寒の戻りに今年はもう買わずに済むかと思っていた灯油をまた調達するハメになりそうで、ふくらみかけた桜のつぼみも咲くタイミングを逸したようです。
名物に美味いもの無し
昔から普通に使っていながら「それでも旅をすれば名物を求める。」これは日本人の習性みたいなものですよね。
でも嬉しいかな最近は「名物に美味いもの無し」とは言えないようになってきました。それはきっと良い意味で本物志向が根付いて来たせいでもあるでしょうし、売り出す側にも、たんに「無理矢理名物にしよう」的安易さではなく、「地で昔から親しまれてきた品々を名物にしよう」という本来の姿が定着しつつあるという事なのでしょう。
一昨日から一泊どまりで同級会に出掛けた母は、久しぶりの地元をじゅうぶんに楽しんできたようで、
「いらねぇって言ったんだけど、○△が「もってげ」って言うもんだから・・・」
などと言いつつ、いくつものお土産を鞄から出しながら
「○○いっぺや、○○は××しゃったじゅうや」
と、方言丸出しで私の知らない人の近況を一生懸命説明してくれました。(笑)
これは、母の実家からは少し離れるのですが、会津柳津名物『粟饅頭』です。
その起源は180年ほど前、大きな災害が柳津を襲った事に始まるそうで、その時に「もう災害に(あわ)ないように。」てんで、日本三大虚空蔵尊の一つでもある福満虚空蔵尊圓蔵寺、通称『こくぞう様』に粟饅頭を奉納したことから生まれた名物といいますから、歴史は古いんであります。
クチナシに染まった黄色い粟に包まれたこしあん、もちろん「化学なんとか」とか「合成なんとか」なんてぇもんはいっさい使われておりません。甘すぎず、香りよく、その素朴な味わいは・・・・・・・・
すいません。じつは私は全く食べない代物なんです。(笑)
どうも甘いもんはねぇ、それに、あの粟のプチプチ感も、私にはちょっと合わないようで、
「こんな美味しいもの、何で食べられないのぉ?」
(「お茶ではなく、私に入れさせた珈琲でそれを食べるあんたもどっかおかしいよ」)
と思いつつも
「美味しい?そりゃ良かったねぇ」
へへへんだ、私が楽しみなのは、ワラビにウド、それからこれこれ『豆餅』、柳津の『粟饅頭』なんて目じゃないね。(笑)
面白かったのは、この『黒じゅうねんドレッシング』でしょうか。最近できた名物らしいのですが、どんな味がするのかちょっと楽しみです。
まっ、いずれにせよ、ここ何日間かは、母の思い出話に付き合わされそうです。知らない人の話を方言でまくし立てられても、私にはまったく迷惑なんでありますけど、これも親孝行だと思って「はいはい」と聞き役に徹しましょうか。
「疲れた、疲れた」と言いつつも母には楽しい同級会だったようで、ほんと、良かったね。
さて、今日の一枚は、ドロシー・アシュビーです。
私が昔から不思議に思っていたのは、何故同じ楽器なのにジャズを演奏した瞬間にジャズ○○になるのか?ということでした。まっそう思いつつも、口に出来ない疑問ではあったわけですが(笑)
例えばサックスなら、マウスピースやリードの違い云々、ある程度理解できなくもないんですよ、ないんですが、例えばピアノなら弦を張り替えるわけでもなく・・・たしかにジャズむきのピアノってぇのはあるんでしょうけど、いつもそれを持ち歩くわけにもいかないでしょう。
あはは、何をいまさらそんなことを言ってるのか、てぇはなしですがね。
そんなことを考えながら、ことその楽器がハーブということになると、まさに私のイメージの中でジャズ楽器という概念は存在し得ないのであります。
たしかに、昨年亡くなられたコルトレーン夫人、アリスもハーブ奏者でありましたし、山本邦山の尺八にしても、津軽三味線でジャズ演奏をこなした各方々にしても、その他数々の楽器でジャズを奏でた方は数多く存在します。どんな楽器でもジャズを演奏しちゃいけないってな決まりも法律も無いわけで、まして自由こそがジャズであるとしたら、そんな概念は捨てるべきものに違いありません。
アシュビーは、ジャズ・ギタリストである父、ウイリー・トンプソンから音楽の手ほどきを受け、ウエイン大学でさらに音楽を学び、なんと一年前に手にしたハーブをひっさげてデビュー、ルイ・アームストロング、ウディ・ハーマン、デューク・エリントン楽団、ラムゼイ・ルイス、ジュリー・マリガン等々大物達と共演、一方でリージェント・レコードから初リーダーアルバムを出すと、プレスティッジ、アーゴ、ジャズランド、アトランティック等々に吹き込みを続けるという、まさにジャズ・ハーブのパイオニアとして、地元デトロイトを中心に活躍を続けたのでありますが・・・・
これが、はたして、他に演奏する者がほとんどいなかったハーブという楽器のおかげだったのか?それとも、彼女自身の実力であったのか?それは、この一枚をはじめ、彼女のアルバムをを聴いて判断されるべきでしょう。
私のようにハーブをジャズ楽器という概念が無いと決めつけ、聴くことすらためらう事は、大いなる間違いであると思います。
ジャズ・ハーブ、たまにはこんなんに触れながら一杯いただくのも悪くありません。
IN A MINOR GROOVE / DOROTHY ASHBY
1958年9月19日録音
DOROTHY ASHBY(harp) FRANK WESS(fl) HERMAN WRIGHT(b) ROY HAYNES(ds)
1.RASCALLITY
2.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
3.IT'S A MINOR THING
4.YESTERDAYS
5.BOHEMIA AFTER DARK
6.TABOO
7.AUTUMN IN ROME
8.ALONE TOGETHER