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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性

2019年01月23日 | ●佐藤優
 ①藤井厳喜、石平『米中「冷戦」から「熱戦」へ』(WAC 920円)
 ②馬場公彦『世界史のなかの文化大革命』(平凡社新書 920円)
 ③的場昭弘『カール・マルクス入門』(作品社 2,600円)

 (1)①では、2018年10月4日に米国のハドソン研究所でマイク・ペンス米副大統領が行った演説を詳細に分析することを通じ、米中関係の位相が変化したとの見方が示されている。特に興味深いのが、中国が独自の検索エンジンシステムを普及させようとしていることだ。
 <石平 そう言えば、グーグルが中国に入ろうとして、ユーザーの個人情報を提供するそうですね。グーグルも中国に屈服して、資本主義の魂を売った。あれは糾弾すべき出来事です。
 藤井 まだ最終決定していないけれど、「ドラゴンフライ」という名前の、中国共産党が望むような検閲を入れた検索エンジンをつくって試験運転しています。十月四日の「ペンス演説」では、グーグルの社名とドラゴンフライというプログラムの名前を挙げて、「ストップしろ」と要求しました。実際上は部分的に稼働していると思いますが、ギリギリのところで止まっています。グーグルにとっても運命の分かれ道です>
 中国で効率的なインターネット監視メカニズムができれば、それが世界に広がる危険がある。

 (2)②は、平凡社の有名編集者による文化大革命に関する優れた研究である。
 <革命は一過性のもので、決して再現しないし再帰しない。革命ははしかのようなもので、いちど罹患すれば免疫ができて再び感染することはない、という見方もありうるだろう。
 しかしながら、革命は疫病のように、風土に応じて少しばかりタイプは違うけれども、ある一定の条件の下では、同じような病理に罹ることもありうるかもしれない>
 という馬場氏の見方が鋭い。環境の変化によって、再び中国や日本でも革命運動が起きる可能性がある。人類が存続する限り、革命という病理から逃れることはできないと思う。

 (3)③は、マルクスの思想が一種の動物行動学であったというユニークな見方を示す。
 <マルクスの新しい哲学は、いわば人間社会を動物行動学(Ethology)のように考えることです。哲学の多くはある時代の社会に生まれた概念を真実として前提している。しかし、こうした概念をそのまま受けただけでは、哲学することはできない。哲学とは積極的に人類史の奥底にひそむ人間行動を研究することでなければならない。
 マルクスが主張する共産主義という概念は、(中略)人類が培ってきた自然の中の人間という状態を運命として引き受け、その中で真に自然と向き合うことです>
 マルクス主義は、人間という動物を扱うエコロジー(環境学)なのである。

□佐藤優「再び革命運動が起きる可能性 ~知を磨く読書 第278回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年1月12日号)

 【参考】
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【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
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【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
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【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
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【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
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【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
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【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
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【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
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【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
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【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
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【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
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【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
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佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
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【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
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【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(2)~

2019年01月22日 | ●佐藤優
 <国際ユースホステル協会が発行するハンドブックを頼りに市の中心にあるユースホステルを訪ねたが、満室ということで断られた。大学の寮を夏の間ユースホステルに開放しているような感じだ。空き部屋は絶対にあるはずだ。どうも資本主義の人間を泊めないようにしているようだ。
 僕が「どこに行けば宿を紹介してもらえるか」と尋ねると、ユースホステルの職員は、「ホテルに直接行っても、外国人旅行者は受け付けてもらえない。チェドック本社に行って相談するといい」と答えた。
 チェドック本社にはタクシーで行った。タクシーの運転手が「闇両替をしないか」と誘ってきたが、「コルナは十分にある」と言って断った。チェドック本社は、バーツラフ大通りからそれほど離れていないところにあった。人であふれている。HOTELと記されたカウンターにも10人くらいの行列ができているが、なかなか先に進まない。結局、3時間近く待たされて、ようやく僕の番になった。
 「ホテルを紹介してほしいんです」
 「何泊ですか」
 「3泊です」
 「残念ながら1泊しか紹介できません」
 「それでは、ホテルで連泊をお願いすればよいですか」
 「それはできません」
 「それではどうすればよいのですか」
 「明日、またこの窓口に来てください」
 また3時間も待たされるのではかなわないと思った。予定を変更し、プラハには1泊だけして、夜行寝台でプラハからワルシャワに移動することにした。
 チェドックの窓口でホテル代を支払って、宿泊券をもらった。支払いは米ドルか西独マルクでしかできない。「強制両替で手に入れたコルナを使うことはできないか」と尋ねたが、「できない」という。「ドルのトラベラーズチェックを使うことができるか」と尋ねたが、「それは可能だ」ということなので、トラベラーズチェックで支払った。お釣りも米ドルできた。
 ホテルは、旧市街の入り組んだところにあった。チェドック本社を出て、7~8歳の男の子を連れた男性がいたので尋ねた。男性は、ホテルの場所を示す地図を書いてくれた。男の子が、ポケットから飴を出して僕にくれた。せっかくの厚意なので喜んで受けることにした。ホテルは1キロくらい離れている。スーツケースを抱えて移動するには少し距離がある。そこでタクシーを使うことにした。タクシーの運転手からまた闇両替を持ちかけられたが「コルナはたくさんある」と言って断った。車の中でさっき子どもからもらった飴をなめてみた。堅い飴の中に木イチゴのジャムが入っている。おいしい飴だった。タクシーは5分くらいでホテルに着いた。「ドルなら2ドルだ」というので、コルナで払うのと比べ、圧倒的に安いので、ドルで支払った。
 チェドックの宿泊券を渡すとすぐにチェックインすることができた。時計を見ると午後7時だった。移動とホテルの予約をとるための行列で疲れ切ってしまった。朝から口にしたのは、子どもからもらった飴だけだ。猛烈にお腹が空いていた。部屋はきれいに整頓されたツインルームだった。スーツケースを部屋に置いて、レストランに行った。ウェイターが「満席で、食事をとることができない」という。ホテル料金には夕食と朝食が含まれている。僕は、夕食券を示して、「お金を払い込んでいるのに、食事ができないのはおかしい」と抗議した。するとウェイターは、「モーメント」と言って、僕を待たせた。2~3分でウェイターが戻ってきて、端の方の席に僕を案内する。きれいな女性が座っていた。年齢は30前後と思う。片言の英語を話す。イタリアからやってきたという。注文から1時間近く待っているが、まだ料理が来ないという。僕の方は、ウェイターを何度呼んでも注文さえとろうとしない。それから30分くらいして、イタリア人女性のところに大きなシュニッツェル(トンカツ)とゆでたジャガイモの付け合わせが運ばれてきた。それと籠に入ったパンが運ばれてきた。イタリア人は僕に「半分、食べないか」と言う。僕は「大丈夫。これからきちんと注文します」と言ったが、彼女は「これじゃあなたはきっと夕食からあぶれる」と言って笑って、ウェイターに「大至急、お皿を持ってきて」と言った。ウェイターがすぐに皿を持ってきた。イタリア人は、皿の上でシュニッツェルを半分に切り、ジャガイモを3つ移して、僕に渡した。肉にはすこしスモークがかかっているようだ。実においしい。イタリア人も「チェコ料理はおいしい。ただ、観光を受け入れる態勢ができていない。特に夏がひどい」と言っていた。僕が、「あなたは観光でプラハを訪れているのですか」と尋ねたら、「違う」という答えだった。夫といっしょにプラハで商談をしているという。夫は別の場所で会食をしているので、1人で食事をしているということだった。イタリア人は、コーヒーとケーキを2つずつ頼んだ。コーヒーはエスプレッソで苦かったが、ケーキはリンゴの堅いタルトだった。横にホイップクリームが山のように添えられていた。
 僕は食事代を支払おうとすると、イタリア人に「その必要はない」と言われた。ケーキを含め、すべてクーポンに含まれているという。結局、僕の夕食券は使わないまま余ってしまった。彼女は僕に、「未使用の券は、チョコレートやタバコと交換することができるわよ」と言った。
 社会主義国で、ホテルをとったり、レストランで食事をすることがこれほどたいへんとは思わなかった。この先、旅行を続けることができるか、不安になった。
 部屋には大きなバスタブがあった。そこにお湯をいっぱい張って、風呂に入った。チューリヒとシャフハウゼンのユースホステルにはシャワーしかなかったので、生き返る思いがした。>

□佐藤優『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)の「第二章 社会主義国」の「4」から引用

 【参考】
【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~


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【佐藤優】『十五の夏』 ~1975年のチェコ(1)~

2019年01月21日 | ●佐藤優
  

 1975年、佐藤優は高校1年生の夏休みにただ一人で、東欧とソ連を旅した。エジプトのカイロ空港経由でスイスのチューリヒ空港に降り立ち、そこからチェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニアをへてソ連に入り、中央アジアを横断してナホトカからバイカル号で帰国した。
 スイスでは2泊(チューリヒおよびシャフハウゼン)した後、西ドイツを経てチェコスロバキアに入った。ミュンヘンでプラハ行きの切符を買った。十数両連結されている中の真ん中あたりにプラハ行きの車両が2両あった。

 <チェコスロバキアに行くのはどうもこの2両だけのようだ。指定された車両に入った。コンパートメントは8人掛けの椅子になっていた。
 コンパートメントでは2人の女性と乗り合わせた。姉妹だという。姉は30歳前後で、夫がチェコ人だという。夫はビルゼンに住んでいるが、チェコスロバキアから出国できないので、2~3か月に1回、こうしてドイツからビルゼンを訪ねているという。妹はギムナジウムに通っているが、今は夏休みなので、こうして同行させることにしたということだ。妹は僕よりも2つ年上の17歳だった。
 姉は、「結婚して10年ちかくなるけれど、もうこういう状態が7年も続いている。ビザが出ないこともあるので困る」と言っていた。
 その時は気付かなかったが、後で考えてみると7年前というと1968年だ。この年の8月20日未明、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構5ヵ国(ソ連、東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア。ルーマニアはワルシャワ条約機構に加盟しているが出兵を拒否)の軍隊がチェコスロバキアに侵攻した。そして、当時、チェコスロバキア共産党指導部が進めていた「プラハの春」と呼ばれる民主化運動を叩き潰した。その後、この運動に参加して、転向しないチェコ人、スロバキア人はパスポートを取り上げられ、出国ができなくなった。このドイツ人女性の夫もそのような一人なのであろう。ただし、列車の中で話しているときには、僕はそのことに気付かなかった。
 列車がチェコスロバキアの国境に近づくにつれて、次々と車両が切り離されていく。最後にドイツの入国管理官の制服を着た男がやってきて、パスポートを見て、西ドイツの出国印を押した。それから、西ドイツの税関職員がやってきて、「申告を必要とする物を持っていたら伝えてください」と言った。僕もドイツ人姉妹も「特に申告する物はありません」と答えた。
 国境の手前で、ドイツ側の入国管理官、税関職員が列車から降りた。外を見るとあちこちに柵があり、有刺鉄線が張られている。国境から列車がチェコスロバキア側に入った途端に全員が車両から降ろされた。そして、小さな駅舎に連れていかれた。制服を着た入国管理官が出てきて、パスポートを取り上げた。そして、資本主義国と社会主義国の人間が分けられた。
 資本主義国の人間は、僕とドイツ人姉妹を含め十数人しかいなかった。僕はこのドイツ人姉妹の後ろについて、入国審査の列に立った。入国審査では、ビザの紙が1枚切り取られた。それから、パスポートと書類に入国審査官が四角いスタンプを押した。ガイドブックには、国境で滞在予定日数分の強制両替があると書かれていたが、税関審査だけで、両替はなかった。現地通貨がないとプラハに着いてから困る。恐らく駅に銀行か両替所があるので、そこに行けば何とかなると思った。
 その後、僕たちはバスに乗せられた。ドイツ人の姉が僕に耳打ちした。
 「この付近には軍事基地があるの。だから、西側の人間はバスで移動させられることになるの」
 「プラハまでバスで行くことになるの」
 「そうじゃない。2時間もしたところで、もう一度列車に乗せられるわ」
 軍事基地という言葉を聞いて、僕は緊張した。
 バスは20年くらい使っているような旧式だった。椅子のクッションがよくない。ひどく揺れる。バスに乗っているうちに、外の景気が白んできた。バスに2時間近く揺られた後、列車の駅に着いた。そこで列車に乗ったが、ミュンヘンから乗ったのとは別の車両だった。車両の色は深緑色だが、ドイツの車両と比べてくすんだ色をしていた。車両の真ん中に*SD(チェコスロバキア国鉄)のロゴがついている【注】。ドイツからチェコスロバキアに入った車両は2両編成だったが、この列車は十数両編成だ。ドイツ人姉妹の後について指定された車両に入った。コンパートメントは8人掛けの椅子になっていたが、入口の扉が木だ。ドイツ鉄道、スイス鉄道では、ジェラルミンだった。車内の表示が、チェコ語、ドイツ語とロシア語で書かれている。キリル文字とともにラテン文字のアルファベットの上に小さな*(ハーチェク)がつくチェコ語を見て、佐藤は「違う世界に来た」と実感した【注】。
 コンパートメントにはすでに5人乗っていたので、僕とドイツ人姉妹の3人が加わったことで満席になった。誰も何も話さない。スイスやドイツでは、コンパートメントでいっしょになった人たちは世間話をしたのに、チェコスロバキアでは違うようだ。共産圏の人々は、みんなこのように無口なのだろうか? しばらくすると銀行職員が乗り込んできた。僕はチェコスロバキアに3日間滞在する予定なので、45ドルを強制両替させられた。銀行職員は、パスポートにホチキスで留められたビザの書類に強制両替額を書き込んで、スタンプを押した。
 列車に乗ってからしばらくすると、ドイツ人姉妹は「ビルゼン行きに乗り換える」と言ってコンパートメントから去っていった。
 それから3~4時間して、列車はプラハの中央駅に着いた。>

 【注】ハーチェクは末尾の画像を参照。文中の「*SD」はCの頭にハーチェクの付いたもの+SD(čSD)。

□佐藤優『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)の「第二章 社会主義国」の「4」から引用

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【佐藤優】欲望が罪を生む

2019年01月20日 | ●佐藤優
 <だれでも誘惑に会う場合、「この誘惑は、神からきたものだ」と言ってはならない。神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない。人が誘惑に陥るのは、それぞれ、欲に引かれ、さそわれるからである。欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す。 --「ヤコブの手紙」1章13-15節

 誘惑(試練)には、信仰を強化する機能がある。しかし、神が人間を誘惑しているというのは、誤った考えだ。なぜなら、人間を誘惑しないというのが、神の属性であるからだ。このことをよく理解しておかなくてはならない。
 誘惑、すなわち人間を神から離反させようとする試みは、その人間の内部から生まれてくるものだ。恐らく、人間の欲望が、このような誘惑をもたらす原因になっている。それだから、欲望が、人間を神から離反させるという罪をもたらす。そして、罪は人間の死をもたらす。この死は、誰もが免れることができない肉体の死にとどまらず、最後の審判で選ばれずに、永遠に滅びてしまうという意味での死だ。
 キリスト教から離れて、私たちの生活を見ても、欲望にとらわれている人は、決して満足することはない。なぜなら、人間の欲望は無限であり、その追及を価値として生きている人は、一生、欲望に振り回されるからだ。欲望を超えた価値を持つことが、安定した人生を送る秘訣である。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「欲望が罪を生む」を引用

 【参考】
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】職場にもやもやしている人

2019年01月20日 | ●佐藤優
 ①髙良毅『がんの町医者』(ルネッサンス・アイ 1,300円)
 ②北野唯我『転職の思考法』(ダイヤモンド社 1,400円)
 ③手嶋龍一/佐藤優『米中衝突』(中公新書ラクレ 820円)

 (1)①からは、がんに取り組む開業医の真摯な姿勢が伝わってくる。
 <がんになったときこそ、「思考の転換」が必要です。大事なのは、自分の心をしっかり持つことです。
 「私、これからどうなるんでしょう?」という人は、あまりよくなりません。「どうなりますか?」ではなく、「どうなりたいか」という意識が大切です。
 「私は治りたい!」
 「治って、これをしたいんです!」
 という人は、回復することが多いようです。自分をどう変えるか。その意識で、自分の免疫力を上げることができるのです>
 患者と人間同士としてきちんと向き合うことこそが医療の原点だ、という髙良氏の思いが本書の行間から静かに伝わってくる。

 (2)②を読むと、自分の可能性が確実に広がる。
 <転職エージェントがやたら頻繁に使われるケースは、社員の紹介によるリファラル採用や、直接応募で人が採れていないときだ。もしも君が本当に優れた会社に行きたいなら忘れてはいけないことがある。本当に優れた会社には、勝手に人が集まってくるんだ。社員が自然に、評判を作り、新しい社員を呼んでくるんだよ。もちろんエース級は採りにいかなければならないが、君レベル、つまり、現場レベルなら、転職エージェントは不要なはずなんだ>
 特段の才能がない人であっても、適切な場所を選べば、能力を最大限に発揮することができ、それに応じた評価がなされる。今の職場に対してもやもやした感じを持っている人は、本書を読んで思考を整理するといい。

 (3)③で外交ジャーナリストの手嶋氏は、次のように指摘する。
 <中国は、一方で航空母艦に象徴されるような「昨日の戦略」を戦い、一方では新たなスペースをめぐる覇権争いで、堂々とトップ集団を走っているわけです。そうした新旧ない交ぜの、ある意味矛盾を抱えながらも、アメリカの真の競争相手として立ち現われてきた。われわれは、そうした存在と正面から対峙することになるのだという視点から、現状をもう一度とらえ直す必要があるのだと感じます。海洋に空母や潜水艦を浮かべる中国が怖いのではありません。大国として自画像を自分で描くことができずにいる中国が東アジアの不安定なファクターになっているのです>
 中国は、自らが何を欲しているかを理解しないままに、既存の国際社会で確立したゲームのルールを一方的に変更しようとしている。この傾向は当分続く。日本が中国に悩まされる状況が、少なく見積もっても30年は続くであろう。

□佐藤優「職場にもやもやしている人 ~知を磨く読書 第279回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年1月19日号)

 【参考】
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
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【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
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【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
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【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
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【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
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【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】フェイクニュースへの耐性

2019年01月19日 | ●佐藤優
 ①中谷巌『「AI資本主義」は人類を救えるか』(NHK出版新書 820円)
 ②奥野修司『ゆかいな認知症』(講談社現代新書 880円)
 ③一田和樹『フェイクニュース』(角川新書 840円)

 (1)①は、一級の経済学者が文明論的視座から現代資本主義を読み解いた名著だ。中谷氏は、健全な資本主義のためには他者を包摂する思想が重要であると説く。
 <「包摂の論理」は、資本主義を否定するものではなく、資本主義を再生するための新しい考え方です。(中略)
 実際に、経営学やビジネスの世界でもこの方向をふまえた発想が登場しました。たとえば、ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授は数年前、CSV(Creating Shared Value)という概念を提唱しました。これは、企業が自社のためだけを考えて投資するという考え方では持続的成長はできない、むしろ、それぞれの社会課題に積極的にアプローチすることで、経済価値と社会価値の両方を同時に創造するという発想が必要という主張です。私的利益を追い求める企業でも、社会が抱える問題を自らのテーマとして解決に乗り出さないと、もはや利潤を得る機会がないというわけです>
 資本家が強欲になり過ぎると資本主義システムの基盤を腐食させてしまう。

 (2)②から、多様な介護の形態が必要であることが浮かび上がる。
 <取材を終えて感じたことは、たとえば、ひと口に「アルツハイマー型認知症」といっても、その人がかかえる障がいはさまざまだということです。認知症といえば記憶力が衰えるといわれますが、ここで紹介した竹内裕さんや中田哲行さんは、多少の衰えはあっても日常生活に全く問題はありません。(中略)平みきさんも記憶に問題はないけれど、数字の量がわからなかったり、路傍の石が生首に見えたり──。
 何を言いたいかというと、人それぞれ性格が違うように、認知症であらわれる障がいは人によってさまざまだということです>
 との指摘が重要だ。福祉に携わる全ての人に読んでほしい本だ。

 (3)③は、
 <日本がフェイクニュース大国になる要因がある。移民の増加だ。(中略)その一方で受け入れ体制は十分ではない。文化的、宗教的、民族的な摩擦が起きるのは目に見えている。日本人が差別に鈍感であることも拍車をかける要因となる。諸外国の例を見るまでもなく、民族間の摩擦はフェイクニュースの温床となる。非常に危険と言わざるを得ない>
 と指摘する。フェイクニュースをやめよと何千回呼び掛けても、この現象はなくならない。他の民族の文化、習慣、価値観を教育によって丁寧に伝えていく必要がある。教養の力で社会を強化していくことが、国民がフェイクニュースへの耐性を付ける上で重要だ。

□佐藤優「フェイクニュースへの耐性  ~知を磨く読書 第280回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年1月26日号)

 【参考】
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
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【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
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【佐藤優】日本と米国の社会病理
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【佐藤優】アナキズムという思考実験
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【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
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【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
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【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
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【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
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【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
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【佐藤優】プラハの憂鬱

2019年01月19日 | ●佐藤優
   

 (1)佐藤優は、外務省派遣の留学生として、1986年7月初めから翌87年8月末まで英国ロンドン郊外ベーコンズフィールドの英国陸軍語学学校(Defence School of Languages)でロシア語を学んだ。
 この1年2か月の体験を2冊の本に記す。
 『紳士協定 私のイギリス物語』は、苛烈な語学学習について語るが、テーマはむしろ、下宿先の家族とくに少年との交流を通じて浮き彫りになる英国の階級社会の実態である。
 その続編が『プラハの憂鬱』。語学学習の余暇にチェコの神学書を探し歩いているうちに、古書店を営む亡命チェコ人と親しくなる。学問が仲立ちとなって人間関係が広がり、深まるのだ。

 (2)ところで、『プラハの憂鬱』の中心人物は、元BBC(英国放送協会)国際放送のチェコ語アナウンサー兼記者で、古本屋インタープレス社長のズデニェク・マストニーク氏だ。第二次世界大戦が終わってナチス・ドイツのくびきからチェコスロバキアが解放され、大学留学を志して英国にやってきた。その直後、1948年2月にチェコスロバキアで共産党のクーデターが起きた。マストーニク氏は軽い気持ちで、スポーツ記者としてBBCに勤め始める。冷戦が進行する中で、BBCへの勤務歴があるマストーニク氏がスターリン主義体制下にあるチェコスロバキアに帰国すれば、逮捕、投獄の危険がある。そこで亡命という選択をした。
 佐藤優は、マストーニク氏を通じて、英国人に完全に同化しようと思っても、同化することのできない亡命チェコ人たちの内面的世界に触れた。すなわち、複合アイデンティティである。

 (3)亡命とは逆に、チェコ人であることに徹底的にこだわるが故に、西側にとどまることが可能であったにもかかわらずチェコスロバキアに帰国した人もいる。
 チェコのプロテスタント神学者であるミラン・オポチェンスキー氏がそれだ。彼は、チェコの神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカの高弟で、フロマートカの助手を長年つとめていた。1968年8月、ワルシャワ条約機構5か国軍がチェコスロバキアを侵攻したときに、オポチェンスキー氏はスイスのジュネーブにいた。世界学生キリスト教連盟の書記を1967年から6年の任期でつとめていたからだ。任期が終了した後、西側の大学にとどまることを要請されたが、オポチェンスキー氏はチェコスロバキアに帰国し、コメンスキー福音主義神学大学の組織神学担当教授をつとめ、社会倫理学を教えた。共産党政権とは緊張関係にあったため、論文や著作を発表することはほとんどできなかった。
 佐藤優は、1988年3月、プラハでオポチェンスキー氏と知り合い、家族ぐるみで親しく交際した。神学的にもオポチェンスキー氏の影響(正確にはオポチェンスキー氏を通じたフロマートカ神学の影響)を強く受けた。

 (4)<理神論者で、ユダヤ教的、キリスト教的な人格神を否定し、理性を基準にして生きることを貫き、祖国を捨てて亡命したマストーニク氏、西側に留まれば、ポストと名声を得ることができたが、それを拒否し、共産党体制下での神学教師の道を選んだオポチェンスキー氏、この2人の人生から、私は、特定の民族への帰属意識を持ちながら、かつ、知識人として自らの信念に誠実に生きることが可能であるし、またそれが必要なのだということを学んだ。マストーニク氏とオポチェンスキー氏は「合わせ鏡」のような存在だ。>

□『紳士協定 私のイギリス物語』(新潮社、2012/のちに新潮文庫、2014)
□佐藤優『プラハの憂鬱』(新潮社、2015/のちに改題『亡命者の古書店:続・私のイギリス物語』して新潮文庫、2018)

 【参考】
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
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【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~
【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】罪の誘惑

2019年01月18日 | ●佐藤優
 <この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。 --「マタイによる福音書」18章7節

 「罪の誘惑」とは、イエス・キリストが説いた福音から逸脱させるということだ。こういうことを言っているのは、教会の中に深刻な分裂の危機があるからだ。教会内に他の信者をつまづかせる者がいるということだ。なぜこのようなことが生じるのだろうか。
 キリスト教徒も現実の社会の中で生きている。そうなるとイエスの教えに百パーセント従うような生活はできなくなる。どこかで現実との折り合いをつけなくてはならない。この線引きをめぐって教会内では対立が起きやすい。ある人たちが「この程度の妥協はやむをえない」と考えるのに対して、別の人たちが「こういう妥協は信仰をつまづかせるものだ」と考えるからだ。
 これは教会だけでなく、企業や政治団体の中でもよく起きる話だ。内部分裂は、必ず「罪の誘惑をきたらせる人は、わざわいである」という非難から始まる。しかし、それがほんとうに罪の誘惑なのか、それとも必要不可欠な妥協であるかについてはよく吟味する必要がある。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「罪の誘惑」を引用

 【参考】
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~
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【佐藤優】豚に真珠を与えるな

2018年11月01日 | ●佐藤優
 <聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。恐らく彼らはそれらを足で踏みつけ、向きなおってあなたがたにかみついてくるだろう。 --「マタイによる福音書」7章6節

 聖なるものとは、ユダヤ教の文脈では神殿の供え物の肉を指す。これは祭司のみが食べることができる。また、真珠は、ユダヤ教の伝統では宗教的に価値があるもののたとえで用いられる。犬と豚は、ユダヤ教では汚れた獣とされている。
 キリスト教では、ここで言う聖なるものを福音と考える。福音とはイエス・キリストが伝えた人間を救う善いニュースのことだ。福音について、誰に対して説いてもいいということではない。キリスト教をまったく受けいれる気持ちがなく、不真面目な人に福音を説いても、豚に真珠を与えるようなことにしかならない。
 キリスト教は博愛主義を説いていると誤解されることがときどきあるが、ここでの言葉からわかるように、イエス・キリストは福音を伝える相手を選別している。ちなみに教会では、パンとぶどう酒を共に食べ飲む聖餐式という儀式があるが、そこからは通常、洗礼を受けていない人は除外される。その根拠が、この聖書の言葉に求められることがある。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「豚に真珠を与えるな」を引用

 【参考】
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~
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【佐藤優】右目を捨てなさい

2018年10月31日 | ●佐藤優
 <もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。 --「マタイによる福音書」5章29-30節

 小学校低学年のとき、日曜学校で牧師からこの話を聞いて戦慄した。「目を抜き出して捨てる」とか「手を切って捨てる」などと説くイエスという人がとても恐ろしく思えた。しかし、「なぜ、イエス様はこんな恐ろしいことを言うんですか」と牧師に尋ねる勇気はなかった。
 さらに神学部で学ぶようになってから、このイエスの言葉の意味が一層わからなくなった。なぜなら右目を抜き出しても、左目がこの人をつまずかせる可能性が十分に残っているからだ。同様に、右手を切って捨ててしまっても、左手がこの人をつまずかせる可能性も残っているからだ。
 聖書の言葉には、このようにいくら考えてもその意味がわからないものがある。そういうときは、簡単にわかったふりをしないことが重要だ。わからないまま、考え続けるという姿勢が求められるのである。現時点で、私はこの言葉を、信仰には、片目を抜き出す、片手を切って捨てるくらいの覚悟が必要だという心構えを示したものと受け止めている。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「右目を捨てなさい」を引用

 【参考】
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】生き残るための教養主義

2018年10月30日 | ●佐藤優
 ①さいとう・たかを『鬼平流 私の長谷川平蔵心得帖』(宝島社 1,200円)
 ②ウンベルト・エーコ(和田忠彦・訳)『永遠のファシズム』(岩波現代文庫 940円)
 ③竹内洋『教養派知識人の運命 阿部次郎とその時代』(筑摩書房 2,000円)

 (1)①には、人生の教訓がたくさん詰まっている。
 <『鬼平犯科帳』の主人公である長谷川平蔵の考え方や社会観は、どうしても私に似てきてしまう。では、私と平蔵の違いは何かというと、私はいわゆる「優等生」ではない点だ。
 私から見れば、優等生である平蔵が、ときとして非常に窮屈に思えてしまうときがある。私は本来、優等生よりも外れ者が好きだ。この仕事をはじめた当初から分業制の必要性を説いた私の考えを、周囲の作家たちは邪道だと思っていた。だからはじめから私は漫画界の外れ者だったといえる。もっとも漫画を職業として成立させる分業制は、漫画における正しい制作方法だと今も自信を持っていえる>
 と、さいとう氏は告白する。邪道であっても、それがいずれ王道になるという見通しをさいとう氏は持っていたのだ。真の想像力を持つ人には、このような心眼が備わっている。

 (2)②は、次のように指摘する。
 <原理主義、教条主義、似非科学的人種主義は、ひとつの〈教義〉を前提とした理論的な立場である。不寛容はあらゆる教義の、さらに前提として置かれる。この意味で、不寛容は生物学的な根源をもち、動物間のテリトリー性のようなものとしてあらわれるから、しばしば表面的な感情的反応に起因する。わたしたちが自分と違う人びとに堪えられないのは、わたしたちが理解できない言語を話すからであり、カエルや犬や猿や豚やニンニクを食べるからであり、入れ墨をするからだ……といった具合に>
 生物としてテリトリー性のような排除の感情を持つ人間には、常にファシズムのような全体主義体制を構築する危険があることを過小評価してはならない。

 (3)は、教育に従事する人々の必読書だ。大正教養主義の代表的知識人である阿部次郎の思想の特徴について竹内氏はこう述べる。
 <書を読むことや他人の思想を研究することは大事だが、それによって自ら生き、自らを省みることを怠るのであれば、何の意味もないとする。書を読むことも他人の思想を研究することも自ら生き、自らを省みるひとつの途であるとされている。教養とは自らを省みることで力を内に貯め、それによって他日の出力を大きくするものなのである>
 その通りと思う。高校でも大学でも、すぐに役立つような教育が奨励されるが、そのような実学はあっという間に陳腐化してしまう。一見、実用性がないような、哲学、文学、数学基礎論などを学ぶことが、エリートとして生き残る上では重要だ。21世紀の今日においても、教養主義は有効である。

□佐藤優「生き残るための教養主義 ~知を磨く読書 第270回~」(「週刊ダイヤモンド」2018年11月3日号)

 【参考】
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
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【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書
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【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学
【佐藤優】何が個性で、何が障害か
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【佐藤優】英才教育という神話
【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
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【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】復讐してはならない

2018年10月28日 | ●佐藤優
 <「目には目を、歯には歯を」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。 --「マタイによる福音書」5章38-39節

 「目には目を、歯には歯を」という規定は、被害者が加害者に対する憎しみの故に過剰な報復に出るのを防ぐための規定だ。放置しておくと、人間は、「目には目と鼻を、歯には歯と耳を」くらいの過剰な復讐をしかねない。このような同害報復の規定は、イスラエルだけでなく古代中東社会における普遍的な原則であった。これに対してイエスは復讐を全面的に禁止する。これはイエスのリアリズムに基づく。
 われわれは、悪人と対峙しなくてはならない場合がある。しかし、悪人と同じレベルで復讐をするならば、悪に屈服することになる。イエスが「だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬を向けてやりなさい」と言うのは、卑屈だからではない。右の頬を打たれても、なお左の頬を差し出す度胸を持てと説くのだ。そもそも卑屈で迎合的な人は、右の頬を打たれることもない。打たれても屈せずに、復讐の権利を自発的に放棄することによって、われわれは悪を克服することができるのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「復讐してはならない」を引用

 【参考】
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】荒野の誘惑

2018年10月27日 | ●佐藤優
 <試みる者がきて言った、「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じてごらんなさい」。イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言(ことば)で生きるものである』と書いてある」。 --「マタイによる福音書」4章3-4節

 この物語は、「荒野の誘惑」として有名だ。ただし、イエスにこのような誘惑が実際に起きたわけではないと考える聖書学者が主流である。
 イエスは、荒野で40日間、断食をする。その後、悪魔が出てきて、神の子なら石をパンにできるはずだと挑発する。これに対して、イエスは、「人はパンだけで生きるものではない」と答えているが、これを「人は生きていくために、パンだけではなく、精神的なものも必要である」とする解釈は完全に間違っている。
 ここで問題になっているのは、徹底的に物質的な問題で、「パンがなくても心配しなくてもいい。あなたに必要な食べ物を神が用意してくれる」という意味だ。人間の物質的な生活を神が保障してくれると信じろということだ。神の言葉に従って生きる者は、生活の糧も保障されるのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「荒野の誘惑」を引用

 【参考】
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い

2018年10月26日 | ●佐藤優
 <わたしは、人の金や銀や衣服をほしがったことはない。あなたがた自身が知っているとおり、わたしのこの両手は、自分の生活のためにも、また一緒にいた人たちのためにも、働いてきたのだ。わたしは、あなたがたもこのように働いて、弱い者を助けなければならないこと、また「受けるよりは与える方が、さいわいである」と言われた主イエスの言葉を記憶しているべきであることを、万事について教え示したのである。 --「使徒行伝」20章33-35節

 ここでパウロは、イエスが、「受けるよりは与える方が、さいわいである」と言ったという話をしているが、福音書にはイエスがこのような発言をしたという証拠はない。しかし、この言葉はキリスト教徒の人生観を端的に示している。
 他人に何かを与えられるようになるためには、それに値するものを自分が持っていなくてはならない。パウロはキリスト教徒に、できるだけ努力して、他人に与えることができるものを作り出せと指示している。能力があるのにそれを活用しない怠惰な者をパウロは嫌う。なぜならば、各人の能力は神から与えられたものであり、それを十分に活用していないということは、罪だからである。
 神から与えられたものをわれわれは神に返さなくてはならない。それは、隣人に対して、神から受けたものを与えることによって実現される。隣人を自分のように愛せという教えを実践することも、それが神の意に適うからだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「受けるよりは与える方が幸い」を引用

 【参考】
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
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【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
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【佐藤優】秤(はかり)のたとえ

2018年10月25日 | ●佐藤優
 <あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられ、その上になお増し加えられるであろう。だれでも、持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。 --「マルコによる福音書」4章24-25節

 イエスは弟子たちに「神の国」が実現しつつあることを伝えた。弟子たちはそれを全世界に伝える義務を負う。そのことをイエスはこういう表現で示した。人間を救済する「神の国」について正しく理解している者は、さらに多くの知識を与えられる。これに対して、中途半端にしかイエスの説く「神の国」について理解していない者は、知識を完全に奪われてしまう。
 仕事や勉強においても、中途半端な知識しかないのにすべてわかっていると理解すると、大失敗する。物事についての知識は、完全に理解しない限り、それを活用しない方がいい。外務省でロシア語の研修指導官をしていた経験に照らしても、このことは正しい。もちろん、ロシア語をいちばんよくできるのは、外国語学部のロシア語科を卒業した人だった。しかし、ロシア語未習者よりも、大学の第二外国語か第三外国語で中途半端にロシア語を勉強したことがある人の方ができなかった。生半可な知識は有害であると痛感し、聖書のこの言葉を思い出した。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「秤のたとえ」を引用

 【参考】
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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