刈り取り時期の水の管理について
この3年間は手刈りを基本にしていたが、バインダー刈りを試している。コシヒカリの場合は9月刈り入れになるが、この時期台風が大量の雨をもたらしたりして、イネの倒伏と気温の関係で穂発芽を経験して、谷津田では水が常時あるので8月上旬出穂を始める頃水を切りはじめる必要がある。多古の谷津田では暗渠施設もないので水を止めても乾くのに2週間はかかる。土が乾いて亀裂が出始めるのには3週間かかる。バインダーが入れるのにはこの固さが必要である。不耕起の場合湛水を継続することで表面のトロトロ層の下はしだいに固くなる。その後雨が降っても土はすぐには軟らかくならない。コシヒカリの場合、多古の地域では9月上中旬が刈り入れになるので、8月上旬水を切るとしても、正味水が切れるのは1ヵ月程度であるから、1年の12分の1であるから刈り入れ後直ちに湛水に戻せば、生き物への影響は少ないと考える。雑草の発芽は土が乾けば発芽しはじめるが畑雑草はその後の湛水で、枯れてしまうし、コナギの場合、カモが来て食べるようである。
岩澤信夫さんの理論では収穫期直前まで湛水を勧めている。これは米の味が良くなるということであるが、コシヒカリの場合、多古の谷津田では太陽光線が50%に抑えられ風の影響が少ないので、草丈が130センチにもなり、倒伏の可能性がある。倒伏すれば高温時の9月であるから、水に浸かれば穂発芽をまぬがれない。そんなわけで倒伏しない手当てとして8月上旬から水を切る必要がある。ただ多古のイネの根を観察すると不耕起栽培の香取の藤崎さんのイネの根と比較すると根の量や色の点で見劣りがする。3年間の栽培を通して何故かその疑問は完全には解けていない。
これに対して古代米はミドリマイであるが、コシヒカリと同じ田植え時期であったが、出穂が9月上旬であるから9月下旬まで湛水し、その後水を切って10月中旬イネ刈りとなる。コシヒカリと異なり倒伏の心配はないが、バインダーの利用を考えると20日程度は水を切って土を固める必要がある。
桜宮自然公園をつくる会は平成13年11月に立ち上げ、18年で5年目になるが元々退職者を中心に設立されたものだから、しだいに高齢化の影響も避けられない。自然公園としての形もできあがり、住民憩いの場、子どもたちの学習の場、環境保護の研究の場など特徴を生かした活動をすすめるために、都市からの若い人々、団塊の世代の定年退職者を呼び込んでの活動も少しづつ始めている。谷津田の復元作業はこうした意欲のある、自然再生に理解のある人々が、現地の地権者の古老の意見を聞きながらの作業で生き生きしたものになっている。