JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

三者三様の小悪魔

2008年06月05日 | g-i

朝方晴れていた空も、徐々にどんよりとした厚い雲に包まれ、雨が降ってきました。いよいよ梅雨本番近しといったところでしょうか。

時に、人間の記憶というものはおかしな話に結びついたりするもので
「あれ、たしかバブちゃんあたりもキャンデーズ世代じゃなかったっけ?」
と藪から棒に訊いてきたのは喫茶店のマスター。
私がランチを食べに行く前にどうもキャンディーズの話題で盛り上がっていたようで
「いやね、さっき友達が来てたんだけど、ほら、この前あった『全国キャンディーズ連盟2008大同窓会』って、キャンディーズのフィルムコンサート、あれに行ってきたっていうからさ」
「キャンディーズねぇ、たしかに世代だけど、俺は身を乗り出して聴くほどのファンでもなかったし・・・・そうそう、大学の同級生にはいたよ。部屋んなか全面キャンディーズのポスター、みたいなヤツ。」(笑)

するとそこに居合わせたNさんが
「そうそう、俺もねぇ、どっちかっちゃあピンクレディー派だったんだよなぁ、だけどキャンディーズの歌も良く覚えてるよ。」
(おいおい、俺が言ってるのは、キャンディーズ派だのピンクレディー派だのいうことじゃなくて・・・・・・)
「なんだっけ?『男の子女の子』じゃなくて・・・『年下の男の子』。あとねぇお引っ越しのお祝い返しはってやつ、あとね『可愛い悪魔』
「可愛い悪魔ぁぁぁぁぁぁ?!!!!」
思わずマスターと二人で突っ込んでしまいました。まぁ『やさしい悪魔』と間違ったことはいうまでもありませんが。

面白いのはここから
この間違った『可愛い悪魔』から、話題はキャンディーズからは大きく脱線したのでありまして
『可愛い悪魔』かぁ、渥美マリ、思い出すなぁ・・・」とマスター
渥美マリ???????」
するとなにやら裏の方からゴソゴソとCDを引っ張り出してきました。
「君たちは知らんのかね、我が世代のセックスシンボル、渥美マリを」

なんとも色っぽいジャケット、なんとも悩ましい眼差しでありますが、
『可愛い悪魔』っていったら、渥美マリ軟体動物シリーズ第5弾『でんきくらげ~可愛い悪魔』と『可愛い悪魔 いいものあげる』を思い出さなくちゃ」
渥美マリとは1960年代後半から1970年代にかけて活躍した大映の若手ナンバーワン女優だったんだそうで、その抜群のプロポーションと美貌、そして若者の血気盛んな部分をコチョコチョッと刺激する映画に、マスターなどはメロメロだったんだそうであります。
「バブちゃんだって覚えてると思うんだけどなぁ」
「いえいえ、わたくし、邦画には興味がありませんでしたし、まして微エロであろうと超エロであろうと、女性に興味がございませんでしたから、カッカッカッカ」(うそうそ)
「でも、ほんと綺麗な人だったんだよぉ・・・・いまどうしてんだろうなぁ」
青春時代、いろんな意味でお世話になった憧れの女(ひと)を思い出すマスターの顔が、なんだかみょうに可愛く見えたのでありました。

「おれは『可愛い悪魔』っていったら、やっぱベベ、ブリジット・バルドーだなぁ」と私。
「なんだよ、渥美マリより古いジャン」とはマスター
「そうはいうけどねぇ、あの若い頃のベベの魅力は凄かったでしょうよぉ」
と頭に若かりしブリジット・バルドーを思い浮かべた私の顔も、可愛かったんでしょうか?

すると、今まで黙って何かを思い出そうとしていたNさんが突然
「俺は『可愛い悪魔』っていったら、渥美なんとかでもブリジットなんとかでもなくて、秋吉久美子だな」
秋吉久美子???そんな題名の映画あったっけ?????」
「ちゃうちゃう、火曜サスペンス。テ・レ・ビ。」
「???????」
「テレビっていっても、たしか大林宣彦監督作だったと思うよ。あれ?知らないのぉ?」
どうも長くの沈黙は大林宣彦監督を思い出していたみたいで
「ダメだなぁ、同郷の女優の作品くらいチェックしとかないと」

あははははは、ねっ笑っちゃうでしょ。キャンデーズの間違った曲名の話から三人の女優の名前が出てくる、三人三様、その小悪魔達の顔を思い浮かべながらウットリしてる様なんざぁ、まさに中年オヤジの悲哀そのものでありますよね。(笑)

さて、今日の一枚は、超メジャー盤、ジャズの世界に一大ボサノヴァ・ブームを巻き起こしたアルバムです。
ジャズを聴かない人でも、この「イパネマの娘 THE GIRL FROM IPANEMA」を聴いたことのない人はおそらくいないでしょう。
まぁ、内容を今更云々言ってもしかたのない一枚ですので「何故に今日このメジャー盤を持ち出してきたのか?」ということなのでありまして

『ボサノヴァの歴史』の著者でもあるルイ・カストロが書いた『ボサノヴァの歴史外伝~パジャマを着た神様』という本をご存じでしょうか?(たしか翻訳版が発刊は5年くらい前だったと思います。)
この中に、今日話題のBB(ベベ)、ブリジット・バルドーのお話が載っているのであります。

カリオカ、ボブ・ザグリーは、1963年カンヌでBBと知り合います。そして、彼女のハートを射止めたボブは、BBにサンバやボサノヴァを聴かせ、夢中にさせたのだそうです。
「ボブ、何処か二人っきりで、誰にも邪魔されず、素足で、ヴィオラォンを弾き、愛を交わし、波打ち際で魚を食べられるような、そんな浜辺で過ごしたいわ。」
(クー!言われてみてぇ、ほんでもって、それに答えられる器量も欲し~~~!)
BBのことばにボブは「リオへ来ないか」と誘い、
1964年、BBは一夏の間、アルマサォン・ドス・ブージオスの浜辺で、パパラッチ等々の喧噪から逃れ、静かな時を過ごしたのでした。
もちろん、サンバやボサノヴァを聴きながら・・・・・

てなことで、このアルバムというわけです。(笑)
まぁ、詳しくは『ボサノヴァの歴史外伝~パジャマを着た神様』をお読みになってみて下さいね。

そういえば、先日いつものバーで、ボサノヴァがずっと流れてましたっけ・・・・今晩はどうかな?
「って、まさか出かけるつもりじゃないでしょうね!!!!」

GETZ / GILBERTO
1963年3月18, 19日録音
STAN GETZ(ts) JOAO GILBERTO(g,vo) ANTONIO CARLOS JOBIN(p) TOMMY WILLIAMS(b) MILTON BANANA(perc) ASTRUD GILBERTO(vo)

1.THE GIRL FROM IPANEMA
2.DORALICE
3.PRA MACHUCAR MEU CORACAO
4.DESAFINADO
5.CORCOVADO
6.SO DANCO SAMBA
7.O GRANDE AMOR
8.VIVO SONHANDO