JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

これはこれで有意義か

2008年06月18日 | d-f

今日は久しぶりの平日休暇、朝から有意義な一日を過ごそうと・・・・・・・・
ところがすでに昨晩から予定は狂い
「飲みに出ておいでよ」と連絡を受け、家を出たのが深夜の12時半、帰宅時間は語らずともなんとやらでありますよね。(笑)

てなわけで、午前中はダラダラと過ごし、午後からは頼まれた録音作業を行っていました。
えっ?「録音作業ってなんだ?」ってですか?
原因はこのブログにもあるのですが、以前「デジタル化ぁ?」とのお話で、「レコードをCD化して欲しいと頼まれればいつでも我が家では出来るわけですけど・・・・・」てなことを書いてしまったものですから
「バブちゃんとこで、LPからCDに録音できるって言ったよねぇ。頼みたいんだけどなぁ」
と頼まれたのはこんな6アルバム。

いえね、出来るとは言いましたけど、これがけっこうな手間なんでありまして。
まずはレコードをパソコンにデジタル録音して、これをテイク分け、ノイズを除去して、さらにはものによってはテイク間に切れ目音が入ったりもしますのでこれも除去、CDに焼き付けと、まぁこんな感じ、
結局、デジタル録音だけで2時ごろからついさっきまで時間がかかってしまいました。

でも、聴きながらの録音というのは、それなりに楽しいもので、ビーチ・ボーイズや昔何故か大嫌いだったデープ・パープルなんか、けっこうノリノリで聴いてました。

いかに「有意義な一日を過ごそう」なんて思っても、詰まるところ散歩して、珈琲飲みながらのビデオ鑑賞かジャズばっかのレコード鑑賞、もしくは読書でしょ。
ある意味、録音でも頼まれないかぎり聴きそうもないアルバムをこうして聴けたことは、有意義だったのかもしれませんよね。(笑)

明日からはCD焼きをチロチロやって、週末には「完成・お届け」の予定でいますので、Mさん、お楽しみに。
ただし、予定通りに行くか行かないかは、昨日今日の私の行動で察しがつくと思いますので、過度な期待はしないように。(笑)

さて、今日の一枚は、マイルスです。
あまり聴くことの少ないレコードを聴いたついでに、これまたあまり聴くことの少ないショーター、ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウイリアムを従えてのマイルスを、たまには聴いてみようかとターンテーブルに乗せてみました。

こうして聴いてみると、あたりまえですが悪くないんですよ、でもどうして私はこの頃のマイルスをあまり聴かないんでしょ?

それはおそらく、コルトレーン、キャノンボールのいるあのクインテットが、あるいは「KIND OF BLUE」を一つの頂点として、それ以降は徐々に私の心が彼から離れて行ってしまったからなのか?
それとも、はなからハンコック、ロン・カーター、トニー・ウイリアムを嫌っているだけなのか?(とかいってV.S.O.P.は聴きに行ったんですけどね.....笑)

ともかくこのアルバムも、同時期のスタジオ録音「E.S.P.」、「NEFERTITI」、「SORCERER」も、なかなか私のターンテーブルに乗ることがありません。
正直言って全体に面白味がないんですよねぇ、いや暖かみがないのかなぁ・・・・

でも、こうして久しぶりにこのアルバムを聴くと「他の三枚もたまに聴いてみようか」と思い直しています。
久しぶりに前向きに進み始めたマイルスのこの時期の演奏を、もう少し、固定観念を捨てて聴き込むことが必要かもしれませんもんね、私の場合。

MILES SMILE / MILES DAVIS
1966年10月24,25日録音
MILES DAVIS(tp) WAYNE SHORTER(ts) HERBIE HANCOCK(p) RON CARTER(b) TONY WILLIAMS(ds)

1.ORBITS
2.CIRCLE
3.FOOTPRINTS
4.DOLORES
5.FREEDOM JAZZ DANCE
6.GINGER BREAD BOY


エネルギーが本に溢れる

2008年06月17日 | y-その他

ここ二,三日の好天も今日あたりで打ち止めだそうで、今週末からはやっとこのあたりも本格的な梅雨へ突入かとの予報が出されています。
岩手・宮城の被災地にいずれ降るであろう涙雨が、さらなる被害を生まぬよう祈るばかりです。

今日は、先日「アリが十匹、三べんまわる」でふれた、いただき物『寺山修司 劇場美術館』についてちょっとお話ししようかと思います。

この本は、今年東北二ヶ所(青森県立美術館と郡山市立美術館)で開催された、されようとしている「寺山修司 劇場美術館 : 1935~2008 展」のいわば高価パンフレット的な本でありまして、これを眺めているだけでもその美術展がいかに興味深いものかが伝わってくる一冊です。

 力石徹よ
 君はあしたのジョーのあしたであり
 橋の下の少年達のあしたであり
 片目のトレーナー丹下段平のあしたであり
 すべての読者のあしたであった
    <中略>
 暗黒の航路のひとすじの光り
 明日という名の生きがい死にがい
 もう決して訪れては来ないのか
 夢よふりむくな
 お前を殺した者の正体を突きとめるまでは

 力石徹よ
 お前を殺したのは誰だ、誰なんだ
 お前を殺したのは誰だ、誰なんだ
 お前を殺したのは誰だ、誰なんだ
 お前を殺したのは誰だ、誰なんだ
 お前を殺したのは誰だ、誰なんだ

 力石!

1970年3月24日、文京区音羽の講談社講堂で行われた、かの漫画「あしたのジョー」の登場人物、力石徹を追悼するという前代未聞の告別式で、劇団「天井桟敷」の昭和精吾が読み上げた、寺山修司が書いた弔辞です。(この本に全文が掲載されています。)

私よりは先輩ですが、いわゆる「団塊の世代」が若者だった頃、その野心的闘争心はあらゆる方面で燃え上がり、学生運動のみならず、新たな文化発信の力でもありました。

そのさまは、時に過激で、時に闇をさまようごとく黙々と、そうまるでマグマのごとく沸々と煮えたぎるエネルギーの塊だったに違いありません。

そのエネルギーが生み出していった文化の一つが、劇団「天井桟敷」であり、従来のそれとは一線を画し漫画「あしたのジョー」であったことに、二つを結びつける何かがあったのでしょう。
おっと「あしたのジョー」の話は今日はどうでもいいんでした。そんなエネルギーの塊から生まれ出る演劇の世界を、この本になんとなく見いだせるということです。

私が遠い昔に乗り遅れた激動の世代、そこに大きな布石を残した天才、寺山修司。
今「団塊の世代」は定年の時期を迎え、また新たな変革を求める気運も見え隠れします。しかし、彼らは昨今のある意味矛盾に満ちた社会を作り上げた先兵隊でもあったわけで・・・・・・

9月13日から始まる、郡山市立美術館での同展を私は観に行こうと思っています。このもらい物が私にそうさせたように、みなさんもこの本をご覧になると「観に行ってみようか」みたいに思われるかもしれません。
ぜひ、1ページ1ページを味わってみてはいかがでしょうか。


さて、今日の一枚ですが・・・・
「日本に於けるジャズの変革期は、やはり「団塊の世代」が若者だった頃、つまり既存の概念や定型化された形式を打ち破るという、あらゆる方面で起きていた大きなうねりをジャズもまた受けた事に始まる。」といった話を以前もしたかと思います。これもまた、彼らが行った新たな文化発信の一つであったのでしょう。

そんな流れを受けて、以前紹介した富樫雅彦の「双晶」意外にも何かあったかなぁと探してみたものの、ほんと、我がライブラリーにおける和物の貧弱さはどうしようもなく。時代は少し後になってしまいますが、本田竹曠のこれを持ち出してきました。

力強いタッチの本田は、渡辺貞夫クインテットのメンバーとして活躍、ピアノ・トリオとしてリリースしたこのアルバムは代表作です。
とか言いつつ、本田氏が惜しまれつつ亡くなられた二年前の正月(2006年1月13日)には、このアルバムも持っておりませんで・・・(笑)

その後、入手してあらためて聴いてみると、じつにブルース・フィーリング溢れるみごとなピアノに感心するわけでありますが、選曲がバラードとスタンダードということもあって、以降、ちょくちょく聴く一枚になりました。
(日本人のジャズですので、今日はあえてアルバム名も曲名も和名表記にしました。)

ジス・イズ・ホンダ / 本田竹曠
1972年4月18日録音
本田竹曠(p) 鈴木良雄(b) 渡辺文男(ds)

1.恋とは何か君は知らない
2.バイ・バイ・ブラックバード
3.ラウンド・アバウト・ミッドナイト
4.朝日の如くさわやかに
5.ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー
6.シークレット・ラヴ


優しさが欲しい

2008年06月16日 | d-f

今朝早く近所の母の友人が電話を貸して欲しいと訪ねてきました。
「うちの電話通じないのよぉ、何処に修理の連絡していいもんだかも分からないし、ともかく息子に連絡しておこうかと思って」
先日御主人が亡くなられたばかりで、息子さんもご実家にはおらず、今は一人住まい、
「箱が三つつながってるんだけど、わたしには何が何だか分からなくて」

御主人がご存命であれば、そこそこ電話回線のことやネットやプロバイダーや諸々の仕組みを理解されていたのでしょうが、亡くなられると奥様にはサッパリ分からない、考えてみるとこういうお宅はじつに多いんでしょうね。

「○○(私です)、仕事行く前にちょっとみてこられないか?」
「えっ?!」

私が行って分かるものかどうか不安はありましたが、これもご近所付き合い、朝食もそこそこに行ってまいりました。
状況は、光回線有り、ブロバイダーはOCN、IP電話も使用しているものの、普通回線も生きているといった感じ、箱とおっしゃっていたのはもちろんモデムで、正面のランプに異常はなさそうです。
ご本人はほとんど使ったことのないというパソコンを立ち上げ、ネットを立ち上げるとこちらも全く問題なし・・・・・・
「これは回線異常じゃなさそうだなぁ・・・・」
あとは室内回線の断線か、電話機本体の故障ぐらいしか考えられず、ともかくモデムから電話までの線をたどっていくと・・・・分かりました。
双方向用にテレビと分配してある分配機で、電話本体との回線が外れていたのです。
これをつないで、無事電話は復旧、めでたしめでたしと。

でもね、昔なら電話が壊れれば、まず電電公社に連絡すればすぐに来てくれるとか、ともかくなんとかなっていたものが、今は機能その他では便利になったかどうかは別としても、何処に連絡して良いものか分からなくなってしまう、お年寄りが益々増えていく中、それってどうなんだろう?なんて感じてしまったわけです。

以前も我が家の光電話での諸問題や、電車の運行状況の問い合わせ等々「現在の便利はけして全員に親切なものではない」といった話をここでもさせていただきましたけど、ほんとにそれでいいんでしょうかねぇ
「ついてこれないヤツはほっとけ!」みたいな感じがしてならないのですよ。
どれもこれも言ってみればサービス業でしょ、「うちの店のやり方に文句あるヤツは来なくていいから」ばかりで商売してたらその店は潰れるでしょ
まして、絶対に生活に必要なものたればこそ万人が理解できるシステムを取ってもらわないと、なんてね。
年寄りの一人暮らしなんかには、特に優しい社会であって欲しいなぁ、医療、年金ももちろん含めて。

とにもかくにも短い時間で電話は復旧を果たし、
「お茶一杯ぐらい飲んでく時間あんでしょ」
とリビングへ


携帯で撮影したので少々ボケてますが
まぎれもなく、JBL4430です。

(「ゲゲゲゲゲのゲゲゲのゲ」)
そこに鎮座ましている風格溢れるスピーカーは、JBL4430じゃござんせんか
「これって、奥さんの趣味なんですか?」
これも亡くなった御主人の趣味で、CDやレコードも残っているそうで
「そうかぁ、バブさんとこの息子さんも、いつも大きい音出して聴いてるよってお母さん言ってたよね」
「あっ・・・はい」

残念ながら、御主人が亡くなられてからは音を出す機会もなく、
「しばらくは、ほっときっぱなし、古いもんだからねぇ」
(「なにをおっしゃいます。たしかこのスピーカーは30ウン年前に一本40万以上もした、庶民には夢のような代物、もったいねぇ~~~~」)
「一度、音を聴いてみたいですねぇ」と私。
そう言ってスピーカーを眺める私の背中には「欲し~~~~!」って文字がくっきりと浮かび上がってたんだと思いますよ。
さすがに「邪魔だから、持っていって良いよ」とはなりませんでしたが、
「今日は聴いている時間無いでしょうけど、今度、お母さんが遊びに来るとき、いっしょに好きなCDでも持ってきて、聴いてみれば」
「ありがとうございます。」

てなわけで、日曜日にでも茶菓子と母をダシに使って、聴きに伺うことになりました。
さぁ~て、選曲はどうしようかなぁ(笑)

さて、今日の一枚は、昨日写真だけで失礼しちゃったブルーノート盤、ルー・ドナルドソンにしました。
昨日ご出演(笑)のパーランとのやり取りも、ビル・ハードマンとのやり取りも、魅力ではあるのですが、何といっても「THE MAN I LOVE」と「SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE」でのドナルドソンのソロが私は好きですねぇ。

ドナルドソンをチャリー・パーカーの直系アルト奏者と称することがじつに多いわけですけど、本人が「パーカーへのリスペクトは最大であったものの、それ以前のサックス奏者を聴きまくり、ジョニー・ホッジスやベニー・カーカー、ルイ・ジョーダンみたいに吹いていた時期もあったんだ」と言うごとく、たんにパーカーを真似したアルト奏者ではなく、何処かに懐かしさというか、悪く言えば古臭さが見え隠れする、それがドナルドソンの魅力だったりします。
この二曲のソロには、そんなドナルドソンの魅力が詰まっているように思うのですが・・・いかがでしょうか?

SUNNY SIDE UP / LOU DONALDSON
1960年2月5, 28日録音
LOU DONALDSON(as) BILL HARDMAN(tp) HORACE PARLAN(p) SAM JONES[3,6,7], LAYMON JACKSON[1,2,4,5](b) AL HAREWOOD(ds)

1.BLUES FOR J.P
2.THE MAN I LOVE
3.POLITELY
4.IT'S YOU OR NO ONE
5.THE TRUTH
6.GOOSE GREASE
7.SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE


思い出歩きは心の浮気??

2008年06月15日 | p-r

いやぁ、昨日は朝からビックリしました。地震です地震。趣味部屋の掃除を始めようかというときだったので、掃除を即座に中止、散歩も中止してテレビの速報を見続けました。
どうにもこうにも、震度6強などと聞くと、先日の四川大地震や阪神大震災の映像が頭をよぎりゾッとしてしまいます。

このあたりでは震度4、古屋の我が家でも損害は0でありましたし、大きな被害もないだろうと思っていたら、近くの海岸で土砂崩れが発生し、釣りをしていた男性が海に投げ出され死亡されたとか。震源地から遠いからといって安心できないのが地震なのでありますね。
「かあちゃん、何処と長電話してんの、づっと話し中だったよ。」
心配して神奈川に住む姉から電話が入りました。
もちろん、母は長電話などしておらず、おそらくはこのあたりでも一時電話がつながりにくくなっていたのでしょう。

私が家を出る前は、被害状況もそれほどあきらかにならず、震源地に近い知り合いが被害に遭わないことを祈りつつ、帰宅時間は午前1時半(昨晩は飲んでいたわけではありませんよ)今朝になって心配していたとおりの被害拡大にただただ唖然・呆然です。
それにしても、ミャンマー、中国四川省、岩手・宮城と、自然の驚異には人間の力などいかに無力であるか、思い知らされますよね。
不運にも被害に遭われた方々には、心よりお見舞いを申し上げます。

そんなわけで、昨日は飲んでいたわけでもなく何故そんなに帰宅時間が遅かったのか?
じつは、年中無休で仕事に励む飲み友達、Mさんが
「バブちゃん、おれなんとか土曜日を休みにしたいと思って・・」
土曜日暇をこいていた私がお手伝いをすることになったわけで、今後、土曜日のブログ更新は難しくなるやもしれません。
ともかく昨日も午後2時から深夜1時までという長丁場、煙草も休憩時に一服だけという、本職にも無いような一生懸命さで頑張ってきたというわけであります。

一夜明けると、さすがに慣れない仕事だからでしょうか疲れてますねぇ、午前中なんて何だかボケーっとしちゃって、
「どうせ休みの日はボケボケしてんだし、飲みに行く回数だって減るかもしんないし、煙草の量まで減って、帰って飲むビールも美味しいし、しかもただ働きじゃないんだから良いことずくめジャン」
と、外野は言いたいほうだい。まぁ微力ながらも私ごときがMさんのお休み作りに貢献でき、さらには+αの収入につながるのであれば「だめだこりゃ」と言われるまでは、お手伝いしようと思っています。

 ♪ きょう鎌倉へ 行ってきました
   はじめてあなたと 歩いた街へ
   きょうの鎌倉は 人影少なく
   思い出に浸るには 充分すぎて
   源氏山から 北鎌倉へ ・・・・・・ ♪

あはははは、庭の紫陽花みて、なんで「縁切寺」なのか?
ほら、紫陽花で有名な鎌倉の名所といったら紫陽花寺こと『明月院』じゃないですか。でもね縁切寺こと『東慶寺』の紫陽花もみごとなのでありますよ。
まぁ、混んでいるこの時期に訪れても風情もなんにも無いかもしれませんがね。

あれはいつだったですか、
以前お話しした学生時代からお付き合いをしていた鎌倉の彼女、彼女と別れ、お互いに結婚もし、子供もできて間もない頃ですから、今から20年以上前であることは確かです。
愚妻に内緒で鎌倉を訪れたことがありました。(かなり未練がましい男なもんで...笑)

北鎌倉の駅で横須賀線を降り、寺を巡りながら鎌倉駅まで、最後はジャズ喫茶『IZA』に立ち寄るという『思い出歩き』みたいなことをやって、
当然最初に立ち寄ったのは北鎌倉の駅前『東慶寺』だったわけで、(歌のように「人影少なく」はありませんでしたが)紫陽花の時期には少々早かったものの、色ずく前の花がチラホラと咲いておりました。

 ♪ 君は今頃 幸せでしょうか
   一度だけ町で 見かけたけれど
   紫陽花までは まだ間があるから
   こっそりと君の名を 呼ばせてください
   人の縁とは 不思議なもので
   そんな君から 別れの言葉
   あれから三年 縁切寺 ♪

「一度だけ町で見かけたけれど」ということはありませんでしたが、あとの歌詞が、まさにその時の心情そのままで・・・・・
以降、紫陽花を見るたびにこの歌を思い出すのであります。

幸い『思い出歩き』から帰った私が、ギター片手にこの歌を何故唄っていたのかは、問いつめられることはありませんでした、とさ。(笑)

え~前日の疲れがあっても逃れられないのが料理当番でありまして『料理当番、今日の一品』です。

まずは「なんでもかんでも余った野菜をぶち込んじゃえスープ」(笑)玉葱、キャベツ、人参、ジャガイモ、トマト、ベーコン、ソーセージ等々を圧力鍋で煮込みました。野菜の甘みがよく出て、なかなか美味しゅうございました。

こちらは、薄切りにしたサーモンを塩・レモン酢・オリーブオイルで作ったドレッシングに30分ほど漬け、モヤシ、紫玉葱の薄切り、ピーマンなんかといっしょにガブリ、サッパリしていて何故か生ものダメの母も食べておりました。

さて、今日の一枚は、ホレス・パーランの初リーダー盤です。
じつはこの録音は、予定された録音では無かったそうで、1960年の2月28日、ルー・ドナルドソンの「SUNNY SIDE UP」を録音後、アルフレッド・ライオンが突然パーランに「明日空いてる?」と訊き「へい、空いてござんす」と答えたので録音にいたったと、そういうことらしいのです。

小児麻痺という身体的不利を克服し、逆にその不自由な右手だからこその特徴まで引き出したピアニストを、なんとしても録音しておきたいと、ミンガスのところにいるときからライオンは考えてたんですかねぇ?

急遽だったのでオリジナルは一曲だけ、ただ、その分スタンダードを多く聴ける盤になったともいえます。
私的には、同じブルーノートの「US THREE」のほうが良いかなぁ・・みたいなところはありますけど、独特のドライブ感は初リーダー盤でもすでに発揮されていますし、「努力は麻痺など吹き飛ばす」ということが実感できると思います。

ちなみに、エリントンの「C JAM BLUES」を、レイ・ブライアントの「CON ALMA」やレッド・ガーランドの「GROOVY」なんかと聴き比べてみると、三人の特徴がよく分かって面白いかもしれませんよね。

MOVIN' AND GROOVIN' / HORACE PARLAN
1960年2月29日録音
HORACE PARLAN(p) SAM JONES(b) AL HAREWOOD(ds)

1.C JAM BLUES
2.ON GREEN DOLPHIN STREET
3.UP IN CYNTHIA'S ROOM
4.LADY BIRD
5.BAG'S GROOVE
6.STELLA BY STARLIGHT
7.THERE IS NO GREATER LOVE
8.IT COULD HAPPEN TO YOU

おまけ、
紫陽花の花言葉は
「移り気」「高慢」「辛抱強い愛情」「元気な女性」「あなたは美しいが冷淡だ」「無情」「浮気」「自慢家」「変節」「あなたは冷たい」
なんだそうで、こういったものにどうも疎い私としては、「花言葉ってぇのは、好きなものを選べばいいのか?」なんて思いましてね。

「俺はそうだなぁ・・・・『無情』ってぇのがいいかな」
「あはは、今日の話のスジで言えば『浮気』じゃないの?」
『浮気』って、別に浮気したわけじゃないだろ」
「バカだねぇ、男っていうのはなんかしなくちゃ浮気だと思わないみたいだけど、一番ひどい浮気は心の浮気なのよぉ・・・・ほんと、分かっちゃいないんだから」
「・・・・・・・」


アルファベットの6と13を考える?

2008年06月13日 | m-o

「今日は13日の金曜日」何人かの人に言われたこのフレーズは、ほとんどがあの映画宣伝で使われていた言い回しであることにビックリさせられます。私はどうもあの手の映画は苦手なので真剣に観たこともありませんけど、そんな私も「じゅうさんにちのぉ・・きんよぉ~びぃ」のフレーズだけは耳に残っているし、使っているということは、宣伝効果抜群であったのでしょうね。

まっ「13日の金曜日」の話はともかくとして、今日6月13日はFMの日』なんだそうでありまして、「F」がアルファベットの6番目、「M」が13番目ということから来ているそうですが、なんとも無茶苦茶なこじつけであります。(19月13日という月日が無くて良かったと・・・・・)

いえいえ、FMをバカにしているわけじゃあれませんよ。バカにするどころか小学生から中学、高校、大学まで、私の音楽メディアの中心は間違いなくFM放送でありましたし、「FM放送がなければ今の私は無い」と言っても過言ではありません。

たしか隔週雑誌であったと思いますが『FM fan』っていう雑誌がありましたよね。(後発の『FMレコパル』なんてぇのもありましたが、「邪道だ!」といって『FM fan』にこだわったりして・・・・ボクちゃん可愛い)私の愛読書でした。毎回、番組表から気になる放送を見つけてはボールペンでチェックしていましたっけ。
ただし、ウン十年も前のお話ですから、地方で受信できるFM放送はNHKしか無く、上京するまでは、他の番組内容を見ながら「いいなぁ・・・」とため息もついておりました。

  ♪ チャンチャカチャーン チャーラチャ チャッチャッチャー・・・・ ♪

「なんじゃそりゃ」でありますよね。
私としては、グレン・グレイとカサロマオーケストラの「BLUES ON PARADE」を口ずさんだつもりなんですけど・・・・・・(笑)
そう、昔NHK-FMで、毎週木曜日に放送されていたジャズ番組『ジャズフラッシュ』のテーマ曲です。
残念ながら、私は彼らのレコードは持っていませんが、先日発掘(?)された我が懐かしのカセットテープに、消し忘れでしょうね一部同番組の最初の部分が残っていました。
(ほら、レコードもそうそう買えない時代、同番組を録音しながら聴いていたんですね)
本多俊夫氏、児山紀芳氏等々(たしか幾人かの人達が代わる代わるDJを勤められていたと思います。)の解説付きJAZZ番組は、私にとって学校の勉強より有意義な教育の場だったのです。今思えば、高校生になってジャズ喫茶でアルバイトをする際、この時得た知識が役立ったと思っています。

もう一つのFMジャズ番組の草分けといえば、油井正一氏がDJをされていた『アスペクト・イン・ジャズ』でありましょうね。
ただし、先ほども言ったように番組の存在は知っていたものの、FM東京で放送されていた同番組を、地方生活の身では耳にすることは出来ず、上京した際にテーマ曲、ジェリー・マリガンの「PRELUDE IN E MINOR」を耳にしたときには感激しましたっけ・・・・
(そのくせ油井先生のお顔もあの独特のしゃべりも分かっていたのは、おそらくは本の影響か、NHK-FMの他のジャズ番組だったのか?)

小中学生時代は実家におりましたから、ステレオ『東芝ボストン』(笑)でレコードもラジオも聴けましたし、テレビも見られましたが、下宿を始めた高校生以降、小さな白黒テレビを入手するまでの約5年間は、小さなラジカセから聞こえるラジオの音とジャズ喫茶で聴く大音響のジャズ、そして映画が私を支えていてくれたのでありま・・・・シクシク(笑)

おかげさまで、現在は自宅で自由にレコード・CDも聴けるし、テレビだってDVDだって見られる、あ~た、FMだってこの田舎で3局受信できるんですよぉ・・・いい時代だぁ~~~
でもね、そのぶん、映画館へ足を運ぶ機会は減り、ジャズ喫茶は無くなり・・・・・FMのジャズ番組だって有るのか無いのかも知らないくらい。
ひょっとして、人並みの豊かさを得たことで失ってきたものもとても多いのかもしれませんね。

さて、今日の一枚は、できれば『アスペクト・イン・ジャズ』のテーマ曲が収録されているジェリー・マリガンの「NIGHT LIGHTS」にしたかったのですけど、以前に紹介済みですので、同じマリガンのこのアルバムにしました。メンバーもほぼいっしょですから良いでしょ?(笑)

マーキュリーのライムライト・シリーズの一枚。ライムライトをマーキュリーの傍系レーベルと取って良いのか、たんにマーキュリーの一企画と取るべきなのかは私にもよく分かりません。同じマーキュリーの傍系エマーシーとはちょっと扱いは違うようには思いますけど。
このライムライト・シリーズの大きな特徴は、ダブルジャケットに豪華な装丁が売り物という、じつにこったジャケットでありまして・・・・・まぁ内容には何ら関係がないかもしれませんけど(笑)
そもそもボブ・シャッド(厳密にはエマーシーのブロデューサーですが)的、なんでもかんでもストリングスと組み合わせたり、金に物言わせてドーンみたいな手法はあまり好みじゃないんですよねぇ・・・と言いつつ、クリフォード・ブラウン始めお世話になっているレーベルでもありまして(笑)

おっと、レーベル紹介じゃありませんでしたよね。
「NIGHT LIGHTS」もそうですが、このメンバーの最大の魅力は、肩に力の入らないリラックスした演奏でありながらじつにお洒落である、ということではないでしょうか。
「しゃっくりをする蝶々」なんて名前からして洒落てるし、スタンダードに加えてオリジナルもほんとお洒落な一枚に仕上がってます。
オリジナルの入手はちと大変かもしれませんが、なんと「NIGHT LIGHTS」とのカップリングCDも発売になっているようですので、ぜひお試しあれ。

BUTTERFLY WITH HICCUPS / GERRY MULLIGAN
1963年9月3日, 10月3, 11日, 1964年6月25日録音
GERRY MULLIGAN(bs,p) ART FARMER(tp) BOB BROOKMEYER(vtb) JIM HALL(g) BILL CROW(b) DAVE BAILEY(ds)

1.BUTTERFLY WITH HICCUPS
2.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
3.THEME FOR JOBIM
4.OLD DEVIL MOON
5.THE ANT HILL
6.BLUES FOR LYNDA
7.LINE FOR LYONS
8.CRAZY DAY


経験を糧に

2008年06月12日 | g-i

 ♪ 子供みたいに 笑うあなたが
   きゅうに黙って セクシー
   旅に出るなら 夜の飛行機
   つぶやくあなた セクシー
   夜の深さに ひとりとけていくのね ・・・・・・ ♪

昨晩は、趣味部屋でロックグラス片手にNHKの『SONGS』を見ておりました。
そう、このブログにも何度かご出演いただいた(笑)石川セリさんが京都を巡る姿と何曲かの歌を唄うというあの番組です。
セリさんは、たしか55,6才になられるかと思いますけど、未だチャーミングで色香漂うお姿に「うらやましいぞ陽水!」などとつまらぬ嫉妬を覚えつつ、大病を乗り越え元気に唄われている様子に聴き入ってしまいました。
そして、私の大好きな曲「SEXY」を唄ってくれたことにも感激であります。


アルバム「ときどき私は・・」を聴くと
オレンジのベレットを思い出すと
以前に言いましたよね。
それは何故か?
そのお話は、またの機会に

こうして今のセリさんの歌を聴いてみて思うのは「歌は声量だの上手さだのじゃないな」ということ。
たしかに「大動脈解離という大病の後、声も出ず歌をあきらめかけていた」とのお話のごとく、その歌声は以前私が耳にしていたあの頃のものとは違っていましたが、歌の味としては、幾重にも重なる深みのある味、多くの経験があればこそ生まれるであろう味であるように感じました。
つまり「歌は声量だの上手さだけじゃない、深い味があってこそのものだ。」ということでしょうか。
「初期の張りのある声でかわいらしさが残るビリー・ホリデイもいいけど、薬焼けして声もまばらなホリデイもじつに味があって良い」にさも似たり、ですか?

それにしても音楽というのは本当に奥の深いものだとあらためて感じます。
技術や天性の上に、さらに経験までも味として表れる。ちょっとくらいカラオケで歌が上手いとか、楽器が上手いとか、それだけじゃ音楽は表現できないと言うことでしょう。なんだか益々ミュージシャンという人種を尊敬してしまう私でありました。
そして、いずれ我が娘のサックスにもそんな味が出てくればなどと・・・・これは余談でしたね。(笑)

「経験が生む厚み」それはミュージシャンにだけ言えることではありませんよね。だれしもが大なり小なり経験を積み上げ歳を取っていきます。
そこに差が生まれるのは、経験を糧として活かせるかどうかということなのでしょう。

私のようにただただ年を重ねるばかりで、なんの糧にもなっていないような人間に言われたくもないことでしょうけど、
「若者よ、良くも悪くも毎日の経験が君たちを育てるのだよ。それを糧にするか、単なる思い出に終わらすかは、君たちの心がけしだい。
私みたいにオジサンになってから後悔しても遅いよ、特に嫌なことしかない毎日だと思っているあなた、卑屈になる気持ちはオジサンにもよ~~くわかるけど、嫌なこともいずれ糧になるんだと信じて、今経験しているそれを活かす努力をしてほしいな」
経験を活かせないオジサンの独り言でした。(笑)

さて、今日の一枚は、ヴァーヴのビリー・ホリデイ、つまりは晩年の彼女のアルバムです。
ヴァーヴ時代の彼女を、絶頂期をすでに越えた衰退の時期、あるいは、衰えは感じるものの他にない圧倒的な魅力、どう感じるかは人それぞれでしょう。

ボーカルもの大得意(いつも言ってて疲れない?)の私が言うべき事ではありませんが、半年後に録音された「ELLA FITZGERALD & BILLIE HOLIDAY AT NEWPORT」(私は持っておりませんが)など聴くと、その衰えは確たるもので、A面のエラ・フィッツジェラルドと比較してしまうという最もやってはいけないことを省いたとしても、「これはちょっと」と思ってしまうところもあります。
でも、今まで私が紹介した彼女のアルバムを考えてもわかると思いますが、私は枯れたレディ(ビリー・ホリデイ)がお好きなようで、今日のアルバムなんかまさに他にない味わいがあると感じています。


このアルバムは手元にありません

正直、この時期もうすでに声は枯れ、もともと飛び抜けて歌唱力があるともいえないレディに何故聴き入ってしまうのか?
それこそ「歌は声量だの上手さだけじゃない、深い味があってこそのものだ。」なのであります。
それに加えて、ベン・ウエブスター、バニー・ケッセルのソロが、何ともムーディーで魅力的。

 ♪ We lived our little drama
   We kissed in a field of white
   And Stars fell on Alabama last night ・・・・ ♪

昨晩は石川セリで、今晩はレディで、またボトルの減りが早まりそうです。

SONGS FOR DISTINGUE LOVERS / BILLIE HOLIDAY
19957年1月3,4,7,8日
BILLIE HOLIDAY(vo) HARRY SWEETS EDISON(tp) BEN WEBSTER(ts) JIMMY ROWLES(p) BARNEY KESSEL(g) RED MITCHELL[1,2,5,6], JOE MONDRAGON[3,4](b) ALVIN STOLLER[1,2,5,6], LARRY BUNKER[3,4](ds)

1.DAY IN - DAY OUT
2.A FOGGY DAY
3.STARS FELL ON ALABAMA
4.ONE FOR MY BABY
5.JUST ONE OF THOSE THINGS
6.I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS


すべての夜に代わる酒

2008年06月11日 | a-c

いやいやいやいや、ビール恋しい季節がヒタヒタと迫ってまいりました。
昨晩なんてあ~た、珍しく12時過ぎまで身体を動かしていたものですから、帰って風呂に浸かって・・・ク~~~~!って、やっぱり同名の飲料水にこの座を奪われることは永遠にありませんね。
まっ、最近は毎日ということではありませんけど「午後3時以降は水分を口にしない」なんてことまでやりつつ、一杯のビールを楽しむてなことをやっておりましたから、ほんと酒飲みっていやですよねぇ。

「バブさん、やっぱ夏場美味しいっていったらビールかい?」
「う~~~ん、一杯だけね。」
「後は何?キリッと冷えた冷酒?」
「いやいや、日本酒は夏場でも常温でしょう。う~~~ん、俺がへんに恋しくなるのはテキーラかな、塩をライムにペッて付けて、カプッグイーみたな(笑)」
何故か酒の話になると盛り上がったりします。
そんなマスターとの会話に入り込んできたのがN君。
「テキーラ?テキーラって強い酒ですよねぇ・・・・・強い酒っていったら、俺はアブサンを飲んだことありますよ。」
「あっあっあっアブサン???!!!!!」

酒飲みというものは、出来ることなら世界中のありとあらゆる種類の、ありとあらゆる酒を、合法非合法問わず(実際無理だから言っでんすよ)一度は口にしたいもの
しかしながらそれは、ジャズのレコード全てを聴くよりもさらに難しく、ほぼ不可能なことです。
そんな中でも、アブサンといえばまさに『幻の酒』、『魅惑の酒』、『禁断の酒』、芸術家がこぞって酔いしれたというその酒を、一度は口にしてみたいと思うじゃありませんか。さらに、各国で生産禁止が続き、解禁後も「従来のそれとは異質のものだ」なんて話を聞くと、ますます本物を味わってみたいものだと、
できることなら、かのアーネスト・ヘミングウェイのごとく、まだスペインで本物が手に入ると聞くなり飛んでいったという、そこまでしても飲んでみたい代物です。

「どうせ偽物だろ、そんな簡単に飲めるわけないよ」
「そうだそうだ、テメェなんぞが『緑の妖精』を口にするのは千年早い!」
『緑の妖精』ってなんですか?」
「え?だから、緑色の酒だったろ?」

え~~ここで、まだ見たことも当然飲んだこともない酒、アブサンについてちょっと説明させていただきますと
アブサンとは、もともとフランスの医師ピエール=オルディネールが医薬品として生み出したもので、ニガヨモギを中心に幾つかのハーブを主成分とする薬草系リキュールなんでありまして、アルコール度数は70前後とたしかに強い酒です。
リキュールというと、なんだか甘いイメージがあるかもしれませんが、主成分の名前でもわかるように、苦みが主な味(?)これに多数の薬草の調和で非常に風味豊かな香りをもった酒なんだそうで、抗炎症作用、下熱作用、殺菌作用といった効用もある反面、幻覚性のあるアサロン、鎮静作用のあるアネトールなんて物質も含まれているというなんとも複雑な酒なのであります。

そんな苦臭い強い酒をどうやって飲むかということですが、ある種儀式めいた飲み方を紹介しますと、アブサンに浸した角砂糖をフォークやスプーンなんかの上にのせて火を着けます。アルコール度数70度ですから当然燃え上がり、溶けてキャラメル状になったものを本体のアブサンに垂らします。これに冷たい水を加えると乳白色がかった緑色の飲み物が出来上がるとそういうわけです。つまりこれが『緑の妖精』なんでありますねぇ(って、いかにも見てきたように話しますが、あくまで聞いた話ですよ...笑)
話を戻しましょう。

「いや、透明でしたよ。」とはN君
「透明?????アブサンが透明っちゃ無いだろ」
まっ、ここが今日の話のオチなんですが、どうもNさんはアブサンと泡盛を間違えたようなのでありまして、そもそもアブサンが洋酒であることも知らず、「野球マンガ『あぶさん』→焼酎→泡盛」といった勝手な感覚が先走ったようで
「だって、アブサンってけっこう旨いですねって言ったら、そうだろうってみんな言ってたんですよ。」
アブサンだアブサンだって喜んでるN君を、みんなでからかっていたのでしょうね。
「うんうん、そりゃあ、そう言って飲ませた友達が悪いよな」
と言いつつ、思わず笑ってしまった我々は、半分は彼の人の良さに同情し、半分は「俺も味わったことのない酒なんだから、こいつに先を越されなくて良かった」という安堵感に包まれたのでありました。とさ。(笑)

この一杯は夕刊紙に代わるものであり、カフェで過ごしたすべての夜に代わるものであり、この月の今頃になると花を咲かせる栗の木に代わるものだ。

花を咲かせた栗の木に代わるとはいかなる意味かわかりませんが、間違いだったとはいえ「アブサンを飲んだ」てな話を聞くと、栗の花香るこの時期に、アブサンを一度味わってみたいものであります。

さて、今日の一枚は、レイ・ブライアントです。
控えめな性格であったであろうブライアント、しかし、演奏には力強さとソウルがこもっています。
私が彼を好きなのもきっとそんな控え目の性格が、私に似ているからでしょう・・・・・・・・・・今、そこら中からブーイングの嵐が(笑)
冗談はともかく、このアルバムもそんなブライアントを感じ取れる一枚であることは間違いありません。

朝から聴けるピアノというと、あんがい有りそうで無かったりしませんか?
私にとっては、ファニアス・ニューボーンJr.の「HARLEM BLUES」や、ダラー・ブランドの「AFRICAN PIANO」、マッコイ・タイナーの「ATLANTIS」A面(これはA面じゃないとダメ~~笑)、そして同じブライアントの「ALONE AT MONTREUX」プラス今日の一枚あたりが朝用みたいなところがあって、よく目覚めに聴く一枚になっています。
(これらのアルバムになんの共通点があるのかは、私自身わかりませんが)

試しに、これから起こるであろう夏バテでボケボケの朝に、B面1曲目「HOLD BACK MON」あたりを聴いてみるなんていかがでしょうかねぇ?
私ならちょっとだけ元気を取り戻します。

HERE'S RAY BRYANT
1976年1月10,12日録音
RAY BRYANT(p) GEORGE DUVIVIER(b) GRADY TATE(ds)

1.GIRL TALK
2.GOOD MORNING HEARTACHE
3.MANTECA
4.WHEN SUNNY GETS BLUE
5.HOLD BACK MON
6.LI'L DARLIN'
7.COLD TURKEY
8.PRAYER SONG

追伸、
映画評論家の水野晴郎氏が、昨日お亡くなりになったそうで、洋画好きの私は『水曜ロードショー』『金曜ロードショー』にもずいぶんとお世話になりました。
ある意味、映画に人生を捧げた真のオタク水野氏、ご冥福をお祈りしたいと思います。


悪魔に取り憑かれる前に

2008年06月10日 | d-f

「時の記念日」の今日は、忌まわしい事件とは裏腹に、輝く太陽と爽やかな風、公園昼食にはうってつけの天気でした。
それでも、気持ちよく昼食をとりにがらも、かの犯人にはどんな悪魔が宿ったのか?そんなことをついつい考えてしまいます。オカルトチックではありますが、何だか凶悪な悪魔達があちらの世界から流れ込む、そんな穴が何処かに出来てしまっているのではないか?そんなとんでもない入り口を、誰が何故作ってしまったのか?
徐々にしかし確実に拡がりつつある闇の世界が、いつか私のまわりをも覆い尽くすかもしれません。

恨み辛みで人を殺める、金ほしさに人を殺める、突発的事故で思わず人を殺める、考えの相違で人を殺める、戦争で人を殺める・・・・・・
人を殺めることに肯定などけして存在しませんが、たればこそ、以前起こっていた殺人には、それなりに明白な理由があったように思えます。
それがなんでしょう、今回の事件だけでなく、昨今の事件を見ると明白な理由を探し得ないようなものばかりじゃありませんか。後付でいろんな理由を上げたところで、理解し得ないものばかり、つまり、命の軽視のみが蔓延して、まるで、それこそ戦場においての殺し合いのごとく、戦場でもないのに無機質に人の命を奪うことが日常化する、そんな社会になってきているということ?

先日ある方が、こんなことをおっしゃってました。
「人間の根底に流れる凶暴性は、本来隠し通せるものじゃない。ある時期を迎えれば親に反抗し、ある時期を迎えれば社会に反抗する。それはある意味人間のエネルギーの根底だったり、その時期にしっかりそれを受け止めることで発散できるものでもある。それが昨今は『良い子ちゃん』ばっかりになっちゃって、エネルギーに変えるどころか、発散さえ上手くできない人間が増えて来ちゃったんだよ。」
なるほどわかるような気がします。

私も含め、親たちは子供たちを事なかれ主義の世界に引きずり込んで「良い子ちゃんでいるのが得なのよ」って教え込み、「若いエネルギーはスポーツとか勉強にぶつければ大丈夫」なんて古~い教科書にも載っていないようなことを頼りに、上辺だけで子供たちに接する、気が付けば親だけでなく、学校も社会も『上辺事なかれ主義』が主流になって、これに外れた子供も大人も、まわりはどう扱って良いかもわからなくなっている・・・・・・・

何処かで掛け違えたボタンを、誰かがじゃなくてみんなで直して行かなければならないのでしょうが・・・・・・難しいし、たいへんですよね。でも、やらねばイカンのでしょう、悪魔に取り憑かれる前に

さて、今日の一枚は、エリック・ドルフィーです。
じつはこのアルバム、レコードでの入手をあきらめ、CDに飛びついたというアルバムです。ジャケデザインがオリジナルとは全く違うのが残念ですが。

ニューヨークのガスライトに出演した時のライヴ録音で、録音状況はすこぶる悪い(発掘ものにはつきものです)ものの、若き日のハービー・ハンコックが聴けたり、何だかわけのわからんボーカルが聴けたりと・・・・
あまり良くないような言い方ですが、そうではないんですよ。(笑)
コルトレーンのグループを経て、ドルフィーはどっちへ向かって進んでいたっんだろう?
という興味のない人にはどうでもいい疑問に、一つ参考になるアルバムであることはたしかです。
「ドルフィー聴くならこれ」というアルバムでは全くありませんが、ドルフィー好きなら、やはり押さえるべき一枚であると思います。

LEFT ALONE / ERIC DOLPHY
1962年10月7日録音
ERIC DOLPHY(as,bcl,fl) ED ARMOUR(tp) HERBIE HANCOCK(p) RICHARD DAVIS(b) EDGAR BATEMAN(ds) JOE GARROL(vo)

1.MISS ANN
2.LEFT ALONE
3.G.W
4.I GOT RHYTHM
5. 245


感化されて予定外

2008年06月08日 | g-i

いやぁ、ビックリしましたねぇ、えっ?だから、秋葉原の通り魔事件ですよ。
じつに腹立たしく、卑劣な事件がまた起きてしまいました。
現在、7名が死亡ですか?まだ重体の方もいらっしゃるようで、犠牲者がまだ増えるのではないかと心配しています。
「人を殺しに来た。誰でも良かった。」
・・・・・なんたることでしょう。
もちろん、バカヤロウの犯行は言語道断ですし、被害に遭われた方には何と言っていいかことばも見つかりませんが、これも先日ちょっと触れた腐った土壌に出来た大きな歪みでもあるように思え、狂い始めた歯車を何処かで修正しないと、ほんと、イカンと感じます。
そして、こんなバカヤロウに、感化されて云々などという、へんな連鎖が起きないように目を光らせていなければいけないかもしれません。(なんだか、嫌な世の中ですね)

感化といえば、私もじつに感化されやすいタイプで、注意しなければいけません。(おっと、もちろん通り魔事件に感化されることはありませんが)
昨日、アドバルーンの話から『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を見てみようかと言っていたのに、昨晩から読み始めたこんな本に感化され・・・・

まぁ、若干自宅での仕事を持ち込んでいたせいもあったのですが、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を見ることをスッパリあきらめ、エリック・クラプトンにほぼ一日浸ってしまいました。

クラプトンというと、私にとっては専門外でもありますし(笑)、生クラプトンも一度しか聴いたことがありませんので、何も偉そうなことは言えませんが、中学時代にはけっこう聴いていた覚えがあります。

ともかく自伝を読んでいて、ザ・ヤードバーズの話が出ればそれを聴き、ジョン・メイオール・ブルースブレイカーズの話が出ればそれを聴き、クリームならクリーム、ブランド・フェイス・・・

ブラインド・フェイスのラストコンサートが8月24日にホノルルで行われた後、私はイギリスのハートウッドに戻った。ところが落ち着く間もなく、9月13日の土曜の朝、電話が鳴った。ジョン・レノンからだった。彼は、「今夜は何やってるの?」と聞いてきた。
「別に」と私は答えた。
「それじゃ、トロントでプラスティック・オノ・バンドと仕事しない?」という。
「ああ、いいよ」私は答えた。(エリック・クラプトン自伝より)

あれあれ?これはひょっとして、カナダのトロントで行われた「ロックンロール・リヴァイヴァル・フェスティヴァル」に、ジョン・レノンとともに出演したときの裏話。
さっそく、豊富なビデオ・ライブラリー(笑)から「SWEET TORONTO」を探しだし、見始めてしまいました。

ここで、本日の読書&クラプトンは終了であります。あはは、クラプトン尽くしもたまには良いかな。
(自伝の方はまだ半分近く残っていますから、まだ二、三日楽しめそうです。)

え~~先週はビリー・バンバンのおかげでパスした夕食当番ですが、本日は逃れる術もなく『料理当番、今日の一品』です。

まず、久しぶりにメヒカリの唐揚げを作りました。一味だけでは工夫がないので、生姜醤油味、塩胡椒味、アオサまぶしの三種盛りにしてみました。
これにサラダと豆腐で終了。

こちらは私専用膳。珍しくまともにつまみもいただきました。
えっ?贅沢だって?・・・・・自分で作るんだからいいでしょ(笑)

さて、今日の一枚は、レッド・ガーランドのバラード集です。
クラプトンを聴いた後で、このアルバムを聴くと、何だかとても新鮮に感じました。
コロコロ、コロコロ転がすようなピアノのガーランドが、ロマンチックなラブ・バラードを弾いてどうなのか?
ともし思われる方がいらしたなら、絶対に聴くべき一枚だと思います。

「バラードばかり聴き続けると少し飽きる」てなことがありますよね。このアルバムに関してはそれはけして無いと保証します。
それが、ガーランドらしさなんじゃないかと・・・・・偉そうですか?
表題曲「THE NEARNESS OF YOU」なんか良いですよ、お酒にもピッタリ。日本酒の後はやっぱウイスキーかな。(笑)

THE NEARNESS OF YOU / RED GARLAND
1961年11月30日録音
RED GARLAND(p) LARRY RIDLEY(b) FRANK GANT(ds)

1.WHY WAS I BORN ? 
2.THE NEARNESS OF YOU
3.WHERE OR WHEN
4.LONG AGO AND FAR AWAY
5.I GOT IT BAD AND THAT AIN'T GOOD
6.DON'T WORRY ABOUT ME
7.LUSH LIFE
8.ALL ALONE


広告も変わったよね

2008年06月07日 | m-o

いつものように趣味部屋の掃除を済ませ、レコードを聴きながら珈琲を一杯、心地よい風を感じながら新聞を一読する。普段と変わらぬ土曜日、それがなによりだったりする私はどんどん老けていってしまうようにも思うのですが、まっ良いでしょう。

今日の朝日新聞beのしゃみのページ『サザエさんをさがして』では、アドバルーンの話が載っておりました。


私にとってアドバルーンというとデパート(といっても今はほとんどがつぶれてしまった地方百貨店ですが)というイメージがまず浮かびます。アドバルーンとお子様ランチと屋上の遊技場、私にとってはこれがデパートの象徴であったように思います。

最近の得意客は、新規開店などを告知するパチンコ屋と、マンションのモデルルームを宣伝する不動産業だという。(新聞紙面より)

注意して見なくもなりましたが、たしかに言われてみればそんな感じ、特に都会では高いビルがボンボン建って、道路が幾重にも重なり、狭くなってしまった空にアドバルーンを上げてもあまり意味が無くなっているのかもしれません。
『サザエさん』や『三丁目の夕日』の時代であればこその広告媒体だったのでしょう。

そうそう、私が小さい頃は「空からビラをまく」てな広告方法もありましたっけ。あれは軽飛行機からだったのか、ヘリコプターからだったのか、ともかく子供たちがそのビラを拾い集めて家に持ち帰る、これもまた子供たちが真っ黒になりながら、おもてを飛び跳ねていた、あの頃であったればこその広告媒体ですよね。

1921(大正10)年、日本で初めてアドバルーンを上げたのは、銀座アド社の創業者、水野勝蔵さんだった。
   <中略>
「空に上げれば税金もかからない」ことに目をつけた水野さんが考案したアイデア。
「ad」(広告)と「balloon」(気球)を合体させた和製英語なのだ。(新聞紙面より)

いつの時代もアイディアマンはいるものです。したたかな発想にこそビジネスチャンスがあるということでしょうか、恐れ入ります。
それにしてもアドバルーンもソフトクリームやYシャツのように完全和製英語だったんですね。
アイデアの源にしてもネーミングにしても、いかにも日本人らしくてとっても良い。そんなことを思った記事でありました。

そういえば、映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』もDVD化されたんでしたよね。明日あたり借りてきて見てみましょうか。

さて、今日の一枚は、ジャッキー・マクリーンです。
この時期のマクリーンといえば、最も活動的で、最もグダグタのジャンキーで、最も波の激しかった時、それだけに面白いとも言えるわけで

このアルバム、私はほとんどB面しか聴かないアルバムでもあります。
それは、タイトル曲「A LONG DRINK OF THE BLUES」が、何だかグダグダで長いばっか長くて・・・・そんな印象があるからです。(もちろん好きずきは人それぞれだと思いますが)
ところがB面の三曲、つまりワンホーンカルテットでの演奏は、たまらなくマクリーンで良いのであります。「EMBRACEABLE YOU」あたりを聴くと、「マクリーンだぁ~~~」と安心するみたいな。(笑)

以前も紹介したとおり、この二つのセッションは何故か二つのアルバムに分散しレコード化されました。(「MAKIN' THE CHANGES」)やっぱり、ワンホーンカルテットだけを一枚にまとめてくれたほうが・・・・(笑)

ともかく私としては、B面があればこその一枚と思うアルバムです。

A LONG DRINK OF THE BLUES / JACKIE McLEAN
1957年2月15日[3~5], 8月30日[1,2]録音
JACKIE McLEAN(as)
WEBSTER YOUNG(tp) CURTIS FULLER(tb) GILCOGGINS(p) PAUL CHAMBERS(b) LOUIS HAYES(ds)[1,2]
MAL WALDRON(p) ARTHUR PHIPPS(b) ARTHUR TAYLOR(ds)[3~5]

1.A LONG DRINK OF THE BLUES(take1)
2.A LONG DRINK OF THE BLUES(take2)
3.EMBRACEABLE YOU
4.I COVER THE WATERFRONT
5.THESE FOOLISH THINGS