昨日の午後、かかりつけの耳鼻科へ行った。ノドに不愉快な痛みがあった。
待合室は満員で、14~5席ほどの椅子は満席となっていた。
患者はほとんど老人で、子供連れが2組。まさに高齢化社会そのものだ。
若いママさんが、「どうぞ」と、席を譲ってくれた。電車の中では、滅多に見られない光景だ。
礼を言って、席に着いた。
3~4歳ほどの男の子が、待合室を走り廻っている。ママさんは気が気ではない様子。
「○○ちゃん、中待合室へ入ってください」と、アナウンスで男の子が呼ばれた。
この医院は中待合室があって、そこで診察の順番を待つことになっている。
私の位置からは、お医者の声がよく聞こえた。
「××◇◇……」と言っている。いつものことなのだが、ここのお医者は小言が多い。
注意のつもりだろうが、聞くほうは叱られている感じになる。
「○○ちゃん、どうぞ」と呼ばれた。男の子の番だ。
泣くだろうかと案じていたのだが、静かに診て貰っている。耳なのか鼻なのかノドなのか。
「もう、だいぶいいですねえ」とお医者の声。小言の多いあのお医者だ。
「じゃあ、もう来なくていいですね?」と、ママさんが訊ねた。ホッとした様子だ。
「それは私が決めます。もう一度来てください!」。ママさんが叱られた。
いつもの調子でやっている。近所では、「恐いけれど腕のいい先生」で通っているのだ。
つまり、お医者のマイペース。昔からその調子で来たようだ。患者はそれを承知でかかっているのだから、問題はない。
私も中待合室に呼ばれた。
「………?」
お医者は爺さん先生ではない。若先生だ。
声はそっくりだし、叱り方までよく似ている。「親子だなあ」と、私はつくずく思った。
「ああ、大きな口内炎ですねえ」
私のノドを覗きながら、若先生が言った。
「ノドでしょう?」。ノドにも口内炎があるのか、とは、私の素朴な疑問だ。
「口とノドはつながっているでしょう!」。若先生はこともなげに言った。
なるほどとは思ったが、そのデンで言ったら、「胃潰瘍も口内炎か?」と言いたかった。
患者は弱い立場。ぐっとこらえた。
それにしても、よく似ている親子だ。
私にも息子がいる。なんのかのと私を批判したりしている。父と息子はよく似るのだぞ。
「ザマアミロ!」と、 一瞬、私はほくそ笑んだ。
しかし一方では、
「ごめんなあ」、という気持ちも生まれてきた。
父と息子の関係は、単純でいて複雑だ。
悪いところほど似ていると言われ、可哀想。
しかし、やはり悪いところでも、似てくれれば嬉しいし、愛しいですね。本人には言えない本音です。
子供に父親の働く姿を見せる事の出来る職業は、子供のし付けが行き届く気がします
その若先生も尊敬する親父を見ながら育ったのでしょうか。
なんのかのと言いながら、その耳鼻科へ行くのですから私は気に入っています。
あの息子先生は、親の背中を見ているのでしょうね。
はたで見ていて人生の悲哀を覚えます。
反発とは、心配のことなり・・・私はそのように思います。
父と子は、どうしても反発が多いですねえ。
父と私もそうでした。晩年は私の言いなり。直ぐに亡くなりました。エネルギーがあるから、反発するのでしょうか。息子はこのごろ反発が少なくなりました。事情があるので遠慮しているのかなあと思い、不憫に思っています。反発されると怒り、反発されないと心配するような関係なのかもしれないと、つくずく思っております。
ぶっきらぼうに見えて
男同士、思いやりの深いところがありますね。
息子の前で「ほんとにもう!すぐ忘れるんだから!」と
夫に対して私が言うと
「たいした事じゃないじゃない」などと夫を庇うことが多くなりました。
いい息子さんですね。
父親から見て、子供のころ、娘の扱いがややこしかった。20歳を過ぎてからは、息子のほうが扱いにくくなりました。それを過ぎると、たまさんの息子さんのように、父親を庇う同士感情が出てくるのかも知れません。
でも、息子が一番好きなのは、母親です。