JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

災い転じて何とやら

2009年11月29日 | s-u

午前中は快晴だった空も午後には徐々に雲に覆われちょっと残念、もう少し太陽さんの顔を眺めていたい、そんな日曜日でした。

今日は、母のポリープの検査結果が出る日です。
心配ないと先生には言われていたものの、結果を聞くまでは母も落ち着かないだろうと、そうそうに病院へ行ってきました。
受付に診察券を出し待つこと一時間余り、
「○○さ~ん」
母と一緒に診察室にはいると、椅子に座る間もなく先生が
「あっ、ポリープね、大丈夫、良性でしたよ、手術もな~んにも必要ありません。」
死刑宣告を待つ受刑者のように深刻そうだった母の顔が、スーっと和らぎました。
「まったくなぁ、一時間も待って、一分もかかんないなら電話かなんかで言ってくれてもよかったのに(笑)」
まずは良かった良かった。
と、母のポリープ騒ぎは一件落着したのでありますが、さらなる問題が・・・

我が家の風呂は、追い炊きのできない電気湯沸かし器の差し湯タイプのものなのですが、何とリモコンの電池切れで昨晩かんじんのお湯が沸かされていなかったということが判明したのです。
しかも、間が悪いことに、私が愛車『カオウ号』で一汗かいて来てからそれに気付いたという・・・・
「一日くらいお風呂入いんなくても大丈夫よねぇ。」
「えっ?え~~~~」

「ちょいちょい、待ってくれよ、このオヤジ臭い汗を風呂無しでどうしたらいいってんだい、まさか太陽さんも隠れてしまったこの寒空のもと、ぬれタオルで拭けなんていう鬼のようなことは言うまいなぁ」でありますよ。

けっきょく私がお金を出すなら、温泉施設に行ってもいいてなことになりましてね。(どうして私が出費しなければいけないのかは、納得いきませんでしたが)
「だったら、なるったけ安いとこ行こう」

と行ったのが、近くの温泉地にある大衆温泉。なんと入浴料は大人一人210円
「やったぁ!千円でおつりがくる~~~」
(それでもやっぱりどうして私の出費?・・・・「しつこい!」)

休日ということもあって、さほど大きくもない浴場は混雑しておりましたが、それでも温泉は温泉、久しぶりにゆっくりと浸かってまいりました。

やっぱエエですねぇ温泉は。寒くなってきたこの時期は特にエエ(笑)
てなことで
お金は払わされたものの、母のポリープも問題なかったし、風呂が故障したおかげで温泉にも入れたし、「災い転じて何とやら」の日曜日でしたかね。

ただ一つ残念だったのは、運転があったので風呂あがりにビールといかなかったこと。
「その代わりに夜は飲むドゥ!!」
『料理当番、本日の一品』です。

まずは手羽先の生姜煮です。母も胃の心配が無くなったせいか、いつもの「あ~あぶらっこい」との文句も言わずに食べてくれました。

私は、呑み先行ですので、鮪の漬けとイカの黄身醤油和えでキュッとね。(笑)

さて、今日の一枚は、バド・シャンクです。
この選択はどうみても昨日のクロード・ウィリアムソンからの流れということになるのですが、洒落た白人ジャズのお手本のような一枚は、温泉と酒でちょっと疲れが出たかなぁという今の私にはジャストフィットのように思います。

バドっていうお方は、まさにウエストコーストの真髄のごとくクールなのに、なぜか何処かに暖かみを感じるという・・・ゆったりとして上品で暖かいって、なんだか「ずるすぎて嫌いダァ」と妬み半分で言ってしまいそうな感じですよね。
どうも優等生すぎるバドは(実際はそんなこともないんでしょうが)、私の好みの本質からは外れるようにも思うのですよ、でも、心底熱中はしなくともその良さは認めざる得ない、このアルバムや同じメンバーでの「THE BUD SHANK QUARTET」を聴くとそう思います。

ちなみに
昨日の「CLAUDE WILLIAMSON TRIO」と聴き比べると、やはりバドもウィリアムソンがあって、ウィリアムソンもバドがあってこその良さがある、との思いを強くします。

それでは、上品で暖かな演奏を聴きながら、下品でどうしようもない私は、また飲み直すとしますか。

BUD SHANK QUARTET
1956年11月7,8日録音
BUD SHANK(as,fl) CLAUCK WILLIAMSON(p) DON PRELL(b) CHUCK FLORES(ds)

1.NIGHT IN TUNISIA
2.TERTIA
3.ALL OF YOU All Of You
4.THEME
5.JIVE AT FIVE
6.SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
7.POLKA DOTS AND MOONBEAMS
8.PAVANE


ご注文はブレンド一杯

2009年11月28日 | v-x

今晩あたりからまた冷え込みそうで、今Mさんのお店に何を着ていったらよいものか迷っています。

毎週のように話題にさせていただいている朝日新聞土曜版beですが、今日は『beランキング こだわりのコーヒー豆』という記事が掲載されておりました。

「3強(キリマンジャロ、ブルーマウンテン、モカ)は昔から。これは日本独特の現象」と、コーヒー研究家の柄沢和雄さん(73)は話す。欧米ではコーヒーはもっと大衆的な飲み物で、産地にこだわるのはもっぱらマニアの人。一般的なのは複数の産地の豆をまぜて味のクセをおさえた「ブレンド」だという。日本でも、いつも飲む麦茶やほうじ茶の産地に執着する人は、そんなにいない。

なるほど、そうとも言えるかもしれませんが、私は日本人得意のブランド意識が強く表れているからじゃないかと思うんですねぇ。
私自身、他人様にもの言えるどころか、昔は「キリマンがいい、キリマンが一番」とはばからなかったし、ちょっと値段の高いコーヒーを名のある方に入れていただくと、飲む前から「絶対にこれは美味い」と暗示をかけ、実際には味など分からぬまま「さすがですねぇ」なんてね。(笑)

今はほとんど見かけなくなってしまいましたが、私が若い頃は『コーヒー専門店』と看板を立てる喫茶店がそこらじゅうにあって、今で言うところの「エスプレッソだ、ラテだ、カフェモカだ、・・・・なんたらかんたら」てなメニューより「モカ、キリマン、ブルマン、ブラジル、マンデリン・・・・・」といったストレート珈琲が幅をきかせていましたし、専門店でなくとも、ブレンドの他にブラジルとモカとキリマンくらいはメニューにあったりして、あはは、ジャズ喫茶にはありませんでしたがね。

初めての喫茶店にはいると
「いいかい、どの店もブレンドを味わえば質が分かろうてもんだよ。」
という先輩のありがたいお言葉を信じ
「ご注文は?」
「ブレンド」
これをもちろんブラックでいただくんでありますねぇ、今思えば、自家焙煎でもなく、業者にそこまで注文を出していた店も少なかったでしょうから、仕入れ先が同じならさほど味に変わりがなかったのかもしれません。それでも、サイフォンだ、ネルドリップだ、紙ドリップだと、出し方はそれぞれありましたし、各お店のコダワリはあったように思います。もちろん、それが私に理解できたかどうかは「言わずもがな」ですがね。(笑)

ストレート珈琲だけでなく、ラテやカフェモカなんていうメニューはそうそうありませんでしたけど、ウインナコーヒーやカフェオレはありましたねぇ、だけど「ウインナコーヒーてな軟弱な珈琲は、女の飲み物だ」みたいな変な感覚もあったりして・・・・・
「最近はやたら変な珈琲が流行ってるそうだねぇ」
「へぇ、何処かの新しい産地が輸入解禁になったとか?」
「いやそうじゃなくて、何でも珈琲に赤いウインナーを浮かべた新しい飲み物らしいよ」
てな笑い話(もちろん作り話ですが)をラジオかなにかで言っていたのを覚えています。

最初ブラック珈琲ってヤツは、おそらく苦くてまずいものだと感じたのだと思いますよ。でも一種のカッコつけ?見栄?、いつのまにか砂糖やミルクが入っていると後味が悪くて飲めなくなってしまいました。まっ、あのマズ~~いジャズ喫茶の珈琲をブラックで何杯も飲んでりゃ馴れますよね。
ウイスキーを平気でストレートで味わう舌になってしまったのとさも似たり(笑)

ともかく、今の私にカッコつけやブランド志向がないか?と問われれば、全くないとは言い難い、それでも、少しは純粋に珈琲を楽しめるようになってきたと思います。これもヤナイ珈琲さん、そして珈琲だけには大きなこだわりを持つS君のおかげでしょうかね。

いずれにしても、世界第四位の珈琲消費国に住み、昔からは想像もつかぬほど手軽に珈琲を楽しめる環境に感謝して、今日もヤナイ珈琲さんのコダワリ珈琲を味わうことにいたしましょう。

さて、今日の一枚は、クロード・ウィリアムソンです。
邦題では「クロード・ウィリアムソンの真髄」、ベツレヘムでの初リーダー盤です。
当時このトリオは、アルト奏者バド・シャンクのリズムセッションとして活躍しており、じつに息が合っています。
「ホワイト・パウエル」と呼ぶにはいくぶんクセがなさすぎる気もしますが、そこがクロードらしいバド・パウエルの解釈とも思えるわけで、「I'LL REMEMBER APRIL」を選曲したあたりに意気込みを感じるじゃござんせんか。

緊張を重んじるなら同じベツレヘムの「'ROUND MIDNIGHT」を推挙すべきでしょうけど、普段着の演奏であるならこちらのアルバムに利があるでしょうか。
いずれにしても、バド・パウエルにス~~っと入るのが難しくとも、このトリオなら入っていける、それがクロードの魅力かもしれませんね。

CLAUDE WILLIAMSON TRIO
1956年1月19日録音
CLAUDE WILLIAMSON(p) DON PRELL(b) CHUCK FLORES(ds)

1.JUNE BUG
2.JERSEY BOUNCE
3.MOONLIGHT IN VERMONT
4.I'LL REMEMBER APRIL
5.THE LAST TIME I SAW PARIS
6.BLUE NOTORIETY
7.EMBRACEABLE YOU
8.HAVE YOU MET MISS JONES
9.HALLELUJAH


バッタの立ち往生

2009年11月26日 | p-r

暖かい日が、昨日今日と続いています。こんくらいの陽気が一番良いんですが、またすぐ寒くなるんでしょうね。

昨日は、先日届いた『みしらず柿』をS君にもおっそわけしようと、彼の事務所に立ち寄りました。
「バブ、また写真のアップのしかた忘れちゃったぁ」
と、未だにブログ更新をよく理解していないS君に追加レクチャー。それでも続けようという意志はあるようで、まぁ進歩ですかね。(笑)

藤原泰衡は頼朝の威を恐れて、父、秀衡の遺言に背き、義経主従を衣川館に襲った。
ベベンベン
追い詰められた源義経、絶体絶命。
ベベンベン
家臣、武蔵坊弁慶が、義経をお堂に逃がしその前にすっくと立ちはだかった。
「我こそは義経の一の家臣、武蔵坊弁慶、この命尽きようともこれより先へは一歩たりとも通しはせぬぅぅぅぅ」
てなもんです。
ベベンベン
しかぁ~~し、そこは多勢に無勢、いかに豪腕弁慶といえども勝機の道は無し、雨霰のごとき矢が弁慶を襲う
「弁慶めぇ、あれほどの矢を受けようとも微動だにせぬ」
さらに攻撃しようとも状況は変わらず、恐る恐る近づいた泰衡の兵
「ひぇ~~~~!!」
なんと、弁慶は目を見開き仁王立ちのまま死んでおるではありませんか。
ベベンベン
世に言うこれが『弁慶の立ち往生』
主君を守り続けたその死に様は「史上屈指の名往生」と讃えられたのでありました。

えっ?何故に『弁慶の立ち往生』かって?
まっこれを見てください。

ちょっとピンぼけですが、S君の事務所の壁に一匹のバッタがとまっています。
じつはこのバッタ、脅かそうが何しようがピクとも動きません。そう、天国に召されたバッタなのであります。
「何をどう考えながら、こいつはこの壁で息絶えたのか・・・・」
S君曰く、
「それを想うとすぐに取って捨てる気にはどうしてもなれないのよ」
なんと一週間もそのままにしてあるんだそうで
「う~~ん、これぞ『バッタの立ち往生』ってか」

それにしても、どこから迷い込み、そして、何故に壁の途中で・・・・
ちゃんとエッチは済ませたんでしょうか、それとも生命としての最終目標は達せずに息を引き取ったのでしょうか・・・さぞかし無念でありましたでしょうねぇ。
いやいや、弁慶のごとく、何かをS君の魔の手から逃そうと、おとりとなって死んでいったのかもしれません。
・・・・・おもわず合掌(笑)

「ほんじゃまぁ、バッタの冥福を祈って、一杯どうかね」と私。
しかし、翌日飲み会があるとのことでむげに断られ、
S君には「一人じゃ飲みには行かない」と断言したんですが・・・・・
いつものバーで飲んだくれてしましました。
う~~ん、我が意志は、壁の途中で絶命したバッタにも劣るかもしれませんね。

さて、今日の一枚は、セシル・ペインです。
じつは私、彼のリーダー盤は今日のこれと「PATTERNS OF JAZZ」の二枚しか持っておりません。
これは、何故か縁が無かっただけで、ペインを嫌っているということではありません。いやむしろ好きなバリトン奏者だと思っています。

そういえば明日は彼の命日でしたねぇ・・・・さらにウイントン・ケリーとケニー・ドーハムが亡くなってから出されたアルバム、一曲目はキング牧師への追悼曲と、バッタの死から「死・死・死」とちょっと暗くなってしまいますが・・・・・
ともかく、ケリー、ドーハムの最晩年演奏が聴けるアルバムでもあります。
ドーハムが目立ってますよぉ(笑)

追悼曲で始まるこのアルバムは、その「MARTIN LUTHER KING,JR. ~ I KNOW LOVE」と「GIRL,YOU GOT A HOME」とのギャップ、静かなバラードから8ビートまで混じり込むファンキー全開の世界へ、ちょっと面白いですよね。
ペインが目立つのは「GIRL,YOU GOT A HOME」のほうかな。
あとは「オーソドックスなジャズ」てな感じなんですが、これはこれでよろしいんですなぁ(笑)

それと、このアルバムの変な楽しみ方としては「この楽器を誰が演奏してるんだろう」という、「ブラインド・リスニング」みたいな事もできるんでありまして、まっそれは聴いてのお楽しみですね。

ZODIAC / CECIL PAYNE
1968年12月16日録音
CECIL PAYNE(bs,as) KENNY DORHAM(tp) WYNTON KELLY(p) WILBUR WARE(b) ALBERT HEATH(ds)

1.MARTIN LUTHER KING,JR. ~ I KNOW LOVE
2.GIRL,YOU GOT A HOME
3.SLIDE HAMPTON
4.FOLLOW ME
5.FLYING FISH


無理に勧めるのはよしましょう

2009年11月23日 | d-f

朝方まで降っていた雨はスパッとあがり、雲一つ無い青空へと変わりました。
暖かかったですねぇ、良いですねぇ、これで夜のお勤め(笑)が無ければなおさら良いんですが、
「夜があるからなぁ、何処かに出掛けるわけにもいかん。」
嘘をついちゃいけません。
「出掛ければ金はかかるし体力も使う、おとなしく家にいるのが一番。」
たんなる怠け者なだけなんであります。

世に言う食わず嫌いとは誰しもが一つ二つは持っているものでございます。
「私の場合は、酒に女に金、特に女なんざぁまさに食わず嫌いだね。」
なんてぇことを言いますてぇと、
「まぁそこまで分かりやすい嘘なら許せるけどね、こと女に関しては、あんたの場合は食わず嫌いというより食えず嫌いだろうよ。

なんだか「饅頭こわい」の枕のようになってしまいましたが、親しい者に「嫌いだ、嫌いだ」って言う物を無理矢理食わせてみたいと思うのは、あれ何故なんでしょうねぇ?
「好き嫌いは身体のために良くないから」
なんてぇのは立前で、おそらくは人間の何処かに潜むSの心がそうさせるんじゃないでしょうか。

前置きが長くなりました。
今朝、眠い目をこすりながら食卓に着くと、私の目の前になめこおろしがドーン。
「あっ、ごめんごめん、嫌いな人は食べなくていいから。」
私の茸嫌いは半端なものじゃありませんで、昔「これくらいなら分かるまい」と隠し味に入れられたインスタントの松茸のお吸い物をみごと嗅ぎ分け、一切食べなかったという強者です。
爽やかな朝に、その私の目の前に、メインディッシュの塩鮭より手前に、大好きな納豆なんか遠~~くのほうに置いときながら、事もあろうにな・め・こ・お・ろ・しって・・・・・
(「イジメだぁ、家庭内イジメだぁ~~~!!」)
「せっかくKさんにいただいたからね、旬の物だし、嫌いな人は無理して食べなくて良いよ・・・・・・あらま美味しい、なんでこんなに美味しいものが嫌いなんだろねぇ」
「うるさい!」
場所をトレードした納豆をこねくり回しながらおもわずにらみつけてしまいました。(笑)

そういえば、この納豆が嫌いだという方にもまれに出会うことがあります。
かつて、いわゆる糸引き納豆は関東以北の食べ物で、関西では塩味の乾燥納豆『大徳寺納豆』くらいしか無かったので、関西の方に嫌いという方が多かったようですが、今では大阪のビジネスホテルでも平気で朝食に出てきますから地方差は昔ほどではないのでしょうね。

この納豆ですが、私は、ともかくこれでもかと言うくらい練らないと気が済まないのでありまして、
「もういいんでねぇか?」
逆に母は練りすぎが嫌い、朝の納豆は個人盛りでない我が家では練り方でしょっちゅうもめるんであります。(笑)
「なにをおっしゃいますか、納豆は練れば練るほどポリグルタミン酸の旨味が増すんだから」
なめこおろしの仇を納豆で取る・・・食卓は戦場だ!(なんじゃそりゃ)

いずれにしても、嫌いな物をむりやり勧めるのはよくありませんよね。
「飲めないひとに酒を勧める誰かさんもね。」
「ファ~~イ、気をつけま~~す。」

さて、今日の一枚は、帝王マイルス・ディビスですが・・・・・・

嫌いなひとに無理に勧めるのも悪いですけど、自分が嫌いな物を勧めるのもいかがなものですかねぇ。
ハッキリ言います。このアルバム嫌いです。(笑)
いかに油井正一氏が「歴史を変える傑作」と言おうと、「この壮大な音楽、人間のさまざまな感情を極限にまで表現した圧倒的かつあまりにもヒューマンな音楽」と中山康樹氏が熱く語られても、私は嫌いです。(笑)

電子音もさることながら、例えば、マイルスのトランペットがアタッチメントマイクで拾われた音をアンプから出した音、直接ミキシングボードに取り込んだもの、そして通常に拾ったもの、これをさらにコロンビアのエンジニアが開発した機材で、ディレイ、エコー、なんたらかんたら・・・って、やっぱり私の小さなバッファーではこなしきれないのだと思います。
最後には「オレは陳腐な、バッファーすら持たない古いプリンターで充分、プイ」みたいなね。

フリーへの変革にはそれなりについて行けた私も、このマイルスの歴史的変革にはついて行けなかった、ということなのでしょうか?

それでもこうしてたまに聴くことは聴くんですよ、でも必ず
「もし、コルトレーンが生きていればいずれこの方向へと向かったのだろうか?だとしたら確実に私はコルトレーン・ファンを止めていたに違いない。いやいや、晩年のコルトレーンを聴けば彼がこの方向へ向かうことはけして無かったと断言できる!」
と、一面だけを聴き終えて、すぐにコルトレーンの「THE OLATUNJI CONCERT」を聴き始め、最後はどっと疲れて終わるんです。今日もそうでした。(笑)

ともかく、このアルバムを愛する方には大変申し訳ないのですが、未だに「マイルスが好き」と公言できない私、このアルバムはその原因を作った代表的一枚であることはたしかだと思います。

BITCHES BREW / MILES DAVIS
1969年8月19,20,21日録音
MILES DAVIS(tp) WAYNE SHORTER(ss) BENNIE MAUPIN(bcl) JOE ZAWINUL, LARRY YOUNG, CHICK COREA(elp) JOHN McLAUGHLIN(g) DAVE HOLLAND(b) HARVEY BROOKS(elb) LENNY WHITE, JACK DeJOHNETTE(ds) DON ALIAS(ds,cong) JUMMA SANTOS(shaker,cong)

1.PHARAOH'S DANCE
2.BITCHES BREW

1.SPANISH KEY
2.JOHN MCLAUGHLIN
3.MILES RUNS THE VOODOO DOWN
4.SANCTUARY


孝行息子?なおみに酔う??

2009年11月22日 | m-o

三連休の中日、私にとっては完全休日は今日だけだったのですが、朝からいろいろと忙しくて、
まずは朝一で病院へ、いやいや「ついに出たか私の肝硬変」ではなく、母の胃の検査に付き合わされたのです。

毎年健康診断をしていただいている近くのお医者様に
「たんなるポリープだと思うけど、いちおう検査しておいてみる?」
ポリープは昨年からあるもので肥大も見られないから心配はないとの事だったのですが、検査をして確認をすればさらに安心だろうと、胃カメラを使いサンプルを採って病理検査してみようというわけです。

それでも、母にしてみればテレビの三文ドラマのごとく「そう言いながらじつは悪性」みたいな不安は当然あるわけで、
「○○(私です)、先生に話を訊いてきてくれるか?かあちゃんじゃ聞いてもわかんねぇから」
先生曰く
「今までの経過を見ても、胃カメラでの診断でも、おそらくは悪性じゃないと思いますよ。もちろん、きちんとした結果には一週間くらいかかりますけど」
とのこと、
「・・・・・だって、大丈夫みたいだよ、もしもっと真剣に悪性が疑われるんだったら、△△先生もオレにそれとなく話すだろうし、安心して良いって言ってたから」

そんなこんなで午前中は終わり、検査のためにすぐにはものを食べられない母をいちおう気遣って、遅めの昼食は煮込みうどんを私が作りました。
心を込めて作ったのですが
「ダメだ、まだ口ん中がおかしくて、味がわかんねぇわ」
「なんだよ、せっかく作ったんだから、嘘でも美味いくらい言えば」
「ハハハハハハ」
母もほんのちょっとだけホッとしたのか、午後は昼寝をしておりました。
来週出る結果がさらに母を安心させてくれると私も信じています。

昼寝もできない私は、午後から昨晩録画しておいた『BSまるごと全集 ちあきなおみ』を見ました。
昨年の2月に『たけしの誰でもピカソ』で観て以来、カラオケで歌うわ、鼻歌でおもわず出てしまうわ、ちあきなおみは、私の心をつかみ続けておるわけでして
「うんうん、やっぱちあきなおみ、ええわぁ・・・・」(笑)

 ♪ あたしが着いたのは ニューオリンズの
   朝日楼という名の 女郎屋だった

   愛した男が 帰らなかった
   あんときあたしは 故郷を出たのさ ・・・・♪

「げげげげ、なんと、なおみさんは浅川マキの『朝日のあたる家』をステージで歌っておられたのね。」
私は、昔っからのちあきなおみファンでもありませんし、もちろんステージをナマで観たこともないわけで・・・・
「ああ~~ん、やっぱこういうとこでも、あたしゃなおみファンになるべき運命だったんだわいな」
みなさんには何の事だかチーっとも分かりませんよね。(笑)

私がどこか他人のせいのごとく浅川マキを聴いたという話は、ここでも何度も出ている事ですから、うすうす私が浅川マキファンであることは皆様お気づきのことと思います。(笑)
さらには、『朝日のあたる家』は、その浅川マキの歌で「私のベスト10」に入る一曲なのであります。
本歌は、ご存じですよね、アメリカのトラディショナル・フォーク・ソング。ボブ・ディランにジョン・バエス、フリジッド・ピンクなんかのもありましたねぇ、やっぱ聴き慣れてるのはアニマルズでしょうか、あたしゃジャニス・ジョプリンにぜひとも歌ってほしかったけど・・・おっと、話が飛んだ。
これに日本語歌詞を付けたのが浅川マキ・・・・たまらんのですなぁあの独特な雰囲気が。

それをあ~た、ちあきなおみが歌ってたなんて・・・・知らなかったぁ
調べてみたらレコードも出してんじゃないですかぁ、
即席ファンはこれだからいけませんねぇ、もっとなおみを勉強せねば(笑)

てなわけで、ちあきなおみを堪能したら、そりゃもうお酒を飲まないわけにはイカンでしょ。
「ようし、つまみを作るぞう!!!」
愛車カオウ号にまたがり、小雨など気にも止めずに、いざスーパーへ
『料理当番、本日の一品』です。

まずは、ブリの照り焼きです。

もう一品は、得意のモツ煮。
「う~~ん、日本酒がシミル~~~~!!」

もちろん、母にはお粥を作ってあげましたよ。(う~~なんとけなげな息子でありましょうか・・・ねぇ)
こうして、孝行息子(?)は、なおみに酔ったのでありました。

さて、今日の一枚は、チャールス・マクファーソンです。
マクファーソンというと、どうにも「時代遅れ」とか「遅れてきたバッパー」とか言うし、特にこのアルバムはジャケットも購買意欲を削ぐ感じがしますよね。
しかぁし、そんなことはものともせず、じつに心に響く歌を聴かせてくれるんであります。

「THE GOOD LIFE」のマクファーソン、なんとも言えないパット・マルティーノのソロから始まる「WITHOUT YOU」のマクファーソン・・・・・
日本酒をバーボンに持ち替えて、また酔ってます。(笑)

「音楽に古いも新しいも、時代遅れも流行も、そんなの関係ぇねぇんだってばさ、良いものは良い、なおみもマクファーリンもそれを語ってるじゃござんせんか。」

FROM THIS MOMENT ON ! / CHARLES McPHERSON
1968年1月31日録音
CHARLES McPHERSON(as) PAT MARTINO(g) CEDAR WALTON(p) PECK MORRISON(b) LENNY McBROWNE(ds)

1.LITTLE SUGAR BABY
2.ONCE IN A LIFETIME
3.THE GOOD LIFE
4.LIKE THE WAY YOU SHAKE THAT THING
5.FROM THIS MOMENT ON
6.WITHOUT YOU
7.YOU'VE CHANGED


つぶらな瞳が歌いかける

2009年11月21日 | v-x

毎日寒いですねぇ、さすがの私もストーブに灯油を入れました。(エアコン、温風ヒーターが苦手だという話は以前しましたよね。)それでも着火式はまだ執り行っておりませんので、我が皮下脂肪は充分に防寒機能を発揮していると言っても良いでしょう。(笑)

毎回話題にさせていただいている朝日新聞土曜版be『song うたの旅人』ですが、本日の同記事では童謡「ぞうさん」を取り上げておりました。
 ♪ぞうさん ぞうさん
  おはなが ながいのね
  そうよ
  かあさんも ながいのよ ♪
っていうあれです。

記事の内容とはまったくかけ離れますが、皆さんが始めて象をご覧になったのはお幾つくらいのことだったでしょうか?
私は小学校の4年生でした。
何故にそんなにハッキリと覚えているのかというと、それが父と二人っきりで泊まりがけの旅行に出かけた最初で最後の事だったからです。

せっかちでワガママだった父は、子供好きではあったものの、家族と一緒にゆっくりと観光地巡りなんてぇことはまずしない人で、まして「息子と二人っきりなどとんでもない」といった現代なら怒られそうな父親でした。(まっ私も父のことは言えない似た者どうしなんですがね。)
「そんな父が、私と二人で泊まりがけの旅行?」
と、その時も不思議に思ったものです。
今思えば、宿泊したのは叔父の家で、おそらくは父と叔父の大人の相談がそこにはあったのではないかと思っています。(けっきょくは一緒に行きたいという私のワガママをきいてくれたんでしょうね。)

そんなこんなで行ったのは、東京上野の上野動物園、そして後楽園のナイター観戦でありました。

現代では電車も高速化していますし、自家用車もあたりまえですから、「象を観る」なんてぇことはすぐにでもできるんでありますが、当時は上野駅まで電車でも片道5時間、あの直角の木の椅子に座って揺られ続けなければ行けませんでしたから、田舎の子が「象を観る」てなことは大変なことだったのであります。
始めて観る象は、始めて観る東京の姿とともに、私にとっては大きなカルチャーショックであったことは言うまでもありません。
まるで幼児のように象を見上げながら
「♪ ぞうさん ぞうさん・・・・」
ってね。
五、六年後には、ジャズ喫茶でクダを巻いていたバブからは想像もつかない純真無垢な姿がそこにはあったのですよ。(笑)

以来、何度ぞうさんと対面して来たでしょう?
時に一人で、時に彼女と、時に子供たちと・・・・・・・
あの優しげでつぶらな瞳は、都度都度、童謡「ぞうさん」を歌いかけてくれていたように思います。

そんなことをふと思い出した記事でありました。

さて、今日の一枚は、シダー・ウォルトンです。
ウォルトンも経歴、実績、テクニック、いずれをとってももう少し目立ってもよいピアニストだと思うのですが・・・地味ですよね。(笑)
ここでも、サイドメンとしては数多くアルバムを紹介しているものの、リーダー盤は今回がやっと二度目の登場だと思います。

「HIGGINS HOLLER」というノリノリのジャズ・ロックに始まり、知的な感じが滲み出る「DAYS OF WINE AND ROSES」・・・・・
久しぶりに聴きましたが、良いですねぇ。
フロントは、ブルー・ミッチェル、クリフ・ジョーダン、私の触覚が動かないわけがないのですが、それ以上にリチャード・デイビス、ジャック・デジョネットが気にかかるのは、トリオ演奏に耳が奪われるからでしょうか。

まっ、シダーのリーダー盤全てに言えることかもしれませんが、「超名盤ではなくとも聴くべし」でありましょうかね。

そういえば、
シダーというと、第一回の「オーレックス・ジャズ・フェスティバル」で来日した際、横浜スタジアムに聴きに行く予定だったんですよ。だったんですが、けっきょく、NHKの放映を見た記憶があります。
あれ?何で行かなかったんだろう?????

SPECTRUM / CEDAR WALTON
1968年5月24日録音
CEDAR WALTON(p) BLUE MITCHELL(tp) CLIFFORD JORDAN(ts) RICHARD DAVIS(b) JACK DeJOHNETTE(ds)

1.HIGGINS HOLLER
2.DAYS OF WINE AND ROSES
3.JAKE'S MILKSHAKES
4.SPECTRUM
5.LADY CHARLOTTE

追伸、
昨日は一昨日の寝不足が尾を引いて、公園で車中昼寝をしてしまいました。写真はその時の公園で撮影したものです。
本文とはなんら関連性が無いことは、平にご容赦下さい。(笑)


私もお酒で甘くなる?

2009年11月19日 | m-o

今日はボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。
昨晩0時をまわってから、Mさんと二人でお客様へのお届け係です。もちろんお届けだけで済まないのが例年のことで、なっなんと帰宅は朝の5時、本日は2時間という睡眠時間に二日酔い(正確には当日酔いですが)も重なって辛い一日でした。
まっこれも自業自得、今晩は早く寝よっと。

さっそく味わった今年のボージョレ・ヌーヴォーは、「ここ50年で最高のでき」なんだそうですが、私しゃワインの味などとんと分かりませんのでなんとも言えません。ただ、ヌーヴォーというと毎年そうであるように、フルーティーではあるものの私にはちょっくら水っぽいんでありまして、どちらかと言えばガツンとおも~~い赤がお好みの私には物足りなさがあります。
えっ?それじゃあまり進まなかったのかって
そりゃアンタ、「酒と名の付くものなら薄かろうが濃かろうが美味しくいただく」これ、私の信念ですから(笑)

そんなこんなで今朝、眠い目をこすりながら起きてくると、ヌーヴォーと同じく季節を告げる物が届いておりました。

『会津みしらず柿』です。
「おうおう、おまえは焼酎で何日酔いだい?」
てな、くだらないことを言うと
「柿はいいよねぇ、一回飲めば気が済むんだから、だれかさんみたいに毎日毎日じゃ甘くなるどころか腐っちまうてぇの」
たしかに我が体内のアセドアルデヒドは我が脳を犯していることは否定できません。
「でもほら、オレの場合、それで人間が円くなってるというか、人間味を増しているというか・・・・やっぱアルコールが味を出す決めてなんだなぁこれが」
「ほんと、あんたは幸せな人だわ」
あきらめとあきれが入り交じった空気の中、我がアルコール臭だけが虚しく漂っておりました。とさ。

さて、今日の一枚は、テテ・モントリューです。
このちょっとキンキンというピアノ音は、彼独特のものですよねぇ、でも、これが癖になるんだなぁ・・・・・
そんなこと言いながら、好きなわりにはターンテーブルに乗る頻度が少ないのは何故なんでしょ?(わかるかい!そんなこと)

「BLUES FOR NURIA」なんか聴くと、ちょっとモンクをイメージしたりして、でもモンクとはあきらかに違うんですよねぇ・・・なんなんざんしょ、この力強いのに流れるようなピアノ・・・・・
そうかぁ、この人のピアノは聴くたびに新鮮味があるんだなぁ、だから思い出したようにターンテーブルに乗っけるんだぁ・・・・

って、分かったような分からない事を言っていますが、テテとペーター・トルンクのオリジナル3曲をはじめ全曲素晴らしい出来だと私は思います。
それにしても曲を贈られたNURIAってぇ方はどんな方なんでしょ?
いいよなぁ、ピアノ弾ける人は・・・・・・・(笑)

PIANO FOR NURIA / TETE MONTOLIU
1968年2月2日録音
TETE MONTOLIU(p) PETER TRUNK(b) ALBERT HEATH (ds)

1.BLUES FOR NURIA
2.TRANQUILLOGY
3.ALONE TOGETHER
4.SPEAK LOW
5.VISCA L'AMPURDA
6.I SURRENDER, DEAR
7.STABLE MATES


男の権利を奪うなぁ???

2009年11月17日 | p-r

昨日あたりからドッと寒くなってまいりまして、冷たい雨が季節の移ろいをいっそう感じさせます。
「もう暑くはなんねぇんだろうなぁ・・・」(笑)

寒くなると、どうしても近くなるのが・・・・・

 ♪ チン チン チンチンチン
   チン チン チンチンチン
   ヤー ヤー ヤーヤーヤー
   チン チン チンチンチン
   こどもの頃の 雪の朝
   白くつもった 庭に出て
   ちんちんつまんで おしっこで
   雪に名前を 書いたっけ
   オー チンチン オー チンチン
   あのチンポコよ どこ行った ♪

「なにを突然」でありますが、先日S君が「『無呼吸症候群』との診断を受けた」との話をしていまして、私もおそらく診断を受ければ同様の結果になるのではないかと思います。これも過度のアルコール摂取と必要以上に蓄えた脂肪、そしてなにより寄る年波ってやつですか。

「本人はじゅうぶん熟睡しているつもりなんだけどなぁ・・・・ただ、ションベンが近くなっちゃってさぁ、朝方必ず目が覚めんのよ。あんたもそうかい?」
とS君
「あぁ?・・・そうだなぁ、オレはショウベンのほうはまだ大丈夫だなぁ」
なんとも悲しい会話ではござんせんか。ほんと「あのチンポコよ どこ行った」ですよ。ほら「オー・チン・チン」に話がつながったでしょ。(笑)

最近は男性でも座って用を足す人種が増殖しているそうでありますが、「立ちションベン」ってやつは「男の醍醐味」なんてぇのは古いんでしょうな。
それでも、小さい頃、「オー・チン・チン」のような、あるいは「飛ばしっこ」とか「的当て」とか、大なり小なり男であればどなたも思い出があるもんですし、さっきまで喧嘩をしていたのが「連れション」で仲直り、みたいなコントかなんかに出てきそうな経験もあるものです。
そういえば「男性用便器に丸い的を付けたら、汚れが半減した。」なんて話題も以前ありましたよね。

 小便の身ぶるひ笑へきりぎりす
と詠んだのは一茶でありました。
 小便をそっぽうへするきつい風
てな川柳もありました。

えっ?今日はいったい何を言いたいんだって?
えっえ?「さてはオヌシもトイレを汚すからと座ることを強要されているとか?」ですって?
「・・・・・・・・・」

ともかく、男ってぇもんは「小便の出方で体調を診る」的ことを、知らず知らずに「立ちションベン」から学び取っているんですよ。しかるに
「男の権利を奪うなぁ!」
私はここに強く訴えるのであります。(笑)
ちなみに
 娘シイ年増のはジュウ乳母はザア
なんて川柳もありましたよ。(失礼)

「なに?ほんじゃ出が悪いとか、そういうこともあんの?」と私。
「う~~ん、そうは感じないけど、時間が長くなったような気もすんなぁ」
悲しい男の会話は、なおも続いたのでした。

さて、今日の一枚は、ハワード・ラムゼイです。
「ハワードは、ジャズ・ベーシストとして優れていたが、有能なプロモーターであり、ライブ・ハウスの経営者でもあった。音楽家として才能があったのに、ビジネスが忙しくなってプレーヤーとしての活動があまりできなかったことは惜しい。」
と語ったのはレイ・ブラウンでありました。
西海岸では屈指のベーシストが、今一つメジャーなベーシストとなっていないのも、そこに原因があるわけですが。

このアルバムは、そのライブハウスのオールスターズが、コンサートイベントを開いたときのライブ盤です。

聴けばわかるとおり、ハワードというのは「前へ前へ」といったベーシストではありませんねぇ、やはり「まとめ役」「縁の下の力持ち」的資質に富んでいたことをうかがえます。ある意味、いかにもベーシストらしいといえばらしい。
しかるに、オールスターズにありがちな、まとまりのない演奏はここにはありません。それでいてそれぞれの特長が細部に出ていて、よろしいんじゃないでしょうか。

ハワード名義とはいえこのアルバムには、兵役を終えたばかりのハンプトン・ホーズのトリオ演奏が二曲収められています。(ベースはレッド・ミッチェル、これもハワードの声かけなればこその参加でしょうね)
これがじつに良いんですねぇ、ホーズ・ファンも必聴のアルバムともいえるかもしれません。

LIGHTHOUSE AT LAGUNA / HOWARD RUMSEY
1955年6月20日録音
HOWARD RUMSEY(b) BUD SHANK(as,fl) BOB COOPER(ts) FRANK ROSOLINO(tb) BARNEY KESSELL(g) CLAUDE WILLIAMSON(P) STAN LEVEY(ds)
HAMPTON HAWS(p) RED MITCHELL(b) SHELLY MANNE(ds)[4,7]

1.WITCH DOCTOR No.2
2.'ROUND ABOUT MIDNIGHT
3.MOOD FOR LIGHTHOUSE
4.WALKIN'
5.BLIND MAN'S BLUFF
6.LADY JEAN
7.THE CHAMP
8.CASA DE LUZ


カミンバ~ク マイ休日!

2009年11月15日 | g-i

今日は、雨が降ってほしかった・・・・・
いやね、ちょっと前から「いろいろやってほしいことが溜まってるからね」とは言われていたんですが、なんやかやと逃げていたのでありまして・・・・・
それがア~タ、朝、目を覚ませば、これでもかってくらいの青空じゃありませんか。
「よかったねぇ、晴れて。まずは物置の整理をしてもらって、庭の枝も切ってほしいし、換気扇も洗ってほしいし(ets.ets.・・・・)」
「何も全部いっぺんにやらなくとも・・・・けっこう疲れてんだけどなぁ」
「何言ってんのぉ、疲れを取るために昨夜はお酒を飲んだんでしょ」
「えっ?えぇぇぇ??????」
たしかに昨晩はお酒を飲みましたよ、飲みましたけど、Mさんのお店から帰ってからですから、夜中の12時過ぎですよぉ飲み始めたのは。
何を言っても、本日の予定は全て決められているのでありまして、一つ一つやっていくしか私には選択肢が無いのでありました。(トホホ)


なにしろ古い家なもんで、お風呂の通気口が
閉まらなくなっちゃいましてね。
木っ端を切り合わせて、取り外しできる蓋まで作らされました。

てなわけで、一通りの課題を済ませ、珈琲を飲みながら一服した時には、すでに午後3時をまわっておりました。
夕食の準備時間までは約二時間、せっかくの休日に私に残された自由時間はこれだけですよ、こ・れ・だ・け、おもわず愚痴りたくもなりますって・・・・
「おっと、愚痴ってる時間がもったいない。見ようと思っていたDVDを急ぎ見なくては」

ということで見たのは『天使と悪魔』です。
前作の『ダ・ヴィンチ・コード』は「原作を読んでおかないと内容がわかりにくい」みたいな評もありましたが、今回のはそれは全くありませんでしたね。ただ、私に言わせればそれが逆に深みがなかったというか、テンポが早いのも良いんですけど、観客が謎解きをする間もなく答えを言われちゃうみたいな感じがあって、それでいて結末はなんだか早い段階で分かってしまうみたいな。

じつを言えば、私の自由時間(笑)では全部を見終われずに、つい先ほど残りを見たのですけど、(『天地人』と『JIN-仁-』は、録画してます。笑)「やっぱりなぁ」という結果でありました。
詳しい内容は、まだ見ていない方のために申しませんが、私的には「今一つ」だったかな。トム・ハンクスは嫌いじゃないんですけどね。(まっ、偉そうに)

そんなわけで、貴重な晴れの休日はあっという間に終わってしまったのでした。
おっと、忘れてました。『料理当番、本日の一品』です。

昨日、Mさんのお店のアルバイトの女の子が「ロールキャベツが好き」てなことを言っていたので、今日はそのロールキャベツを作ってみました。
コンソメ味とかトマト味ってんじゃなくて、ポトフ・イン・ロールキャベツみたいな(笑)。
ミスマッチではあるのですが、アツアツで食べたかったので、小さな土鍋に盛ってみました。
なかなかのお味でしたよ。

さて、今日の一枚は、ジミー・ジュフリーです。
ジュフリーというと、我がログではレニー・ニーハウスの「LENNIE NIEHAUS, VOL.5 : THE SEXTET」で一度ご登場いただいただけだと思います。
これは私だからではなく、日本ではじつに地味な存在てすよねジュフリーは。

今日のこのアルバムは、組曲というなんともジャズらしからぬ事に挑戦しているんでありますが、作・編曲にちょっと自信を持つとこういう事をやりたがるんですかねぇ?
今、続けてチコ・ハミルトンの「THE ORIGINAL ELLINGTON SUITE」を聴いていますけど・・・・もちろん、エリック・ドルフィーが係わるものに私が文句を付けるわけもないのですが、ちょっと飽きるかなぁ(笑)
ともかく「組曲への挑戦というのはどうなんだろう?」みたいなものは、どの作品にも感じられるところです。

このアルバム、米国内では「リード奏者として、はたまた作・編曲者としてのジュフリーを確固たるものへとした作品」として評価を得ているそうですが、つまりこれは、組曲「WESTERN SUITE」を評してのことですよねぇ・・・う~~ん、どうなんだろう?
やっぱり何処かに泥臭さというか、野暮ったさというか、そういうものがあったほうが、私的には評価が高いのだと思います。
聴いていて不快感は全くありません。でも、面白味がない、これが私の評価です。
まっ、ピアノレス、ドラムレス、ベースレスのトリオっていう編成自体、じつに挑戦的であるわけですけど・・・・・。

ただ、そんな取り組みで「TOPSY」「BLUE MONK」といった臭い曲をどうこなすのかという聴き方はアリだと思いますし、独特な演奏だと思いますよ。

まるで毛嫌いして紹介しているようになってしまいましたが、ジャズとはかくも自由な音楽なんであります。つまり、このアルバムが大好きだという方を私は全く否定しません。
ジャズって裾野が広すぎるくらい広いんですよね。「ジャズ好き」などと簡単に口にしちゃイカンのですよ、ほんと(笑)

今日は、映画評もアルバム評も、かなりの悪態をついてしまいました。これも昼間こき使われた反動ですかねぇ?
「カミンバ~ク マイ休日!」

WESTERN SUITE / JIMMY GIUFFRE
1958年12月3日録音
JIMMY GIUFFRE(bs, ts, cl) JIM HALL(g) BOB BROOKMEYER(tb)

1.WESTERN SUITE
     [Pony Express, Apaches, Saturday Night Dance, Big Pow Wow]
2.TOPSY
3.BLUE MONK


悪のヒーロー バブ仮面

2009年11月14日 | p-r

昨夜はいくぶん強めの雨が降っていましたが、今朝には断続的なものになり、そのうちやむんですかね。どうも最近は何事極端で、寒けりゃめいっぱい寒い、雨が降ればドッと・・・「昔からこうだったっけ」と思う一方、だんだんとこれに馴れつつある自分にちょっと不安を感じたりしています。

本日は、一昨日話題にした纒向遺跡の木製仮面からの連想話であります。
『お面』『面(おもて)』『マスク』『仮面』どれも同じ意味なのでしょうが、どうにもイメージが違う感じがしませんか?
これは私だけかもしれませんけど、例えば『お面』というと、「子供たちの手作りお面」だとか「お祭りの出店で買って来たお面」だとか、なんだかちょっと可愛らしいイメージがあって、『面』だとお能や狂言、『マスク』はプロレス、秘めた物が隠されていそうなのが『仮面』みたいな。(笑)
「これは何故なんでしょ?」てなことを、ふと考えたのです。

これは完全に幼少期に見た漫画やテレビの影響が大なんじゃありませんかねぇ。
『マスク』といえば「デストロイヤー」に始まり「タイガーマスク」。『仮面』といえば「月光仮面」にはじまり「仮面ライダー」。
考えて見りゃ「お祭りに行って、月光仮面のお面を買って来た。」なんてぇのは、大笑いな話なんであれますが・・・
でも待てよ、実際の(これも変な表現ですけど)「月光仮面」は、お面姿じゃありませんよね、なんだかわからないけど白いターバンみたいなかぶり物とサングラス、それに口と鼻を覆った白い布・・・・あっマスク?!いやいや『覆面』だ。『覆面』もまた『仮面』かぁ?
ほんじゃ「仮面ライダー」は?あれがかぶり物っていう設定じゃねぇ、なんたって「変身」なんですから。
「そうだぁ、『仮面』には変身するようなイメージが、他の表現より強いのかも・・・」
(ほらほら、くだらないことを考え始めるバブ病が始まりましたよぉ。)

変身と『仮面』のイメージには、密接な関連があるように思えてきました。
「善人の仮面をかぶった悪党」てな表現も「善人のお面をかぶった悪党」じゃ、たいした悪党とは思えないですもんね。
「いや、でもさぁ、狼男を狼仮面とは言わないっしょ」
「・・・・・・・」
ともかく、古くは「鞍馬天狗」に「白馬童子」、「月光仮面」に「七色仮面」、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「セーラームーン」だって、普段は普通の人間が、いざ『覆面』や『仮面』姿に変身すると、悪を懲らしめる正義の戦士となる「う~~ん、水戸黄門以来、日本人の大好物パターンだ!」
いやいや、日本だけじゃありませんよ。「スーパーマン」だって「バットマン」だって「スパイダーマン」だって・・・・・でもさぁ、なんで「スーパーマン」は、『仮面』もかぶらず、ほとんど変身もしていないのにクラーク・ケントだと気づかれないんだろ????
まっ、細かいことはほっといて、普段とは全く違う者に変身できる、それが『仮面』の力、いや『仮面』そのものなのでありましょう。

それ故に、『仮面』に真実を隠された姿は、とらえどころが無く、不気味に感じるのもたしかです。
写真は、S君が以前イタリアはベネチアのお土産にと買って帰った『仮面』であります。世界三大カーニバルの一つ「カルネヴァーレ」で使用される仮面』でしょうか、なかなか不気味ですよね。
案の定、ご家族には不評で、けっきょく自宅には飾れず場違いな事務所に飾ってあるという代物です。
いかにボン・キュ・ボンの魅力的な方でも、これをかぶって私を誘ってきたら、そりぁお断りしますもんねぇ。
え?そもそも誘わない?何をおっしゃいますか、私しゃ『仮面舞踏会』じゃ引く手あまた、お誘いを断るのに苦労したんですから。もちろん、夢の中でですけどね。(笑)

「おいおい、オレなんかさぁ、このいかにも善人そうな『仮面』の下に、じつはとんでもない悪人の顔を隠している『悪のヒーロー バブ仮面』かもよ。」
「いや、あんたの場合は『仮面』みたいな分かりづらい物じゃなくて、そのデブっとした腹の中に黒い物がいっぱい入ってる事が見え見えの『スケルトンマン』だから」
「・・・・・」

さて、今日の一枚は、ホレス・パーランです。
「SPEAKIN' MY PIECE」収録後、半年もしないで同一メンバーで録音された一枚。前にも言いましたかねぇ、ブルーノートに残るパーランとスタンリー・タレンタインの共演盤はどれも私好みでして、このアルバムも好きな一枚です。

パーランといえば、幼少期に発病したポリオのせいで、右手の薬指と小指が全く動かないというハンデを抱えたピアニストであったことは、前にも話しましたよね。
このアルバムのタイトル曲「ON THE SPUR OF THE MOMENT」に聴かれるちょっと不思議なフレーズはそのためだと言われています。
しかし、パーランの魅力はまさにそこなんでありますなぁ。ハンデを克服した独特なフレージング、個性的でじつに良い・・・・

もちろんフロントのタレンタイン兄弟も頑張ってますよ。トミーも豪快さを押し通しているし、スタンリーは野太くてゴリゴリしているのに柔らかい(どんな表現じゃい!)いつもの魅力を発散していますし、もろタレンタイン兄弟です。(これまたなんちゅう表現だか)

ON THE SPUR OF THE MOMENT / HORACE PARLAN
1961年3月18日録音
HORACE PARLAN(p) TOMMY TURRENTINE(tp) STANLEY TURRENTINE(ts) GEORGE TUCKER(b) AL HAREWOOD(ds)

1.ON THE SPUR OF MOMENT
2.SKOO CHEE
3.AND THAT I AM SO IN LOVE
4.AL'S TUNE
5.RAY C.
6.PYRAMID