曇る日や鈍く光りし柿三個 ひよどり 一平
(くもるひやにぶくひかりしかきさんこ)
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柿三個なんぞ、何処にでもある光景であり、面白くも可笑しくもない。
しかし、なぜか私の気分を誘った。もちろん、食べたいわけではない。
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「今日は少し歩いてみよう」と思っていた。
朝はそんなつもりで起きた。
しかし、午後の二時を過ぎた今でも、ずっと自室に籠りっきり。
何をするという心づもりはない。単に横着を決め込んでいるだけだ。
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しみじみと日を吸ふ柿の静かかな 前田 普羅(大正九年)