JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ミルクかソースかそれが問題だ!?

2008年01月31日 | d-f

ひょんなことで話が盛り上がるってことありますよね。
今日、とあるお客様の所へ行ってお茶をいただいていると、無造作に盛られた茶菓子のなかに『カットよっちゃん』が紛れ込んでいました。

♪ あら よっちゃんの すずけいか ・・・・・♪

すぐにこのCMソングが口に出てしまいます。今や大袋でスーパー等でも販売しているそうですが、私はわざわざ買ってくる代物でもないため
「あら?バブさんこんなんが珍しい?いっぱいあるから持ってきな」
てんで、二袋ほど持たされました。

「俺が駄菓子屋行ってた頃は、この『カットよっちゃん』てのは無かったと思うなぁ」
「私らの頃も無かったと思いますよ。ただのスイカをビンかなんかから取ってもらって買わされた覚えがありますもん。」
思えば我々世代にとって駄菓子屋は、子供の頃の社交場でありましたから、『カットよっちゃん』をきっかけに駄菓子話でついつい盛り上がってしまいました。


これがいただいた『カットよっちゃん』、
なんで「CONCERT IN JAPAN」の上に乗っかってんだ?

一円飴、スモモ、桜大根、笛ガム、きなこ棒、チューブ入りゼリー、麩菓子にえらい毒々しい色をしたジュース・・・粉ジュースもありました。
それからそれから、メンコだって丸めん、角めん、蝋めん・・・・・
「あの指に付けてパタパタやると煙が出るなんてぇのありませんでした?」
「あったあった」
なんてね。

当たりもしないクジも引きましたねぇ、なめるとスカの字が出てくるクジ、あれって体に悪いなんてこと無かったんでしょうか?
あんこ玉のクジなんて、デカイあんこ玉が当たったからといって口に飽きちゃって食べきれなかったし、そうそうあのヒモを引っ張る飴、三角形の赤いの(何ていう飴だか分からないんですけどね)、あれだってデカイ緑色のが当たったって全部はなめきれなかったりして、つまりは『当たった』という優越感だけを求めていたんでしょうね。

「俺はソースせんべいが好きだったなぁ」
「あ~あ、ミルクせんべいにソース付けたヤツですか」
「あ~?バブさん、あれはミルクせんべいじゃなくてソースせんべいだよ」

あのせんべいの呼び名が『ミルクせんべい』『ソースせんべい』かで、しばしの討論・・・・・・どうでもいいことなんですけどね(笑)
私が小さい頃は、まだ『紙芝居屋さん』ってのがおりまして、水飴(というより練り飴かな?)とミルクせんべいというのはそこでの定番だったのです。
自転車にくくりつけられた引き出し付きの入れ物から、ミルクせんべいを取り出してソースを挟んだり、梅ジャムを挟んだり、飴を挟んだのは私は嫌いでしたけど・・・・

「いや、ミルクせんべいが絶対に正解ですよ。だってソース塗って食べればソースせんべい、梅ジャム塗って食べれば梅ジャムせんべい、ねっ、そこにある基本はミルクせんべいですよ。」
って、分かったような分かんないような説明をして、紙芝居を観ながら食べた記憶を思い起こしておりました。
まぁ、ウエハースの出来損ないみたいなあのせんべいの、何処が美味しかったかと訊かれてもお答えできませんが、ともかく口に入れるとすぐに溶けてしまうあの味を忘れられないのもたしかです。

10円玉一つ持って駄菓子屋に行って、駄菓子屋にいる連中と神社の境内かなんかで遊んで、ふと気が付くと日が落ちかかっている、途中すりむいた膝なんて唾をつけておくくらいで痛さなんかまったく忘れてちゃってね、風呂にはいるときに泣きべそかいたりして、あの頃は何処の子もみんな「まっくろくろすけ」で、良くいえば健康的、悪くいえばキッタネェガキばかりでしたねぇ。いやぁ時代だなぁ(笑)

ともかく、そんな話題を提供してくれた『カットよっちゃん』でありました。

さて、今日の一枚は、まさに「まっくろくろすけ」大好きなブッカー・アービンです。
ブルーノートには一枚しかアルバムを残さなかったアービンも、プレスティッジにはブック・シリーズをはじめ、多くのアルバムを残しました。
今日の一枚はそのプレスティッジでの最初のアルバムということになります。

ミンガス・グループ時代から彼のテナーは独特の音色を持っています。ここでも、ハード・バップとモードの間、その微妙な空間のなかでアービン独自の音色が響きわたりじつに心地よい。
そんな中、以外かもしれませんが、私は二曲目「BLACK & BLUE」のようなバラードに心引かれたりします。一杯ひっかけながら聴いたら最高じゃないかなぁ。

ブッカー・アービン、もっと多くの方々にお聴きいただきたいテナー・マンの一人です。

EXULTATION / BOOKER ERVIN
1963年6月19日録音
BOOKER ERVIN(ts) FRANK STROZIER(as) HORACE PARLAN(p) BUTCH WARREN(b) WALTER PARKINS(ds)

1.MOOCHE MOOCHE
2.BLACK & BLUE
3.MOUR
4.JUST IN TIME
5.NO LAND'S MAN
6.TUNE IN


こんなお店にご一緒しません?

2008年01月30日 | d-f

「温かな良い一日、風邪も爽やかで気持ちがいい~~~~~」
昨晩の深酒がなければそう言いきれる好天の一日でしたが、またしても昨晩は一度帰宅したにもかかわらず再出陣のすえの午前様、いやはやこの時間になると眠くてしかたがありません。

そんなわけで今日は、昨晩もお世話になった素敵なお店の素敵なマスターを紹介しようかと思います。
「Bラシーヌ」(あまり他人に教えたくない店なので店名は暴露しません。笑)は、お客さんが8、9人入ればいっぱいになってしまうカウンターのみのお店で、BGMはジャズボーカルが邪魔にならない程度の音量で流れ、落ち着きのある雰囲気。(もちろんカラオケなんて有りませんよ)

何といっても特徴的なのはメニューが無いことでしょうか。
カウンター用にしては少しゆったりめの椅子に腰掛け、好みの飲み物を注文すれば、あとはマスターEさんにお任せ。
お客さんそれぞれにその日のお腹の空き具合や箸の進み具合にあわせ、重からず軽からずの料理を提供してくれます。
この料理がまた絶品でしかもお洒落、マスターは我が日曜料理の師匠の一人でもあります。
まぁ、行き始めの頃は「バブさん、今日は軽くでいいのかな?」と訊いてくれたマスターも、最近は私があまりつまみを食べないことをご承知で、何も言わずに他のお客さんよりかなり控えめにしてくれるもので、私はもっぱら連れに出る料理を観察しながら参考にさせていただいてるんですけどね。(笑)

マスターの会話も、けしてお客さん同士の話を妨げることなく、かといってほっておくわけでもなく、絶妙なバランスを保ってくれます。
それがね、いい歳のくせに女性にもてるんですよマスター、お店外でもいっしょに飲んだりするのでよく分かってるんですがね、優しさにホロッとくるのかなぁ????
「まったくEさん(マスター)は、優しいフリして女にちょっかい出して、その上あまえ上手てんだからかなわねぇよなぁ。」
「バブさんみたいに若くないんだから、そんなちょっかいなんて出せるわけないでしょうよ。」
「またまたぁ、この中年殺し!」
ひがみ半分本音半分で、いつもそんなことをマスターに言っています。

極端に若い方はいらっしゃらないものの、女性同士だったり、カップルだったり、もちろん男同士でも、いつもそんな常連客でにぎわうお店で、「ここなら女性一人でも来られるからいいわよねぇ」なんて方もいらっしゃいました。
ともかく、女性を連れて行くのにも最適なお店でありまして、私も素敵な彼女がいれば迷わずこの店に連れて行くんですが・・・・・・・・
素敵な淑女のみなさん、お近くにお越しの際には私がご案内しますので、おデートなどいかがでしょうか?
美味しい料理と楽しいマスターを前にワインで乾杯して・・・・・・・
スケベ心いっぱいの中年オヤジとじゃ、いかに素敵な店でも行きたかぁねぇってですか?
そこんとこをなんとか(笑)

さて、今日の一枚は、ジョン・アードレイです。
このアルバム、聴くまではなんとなくキワモノ的イメージがあるのでしょうか、バイト時代、ほとんどリクエストがありませんでした。でもいったん流すと興味を持つお客さんが多い一枚でもありました。おそらくはジャケットデザインがイカンのでしょうね。

アードレイといえば「ジェリー・マリガンのグループでチェット・ベーカーの後がまになったヤツ」みたいなイメージしかない方もいるかも知れませんが、このアルバムや同じズート・シムズとやった「ON DUCRETET THOMSON」なんかでもとても良いソロをとっています。
もちろん、ズートもフィル・ウッズもいいし、ピアノで始まる「LEAP YEAR」でのアンサンブルも絶妙だと思います。
ジャケットに惑わされずに聴く価値のある一枚ではないでしょうか。

THE JON EARLEY SEVEN / JON EARLEY
1956年1月13日録音
JON EARLEY(tp) MILT GOLD(tb) PHIL WOODS(as) ZOOT SIMS(ts) GEORGE SYRAN(p) TEDDY KOTICK(b) NICK STABULAS(ds)

1.LEAP YEAR
2.THERE'S NO YOU
3.ON THE MINUTE
4.LADDERS
5.KOO KOO
6.EARD'S WORD


エロより艶?

2008年01月29日 | y-その他

今朝窓の外を見ると、そこかしこに白いものが、昨晩なのか朝方なのかは分かりませんが雪が降ったようで、まぁすぐに消えてしまうでしょうけど芝生や土の上を白く染めておりました。
あっという間に一月も後半、もうすぐ節分を迎え季節は春へと向かうわけですが、太平洋岸のこのあたりではこれから雪が降ったりしますので、まだまだ雪見酒を楽しむ機会があるかもしれません。

ここ二、三日、橋下弁護士改め橋下知事がニュースの顔になってますね。当選はしたものの何かと問題の多い大阪府政だけに今後は大変でしょう、大阪不正など起こさぬよう頑張っていただきたいものです。
大阪府知事といえば、明日1月30日は元府知事、故横山ノックさんの誕生日だそうで、思えばあの方も波瀾万丈の生涯でありました。
結局は「エロダコ」が仇となっての失脚ではありましたが、人間味溢れた魅力的な方であったのは間違いないのでしょう。風呂屋の洗い場で椅子に座ると、かのものが床についたといいますから、エロリたくなる気持ちも・・・・・・「コラ!」

♪ チャンチャンチャン チャンチャンチャン チャラララ ランランラン ・・・・
   胸も腫れたし、○も生えた
   お尻も大きくなりました
   青い△□ 膝まで下げて
   早くして早くしないと ママが来る
        ・・・・・・・・・・・・・・・♪

エロついでに春歌など口ずさんでしまいました。ご存じ「青い山脈」の替え歌、今となっては本当の歌詞が分からなくなってしまっているという自分が、恥ずかしくなってしまいます。
「猫が出れば終わりだから、最後まで歌おうか?」
「もういい!」

いやいや違います、たんにエロだからこの歌を思い出したわけじゃないんでありまして、
横山ノックとは逆に明日命日を迎えるのが、この「青い山脈」の作曲者、服部良一なんです。
「青い山脈」はもちろん、「湖畔の宿」「東京ブギウギ」「銀座カンカン娘」ets.ets.ヒット曲は数知れぬ彼ですが、私がなんといっても好きなメロディーは「蘇州夜曲」ですねぇ。
なんとも東洋的でエキゾチックで・・・・たまらなく好きです。
最近は平原綾香さんとか夏川りみさんなんかもカバーしているようで、そういえば憂歌団もやってましたねぇ、まぁ、渡辺はま子さんや映画『支那の夜』で歌う李香蘭(山口淑子)さんを思い出すという人は、私よりかなり先輩の皆様だとは思いますけど(笑)。

以前紹介した「THE TOSHIKO TRIO」で、一分半というじつに短いソロですが、秋吉敏子も演奏しています。その後、日本人であるが故に出来るジャズを目指すことになる彼女の原点が見えるような演奏でした。

君がみ胸に抱かれて聞くは
水の舟歌 恋の唄
水の蘇州の花散る春を
惜しむか柳がすすり泣く

花を浮かべて流れる水の
明日の行方は知らねども
水に映した二人の姿
消えてくれるな何時迄も

髪に飾ろか くちづけしよか
君が手折り(たおり)し 桃の花
涙ぐむよなおぼろの月に
鐘が鳴ります寒山寺

西条八十のこの歌詞もまた、良いだよなぁ・・・・・
春歌「青い山脈」がエロなら、「蘇州夜曲」には艶がありますやね。やっぱエロより艶かなぁ(笑)
ちなみに、今年は北京オリンピックの年、中国で「蘇州夜曲」は未だ煙たがられる歌だそうですからお気を付け下さい。

さて、今日の一枚(正確には二枚)ですが、先日、そんな「蘇州夜曲」の話をとある社長さんにしたら貸してくれたCDにしてみました。アン・サリーです。

これをジャズ・ボーカルと呼べるかどうかは、人それぞれかもしれません。
それは「ジャズとは何か?」といった愚問に立ち返るだけのことですので、私が聴いた感覚で「これも有りか」それでいいでしょう。もちろん、私の知るかぎりの昔の『ジャズ喫茶』でこれをかけたら、袋叩きものであるとは思います。
私はこういったアルバムを聴くと、ノラ・ジョーンズがジャズ・レーベルからリリースしているからジャズ?みたいなジャンル分けに何の意味があるのかと痛感させられるわけで、ならば、あえてジャズとして同時リリースになった二枚を紹介してみようなんてね。(笑)

ということで、このアルバムは二枚とも所有アルバムではありません。私の手元には社長さんからいただいたCD-Rが有るのみです。

何気に「アン・サリーさんとはどんなボーカリストなのか?」と調べてみれば、なんとお医者さんなんでありますねぇ、しかも二児の母親、『医師』『ボーカリスト』『母』三つの顔を持つ才女、なんとも凄いお方です。
「医療研究のためにニューオーリンズに留学、ライヴ・レストランにて頻繁に地元ミュージシャンのセッションに加わりジャズなどを歌い交流を深める。」
なるほど、ジャンルを特定できないのではなくて、多種のジャンルを吸収できる大きな器をお持ちの方のようです。

ともかく、ジャンル云々は別として、じつに耳あたりが良くて心地よいアルバムだと思います。
「蘇州夜曲」はもちろん、ジャパニーズ・ジャズの名曲「星影の小径」もとても良い。ボサあり、フォークっぽいノリもあり・・・・・・・「A MENINA DANQA」なんてジャズっぽいですよ。
「ハード・バップ以外は聴かないぞ!」とか「50年代60年代じゃないとダメ」とか、そんなみみっちい感覚はよしましょうよ。・・・・って自分に言ってるようですけどね。(笑)

MOON DANCE / ANN SALLY
1.I WISH YOU LOVE
2.ONDE EU NASCI PASSA UM RIO
3.HAVEN'T WE MET
4.蘇州夜曲
5.PEACEFUL
6.ONLY LOVE CAN BREAK YOUR HEART
7.HAPPIER THAN THE MORNING SUN
8.星影の小径
9.5/4 SAMBA
10.MEU CARNAVAL
11.ALLELUJAH

DAY DREAM / ANN SALLY
1.DISNEY GIRLS
2.LOVE SONG
3.レインボー・シー・ライン
4.A MENINA DANQA
5.MISTY ROSES
6.三時の子守歌
7.'CAUSE WE'VE BEEN TOGETHER
8.週末のハイウェイ
9.FREEDAM FOR THE STALLION
10.こころ
11.DO YOU KNOW MY JESUS

パーソナルは『蘇州夜曲』が中村善郎(g) FEBIAN REZA PANE(p)、『星影の小径』はFEBIAN REZA PANE(p) KIICHRO KOMOBUCHI(b)、他の曲は割愛させていただきます。


歌う愛がないよう!!

2008年01月28日 | a-c

今日は午後から薄い雲が広がったものの、暖かく感じる一日でした。毎日こんくらいの気温だと我慢できるんですけどねぇ・・・・・

そうそう、今日は映画『ブラック・スネーク・モーン』についてでありました。

ブルースは一種類しかない
愛し合う男と女のことを歌ったのがブルースなんだ、愛の歌だ。

かのサン・ハウス(SUN HOUSE)が、こんなことを言っている古い白黒映像で始まるこの映画。
まず文句を言いたいのは、DVDのジャケット(そういうのかどうか分かりませんが)です。何だか『質の悪いSM映画』みたいな感じがしませんか?少なくともこれを見て「ぜひ観てみたい」という気には、私はならないのでして、もう少し考えて欲しかったなぁ・・・・

内容はもちろんSMものであるわけもなく、
実の弟と関係を持った妻に去られたことに絶望する元ブルースマン、ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)。幼児期の虐待が原因でセックス依存症となった若い女レイ(クリスティナ・リッチ)。
レイは恋人に去られたことで、またもドラックと男に溺れ出し、果ては殴れ道ばたに捨てられてしまう。そのレイを拾った(これはひどい表現だけど、まさにそんな感じなんです)のがラザラス。毎週教会に通うほど信心深い彼は、レイの忌まわしい部分を治すことが神から与えられた使命だと信じ・・・・・・・・

あらすじはばらしちゃいけませんよね。「アダムスファミリー」や「キャスパー」で、あんなに可愛かったクリスティナ・リッチが、体当たりでセックス依存症の女を演じているのも興味深いし、そこそこで流れるブルースも、サミュエル・L・ジャクソンがギター片手に歌うブルースもなかなかたまらないのです。
この映画を期待せずに観た私は、「逆裏切り」のようでちょっと好きになりそう、ブルースは身にしみます。(笑)

ところで、先ほど言ったサン・ハウスの映像が、最初と途中にチラッと入るんですが、彼のことはみなさんご存じでしょうか?
私もことブルースに関してはそれほど詳しいわけではないので、偉そうなことも言えませんけど、そんな私でも知っている、いわゆるデルタ・ブルースの大御所で、ロバート・ジョンスン、マディ・ウォーターズの師匠格にあたるブルースマンです。
この人、もともとは牧師さんだったのがブルースに出会っちゃって、殺人(正当防衛です)まで侵してしまうという波乱の生涯を送るわけですが、じつに渋い歌を聴かせてくれます。

私は、この単純なのに、なんともいえない味があるデルタ・ブルースというのが大好きでして、たまに思い出したように聴くんですよねぇ、そうそう先日このブログでも紹介したようにK君のお宅でもタップリ聴かせていただきましたっけ。

ともかく、『ブラック・スネーク・モーン』はブルース心も溢れていて、なかなか面白い映画でした。

映画でブルースっていうと『クロスロード』なんてぇのもありましたねぇ。
音楽学校でクラシックを専攻している優等生が、ロバート・ジョンソンに憧れて・・・・みたいな映画でしたけど、あれもなかなか良かったような。

古いですけど、ナット・キング・コールが主演した『セントルイス・ブルース』って映画もありましたねぇ。
こちらは「ST. LOUIS BLUES」の作曲者、ブルースの父と呼ばれたW.C.ハンディ(William Christopher HANDY)の生涯を描いたものでしたけど、マハリア・ジャクソン、エラ・フィッツジェラルドも出てたんで、ジャズ好きにとっても興味深い映画でした。(もちろん、私は公開当時に観たわけじゃありませんよ)
そうだ、W.C.ハンディのオヤジさんも牧師だったですよねぇ。サン・ハウスにしてもW.C.ハンディにしても・・・・話が大きく飛びますがコルトレーンにしても、幼児期の黒人教会体験というものが、ブルースやジャズの一つの根底にあるもののようにも思えたりして。

こんなこと書いていると、次の『バブ・ロードショー』は、音楽映画特集みたいになってしまいそうです。その時には、また音楽映画の話にお付き合い下さいね。

え~~それでは、私も愛の歌、ブルースを一曲。
・・・・・・・・え~~ん、歌う愛が何処にもないよう~~~~~

さて、今日の一枚ですが、W.C.ハンディが出てきましたのでこれかなって、ルイ・アームストロングです。
サッチモがW.C.ハンディの曲をババンバーンとやっちゃったというアルバムですが、発表当時W.C.ハンディはまだ存命で、このアルバムの出来の良さに泣いて喜んだという。
もちろん、私の得意分野ではまったくありませんので、その他の説明は一切無しということでお願いします。(笑)
私の持っている数少ないサッチモのCDです。

PLAYS W.C. HANDY / LOUIS ARMSTRONG
1954年7月録音
LOUIS ARMSTRONG(tp,vo) TRUMMY YOUNG(tb) BARNEY BIGARD(cl) BILLY KYLE(p) ARVELL SHAW(b) BARRETT DEEMS(ds) VELMA MIDDLETON(vo)

1.ST. LOUIS BLUES
2.YELLOW DOG BLUES
3.LOVELESS LOVE
4.AUNT HAGAR'S BLUES
5.LOUIS ARMSTRONG MONOLOGUE
6.LONG GONE
7.THE MEMPHIS BLUES
8.BEALE STREET BLUES
9.OLE MISS
10.CHANTEZ-LES BAS
11.HESITATING BLUES
12.ATLANTA BLUES


バブ・ロードショーは力が必要

2008年01月27日 | y-その他

金曜日の晩は、結局飲み過ぎ、珍しく酔ってしまいました。(普段も酔っぱらってますけど、普段にも増してという意味でありまして・・・・・)まぁ、年に数度(はぁ?)ですから良しとしましょう。
そのわりには、昨日は晴れやかな目覚めで、いつものように趣味部屋の掃除を済ませ、なっなんと久しぶりに映画館に映画を観に行ってしまいました。(映画館に酒を飲みに行くバカもいませんけどね。.....笑)

お付き合いの観覧だったので『スウィーニー・トッド』を希望したのですけど、何を観るかまでの決定権は私にはなく、『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』を観ることに。
「続編に良いもの無し」という私なりの思いとは裏腹に、けっこう楽しんできてしまいました。久しぶりの映画館というシチュエーションがそうさせたのでしょうか。

映画館を出ると携帯に着信が、Mさんからです。
「バブちゃん、悪いんだけどネットの無線ランが上手くつなげられないから、みてくんねぇかなぁ」とのこと、そういえば、息子さんに矢の催促をされていたと言ってましたっけ。
てなわけで急ぎ、Mさんのお宅へ
無線ランの設定は難なく終わり、何気に棚を見ると山のようなDVD、それも懐かしい映画のタイトルが並んでいます。
「良かったら、持っていっていいよ。」

お言葉に甘えて『ある愛の詩』『欲望という名の電車』『ROLLING STONES / BRIDGES』『ウッド・ストック』『LED-ZEPPELIN / THE SONG REMAINS THE SAME』以上5本をお借りしてきました。

ということで、昨晩から本日一日、引き籠もりに入りました。
いやいや、こんだけTV画面を見続けたのは、映画館に行ったよりも久しぶりかもしれません。
音楽ものがあったとはいえ、借りてきた5本+『ブラック・スネーク・モーン』、昨日の『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』から数えると、計7本を見たという、なかなか力がいる引き籠もりでした。(笑)

『ある愛の詩』の雪のシーンに昔を思い出し、『欲望という名の電車』のビビアン・リーにクラッと来て、『ウッド・ストック』はもちろん、ツェッペリン、ローリング・ストーンズに興奮し、期待していなかった『ブラック・スネーク・モーン』もちょっと面白い映画で・・・・・・・堪能しました。
『ブラック・スネーク・モーン』に関しては、明日にでもブルース話を交えながら紹介しようかと思っています。)

いつにも増した酔っぱらいの夜も、映画浸りの休日も、たまには良いものですよね。

え~それでも、料理当番を休むことは出来ず『料理当番 本日の一品』であります。

今日はフランスパンをいただいたもので、私のお酒にもパンにも合うようにと、自家製ミートソース(タマネギ大きめが好きなもので)を作り、ジャガイモとチーズを重ね蒸しにしたものにかけてみました。
ビール、バーボンにはとても相性の良い一品になりました。

さて、今日の一枚は、デニー・ザイトリンです。
以前「LIVE AT THE TRIDENT」を紹介した時も言ったとおり、ビル・エバンス系とも言われるサイドリン先生ですが、やはり違う印象を持ちます。
う~~~ん、エバンスよりクールなのかなぁ、いかにも精神科医って感じ?かといって無機質なピアノでもないんだよなぁ、へんに小細工しないところが逆に共感できる・・・・
私には魅力を説明しにくいピアニストの一人です。(誤解しないで下さい、好きなんですよ)
こうしてたまにサイドリン先生を聴くと、新鮮な感じがするのは私だけでしょうかねぇ?

CATHEXIS / ENNY ZEITLIN
1964年2月19日[2, 5-8], 3月6日[1,3,4,9]録音
DENNY ZEITLIN(p) CECIL McBEE(b) FREDERICK WAITS(ds)

1.REPEAT
2.I-THOU
3.STONEHENGE
4.SOON
5.NICA'S TEMPO
6.CATHEXIS
7.'ROUND MIDNIGHT
8.LITTLE CHILDREN, DON'T GO NEAR THAT HOUSE
9.BLUE PHONEIX


小さなフランケンはいらない

2008年01月25日 | s-u

今日もあいかわらず強い風が窓に吹きつけ寒い一日でした。秋田や青森の映像を見れば文句は言えませんけど・・・・・・この寒波、いつまで続くのでしょうかねぇ

○月○日、フィリピンのレイテ島から、発熱と嘔吐を繰り返し多数の住民が倒れているとの連絡がはいりました。その後、島内との連絡がまったくとれなくなっており、事態を重く見たフィリピン政府は調査団を派遣、原因を調査しています。
現在、レイテ島には××石油バイオ燃料工場関係者の邦人36名が滞在しています。××石油では「連絡がとれない状況が続いているものの、外務省とも連携を密にとり、至急対処したい。」と話してはいますが、いまだ安否の確認はとれていません。

レイテ島に端を発した原因不明の奇病は、発生から約3日でフィリピン全土をも席捲する勢い、驚異的なスピードで拡がりつつあります。
一部「細菌兵器によるテロ」との噂も流れましたが、今のところ各政府ともこれには否定的見解を示しています。

『レイテ風邪』と名付けられた奇病は、発生から一週間、未だ原因が特定できぬまま広がりを見せておりますが、WHO世界保健機構は「何らかのウィルスによる感染症と断定。全力でウィルスの特定にあたっている。」と発表しました。
しかしこれに対し、△△大学医学部○△名誉教授は「2時間程度で死にいたるなど進行が早いこと、現行の防御服では完全に防御しきれないことなどから、ワクチンの開発どころか、ウィルスの発見も難しいのではないか」とコメントしています。

○月○日に発生した通称『レイテ風邪』の被害は、いまや世界の四分の三の地域を飲み込み、全世界に拡がることは確実となりました。
各地であきらめとも思える祈りが続くなか、人類はここに滅亡を迎えるのです。
その原因は何だったのか、後々、新たな知的生命体が地球上に現れ解明してくれることでしょう。我々は、静かに最後の日を迎えるしか方法がないのです。
それではみなさん『さようなら』

「なっ、なんだ突然」って思いました?(笑)
じつはね、今朝朝日新聞を広げると一面に『細菌ゲノム完全合成 人工生命に道』という記事が載っておりまして、

その記事によると「生物の設計図であるゲノムの人工合成は、特定の能力を備えた「人工生命」づくりの前提となる技術」なんだそうで、今回アメリカのクレイグ・ベンダー研究所のチームがこれに成功したことにより、「人工生命」誕生に大きく前進したことになるのだそうですよ。
つまり、特定の能力を備えた「人工生命」を生み出せれば、バイオ燃料製造や有害物質の分解など、現在発見されている細菌ではムチャクチャ効率が悪いという問題が、「人工細菌」によって一気に解決するというのです。

だけどもだ・け・ど、私が最も気になったのは、その次の記事文章。
「しかし、人工生命はテロへの悪用、自然界への悪影響などの懸念がつきまとう。国立遺伝学研究所の小原雄治所長は「生命のデザインを可能にする大きな一歩だ。ただ、人工微生物を人間が制御できなくなったときにどう対応するのかなど、二重、三重の安全対策を考えていく必要がある。」と話す。」

過去を振り返っても、人類は必ず新発見・発明のたびに負の遺産を残してきているじゃありませんか。
まして「人工生命誕生」など、私には神をも恐れぬ行為に思えてならないのですが、みなさんはいかがでしょうか?
フランケン・シュタインの怪物一体ならなんとか対処のしようもあるでしょうが、制御できなくなった細菌、小さなフランケンを山のように作って、テロであれ、バイオ燃料工場の事故であれ、一度世に放たれたら・・・・・・・・・・!?

というわけで、日本がフィリピンのレイテ島に作ったバイオ燃料工場内にある研究所で、密かに生み出された「人工生命細菌」が制御不能となって、研究所外に出てしまったという、まったくのフィクションを冒頭に書いてみたのであります。

私に言わせりゃ、そんな研究は止めてもらいたいんですけどねぇ。

さて、今日の一枚は、サヒブ・シハブです。
ブルーノートの「MILT JACKSON (1509)」や「GENIUS OF MODERN MUSIC (1510,1511)」あたりや、そうそうコルトレーンの初リーダー盤「COLTRANE」(プレスティッジ)でも彼のバリトンは聴くことが出来ますが、日本ではマイナーなバリトン奏者というイメージが強いと思います。どちらかといえばヨーロッパで名を成したって感じでしょうか。

このアルバムは、私的にはフィル・ウッズとベニー・ゴルゾンという組み合わせという面白さと、B面のみですが新人ピアニスト、ビル・エバンスが参加しているということに興味をそそられるわけです。
・・・・・とか言いながら、B面をほとんど聴かないのはどういう分けだっちゅう話ですけどね(笑)

肝心のサヒブですが、「COLTRANE」なんか聴くと「若干浮き気味かなぁ」なんて私は思うのですけど、ここでは違和感はまったくありません。
最初の二曲を聴いただけで、ウッズ、ゴルゾン、サヒブ三人のソロがみょうに心地よく感じられますし、ハーモニーもなかなか良い。(いつもは若干いやらしさが出てしまうゴルゾンもここではそんなことありませんし)
バリトン、テナー、アルトの三管というのは、ありそうであまりありませんよねぇ。う~~んウッズのアルトの高音が良いまとまりを作っている感じなのかなぁ。

最後にエバンスですけど、「最近はマイルスやコルトレーン崇拝者より、エバンス崇拝者が多い」なんて聴きますから、そんな方には必聴のB面ということになるのでしょう。
いずれにしても、「サヒブ・シハブ知らねぇなぁ」と敬遠してはもったいない一枚であるとは思います。

JAZZ SAHIB / SAHIB SHIHAB
1957年録音
SAHIB SHIHAB(bs) PHIL WOODS(as) BENNIE GOLSON(ts) HANK JONES[1-3], BILL EVANS[4-6](p) PAUL CHAMBERS[1-3], OSCAR PETTIFORD[4-6](b) ART TAYLOR(ds)

1.S.M.T.W.T.F.S.S. BLUES
2.JAMILA
3.THE MOORS
4.BLU-A-ROUND
5.LE' SNEAK
6.BALLAD TO THE EAST

おまけ、
あらま、今日は更新の時間が早いんじゃない?とお思いのあなた、鋭い!
本日はお付き合いでちょっとした集会に出かけなければいけないもので・・・・
「目的は、その後の飲み・・・・・・・」
チッチッチッチ、それを言っちゃいけません。(笑)
それでは、行ってまいります。


バッチをバッチリ飲みたいよう!

2008年01月24日 | a-c

夜になっても空は晴天、冷たい強い風が吹いています。
今日は帰宅時間が珍しく遅くなったので、久しぶりにアルコールを抜いてみようかとも思ったのですが、昨晩から昔読んだ『世界銘酒紀行』という本を引っ張り出して眺めていたら、やはり飲まないわけにはいかなくなってしまいました。


広大なオハイオ川にかかる橋の向こうに、ケンタッキー州最大の都市、ルイヴィルが見えて来た。・・・・・・
ダービーが終わり、静けさが戻ったルイヴィルの街で、<ジョッキー・シルク>という名のバーを見つけた。・・・・・およそ100種類のバーボンが自慢で、看板にも「バーボン・バー」と記されている。

いやいやいや、こんなん読んでバーボンの香りを嗅がずに眠れやしょうか。でしょう?

筆者はゆっくりとスモール・バッチ(少数限定生産のプレミアム品としているハンドクラフトバーボンのこと)を楽しむのだけど、我が家にそんな高級酒があるわけもなく、残り少ない『ジン・ビーム』を、まるで同社のスモール・バッチ『ブッカーズ』を楽しむがごとく口に運べば、その香りは安物であってもじゅうぶんに私を楽しませてくれるんです。
「かー!これだもん、止められないよね」
しかも安物であるが故に、

「香りが引き立つように、チューリップ型のグラスを使います。また氷とバーボンに同量の水を入れます。そのほうが、デリケートな香りが一層引き立つのです。」
カウンターでストレートを注文したら、女性バーテンダーが「ちょっと待ちなさい」と笑い、この店の飲み方を教えてくれた。

てな面倒なことも考えずに済むし、
「あたしゃ、自宅じゃストレートと決めてるんだから!」
本にそんなこと言ってもしかたないんですけどね。(笑)

あ~あ、結局、安物『ジン・ビーム』のボトルは空になってしまいました。残りはショットグラスにワンフィンガーのみ、
「お客さん、チェイサーお持ちしますか?」
「何をおっしゃいます。ストレート・ノー・チェイサーに決まってるじゃありやせんか」

「・・・・・・何一人で漫才やってんの?」
「うるせぇ!俺だって、俺だって、ほんとはスモール・バッチをバッチリ飲んでみたいよう!!!!!!」
「バ~~~~~カ」

さて、一気にボトル三分の一を飲み干してしまったので、少々酔っています。そこで今日の一枚は、ボーカルものを聴いてみようと、アレキサンダー女王、ロレツ・アレキサンドリアを引っ張り出してきました。

私がボーカルについて云々言うのは、10年早い、いやいや20年早いわけですが、この方のハスキー・ボイスはなかなかよろしいですよね。
(あはははは、とか言いながら、ボーカル得意の私は、この一枚しか持ってないんですけど)

私の持っているボーカルものは、ほとんど高校時代に聴いて「良いなぁ」と思ったものばかりです。だから枚数が増えないんでしょうけど(笑)
このアルバムも、うる覚えですが、高校時代に今日のように酔いながら聴いて気に入った一枚だったと思います。(高校生の飲酒はいけませんよ!)

バックがウイントン・ケリーというのも良い、軽い彼のピアノが彼女の歌声にじつにマッチしていると思います。

どうしよう、もっと飲みたい気分なんですけど・・・・・日本酒に切り替えま~~す。

THE GREAT / LOREZ ALEXANDRIA
1964年1月1日録音
LOREZ ALEXANDRIA(vo)
BUD SHANK(fl) WYNTON KELLY(p) PAUL CHAMBERS(b) JIMMY COBB(ds) VICTOR FELDMAN(p,vib) 他

1.SHOW ME
2.I'VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE
3.SATIN DOLL
4.MY ONE AND ONLY LOVE
5.OVER THE RAINBOW
6.GET ME TO THE CHURCH ON TIME
7.THE BEST IS YET TO COME
8.I'VE GROWN ACCUSTOMED TO HIS FACE
9.GIVE ME THE SIMPLE LIFE
10.I'M THROUGH WITH LOVE


タイムマシーンがあったら

2008年01月23日 | a-c

今日は東京でも雪が降ったようですね。このあたりも午後からは雪かなと覚悟していたのですが、なんとか雨で終わりそうです。
ちなみに「何であれくらいの雪で全国ニュースになるのか分からない」と文句を言っていたのは私の母です。(笑)

昨日は「JAZZ DAY実行委員会」が制定した「ジャズの日」。January(1月)の頭の文字JAと22日を続けて書くとJA22、JAZZに見えるからだそうで、今年も去る1月20日に日比谷公会堂でコンサートも催されたようです。
そんな話を聞くと、「いいよなぁ、コンサートも多いし、ライブハウスもあるし・・・・」
てなことを思ってしまうのは、田舎者のひがみでしょうかねぇ、私だって横浜にいる頃には・・・・(とほほほほ)
こうして毎日のようにレコードを聴いていても、ライブへの憧れはつのるばかりです。

そんな中、昨日の「STUDIO JAZZ PARTY」なんかもそうですが、その場で聴けたらどんなに良かっただろうというライブ演奏は多々ありますよね。

それを大好きなコルトレーンで考えてみれば、1961年の「ヴィレッジヴァンガード」はもちろん、1963年の「ニューポート」でしょ、それからそれから・・・これもきりがないか(笑)あとから出てきたライブ音源もずいぶんありますからね。1965年の「ハーフ・ノート」なんて、その場に居れば全てを聴けたのに・・・

そんななか、一時私がどうしても聴きたくて探しまくったライブ録音がありました。それは「至上の愛」のライブ演奏、1965年の夏フランスはコートダジュールで行われた「アンティーブ・ジャズ・フェスティバル」でのコルトレーン・カルテット初日の演奏です。
その時私は、二日目の演奏が収められた「LIVE IN ANTIBES, 1965」は持っていたものの、肝心の「至上の愛」が収められた「LOVE SUPREME」を持っていなかったわけですよ。

「あまり長ったらしく演奏したし、決して上手い演奏とはいえない。明日の演奏はもっとうまくやらなければいけない。」とコルトレーン自ら演奏後に語ろうとも、「至上の愛」のライブ演奏はやはり聴きたいと思う気持ちも分かるでしょ。
そしてやっと手に入れたわけであります。

いかにも浜辺のリゾートを満喫しているような服装の観客を前に、タキシードに黒ネクタイのカルテットが全部で約48分にも及ぶ組曲を演奏し終えます。
演奏後にコルトレーンがなんと言おうと、私がその場にいれば間違いなく「もっと聴かせろ!!」と叫んでいたかもしれません。
でも、この演奏が「「至上の愛」はライブではやるまい」とコルトレーン決心させた原因だったのかもしれないとも思うのです。

この苦労して入手した音源が、2003年だったと思いますが、本家スタジオ録音の「至上の愛」とともに「至上の愛 スペシャル・エディション」としてCD化されたわけです。

私はね、この「スペシャル・エディション」なるものが、どうにも気にくわないわけですよ。
だって、マイルスの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」のスーパー・エディションもそうですけど、組み合わせがおかしくありませんか?
「LOVE SUPREME AT ANTIBES」てな感じで一枚CDで出してくれた方がよっぽと良いと思うし、百歩譲って「LIVE IN ANTIBES, 1965」として「アンティーブ・ジャズ・フェスティバル」での2日間のライブをセットにするとか、なんだったらその翌日のパリでのライブもいっしょにしちゃうって手もあるけど、ともかくその方が数段良いように思うのですよね。
それをスタジオ録音とライブを無理矢理ひっつけて、しかもスタジオでの別テイクを入れちゃおうなんて・・・・・・

あはは、変なところで怒ってしまいました。
まぁ、素直に「スタジオ録音とライブ録音を聴き比べてみてください。」という親切だ、と思うことにしましょう。

さて、今日の一枚ですが、もちろんジョン・コルトレーン・カルテットの「アンティーブ・ジャズ・フェスティバル」でのライブ盤です。
へへへへへへ、私ってへそ曲がりですよねぇ。あえて二日目「LIVE IN ANTIBES, 1965」を持ってきました。

J.C.トーマスの『コルトレーンの生涯』には、同行していたランディ・ハルティンが、一日目の演奏を終え、少々落ち込み気味のコルトレーンに「明日はNAIMAをやってみたら?それがイヤだったらMY FAVORITE THINGSでもいいし」と言ったところ、「考えてみよう。」とコルトレーンは答え、翌日「NAIMA」で始まり「MY FAVORITE THINGS」で終わるというプログラム構成になったと書かれておりますが、実のところはどうだったのか?
ただ間違いないのは、二日目のプログラムの方が聴衆ウケは良かったと思うということだけです。(私はもちろん全部聴きたかったですけどね....笑)

もしも、タイムマシーンがあったなら、私は毎晩過去のライブ会場へ出かけることでしょう。

LIVE IN ANTIBES, 1965 / JOHN COLTRANE
1965年7月27日録音
JOHN COLTRANE(ts) McCOY TYNER(p) JIMMY GARRISON(b) ELVIN JONES(ds)

1.NAIMA
2.IMPRESSION
3.BLUE WALTZ
4.MY FAVORITE THINGS

追伸、
ランディ・ハルティン(RANDI HULTIN)をご存じない方にちょっとだけ説明させていただきます。
ノルウェーで活躍した彼女は、1956年からジャズ・ライターになり、ついにはノルウェー・ジャズ界の名物おばさんと呼ばれるまでになった方で、ノルウェーを訪れたアメリカのジャズメンを自宅に招待したりしながら親交を深め、高い信頼を得た方です。1988年にはランディさんを称えるジャズ・コンサートがニューヨークで開催されたほど。
SJ誌の「ジャズ・ジャイアンツの知られざる素顔」という記事は、彼女の著書「ボーン・アンダー・ザ・サイン・オブ・ジャズ」を連載したものです。


家族みんなで遊ぼうよ

2008年01月22日 | g-i

今日帰宅すると、玄関先にこけしが並んでおります。このスペースは母専用スペースですので何を飾ろうとかってなのですが「おいおい、ちょっと並べ過ぎじゃないかい」

温泉地のお土産品として、子供たちの愛玩具として、多くの人々に可愛がられていたこけしも、即今はこけし職人の後継者すらこと困る地域もあるそうで、「一部収集家だけの興味をひく郷土玩具」といったイメージが先行しています。
そもそもそのきっかけを作ったのは、キューピー人形が日本上陸を果たし、子供たちの人気を独占したことに始まるといいますから、愛玩具の役目はずいぶん昔に無くしてしまったということなのでしょう。

そうそう、余談ですけど『こけしマッチ』なるものをご存じでしょうか?
「手づくり雑貨の売り方手帖」という本で知ってから、一度手にしたいと思っているのですが未だかないません。制作している『こけしマッチ製作所』でホームページも開いておられるようですから、興味のある方は覗いてみて下さい。(ただし、ネット販売は現在停止されているようです。)

こけしもそうですが、子供の遊びは大きく様変わりしていますよね。
お正月なのに『凧揚げ』『羽つき』『独楽回し』『かるた取り』『福笑い』なんて、とんとお目にかかりません。
私が小さい頃もすでに正月に限った遊びではなくなってはいましたけど、家族全員でいっしょに遊べる『トランプ』『かるた』なんてぇのは良くやった記憶があります。今思えば、あれも家族間のコミュニケーションには欠かせないものだったのかもしれません。(中学以降は麻雀に取って代わりましたけどね..笑)

そういえば先日、かるた取りの名人がテレビに出ておられました。
『競技かるた』の様子を目にすると、凄いですねぇ、そもそも、百人一首を覚える気もない私にはとうてい真似の出来ない世界でもありますし、頭脳と体力を要求されるまさにスポーツであります。

「瓜売りが瓜売りに来て売り残し、売り売り帰る瓜売りの声」

おっと、これはもちろん百人一首にはない歌ですが、読み手が百人一首のかるた遊びを始める前に、その場の雰囲気と捕り手の心の準備をさせるために読む『空札』として良く使われた一首なのであります。けして早口言葉として出来たもんじゃないんですよ。
さぁ、いよいよ本番

「おくやまにぃ~」
パシッ!「は~い!」
「ひぇ~~~~まだほとんど読んでないのに・・・・・」

鳴く鹿の声をきかせず嫁はとり

これは川柳、つまりですね、
奥山に 紅葉ふみ分け 鳴く鹿の
声きくときぞ 秋はかなしき

という猿丸大夫の一首の札を「『鳴く鹿の』までいかないうちに、嫁さんが取っちゃったよう、とほほ」という、川柳なのでありますよ。なんともオツじゃござんせんか。(笑)

あれ?なんの話でしたっけ?
そうそう、だからね、どんなものでもいいから、家族がコミュニケーションをとる遊びを、正月はもちろん、家族全員が揃うときに行うことも必要なんじゃないかという、そういうお話ですよ。

「それはいいけど、あんたの場合は、酔ってもできる遊びじゃないとね」
「ごもっともで」


これは、先日まわってきた回覧板に入っていた社会福祉協議会だより
子供たちも楽しそうで良いんですけど、
見守るおじいちゃん、おばあちゃんの顔が、とっても良いですよ。

さて、今日の一枚は、ジョニー・グリフィンです。
「たとえスタジオであろうとも、進行、観客、もちろんミュージシャンが一体となって楽しめば、出来上がったアルバムもそりゃもう楽しいものになる。」ほらほら、「家族全員で楽しむ遊びも必要」てな話になんとなくつながるような気がしません?(またしても無理矢理だなぁ....笑)

ともかく、スタジオに観客を入れ、ものも喰わせて酒も飲ます、だみ声のバブス・ゴンザレスが粋に「ハロー・ハロー、レディス・エンド・ジェントルメン、お静かに。だけど酒とお友達同志のおしゃべりは別だよ」てな司会をこなし、グリフィンたちもリラックス、悪い雰囲気になるはずもありません。
それはそれは楽しいジャズ・パーティーに自分たちも参加しているよう。
ただし、そのためには素面じゃいけませんよ。一杯ひっかけて「イエィ」だの「ふゅーふゅー」だの言いながら聴くんです。
スタジオでジャズ・パーティーがあるんなら、部屋でジャズ・パーティーもええじゃござんせんか。難しい顔して、グリフィンがどうの、ノーマン・シモンズがどうの、デイブ・バーンズがどうの、そんなのはどうでもいい。
今晩は高島忠夫ダァ!!!イエィ!!!!
って、こりゃちょっと古いか(笑)

STUDIO JAZZ PARTY / JOHNNY GRIFFIN
1960年9月27日録音
JOHNNY GRIFFIN(ts) DAVE BURNS(tp) NORMAN SIMMONS(p) VIC SPROLES(b) BEN RILEY(ds)

1.PARTY YIME
2.GOOD BAIT
3.THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
4.TOE-TAPPIN'
5.YOU'VE CHANGED
6.LOW GRAVY


料理番組に時代が見える

2008年01月21日 | j-l

今日は『大寒』・・・・・だけど寒いという話はもうよしましょう。それで暖かくなるわけじゃありませんもんね。(笑)

ということで、毎週料理当番をこなす私としては、今日がもう一つ気になる記念日であることを紹介しようかと思います。
今日、1月21日は『料理番組の日』なんだそうで、1937年、昭和12年といいますから、今から71年も前のこと、イギリスはBBC放送で初の料理番組『夕べの料理』をはじめた日なのだそうです。
料理を担当したのは「料理は化学ではありません。芸術です。ぴったり計量することではなく、本能と趣味が必要なのです。」という言葉を残したという、当時のイギリス版料理の鉄人マルセル・ブールスタン。メニューは『オムレツ』であったとか。


これはオムレツじゃなくて私の作ったオムライスです。(笑)

これを聞いて、私はてっきりラジオ放送かと思ったのですが、なんとテレビ放送だったんですねぇ。
イギリスBBCがテレビ放送をはじめたのは1936年の11月2日だったそうですから(試験放送は1929年開始)、かなり初期の段階で料理番組が始まったということになります。
ちなみに日本では日劇ダンシングチームの初公演が開かれた年だったそうですよ(ハハハハ、関係ないか)

難しいことはよく分かりませんが、
円板による機械的送像方式(走査線240本、毎秒送像数25枚)とアイコノスコープ撮像管を使用する電子式送像(走査線405本、毎秒送像数25枚)方式とによる両方式併用の形で放送を開始し、三ヶ月後に機械方式の放送を中止したそうで・・・・・・・
って、何言ってるか分かんないでしょ、詳しく知りたい方は自分で調べてください。
つまり、方式が完全に確立しないうちからイギリスではテレビ放送が始まっていたということですよ、凄いですよね。いったいどのくらいの人が、そしてどんな階級の人が、その放送を楽しんでいたのでありましょうか?

え~と、それじゃ日本での料理番組のパイオニアは?といえば、BBCから遅れること20年、1957年、昭和32年11月4日に始まったNHKの『きょうの料理』であります。(今でも続いているって、これも凄いことですけど)
テーマ音楽は富田勲が前日の11月3日に依頼を受け一晩で書き上げたのだそうで、才能とは恐ろしいものです。
10分間の生放送で、第一回のテーマは「今月の食事プラン」、四人に一人が栄養不足といわれた当時、まずは栄養の必要性を栄養士近藤とし子さんに解説してもらう、というところから始まったんだそうです。
以降は一食30円を目安に手軽な食材で美味しいレシピを紹介していったのだとか、ちょっとでも材料や調味料をタップリ使うと「贅沢すぎる」という抗議が殺到したそうですから時代ですねぇ、そんな中レシピを考えた先生方も大変だったでしょう。

最近は人気タレントが高級食材を「とっても喰えねぇだろう」てな料理をして、食べた人の苦しむ顔を楽しむなんて番組もあったりして、いかに我々が贅沢になったかという証でもあります。

イギリスBBCの話にしても、『きょうの料理』の話にしても、『料理番組』はその時代を多いに反映したテレビ番組なのかもしれません。

ともかく、料理当番を担当する私としては、今後も『料理番組』を多いに活用させていただこうと思ったわけで・・・・・でもほとんど見る機会が無いんだよなぁ。
たまには教育テレビの『きょうの料理』夜の部でも見てみましょうか。

さて、今日の一枚は、リー・コニッツのピアノレス・トリオです。
この時期になると、クールのコニッツは完全にウォームのコニッツへと変身しています。まぁ、かなりエルビンに触発されているということもあるんですけどね。

じつはこのアルバムは、やり直しレコーディングを発売したというものでして、コニッツは同じ月にピアノレス・トリオを、ソニー・ダラース、ニック・スタビュラス(ds)というメンバーで録音しています。(しかも3日間もかけて)
ところが、どうにもドラムがしっくり来ない、そこで同じフォーマットでやり直そうということになったわけです。

当初、コニッツはマックス・ローチの参加を望んだようですけど、これは契約上難しい、そこでローチの推薦を受けたエルビン・ジョーンズを起用したのだとか、正解でしたねぇ、大正解。
スタンダードを揃えながら、まるで新しい曲を聴くような。
コニッツとエルビンが互いに刺激し合って、まさに相乗効果を生み出していると思います。
ピアノレスでこれだけ聴かされれば「ピアノなんていらねぇじゃん」みたいな(笑)
お勧めの一枚です。

MOTION / LEE KONITZ
1961年8月29日録音
LEE KONITZ(as) SONNY DALLAS(b) ELVIN JONES(ds)

1.I REMEMBER YOU
2.ALL OF ME
3.FOOLIN' MYSELF
4.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
5.I'LL REMEMBER APRIL

追伸、
今日のアルバムを今まで紹介しなかったのは、アルトを吹くコニッツが真ん中に一人配置された黒いジャケット(おそらくそれがオリジナルだと思います。)を手に入れたらと考えたからかもしれません。
ところが、説明したニック・スタビュラスがドラムを担当したテイクも全て網羅した3枚組のCDも発売されておりまして・・・・
どっちを探すべきでしょうか?