル採用や、直接応募で人が採れていないときだ。もしも君が本当に優れた会社に行きたいなら忘れてはいけないことがある。本当に優れた会社には、勝手に人が集まってくるんだ。社員が自然に、評判を作り、新しい社員を呼んでくるんだよ。もちろんエース級は採りにいかなければならないが、君レベル、つまり現場レベルなら、転職エージェントは不要なはずなんだ」
 「そう聞くと、すごく悪い会社に思えてきました……」
 「バカだな、君は。たしかにタナベテクノロジーは、転職先としてはオススメしない。だが、会社としては優秀だ。どんな人材でも入れれば売上が伸びるのだから、むしろビジネスモデルとしては優れている。したがって経営者は天才だ。だが、その下にいる人々は使い捨てでいい。つまり、人を育てる必要なんてないんだよ。これが転職先としてはオススメしない理由だ。もしそれでもタナベテクノロジーに入りたい場合は、一通りの技術と人脈をつけて、上のポジションで入ることを勧める。繰り返すが、大事なのは『仕事のライフサイクル』だ。〉>

 (6)<資本家(経営者)にとっての職業的良心は、利潤を極大化することだ。資本家にとって優良な会社が、必ずしも現場の従業員にとって良い会社でないということはよくある話だ。転職にあたっても資本主義の内在的論理を踏まえることが重要と思う。>

□佐藤優「転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい ~ビジネスパーソンの教養講座 名著、再び 第11回~」(「週刊現代」2019年1月5・12日号)

 【参考】
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
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【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
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【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
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【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘

2019年01月26日 | ●佐藤優
 ①小笠原喜康『最新版 大学生のためのレポート・論文術』(講談社現代新書 800円)
 ②芳沢光雄『ビジネス数学入門〈第2版〉』(日経文庫 860円)
 ③リチャード・ドーキンス(大田直子・訳)『魂に息づく科学 ドーキンスの反ポピュリズム宣言』(早川書房 2,700円)

 (1)①は、技法のみならず思考を深める観点からも有益だ。
 <対決するには、まずは敵=先人の考えを知らなくてはならない。考えを知るというのは、論理を追うということである。先人の知識を「お勉強する」のではない。先人の描く世界に踏み込み、その世界に参加することである。参加するには、先人がのべている世界を、自分なりに組み立てなおさなくてはならない。
 もちろんその組み立てなおしが、なかなかできないことがある。それは、あなたがまだとうていその域に達していないか、あるいはその先人がよくわかっていないからである。そのときは、しばらく放っておくしかない。いずれ、どっちだったのかわかるようになる>
 との氏の指摘はその通りだ。批判する際には、先行研究の内在的論理を正確に捉えることが何よりも重要である。

 (2)②は、AI(人工知能)時代に生き残るために必要な数学が何であるかを具体的に示している。
 <ニュースにもなったことですが、1944年の夏にアメリカでビルの50階から落ちた猫が助かり、1998年の夏に同じアメリカで竜巻に巻き込まれた猫が6km先に無事着地したのです。実は、猫は20mから50mぐらいの高い所から落ちる場合は危険であるものの、それ以上の高い所から落ちる場合は、空気抵抗を利用して落下速度を一定以上大きくしないようにして、その間にベストの体勢をとって着地に備えるそうです。
 要するに、猫の落下に関しては、落下の公式(☆)による数学モデルは不適当なのです。そこで猫に関しては、(☆)に空気抵抗を加味した数学モデルを考えなくてはなりません>
 との例が興味深い。数学を適用する場合、その範疇が妥当かどうかについての判断が死活的に重要になる。

 (3)③では、
 <もし死ですべてが終わるなら、分別ある主体は自分の命を大事にして、それを危険にさらすのをいやがると予測できる。そのおかげで世の中は安全な場所になる。ハイジャック犯が生き延びたいなら、飛行機は安全なのと同じだ。逆に、相当数の人々が、殉教者の死は超空間のボタンを押して、ワームホールから別の宇宙へと突っ走るのと同じだと確信している、あるいは聖職者によって確信させられているなら、世界は非常に危険な場所になりかねない>
 との指摘がなされているが、その通りだ。宗教の危険性に対するドーキンスの警鐘を真摯に受け止める必要がある。

□佐藤優「宗教の危険性に対する警鐘  ~知を磨く読書 第275回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年12月8日号)

 【参考】
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
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【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
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【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
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【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
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【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
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【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
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【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
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【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
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【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】内面の悪

2019年01月26日 | ●佐藤優
 <わたしの内に、すなわち、わたしの肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行っている。 --「ローマ人への手紙」7章18-19節

 イエス・キリストは自らがユダヤ教徒であると考えていた。これに対して、イエスの教えがユダヤ教と本質的に異なることを明らかにしたのはパウロだ。その意味でパウロは、キリスト教という宗教の開祖なのである。
 パウロの特徴は、自らの罪深さを徹底的に深く認識したことだ。主観的に善いことを行おうとしても、客観的には悪いことばかり行ってしまう。なぜこのようなことになるのかとパウロは深く悩み、考えた。その結果、自分の内面に巣喰っている悪に気づいた。パウロは、人間を罪から解放するという観点からイエスの教えをもう一度捉え直し、旧約聖書を解釈し直した。
 現代の世界にも、過激組織「イスラム国」によるテロ、深刻な格差、貧困、環境破壊などのさまざまな問題がある。このような問題を解決するにあたって、パウロの視座に立つ必要がある。人間の悪に目を据えれば、社会構造の改革だけでは解決できない問題を克服することが可能になる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「内面の悪」を引用

 【参考】
争いの原因
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想

2019年01月25日 | ●佐藤優
 ①久保田勇夫『新装版 役人道入門 組織人のためのメソッド』(中公新書ラクレ 880円)
 ②石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書 800円)
 ③副島隆彦『「トランプ暴落」前夜』(祥伝社 1,600円)

 (1)①では、官僚の技法が見事に伝授されている。特に興味深いのが上司との接し方だ。〈対応がむずかしいのは、上司が自ら文字通り寝食を忘れて仕事に没頭するタイプの場合である。役人のなかには、役人仲間での常識でも考えられないほど我を忘れて仕事をする人がいる。こういうタイプの人は、結局早逝することが多いし、現職のまま死亡することもある。(中略)/こういうタイプの人が部下に厳しく接するのは、多くの場合、「自分がこれほどまでに身を削って仕事に専念しているのに部下はどうしてこの程度の努力しかしないのであろうか」という思いからである。自分と同等の熱意をもって事にあたれということである。こういういわば超猛烈上司への対応はむずかしい〉。結局こういう上司とは接点を極力少なくし、異動を待つしかない。まともに対応していると、部下の方が擦り切れてしまう。

 (2)②は、自衛隊の極秘インテリジェンス(諜報)部隊の存在を明らかにした優れたノンフィクションだ。本筋以外のエピソードにも興味深い内容がある。例えば、「憲兵隊構想」だ。〈赤坂の中心部にある中国料理店の個室に現れた“ある人物”とは、防衛省の情報収集・分析分野を統括する情報本部長の経験者(以下、Fとする)だった。(中略)調査隊と自衛隊の司法警察組織である警務隊を合体させて「情報保全警務隊」とする構想があったことに触れると、次のように痛烈に批判した。/「あれは(元防衛事務次官の)守屋(武昌)の私兵・憲兵隊構想だった。ひどい話だった」/3等海佐が在日ロシア大使館駐在武官に機密を漏らしたとして逮捕されたスパイ事件後、守屋は「再発防止のために必要」として、当時防衛庁長官の虎島和夫らに情報保全警務隊構想実現を働きかけた〉。自衛隊内部の反発が強くこの構想は実現しなかったが、守屋氏が防衛省で何をしていたかについては、徹底的にメスを入れる必要を痛感した。

 (3)③は、5000万~5億円程度の金融資産を持っている人を想定して書かれた本のように思われる。副島氏は、〈日本の小金持ち、自営業者、投資家たちは、今でも緩和マネーの恩恵を受けている。/(中略)緩和マネーは石膏でできた「食えないお金」なのだ。アメリカに貢ぐために、ものすごい金額で使われている。だから国民にとっていいことは何もない。小金持ち、資産家、投資家にとっても、もうこんな国にいたら大変なことになる〉と指摘する。しかし、金融資産5億円以下では国外に脱出する資金が不十分だ。日本にとどまるしかないのである。

□佐藤優「元防衛事務次官の憲兵隊構想 ~知を磨く読書 第276回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年12月15日号)

 【参考】
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【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
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【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
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【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
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【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
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【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
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【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
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【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
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【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
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【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
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【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
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【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
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【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
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【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
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【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(5)~

2019年01月25日 | ●佐藤優
 <車掌に案内されて、僕はコンパートメントに入った。狭い部屋に三段ベッドが並んでいる。床には第二次世界大戦前に製造されたようなスーツケースが4~5個と段ボール箱が2~3個置かれている。文字通り、足の踏み場もない。
 僕のベッドは上段だという。しかし、日本の寝台列車のようなはしごがない。中段、下段のベッドには人が寝ている。ベッドの幅もそれほど広くないので、人を踏まないように注意しながら上段に上がった。ベッドと天井の距離は50センチくらいしかない。棺桶の中に入るような感じだ。通路側に\は人間が1人すっぽり入ることができる穴が開いている。車掌がスーツケースを持ち上げて、その穴の中に入れてくれた。
 列車はプラハ中央駅に30分くらい停まっていた。ベッドで横になると、どっと疲れが出てきたので、すぐにうとうとした。ガチャッという激しい音がして、列車が激しく揺れた。日本の寝台車と違ってベッドに柵がついていない。衝撃でベッドから落ちると、床に置いてある堅そうなスーツケースに頭をぶつけて怪我をするのではないかと心配になった。しかし、ベッドの中にしがみつく棒や綱もない。とにかく体を安定させ、ベッドから落ちることがないように注意するほかに術がない。
 列車は動き出してからもよく揺れる。なかなか寝付けない。車内放送があって、その後、蛍光灯が消え、真っ暗になった。枕元には読書灯があるが、誰もつけないので、車内は真っ暗だ。窓は斜め下なので、上段からは窓越しに夜空を見ることもできない。
 しばらくするうちに僕はぐっすり眠ってしまった。
 どれくらいの時間が経ったであろうか。誰かに肩を突かれて目を覚ました。列車は停止している。制服を着た男がコンパートメントの中に入ってきて立っている。
 「パスポルト」
 と言うので、パスポートを出した。すると男はパスポートを持って、コンパートメントの外に出ていった。30分経っても男は戻ってこない。パスポートを持ち去られてしまったのではないかと心配になった。それから数分して、さっきの制服の男と、別の制服を着た女が入ってきた。
 女が、「チェコスロバキア・マネー?」と尋ねた。
 使い残しのチェコ・コルナがあるかと聞いているのだろう。ソ連や東ヨーロッパの通貨は外国への持ち出しが禁止されている。僕は「ノー」と答えた。
 そうすると制服を着た男がパスポートを無言で僕に返した。入国のときホチキスで留められたカードが取り去られ、ビザのスタンプの上に出国印が押されていた。
 少し経って、列車がゆっくりと動き始めた。5分も走らないうちに停まった。外にホームが見える。カーキ色の制服を着た男が乗り込んできた。ポーランドの国境警備隊だ。>

□佐藤優『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)の「第二章 社会主義国」の「5」から引用

 【参考】
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(4)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(3)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(2)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~


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【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(4)~

2019年01月24日 | ●佐藤優
 <チェコのシュニッツェルは実においしい。日本の肉屋で売っているトンカツよりは少し小さい。小学生の頃、団地のすぐそばにある商店街の木村精肉店で買ったハムカツを思い出した。シュニッツェルの場合も、肉をたたいて伸ばしてあるのでハムカツのようになる。もう一度、売店に並んでシュニッツェルを買った。
 共産圏に入って2日目なのに、早く西側に出たくなった。スイスでは、食事を取るのも列車の切符を買うのも日本と同じ調子でできた。しかし、チェコスロバキアではすべて勝手が異なる。プラハ中央駅の切符売り場にも「INTERNATIONL(国際)」と表示された窓口がある。しかし、そこでは切符を売ってくれない。大学の寮を開放してユースホステルになっているのだが、そこには泊めてもらえない。なんでこんな状態になっているのだろうか。僕にはよくわからなかった。
 プラハの中央駅のベンチに僕は6時間以上座っていた。ベンチからホームが見える。しかし、列車があまり出入りしていない。1時間に2~3本の列車しか往来しない。東京駅、上野駅ならば10分刻みくらいで、あちこちのホームから列車や電車が出発したり、到着したりする。チューリヒの中央駅にも、ひっきりなしに列車がやってきた。しかし、プラハはそうではない。それから、人間の歩くスピードが遅い。制服を着た軍人が多い。客車はすべて深緑色に塗られているが、どれもとても古い。そして、列車はいずれも超満員だ。デッキまで人があふれるほど乗っている。古いフランス映画『禁じられた遊び』で見た駅のようだ。そんなことを考えながら、駅の様子を見ていると思ったほど退屈しなかった。正直言うと、「一刻も早くここから逃げ出したい」という思いがあったので、退屈している余裕などなかった。
 ワルシャワ行きの列車が到着した。プラハが始発ではないようだ。すでにたくさんの客が乗っている。僕は寝台券に指定された車両に向かった。紺色の制服を着た中年女性の車掌が僕の切符を注意深く見た。それから、パスポートとビザを見せろという。僕はパスポートを見せた。車掌が「ヤーパン」と聞くので、僕は「イエス」と答えた。そうすると、車掌は列車に乗っていいと言った。タラップの階段が高いところにあるので、スーツケースが重く、手間取っていると。車掌が何か言った。僕は意味がわからないので、そのまま突っ立っていた。すると車掌が片手で僕のスーツケースを軽々と持ち上げ、階段を上がって列車の中に入れてくれた。そして、タラップの上から手を僕にさしのべてくれ、僕を引き上げた。すごい力だ。身長は僕より低い160センチくらいしかない。ちょっと小太りだけれども、筋骨隆々としているわけでもない。どこからこんな力が湧いてくるのだろうかと僕は不思議に思った。>

□佐藤優『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)の「第二章 社会主義国」の「5」から引用

 【参考】
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(3)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(2)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~
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【佐藤優】補助科学としての数学の活用

2019年01月23日 | ●佐藤優
 ①アンゲラ・メルケル(松永美穂・訳)『わたしの信仰 キリスト者として行動する』(新教出版社 2,300円)
 ②香山リカ『大丈夫。人間だからいろいろあって』(新日本出版社 1,500円)
 ③伊藤清『確率論と私』(岩波現代文庫 1,000円)

 (1)ドイツのメルケル首相が旧東ドイツの牧師の娘だったということは有名だ。①を読むと、彼女のキリスト教に関する知識と霊性が、プロテスタント教会の牧師としても通用するレベルの高さであることが分かる。2001年6月13日、独フランクフルトで行った教会の会合でメルケル氏は、〈おしゃべりや嘆きに多くの時間を費やすべきではありません。最も実存的な状況においてイエスが示す厳格さ、明瞭さ、素早さ、そして言葉の少なさは模範的です。「子どもに食べ物を与えなさい」、「あなたの信仰があなたを救ったのです」、「恐れるな」──くりかえし、はっきりした冷静なメッセージが呈示されます。わたしは意識しつつこのことを申し上げます。なぜなら、この国の、ドイツ連邦共和国のキリスト者たちはこのことをはっきり念頭におくべきだからです〉と述べている。メルケル氏の政治行動の基礎にはキリスト教がある。

 (2)②において、〈年齢にこだわらず、いつまでも新しいことにチャレンジする生き方がよいのか。それとも、年齢にさからわず、あまり無理をしない生き方がよいのか。高齢化社会と言われているが、その答えはまだ出ていない。「ほどほど」がよいとはわかっていても、それもまたむずかしい〉とある。香山氏も評者も1960年生まれで、あと2年で還暦だ。評者もそろそろ「いつまでも新しいことにチャレンジする生き方」と決別しなくてはならないと、本書を読んで痛感した。

 (3)③は、確率論の第一人者による優れたエッセーだ。〈数学的方法が、考察のあるレベルから、より高い、質的に新しいレベルへの移行の過程を包みこむ能力があるという例を物理理論の中に多数見ることができる。(中略)/生物学においては、数学は、物理学におけるよりもずっと従属的になり、経済学や人文科学においては、なおさらである。生物学や社会科学においては数学的方法の応用は主としてサイバネティクスの形で、なされる。これらの科学においても、数学の重要さは、補助科学──数理統計学の形で幾分残るが、社会現象の究極の分析においては、各歴史的段階における質的差異の側面が支配的地位を占めるため、数学的方法はしばしば後方に退くことになる〉という伊藤氏の指摘が重要だ。最近の経済学や社会学は、確率と統計に依存し過ぎていて、現象の「各歴史的段階における質的差異」について解釈することがおろそかになっている。数学を補助科学として位置付けることによって、数学をより有効に活用することができると思う。

□佐藤優「補助科学としての数学の活用  ~知を磨く読書 第277回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年12月22日号)

 【参考】
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【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
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【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
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【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
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【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
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【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
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【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
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【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
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【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
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【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
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【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
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【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(3)~

2019年01月23日 | ●佐藤優
 <この調子だとワルシャワ行きの寝台切符を取るのも相当難しそうだ。とにかく、朝一番で中央駅に行ってみることにした。8時頃に起きて外に出ようとすると、昨日のイタリア人女性がいた。横に10歳くらいの年上の額が広くなった男性が立っていた。僕が「昨晩はどうもありがとうございました」とお礼を言うと、彼女はイタリア語で夫に説明していた。夫は笑って、「この時期にチェコスロバキアを旅行するとたいへんですよ。チェコ人は親切な人たちですけれど、能力を超えて観光客を受け入れてしまっている。それだから、あちこちでトラブルが生じています」と言った。僕はイタリア人夫妻と握手して外に出た。タクシーを拾って、「中央駅に行ってくれ」と頼んだ。
 中央駅の国際列車の切符売り場に行った。幸い行列はなかった。ワルシャワまでの寝台列車の切符を買いたいと言うと、パスポートを見せろという。日本からの観光客の切符はチェドックでしか売ることができないという。悪い予感がした。もしかすると切符はすべて売り切れているかもしれない。そのときは飛行機でワルシャワに向かうしかない。確か社会主義国の航空運賃はそれほど高くなかったはずだ。とにかく、ホテルに戻ってチェックアウトをしなくてはならない。ホテルのチェックアウトは簡単にできた。再びチェドック本社に行った。
 今度は、TRAINと記されたカウンターで半日近く待った。10人くらいが並んでいた。全てを手作業で行っているので、時間がかかるのだ。午後2時くらいに僕に順番が回ってきた。難なくワルシャワ行きの二等寝台切符を買うことができた。列車の出発は午後9時過ぎなので、まだ数時間余裕がある。疲れ果ててしまった。市内観光をしようという気分にもなれない。そこで中央駅のベンチに座って、ひたすらワルシャワ行きの列車を待つことにした。本を読もうと思ったが、力が湧いてこない。ただぼんやりとベンチに座っていた。夕方になるとお腹が空いてきた。食堂を探したが、勝手がよくわからない。ホームの売店でソーセージとシュニッツェルを売っている。そこでソーセージ、シュニッツェルを買った。コーラを飲みたくなったが、売店で売っていない。そこで瓶に入ったオレンジジュースを買った。栓を開けてもらい、飲むとオレンジではなく薬品の味がした。舌がしびれるような感じがする。そこで、ジュースにはほとんど口をつけずに牛乳を買った。牛乳はおいしい。ソーセージはぶよぶよでほとんど味がしない。ただし、シュニッツェルはとてもおいしかった。シュニッツェルと牛乳で生き返る思いがした。
 いったいこれからどうなるのであろうか。僕は不安で泣き出しそうになった。

□佐藤優『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)の「第二章 社会主義国」の「4」から引用

 【参考】
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(2)~
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~
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