JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

今年も出ましたバブ二世

2007年06月30日 | d-f

昨晩、へんに蒸し暑くなってきたので「今日は暑かろう」と覚悟していたのですが、最高気温24度少々、風もあって過ごしやすい一日でした。よかったよかった(笑)

そんななか、今日は珍しく午前中仕事があったもので、コンビニ弁当で昼飯を済ませ、以前白鷺がいた公園へ・・・・残念ながら白鷺はおりませんでしたけど、池の鴨を見ていると



この三羽の関係が、どうにも気になってしかたがありません。

親子????いやいや、親子だとしたら子供がもっと多いだろぅ
兄弟????いやぁ~~兄弟じゃないだろぅ
ほんじゃ何よ?
きっとこれは、一番前が「かわいい男の子」二番目が「カミングアウトしたマッチョ」三番目が「それでもあなたが好きっていう女の子」・・・・・・

ば~~~か!

ほらほら、こっちじゃ「カメ子さん」が、ならぬ恋を
「あたしの足、素敵でしょぉぉぉぉぉ、って、アピールしてるのに鴨さんたら振り向いてもくれないのよ」
って、鴨も雌だし

昼食後に、こんなくだらないことを考えてる私は、つくづく幸せ者ですね。

帰宅後、短パンに着替えると
「かいーーーーー!」
三箇所も蚊に食われていました。そうでした、そんな季節なんですよね。だって明日からは7月ですもん。
私の場合、アルコールが充分とけ込んだ血液だからでしょうか、とても美味しいらしく、まぁよく蚊に刺されるのです。そこで、趣味部屋に引っ込む前に

「お~~い、痒み止めと蚊取り線香!」
「え~~~!いくらなんでも、まだ2階に蚊取り線香はいらないんじゃないの。」
「うるさい!げんにもう刺されてんだから!」
「あら、それは蚊じゃなくて、部屋がキ・レ・イだから湧いて出たダニじゃないの!」
「・・・・・・・・・・!?」

ともんく、今年も『バブ二世』の登場です。
そういえば去年、『蚊取り線香』と『バブ二世』のお話をしましたっけね。
今年も、彼には頑張っていただきましょう。

さて、今日の一枚は、昨日命日を迎えたエリック・ドルフィーです。
ドルフィー三枚目のリーダー・アルバムにして、天才トランペッター、ブッカー・リトルとの初共演盤でもあります。

「ドルフィーはオーネットのようには吹かないよ。フレーズはむしろパーカー的だし、パーカーをリズミックにした感じが強いんだ。」と言ったのは、チャールス・ミンガスですが、このアルバムはそのパーカーに向けての敬愛の意が、特に現れた一枚であるともいわれます。

そして、同日に録音されたオーネット・コールマンとの「FREE JAZZ」での共演から、この二つのアルバムに「フリー派のアーティストとメインストリームのアーティストの橋渡しを出来得たのは、ドルフィーだけだったのかもしれない」といった論評の裏付けを示す方もいらっしゃいます。
しかし、私はこの「橋渡し的存在」というドルフィー評をあまり好みません。

ドルフィーはあくまで王道を貫いたその結果として、メインストリームでもフリーでも無い、彼のスタイルを生み出した人であると思うからです。「架け橋」という表現だとどうも「どっちつかず」みたいな言い方に聞こえてしまうんですよね。
むしろ、彼独自の世界に、メインストリームのミュージシャンも、フリー派のミュージシャンも、自分たちに無い魅力と必要性を感じたと言った方が、私は適当であると思っています。

いずれにしても、このアルバムは彼の代表作であり、単なるプレスティッジの『未発表曲の発表の場』的、傍系レーベル、ニュージャズを、本当の「NEW JAZZ」に変えたアルバムの中の一枚であることも間違いありません。

FAR CRY / ERIC DOLPHY
1960年12月21日録音
ERIC DOLPHY(as,bcl,fl) BOOKER LITTLE(tp) JAKI BYARD(p) RON CARTER(b) ROY HAYNES(ds)

1.MRS.PARKER OF K.C.
2.ODE TO CHARLIE PARKER
3.FAR CRY
4.MISS ANN
5.LEFT ALONE
6.TENDERLY
7.IT'S MAGIC


雨の幻惑

2007年06月29日 | s-u

昨日までの真夏の日差しは一転、朝から梅雨空が戻ってきました。
「まぁ、暑くないだけ良しとしようか」
私が田舎に戻ってきて、何年たったか数えるのも面倒なほど月日は流れました。気が付けばいいオッサンの歳になっていたわけですが、そんなことはさておき、田舎に引っ込んで大きく変わったことに傘の扱いがあるように思います。

雨の季節を迎え、新しいデザインの傘に心弾ます女性もいるでしょう。
「あなた、今年も結局傘を買うはめになったんだから、今度こそは置き忘れしないようにしてよ。そうじゃなくても、会社に何本寄付したかわからないんだから」
なんて言われながら、新調した傘をビジネスバックに潜ませる、そんな同年代諸氏もきっといますよね。

ところが・・・・

このあたりは公共交通網が都会ほど進んでおりませんから(正確には衰退の一途をたどっていますけど)、当然、自家用車が生活の必須アイテムとなっています。
女性の場合は、そんなこともないのかもしれませんが、男性諸氏には、車から屋内への移動時に「傘を差すのは面倒」との心理が多いに働くわけで、傘の利用率は都会に比べ格段に低いように思うのです。
げんに私も、ここで暮らすようになってから、ビニール傘以外買ったことが無いような・・・。
いや、へたをすれば「骨が折れていたり、曲がっている傘でも充分対応できる」と言った方が正しいでしょうか。(笑)

ビルの窓から眼下を見下ろすと、色とりどりの傘の花が路上を埋め尽くす、私にとってそんな風景は「今は昔」の世界なのであります。



♪ 赤い蛇の目の 傘をさして
   それは まるで 絵のように
   あの女(ひと)が 私にふりむく

思い出すのは ひとつの傘で
  あの女の 髪のにおい
   雨宿り 恋の雨

 (中略)

   こんな夕暮れ 恋をした
   あなたの 傘の中
  こんな雨の日 恋をした
   あなたの 傘の中 ♪
         (ふきのとう『赤い傘』)

靄がかった雨の中の女性・・・・・・なんだか数段美しく思えるのは、男のエゴでしょうか?
まして、古都を蛇の目で歩く姿など、ビーチで水着姿の女性を盗撮するような馬鹿たれに、教えてあげたいほどの色気を感じますよねぇ~~~って、これもちょっと危ないか?

五月雨に 沢辺のまこも水こえて いづれあやめと引きぞ煩(わずら)う

源三位頼政(げんざんみよりまさ)は、手柄のほうびに菖蒲前という美女をお上より頂くことに、ところが、源三位の前に連れてこられたのは「いづれアヤメかカキツバタ」よろしく美女がずらり、そこから菖蒲前を選び出せという無理難題。
そこで、詠んだのがこの歌だそうで
ここにも、『雨の中の美女』という、男を惑わす幻惑が隠されていたようにも思う私でした。

え~い、アヤメだろうがカキツバタだろうが、いやいや、ドクダミだろうが、
蛇の目だろうが、デザイナーズ傘だろうが、ビニール傘だろうが、
中年オヤジも恋がしたい!!・・・・お後がよろしいようで(笑)
                             
さて、今日の一枚は、ズート・シムズですが、正直、私的にはジャズというイメージのとても薄いアルバムです。ストリングスとの共演にどうにも抵抗があるというのは、このアルバムに限ったことではありません。
ただ、今日のテーマのような『雨』を思うと、こんなアルバムも「たまには良いかなぁ」みたいな(笑)

とある喫茶店の片隅で、さっきまで読書を続けていたはずの見知らぬ彼女が、今は窓越しに雨の路地を眺めている。そこに何を見ているのか、そんなことはどうでもいい、彼女のその瞳に私は魅入られ、しばし時を忘れてしまったのだ。
「珈琲、もう一杯どう?」
という、マスターの声で我に返った私は、彼に悟られたかと照れ気味に
「OVER THE RAINBOWかぁ、雨ももうすぐやむかな?」
なんて、言いながらその場をごまかそうとするんだ。

そんなシチュエーションなら、このアルバムはBGMとして、違和感がないはずなのですよ。
はははははは、やっぱり恋がしたいということか?『雨の幻惑』がオヤジをも惑わせます。

WAITING GAME / ZOOT SIMS
1966年11月28,30日録音
ZOOT SIMS(ts) with Orchestra Include Strings

1.OLD FOLKS
2.I WISH I KNEW
3.ONCE WE LOVED
4.IT'S A BLUE WORLD
5.SEPTEMBER SONG
6.OVER THE RAINBOW
7.STELLA BY STARLIGHT
8.ONE I COULD HAVE LOVED (THEME FROM "13")
9.YOU GO TO MY HEAD
10.DOES THE SUN REALLY SHINE ON THE MOON ?

おまけ、

♪ あの日の君は 傘さして 
   青山通り 歩いてた ・・・・ ♪

おっと、これはかぐや姫の『アビーロード』でありましたね。・・・・・・
そういえば、たしか今日は41年前、かのビートルズが来日した日ではありませんか?
(『傘』→『かぐや姫のアビーロード』→『ビートルズ』っていうのは、かなり強引な連想ではありますけど 笑)
もちろん、私はハナタレ小僧でしたから、記憶も定かではありませんが、我が姉など地方にいながらも心躍らされた時であったと聞いております。


文字に文化あり

2007年06月28日 | m-o

昨晩は予定どおり、ヤナイ珈琲さん、S君と『暑気払い?』です。って昨日今日と暑いのを良いことに、私だけが『暑気払い』にしようと決めただけなんですけどね。(笑)
ともかく、旨い鯛と鮪の刺身を肴に日本酒をいただき、その後は、スナックで爆唱(ハハハのハ)ふと気が付けばMさんまでも合流し、最後はいつものバーへ、と毎度のこととはいえ、タップリとアルコールを身体に吸わせてまいりました。

今日の夕方、アイスコーヒーの豆を買いにヤナイ珈琲にまわると、
「バブさん、午前中いっぱい死んでました。」
うむうむ、彼も充分吸わせたようでありました。
「奥様によくよく謝っておいてくださいね。」

話はコロッと変わってしまうのですが
私が落語好きというお話は、以前もしたかと思います。そこで、現在読んでいるこんな本を紹介しましょう。橘左近著「落語 -知れば知るほど-」です。

橘左近氏といえば、寄席文字書家であり、小学校の入学祝いにお父様からもらった「落語全集」(ご本人曰く、「本当は父自身が欲しかったんじゃないかと思います。」とおっしゃっていますけど)をきっかけに落語の魅力にとりつかれ、高校時代は週末に片道八時間半かけて寄席通い、東京にいれば好きなだけ落語が聞けると、それを理由に明治大学に入学したという、落語と寄席通いが全てといった人生をおくられてきた強者であります。

本の内容は、『落語の歴史』に始まり、『傑作選』、『落語名人列伝』と橘左近氏ならではのもの、楽しく読み進んでいます。
落語に興味のある方は、ぜひ一読あれ


これが橘左近氏の寄席文字です。

ところで、『ビラ字』から始まったあの独特の文字を、『寄席文字』と名付け、統一したのが橘右近氏、彼を家元とする『橘流寄席文字』は彼の弟子らにより、今も落語を支えているのであります。
歌舞伎は勘亭流、相撲は相撲文字、千杜札や提灯は江戸文字、落語は橘流寄席文字と、それぞれにそれぞれの意味を持つ文字が使われ、『寄席文字』には、筆太で、右肩上り、そして余白(隙間)をなるべく少なくすることで、「興行が常に伸び、空席を少なくするという縁起かつぎ」の意味が込められているのです。

こういった、それぞれに使われる文字に意味を持たせるなんてえのは、いかにも粋でよろしいじゃありませんか。
「文字に文化がある」これは日本人として誇るべき事、いつまでも残って欲しい日本文化だと思います。

さて、今日の一枚は、久しぶりのセロニアス・モンク、コロンビア移籍第2弾アルバムです。
モンクの魅力の一つに、独特のスイング感があると思いますけど、そういった意味でこのアルバムがそれを実感するにピッタリの一枚ではないでしょうか。(まぁ、このアルバムだけではありませんけどね。)
最初から最後まで、なんとなく楽しい気分で聴ける一枚として、私は重宝しています。

このモンク・カルテットが、もっとも良い演奏を聴かせてくれる次期を探れば、間違いなくこの次期であると思います。チャーリー・ラウズもよく馴染んで、曲目に新鮮さはないのに魅力ある演奏というのは、まさにそれを表しているのでしょう。

・・・・ここまで、このカルテットを持ち上げておきながら、私が最も好きなのは6曲目「DON'T BLAME ME」、ソロ・ピアノだったりして(笑)

今日は未発表曲を含むCD盤で紹介します。

CRISS-CROSS +3 / THELONIOUS MONK
1962年11月6日, 1963年2月26, 27, 28日, 3月29日録音
THELONIOUS MONK(p) CHARLIE ROUSE(ts) JOHN ORE(b) FRANKIE DUNLP(dr)

1.HACKENSACK
2.TEA FOR TWO
3.CRISS CROSS
4.ERONEL
5.RHYTHM-A-NING
6.DON'T BLAME ME
7.THINK OF ONE
8.CREPUSCULE WITH NELLIE
9.PANNONICA
10.COMING ON THE HUDSON
11.TEA FOR TWO
12.ERONEL


やっぱり私もおかしい

2007年06月26日 | d-f

明日、S君とヤナイ珈琲の御主人とで飲みに出かける約束をしているというのに、昨晩もいつものバーで飲み惚けてしまった私、この悪い癖はいつになったら治せるのでしょう?(笑)

昨日、ついに社会保険事務所に行ってまいりました。
ははははははははは・・・・・・・・笑うしかありません。何と10ヵ月分の国民年金が未納扱いになっていました。もちろん、私には全く覚えのない未納金です。

職員の対応はじつに丁寧なものでしたが、
「おいおい、間違いなく、俺は収めているはずだよ。」
「とりあえず、今日は確認しか出来ません。所定の申請用紙にご記入の上、ご提出いただけますか?・・・・もし、ご自宅に払い込みの控えがございましたら、ご用意いただければさらによろしいのですが」
みたいな。やはり、他人事ではありませんでした。


我が家の紫陽花もやっと本咲きに

そんなこんなのことがあったもので、昨晩の酒はなんだか『世の中おかしいよ』の話で終始してしまいました。

「年金もおかしい、政府もおかしい、官僚もおかしい、医者もおかしい、先生もおかしい、子供もおかしい、親もおかしい・・・・・・・・・・・まともなのは俺だけか?」
「そう思うことがすでにおかしい」
歳に合わせた酒の飲み方をしようと心に誓ったはずなのに、結局はズルズルといつものペースでグラスを空けてしまい、
「これから、日本はどうなってしまうんだろうね?」
あっははははははは・・・・・・・・中年オヤジの酔っぱらいは手に負えねぇや

おっと、そんな暗い話は別にして、今日、仕事先で
「バブさん、偽装してない牛肉は好きかい? 真っ直ぐ家に帰るんなら、少し持ってくか。」
「もちろん、混ぜ物があったって食べちゃうくらい好きですよ。」
と、美味しそうな和牛の肉をいただきました。
早速、自宅に電話を入れ、
「今晩、おかずいらないよ。」

いやぁ、混ぜ物のない和牛は旨いですねぇ・・・・昨日飲んで、明日も飲むのに、ワインが進んでしまいました。
・・・・・・・・・・やっぱり私も流行に乗り遅れないくらい、おかしい人間ですね。(笑)

さて、今日の一枚は、ジャズテットです。
このアルバムも、すでに紹介済みだとばかり思っていたのが、ポツンと抜け落ちていたという一枚です。
アート・ファーマー、ベニー・ゴルゾン、カーティス・フラー、この3管が、親しみやすいメロディーを単純なハーモニーで歌いあげる、まさにこれぞ『ゴルゾン・ハーモニー』であるわけですが、「IT AINT NECESSARILY SO」や「I REMEMBER CIFFORD」あたりを聴いていると、簡潔な中に独特のフィーリングを感じることができます。特にファーマーの音は、なんともお洒落な感じがするんですよねぇ。
やはり、このジャズテットも、その後同じ3管セックステットを組んだ、メッセンジャーズも、キャノンボール・グループなども、同じファンキーと言う言葉で一括りにするには無理があるように思えます。それぞれの個性にそれぞれの魅力があるのです。

誰だったか「ジャズにしちゃあ、短い曲ばっかだなぁ」と言ったヤツがいましたが、長いばかりがジャズではありません。短くとも内容ある演奏が10曲も楽しめるこのアルバムは、多いにお得な一枚と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、初々しいマッコイ・タイナーが聴けるのも魅力ですよね。

MEET THE JAZZTET / ART FARMER & BENNY GOLSON
1960年2月9, 10日録音
ART FARMER(tp) BENNY GOLSON(ts) CURTIS FULLER(tb) McCOY TYNER(p) ADDISON FARMER(b) LEX HUMPHRIES(ds)

1.SERENATA
2.IT AINT NECESSARILY SO
3.AVALON
4.I REMEMBER CIFFORD
5.BLUES MARCH
6.IT'S ALL RIGHT WITH ME
7.PARK AVENUE PETITE
8.MOX NIX
9.EASY LIVING
10.KILLER JOE

おまけ、
やはりホームページの更新が転送されません。
えっ!ひょっとして、更新だけでなく、もう一度全部作り直さないとダメだとか????
それは勘弁してください。


SO WHAT じゃ済まないよ

2007年06月24日 | d-f

先日報告したとおり、「KIND OF BLUE」を何日間かかけ聴き込んで、『ジャズ四方山話』を書き始めました。
「よし、これでよかんべ」
と、送信を始めると
・・・・・・・・・・!?
何故か転送途中で止まってしまいます。
「おいおい、これは"SO WHAT"ってわけにはいかないよ。」
いろいろやってみても、やっぱり結果は同じ。
「え~ん、せっかく久しぶりの更新なのに・・・・・・」

しかたがありません、本意ではないのですが、更新内容の一部をブログの記事として公開させていただく事にしました。
内容は、自分の頭にある「KIND OF BLUE」の知識等を、真っさらに戻して、改めて聴き込んだ感想文みたいなものです。

<私感のみのカインド・オブ・ブルー>
ここ何日間で「KIND OF BLUE」を何度聴いたことでしょう。それでまず思ったのは、何度聴いても飽きない事です。それが全てを語っているようにも思えるのですが・・・・・(笑)
ともかくは、一曲一曲をじっくりと聴いてみましょうか。

まずは「SO WHAT」ですね。
リズム・セッションのみで静かに始まる出だし、ポール・チェンバースのベースが引っ張るかたちでテーマへと移っていきます。あいかわらずチェンバースのベースには自信がうかがえますし、この静かな出だしに強いインパクトを与えてくれます。
 続いて、マイルスの理解しきって吹き上げる(言い出しっぺですから当然ですが)完全なまでのソロ、これにコルトレーンのソロが続きますが、何度か聴いていると、少々迷いを感じて吹き始めているようにも思えます。マイルスのソロと比べると出だしに勢いを感じないような・・・、ですから、かなりリズム・セッションが引っ張っていく感じも(出だしだけの話ですよ)。それに比べ、キャノンボールのソロは、わかんなくてもいいから行っちゃうよ的(?)、それに併せてリズム・セッションもいくぶんテンションが上がり気味です、これをエバンスが押さえている。そんな感じでしょうか。

二曲目は「FREDDIE FREELOADER」ですか。
この曲は、完全に他の曲と曲調からして異なりますよね。これはピアノがエバンスではなくウイントン・ケリーだからという、単純なものではないと思います。マイルスの張りも違うし、コルトレーンも「SO WHAT」とは全く違う自信を感じるように思います。もっとも一番生き生きしているのはキャノンボールでしょうけど。 一つ思うのは、ピアノという楽器が手数だけで存在感が増すというものではないんだということです。話は全く違いますが、モンクにマイルスが「自分のバックでは弾かないでくれ」といった理由が、ちょっとだけわかったりするような。

三曲目「BLUE IN GREEN」
私は、この曲にマイルスとエバンス、二人の愛の語らいみたいな感覚を覚えます(ちょっと気持ち悪いですけど 笑)。マイルスのソロに続くエバンスのソロ、二人のやり取りがとてもいい。これに割ってはいるコルトレーン、もう迷いは消えてますね。それでもコルトレーンのソロは短く、「誰にも邪魔させない」といったようなエバンスとマイルスの語らいが続きます。

次は「ALL BLUES」ですか。
ここでは、キャノンボールにいくぶんの迷いを私は感じます。それは続くコルトレーンのソロに迫力を感じるという裏返しなのかもしれません。ここでのコルトレーンはいかにもらしい演奏だと感じます。マイルスのテーマの裏にキャノンボールとコルトレーンが重なり合いますが、なんともそれぞれの個性を感じさせながらマッチングしてしまう、これもマイルスの力なのでしょうかね。

ラスト「FLAMENCO SKETCHES」
一番の変貌はキャノンボールではないでしょうか。「SO WHAT」と聴き比べると、彼の演奏が明らかに違うように思えます。落ち着きがあるというか、これは曲調だけの問題では無いでしょう。

さて、全体を聴いたとき思うのは、リズム・セッションの確実性、エバンスはもとより、チェンバース、ジミー・コブの存在が、非常に大きなアルバムであることを改めて実感しました。
それと、面白いと思ったのは、よく聴き込むと、録音順がわかるということです。
例えば、マイルス、エバンス以外のメンバーが「FREDDIE FREELOADER」で、「この程度なら、なんとかなるかなぁ」なんて思ったのが「SO WHAT」で、「おいおい、俺ついて行んかなぁ」みたいな感じに変わったんだろうなぁ、みたいな。
たった二日の録音なのですから、それほど変化があるわけもないとも思うのですけど、メンバーそれぞれの心の動きというか、変化というか、確実に聴き取れます。つまり、録音をしながらも、このメンバー達は成長を続けていたのかもしれない、とも思えるわけです。

さぁ、文章では全てを表すことは出来ません。はたして、サラな心で『名盤』を聴き直した私の私感が、上手く伝わったでしょうか?
一つ大きな結論を言うとすれば、私にジャズの批評家は無理だという事でありますね。

以上、本日更新予定の『ジャズ四方山話』の一部でした。
あ~あ、何とか転送をしなくちゃなぁ・・・・・・・

さて、当然今日の一枚は、このアルバムということになります。
見てのとおり、LPの紙ジャケはかなり傷みが来ています。(それだけ聴いてきた証でもあるわけですが)
私は、LP1枚、CD2枚(内1枚は、間違った速度でレコーディングされたと言われるものを調整したリイシュー盤です。)を所有していますが、これ以上LPの状況が悪くならないよう、大切に扱っていきたいと思っています。

KIND OF BLUE / MILES DAVIS
1959年3月2日, 4月22日録音
MILES DAVIS(tp) CANNONBALL ADDERLEY(as) JOHN COLTRANE(ts) WYNTON KELLY[2], BILL EVANS(p) PAUL CAMBERS(b) JIMMY COBB(ds)

1.SO WHAT
2.FREDDIE FREELOADER
3.BLUE IN GREEN
4.ALL BLUES
5.FLAMENCO SKETCHES

おまけ、
『料理当番、本日の一品』
昨日、今日と暑い日が続きましたので、「豚しゃぶの野菜いっぱい巻」でサッパリと

豚しゃぶで巻いたのは、豆カイワレ、人参、長ネギ、キュウリ、大葉。タレは、大根おろしに、生姜のおろし汁、酢、レモン酢、醤油。


自己嫌悪な一日

2007年06月23日 | d-f

今日はじつによい天気で、気温も上がり・・・・・散歩をサボってしまいました。
えっ?朝とか夕方に散歩をすればいいだろうってですか?
まず、土曜朝早くの散歩は、続ける自信が全くありませんねぇ、だって前日が金曜の夜ですよ、自宅であれ、おもてであれ、飲み過ぎ必至ではありませんか。
夕べだって10時過ぎにMさんから呼び出しがあって、3時までやっつけてきてしまったんですから(笑)
ならば、夕方・・・・・そうですね、来週からは夕方の散歩に心がけましょう。

昨年、このブログでも紹介させていただいたのですが(こちら)、宇井純先生がお亡くなりになりました。本日、宇井先生の活動を若い世代に語り継ごうと、東京大学の安田講堂で公開講座が開かれそうであります。
学生や公害の被害者たちおよそ800人が集まり、宇井先生の活動等々を語り合ったとのこと、宇井先生の活動が今後も多くの人に引き継がれ活きていくことを、私も願っております。

かたや、こういった有意義な活動をされている方々もいると思えば、少々二日酔い気味の私は、散歩もせずに何をしていたのか?
コーヒーを飲みながら、DVDを観ていました・・・・・なんだか、「こんな事をしていていいのだろうか」といった自己嫌悪に陥ってしまいますけど
いいんですよね、飲み過ぎの翌日、しかも休日なんだから、ははははハハハハハ・・・・

ということで、鑑賞したのは『ユナイテット93』
リアリティーを追求するため、出演者には一般的にあまり知られていない俳優たちを敢えて起用。 その他、本物の管制官や実際のパイロットや乗務員経験者が選ばれ、なかには本人役で出演した管制センター職員もいたというだけあって、緊迫感はなかなかのもでした。
実際に生き残った方はいらっしゃらなかったわけですから、機内の本当の様子は誰もわからないわけですが、「自分があの状況下で何が出来るだろう」との自問へはつながる映画だったと思います。
ただ、悪く言えば『英雄視したがるアメリカ人の気質』が、多少なりとも見え隠れするようにも思えました。しかしこれは、何もしないで酒ばっかのんでいる何処かのだれかさんが思う、ひがみ根性でもありますね。(笑)

ともかく、建設的なことは何もしていない土曜日でありました。

さて、今日の一枚は、「UNDERCURRENT」から四年、ふたたびビル・エバンスとジム・ホールがタッグを組んだ一枚です。
「UNDERCURRENT」があまりにも前に出すぎていて、目立ちにくい一枚になっているアルバムですけど、意外にリラックス感があって、こちらの方がお気に入りという人も多くいるようですね。

私はこのアルバムを子守歌によく利用しています。
ところが、私の子守歌は、タイマーの関係でCDでないといけません。このアルバムはCDの買い直しをしていないので、アナログをCD-Rに落としたものをよく聴くのです。
そのせいでしょう、趣味部屋でじっくりレコードを聴く機会は、極端に少ないアルバムでもあるのです。(こんな聴き方は、邪道ですよねぇ、よくわかってはいるのですが)
おそらくは、趣味部屋でレコードを聴いたら、途中で寝てしまうかもしれません。(笑)
いやいや、つまらないと言っているのではないですよ。それだけ心地よいアルバムなのでしょう。

そもそも、ピアノとギターのディオというのは、とても難しいんじゃないんでしょうか(ミュージシャンでもないので、自信はありませんが)。それを「UNDERCURRENT」ももちろんそうですが、このアルバムでもじつに自然にこなしてしまう二人、やはりただ者ではないのでしょうね。

私としては「UNDERCURRENT」も今日の一枚も甲乙付けがたいアルバムであると思います。

INTERMODULATION / BILL EVANS & JIM HALL
1966年5月10日録音
BILL EVANS(p) JIM HALL(g)

1.I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN
2.MY MAN'S GONE NOW
3.TURN OUT THE STARS
4.ANGEL FACE
5.JAZZ SAMBA
6.ALL ACROSS THE CITY


なになに論もつまみに

2007年06月22日 | g-i

我が地域もやっと梅雨入りだそうで、今日はいかにも梅雨らしいジメジメした一日ではありましたが、
「まてよ、やっぱここ一週間の天気を見ると、関東とほとんど変わりない空模様だったような・・・・」
まぁ、細かいことは気にしません。ともかくは、渇水被害が全国に広がるような事の無いよう祈るのみです。

ちょっと前に、とあるラーメン屋さんで昼食を食べていると、偶然、古い知り合いK君と遭遇しました。K君は、未だブルース・マンを気取っている男でありまして(笑)、未婚であるばかりか、アウト・ローを一つの美徳として生きている、そんなやつです。(まぁ、私も他人のことを言えた柄でもありませんけど)

「あらら、バブ君じゃないの元気だった?」
彼曰く、ちょっと前に「KIND OF BLUE」を聴いて、何故か私のことを思い出したのだそうで
「何となく、近いうちに会いそうな気がしてたんだよなぁ、飯食ったら茶店でも付き合えよ。」

喫茶店で小一時間も話したでしょうか(私も仕事中ですから、そうゆっくりもしていられなくて)、未だ何をどう生きているのかすらつかめない彼の近況を聞いていると
「ところでバブ、最近俺が一番興味をいだいているのが中国なわけよ。」
「中国?????なんじゃいその脈略のないフリは?」
なぜだかわかりませんが、オリンピックに始まり、金属盗難が核施設にまで及んだこと、アジアの中心が間違いなく中国に移行しつつあること、これから中国とどう付き合うべきかということまで、熱弁を振るいだしたのであります。
「おいおいおい、おまえは中国に係わる仕事でもしようと思ってんの?それとも政治家にでもなって外務省と張り合うとか(笑)」

きっかけはなんてことありません。中国に旅行に行ったのだそうで、上海を訪れた彼は、その姿に圧倒されたのだそうです。

「それにしても、どうして中国も韓国も、あ~も日本を目のかたきにするかねぇ、ずいぶん日本だって貢献してるだろうに」と彼、
それは、『戦争責任問題』を問うているのか?はたまた『従軍慰安婦問題』なのか?『靖国問題』なのか?
時間が無くて突っ込んだ話はできませんでしたが、それは私にも少々興味ある話でして。

その彼と昨晩一献を交わしてきたのです。
好きですねぇ、話は教育三法改正にまで及びました。
もちろん、二人とも政治論や歴史論、まして教育論など真に語れるわけもありませんし、それほどの知識を持っているわけでもありません。

みなさんは『三光』というのを御存じでしょうか?
日中戦争中、旧日本軍が中国華北を中心に、抗日ゲリラ対策として行った根拠地と看做した地域への根絶作戦、『燼滅作戦(じんめつさくせん)』の中国側呼称を『三光作戦』と言って、『三光』は殺光・焼光・槍光を指し、焼きつくし・奪いつくし・殺しつくすを意味します。つまり、旧日本軍が行った『燼滅作戦(じんめつさくせん)』は、それほどまでに非人道的作戦であったと中国側はとらえているということです。
日本では撫順戦犯管理所等に収容され後に解放された中国帰還連絡会が1957年に発行した『三光』から、知られる言葉となりました。
私も学生時代、この『三光』に多いに感化された方でしたが、かなりの部分で「左派系のプロパガンダ」とも取られる内容でもあり、一方の立場だけで何かを判断することは避けなければいけないとも思います。

対局の意見に耳を傾けるのであれば、『新しい歴史教科書をつくる会』の創設メンバーでもある西尾幹二氏の『新しい教科書をつくる会の主張』やベストセラー『国民の歴史』、『わたしの昭和史』等々に記される考えにも触れる必要があると思います。

いやいや、そんな話をしようと思ったのではないのです。
歴史観なるものは、人それぞれにあってしかるべきものでしょう。戦争行為に正義を掲げるか、あるいは、行為そのものを否定するか。これも個々の考え方だと思います。
ただ、事実として行われた事を隠したり、押しつけの歴史観を先に立たせたりする教育法はいかがなものか?????

ははははははは、こんな話をしてきたんですよ、夕べ飲みながら。
ある年齢層の男はこういった話をつまみに酒を飲むことも、好きなんですねぇ。
ある意味、なんとも楽しい夜でした。

さて、今日の一枚は、ちょうど昨年の今頃Vol.2を紹介した、ワーデル・グレイの「WARDELL GRAY MEMORIAL, Vol.1」です。

私はこの人のテナーの音がとても好きなんです。「EASY LIVING」なんか聴くと、無性に色気を感じてしまうのですが・・・・変ですかねぇ?
彼も、この後の時代を聴いてみたかった一人ですが、必ずこういう人は早死にしてします、残念。

ところで、「ジャケットがオリジナルと違うんじゃないの?」と思った方、いらっしゃいますよねぇ。
じつは、私が持っているのはセカンド・デザイン盤です。レコード番号はオリジナルと全く同じですがジャケ・デザインだけが違うという、プレスティッジでは良くある盤なのです。
まっ、今となっては、復刻版もCDもデザインはオリジナルのものだし、セカンド・デザインのほうが貴重じゃないかなんて勝手に思っているのですが(笑)


オリジナルはこれ

ともかく、録音がSP時代にほとんど集中しているグレイ、寄せ集めのプレスティッジ盤でも、私にとってはじつに重要なアルバムなのです。Vol.2共々、ぜひともお聴きになってみて下さい。
ちなみに、Vol.2を紹介したときも言いましたが、正直CDは私的にはいただけません。というのも別テイクが「+○○」で何テイクも、しかも、連続で入っています。これってあまり頭の良くない編集だと思うのですが、みなさんはどう思いますか?

WARDELL GRAY MEMORIAL, Vol.1
1949年11月11日[1-4], 1950年2月20日[7-10], 4月25日[5,6,11,12]録音
WARDELL GRAY(ts)
AL HAIG(p) TOMMY POTTER(b) ROYHAYNES(ds)[1-4]
PHIL HILL(p) JONNY RICHARDSON(b) ART MORDIGAN(ds)[5,6,11,12]
FRANK MORGAN(as) TEDDY CHARLES(vib)SONNY CLARK(p) DICK NIVISON(b) LARRY MARABLE(ds)[7-10]

1.TWISTED
2.EASY LIVING
3.SOUTHSIDE
4.SWEET LORRAINE
5.BLUE GRAY
6.GRAYHOUND
7.SO LONG BROADWAY
8.PAUL'S CAUSE
9.THE MAN I LOVE
10.LAVONNE
11.A SINNER KISSED AN ANGEL
12.TREADIN'

追伸、
最近、HPの更新を怠っておりますが、
現在、「ちょっと前に「KIND OF BLUE」を聴いて、・・・・」とのK君の言葉を受け、名盤「KIND OF BLUE」を、真っさらの気持ちでじっくりと聴き直し、その報告をHPで行う予定でおります。

誰しもが語り尽くし、あえて論評を避ける名盤を、「今の私がどう聴き取るか?」これに挑戦してみたくなりました。
おそらくは、日曜日あたりに更新できると思いますのでお楽しみに。
えっ?誰もそんなもの楽しみにしちゃいないって・・・・・そんなぁ(笑)


霧笛に想う

2007年06月20日 | m-o

今朝、窓を開けて深呼吸すると「ヴォ~~~~」、かすかに『霧笛』が聞こえます。海には朝霧が立ちこめているのでしょう。
灯台からはかなりの距離があるのですが、今日のような風向きの日には我が家でも『霧信号』の音が聞こえるのです。

あれは、いつだったでしょう。
当時、夫の暴力が原因で実家に逃げ帰っていたとある女性が、私の下で働いておりました。年齢は私より十以上若かったでしょうか。
そのころ「相談に乗って欲しい」と彼女に言われ、(相談といっても、ただただ話を聞くだけでありましたが)変な意味ではなく、一相談者としてお付き合いをしていたのです。
そんなことから深い仲になる、てなことは良くある話ですよね。
もちろん、私も当時すでに既婚者でありましたから、そんなことは許されないわけですよ。だけど、人間誰しも同じ轍を踏むというか・・・・・・・・・・!?

その日も「話を聞いて欲しい」という彼女と、灯台近くの駐車場におりました。ひとしきり話を聞くと、涙ぐむ彼女の横顔が、霧の夕暮れのほのかな明かりでとても色っぽい・・・
「ヴォ~~~~~~」
霧笛が私の背中を押すのです。
「ヴォ~~~~~~」
・・・・・・・・・・・・・・

こらえましたよ、私は。
手も握りました。抱きしめもしました。
でも、すぐに車を走らせ、彼女を自宅へとおくりとどけたのです。(偉い!)
「もう、君の相談相手にはなれないけど、仕事は別、今までどおりのいい仕事仲間でいよう。」

かーーー!、若かったなぁバブ君。

って、「朝からそんな古い思い出話に浸ってどうするんだい」って話ですよ。(笑)
違う違う、だから、そんな話ではなくて

暗い運河のほとりに、その奇妙な意匠の建物はあった。
いったいいつの時代の物なのか、瘡のように生い茂った蔓が壁を被い、屋根瓦のあちこちには雑草が萌えている。
玄関は色のくすんだタイルと、建物自身の重みですっかり歪んでしまった古煉瓦で囲われ、そのきわに丸い中国風の儒子窓が、ぼんやりと灯をともしていた。そのほかにあかりの見える窓はない。
夜が更けると港から檸猛な霧が湧いた。
それがどれほど危険なものであるかは、波止場のどよめきからも知れる。碇泊する船はいっせいに舷灯をともし、おののくように噺き始める。
(中略)
見上げれば、灯の落ちた天井に立派な扁額が掛かっており、おそらく名のある書家の手になると思われる金文字が読みとれる。
霧笛荘 ─ 。
なんとも捉えどころのない名だが、注意深く見れば文字の下には小さな欧文が書ぎこまれていて、この不器用な命名が外国語の意訳であると知れる。

浅田次郎著『霧笛荘夜話』の冒頭節であります。

最近、小説を読む事がめっきり減ってきた私、まして三島の自決に刺激され自衛隊に入隊、暴力団との関わりも噂された過去を持つ浅田次郎を、何処かで毛嫌いしている所もあり、『鉄道員』も『蒼穹の昴』も読んでいませんし、映画『壬生義士伝』ですら観ておりません。

それが、先日、映画『地下鉄に乗って』を観て、
「浅田次郎も、少し読んでみようかな」てな感覚で読んだのがこの『霧笛荘夜話』。

なかなか面白い小説だったと思います。話がそれぞれの部屋で独立しているおかげで飽きないということもあるのでしょうね。すんなりと読み通せました。

あんたら、勘ちがいしてるね。老いさき短い人生は安いか。そんなのは保険屋のセリフだ。いいかい、少ないものほど重いのはあたりまえだろう。(中略)その筋書は誰も変えちゃならないんだ。(中略)てめえの幸せのために、他人の幸せを犠牲にするのは畜生のすることさ。だからあたしらはみんな、自分の人生を変えやしない。太太の人生を変えやしない。

ちょっと良いでしょ。

だからね、今日は、『霧笛』を聞いて、不倫に走りそうになった話をしようと思ったのではなく、浅田次郎著『霧笛荘夜話』の話をしようと思ったのでありますよ。わかった?!(笑)
ところで、「あなたは『霧笛』に何想う?」


さて、今日の一枚は、いわずとしれた超有名盤ですので、細かい説明は必要ないでしょうね。

「恋に恋してしまった私、自分の愚かさに気が付きながらも、どうにもしようがない・・・血のめぐりがわるいので、それを永遠の恋と思っているうちに、恋は私から去っていってしまった。」(「FALLING IN LOVE WITH LOVE」)

私にだって、そんな若い時があったのですよ・・・・・・・・・
って、だからそうじゃなくて(いかんいかん、どうも今日はそっちの話をしたがる傾向がある。)

私の場合、このアルバムは、ヘレン・メリルの一枚というより、クリフォード・ブラウンの一枚といった認識を強く持っています。(ほら、ボーカル苦手だったから、笑)
そして、レコード2枚、CD1枚の計3枚を所有しているのです。
というのも、とあるリスニングの大先輩が
「このアルバムこそ、オリジナル盤を聴くべきだ!!」と宣われた事に起因します。

その時、
「バブ、いいか、このアルバムはなぁ、下手をすれば「STUDY IN BROWN」なんかのブラウニーより、よりブラウニーが感じられるアルバムなわけだ、なぁ。しかも、オリジナルのそれを聴いてこそ価値がある。つまり、・・・・・・・・・」
と、えらい長い口上を聞かされ、やっとの思いでオリジナル盤を聴かせていただいたのでした。
たしかに、オリジナル盤は音が全く違うのです。なんて言ったらいいでしょ、音に鋭さがあるというか(その分、高音部が少し割れ気味?)う~ん、上手く説明できない。
ともかく、私の耳でもその違いは明らか、ちょっとショックを受けました。

当時、すでに私はレコードを所有していましたし、オリジナル盤に買い換えるほどの金銭的余裕もありませんでしたから、その後
「CDで発売されると、音が良くなんかもしんないよ。」
と、CDも手に入れたり、先輩に無理を言って録音していただいたりしたのです。
ところが「う~~ん」どうも違うのですねぇあの鋭さとは。

えっへへへへ、ところが
ついに、3年前、我が手元にそのオリジナル盤がやってくることになったのでありました。(バンザーイ、バンザーイ)

もし、まだ、オリジナル盤を耳にしていない方がいらっしゃいましたら、ぜひともお聴きになってみて下さい。ここにもまた、オリジナル盤にこだわるマニアの気持ちが、ほんの少しわかる要素を感じ取れるはずですし(私は当然そこまでのマニアではありませんが)、下手をすれば、ブラウニーの新しい音源じゃないかと思うほどの驚きがあるはずです。


これがオリジナル盤裏ジャケです。

HELEN MERRILL WITH CLIFFORD BROWN
1954年12月22,24日録音
HELEN MERRILL(vo) CLIFFORD BROWN(tp) BARRY GALBRAITH(g) DONNY BANKS(fl)[3以外] JIMMY JONES(p)
MILTON HINTON(b) OSIE JOHNSON(ds)[1,2,6,7]
OSCAR PETTIFORD(b,cello) BOB DONALDSON(ds)[3,4,5]

1.DONT EXPLAIN
2.YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
3.WHAT'S NEW
4.FALLING IN LOVE WITH LOVE
5.YESTERDAYS
6.BORN TO BE BLUE
7.'S WONDERFUL

追伸、
来週の火曜日、6月26日は、ブラウニーの命日ですね。
オーク・ママさん、以前に探していた「I REMEMBER CLIFFORD」は、ベニー・ゴルゾンが、彼に贈った追悼曲でありますよ。


活用してこそ意味がある

2007年06月19日 | a-c

今日も晴天、梅雨入りの様子は全くありません。四国地方にお住まいのおさかなさんのブログを拝見すると、やはりかなりの水不足がうかがえます。はやいとこ、降るべき所に雨が降ってくれればと願うばかりです。

先日6月1日から、我がブログも3年目に突入したわけですが、さすがに最近は以前に紹介したアルバムを全て思い出すのが難しくなってきて、
「今日はこのアルバムを紹介しよう」と考え、さらに「以前に紹介していないか」検索機能で確認するという、なんだか面倒な状況でもあります。
そこで、レコード・CDリストと紹介済みアルバムの照合をすることに。(もちろん一気にやるほど、さすがの私も暇ではありませんので、1週間ほどかかってしまうとは思いますけど。)

私の場合、ずいぶん昔に、所有アルバムを全てリスト化しています。(そうとう暇を持て余していたのですねぇ、笑)ブログへの書き込みも、パソコン内のリストデータからコピーをかけますので、比較的楽なのですが、どれが紹介済みかはチェックしておりませんでした。結局はリスト化しても活用しきれていないということですよね。(反省)

「まずは、A~Cだな・・・・やっぱ重複もあるなぁ・・・・あらま、このアルバムまだ紹介してなかったっけ?」
照合だけのはずが
「おいおい、スペル間違ってんじゃん!」
いらぬ所まで目がいったりして・・・・1週間で終わるかなぁ(笑)
ともかく、せっかくあるリスト、活用しなけりゃ意味がありませんね。

さて、そんなんで今日の一枚ですが、ケニー・バレルです。
大好きなバレルですから、このアルバムもとうの昔に紹介済みだと思いこんでいました。ひょっとして、三種類の別レコーディングが収まっていて、メンバーがムチャクチャ多いアルバムなので、メンバーを載せるだけで面倒だから紹介しなかった、なんてんじゃ無いでしょうねぇ・・・・・・って、自分に言ってもしかたがありませんね。

このアルバムは、レコーディングされながら未発表になっていた、1956年3月の5曲を中心に、初リーダーアルバム「INTRODUCING」での未発表曲2曲、そしてケニー・ドーハムの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT AT CAFE BOHEMIA」の同曲別バージョン1曲を合わせたいわば寄せ集めアルバムです。
しかし、そうとは思えぬ充実した内容で、私はとても好きなアルバムです。ただ、2曲目「BUT NOT FOR ME」のラストが何となく尻切れトンボで、それだけが残念に思っています。
お気に入りは「NOW SEE HOW YOU ARE」バレルはもちろん、フランク・フォスターのサックスにもしびれます。

そして、当時、無名だったアンディー・ウォーホールのイラストも光ってますよね。
ともかく、寄せ集めであっても良いものは良いのです。

KENNY BURRELL Vol.2
1956年3月12日[4-8], 5月29日[1,2], 31日[3]録音
KENNY BURRELL(g)
FRANK FOSTER(ts) TOMMY FLANAGAN(p) OSCAR PETTIFORD(b) SHADOW WILSON(ds)[4-8]
PAUL CHAMBERS(b) KENNY CLARKE(ds) CANDIDO(conga)[1.2]
KENNY DORHAM(tp) J.R.MONTEROSE(ts) BOBBY TIMMONS(p) SAM JONES(b) ARTHUR EDGEHILL(ds)[3]

1.GET HAPPY
2.BUT NOT FOR ME
3.MEXICO CITY
4.MOTEN SWING
5.CHEETA
6.NOW SEE HOW YOU ARE
7.PHINUPI
8.HOW ABOUT YOU


朝は忙しいのに

2007年06月18日 | p-r

今朝、忙しいというのに母が
「○○、アイスコーヒー入れてってくんないかなぁ、Yさんお茶飲みに誘うから」
Yさんとは、ご近所に住む母の茶飲み友達で、いつもは漬け物と甘い物で日本茶というパターンのはずなのですが、今日に限ってアイスコーヒーとは、何故?????

なんてこたぁありません。
昨日わざわざ近くのコンビニでアイスクリームをお買いになってこられたのだそうで
「ほら、アイスコーヒーに浮かべて飲んだら美味しいかなぁって思ってさ」
だそうです。(笑)

それにしても、朝、自分が飲む珈琲をいれた後で、アイスコーヒーまでいれるというのは、へんに面倒なものですよね。朝の10分は夜の30分、遅刻はしませんでしたが、イライラしながら車を運転していきました。
「変な運転して、事故なんか起こさないようにな」
母よ、このイライラの原因をつくったのは、あなたなのですよ。

ところで、今日は、久々に海近での昼食だったので、浜辺に出てみました。近くに海があっても「いつでも海には来られる」なんて思うと、なかなか来ない、そんなものなのです。
それでも、やっぱり海はいいですねぇ・・・・
海風に大きく深呼吸すれば、なんだかいやなことも忘れられるような気がします。

おじさんが一人、浜釣りをしていましたが、何か釣れたのでしょうか?たとえボウズでもあれだけ気持ちが良ければ、ある意味目的達成なのかもしれませんね。
おじさんにとってはゆっくりしたいい時間が、流れているのでしょう。
そんな姿を見ていたら「明日は、余裕を持って30分早起きしましょうかな。」てな事を思ってしまいました。


あまりにもおじさんの後ろ姿に味があったので、
写真にこんな加工をしてしまいました。(笑)

帰宅後母に
「コーヒー・フロートのお味はいかがでござんしたか?」と訊くと
「あー、旨いのは旨かったけど、口ん中がサッパリしなくて、結局、お茶で口直ししたわ」
「・・・・・・」
私の忙しい朝の時間を奪ったくせに、嘘でもいいから「Yさんも、美味しいって飲んでたよ。」くらいのこと言えんもんですかねぇ。
(今度は、インスタントでやって下さい。笑)

さて、今日の一枚は、先日やはり母のことについてお話しした日と同じ、フレディ・レッドです。
フレディ好きの方には、今日のトリオ演奏の方が彼らしい演奏を楽しめるのではないかと思うのですが、私は前回の「THE MUSIC FROM THE CONNECTION 」の方が、どうも好きなようです。
フレディの「ダンダーン」というピアノの弾き方が、私には少々強すぎるのかもしれません。(同じ強いでも、全盛期のバド・パウエルとは、全く違うイメージを私は持っています。)
ですから、マクリーンが加わった「THE MUSIC FROM THE CONNECTION 」だと、そのあたりが少し和らぐのでしょう。
いずれにしても、「サンフランシスコ組曲」は、いかにも彼らしい一曲だと思います。

ところで、どうしてジャケットには『FREDDY』と書いてあるのでしょう?ひょっとして、別人????
そんなこたぁ、ありませんけど、ライナーノーツの中でとか、裏ジャケットでとかなら分からなくもないのですが、わざと『Y』にしたのでしょうかねぇ・・何か意味があるのかなぁ?
御存じの方がいらっしゃれば、ぜひお教え下さい。

SANFRANCISCO SUITE / FREDDIE REDD
1957年10月2日録音
FREDDIE REDD(p) GEORGE TUCKER(b) ALL DREARES(ds)

1.SAN FRANCISCO SUITE (View of the Golden Gate Bridge from Sausalito / Grant Street(Chinatown) / Barbary Coast / Cousin Jimbo's Between 3 and 7 A.M. / Dawn in the City)
2.BLUE HOUR
3.BY MYSELF
4.OLD MAN RIVER
5.MINOR INTERLUDE
6.THIS IS NEW LISTEN
7.NICA STEPS OUT

おまけ、
入浴後、「さて、趣味部屋で一杯やるか」と明かりをつけると、こんな虫が。

網戸に穴は無し、入り口のドアは閉まっていた・・・・・・
こいつは、何時、何処から、我が城に侵入したのでしょうか???????
「セキュリティーを見直さねば」