JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

さらに上行く『ろくでなし』

2008年06月25日 | y-その他

昨晩はMさんのお店の手伝いに出かけ、帰宅したのは12時半、風呂に入って一杯飲んで素直に寝ればよいものを、その時間から録画予約していった『HV特集 世界のディーバ 男と女の物語「ビリー・ホリデイ“ろくでなし”の恋」』を見てしまいました。
おかげで昼飯を食べた後の眠気ったらあ~た(笑)

みなさんの中にもご覧になった方はいらっしゃると思いますが、レスター・ヤング以外、レディ(ビリー・ホリデイ)の愛した男は、無茶苦茶な野郎ばかりで、どうしてレディはそんな男にばかり捕まってしまったのか?的内容で終始していましたね。

たしかに、レディの愛した男達ときたら、スケコマシのヒモ野郎に暴力男と、救いようがない連中ばかりでしたけど、環境や時代背景、そして何より愛に飢えていたレディ。
じつに無責任で勝手な言い方をさせていただければ、だからこそ、彼女の歌にはだれも真似が出来ないほどの味と色気が漂っていたとも言えたりして、いやいや、彼らに負けないほどの『ろくでなしバブ』が言っても、何の説得力もありませんけどね。

♪ 町の酒場で 酔いしれた女に 声をかけてはいけない
  どんなにあなたが 淋しい時でも
  昔あなたが 恋したひとに似ていても 声をかけてはいけない ♪

酒場で酔いしれたレディに声をかけるなんて、その女が自分と同じように淋しいんだろうなぁなんて思ったって、そりぁあんた、凡人にはなかなか出来ませんよ。怖さが先に立ったりして(笑)
でもそんな時、一時の寂しさを包み込むそんな術を知っている『百戦錬磨のろくでなし』が声をかけたとしたら、その男がいかに悪い男だと分かっていても、思わずヨロヨロっと。
「目の前の淋しさを満たしてくれるだけでいい、後はすべて大目に見るわ」
分からなくもありませんよね。
でも、所詮は一時逃れの間に合わせ、すぐにボロが出て、前以上の淋しさが襲ってくる。そしてまたさらに、その淋しさを目の前のもので埋めていく・・・・・・・

♪ ねぇ誰かいないの ジンをおごってくれる
  そんなひとには やさしくしなきゃねぇ
  だって私は今 罪に溺れてるわ ♪

いやぁ、ビリー・ホリデイの曲を思い浮かべればよいものを、どうも英語が苦手な私は、浅川マキの歌、二曲を思い出してしまいました。(笑)

私も前記のごとく彼らに負けず劣らずの『ろくでなし』ではありますよ。でも、一つ大きく違うのは、一時の寂しさを包み込むそんな術を知りませんし、そう、どちらかといえば、町の酒場で一人飲んでいて「ボクちゃん、淋しいの?」なんて声をかけてくれる、そんな女性を待っているような・・・・・・
あはははは、私は、レディの愛した『ろくでなし』よりさらに上を行く『ろくでなし』なのかもしれませんね。

そうそう、この番組を見ていて、ビリー・ホリデイとは全く関係のないところでビックリしたんですけどね。それはビリー・ホリデイ・コンテストで優勝経験のあるジョージン・ホンティオンという女性が紹介された場面です。
彼女は小学校で音楽を教える傍ら、ジャズ・クラブで時々歌っているという方なのですが、その小学校での授業風景に「ギョギョ」だったのであります。

なんと、子供たちに聴かせていたのは、ジョン・コルトレーンの「MY FAVORITE THINGS」

メロディ部分では手を頭に、アドリブにはいると手は肩に、そして
ジョージン先生「この部分は楽譜にある?」
子供たち「ない」

先生「では、音楽はどこから来たの?」
子供たち「想像から」
先生「誰の?」
子供たち「ジョン・コルトレーン」

先生「そうコルトレーンの創作よ。その場で作曲して、すぐ音にする。モーツアルトやベートーベンやブラームスと同じくらい素晴らしいの」

って、小学校の音楽の授業ですよ。いやいや、あたしゃ驚きましたよ。(笑)

今晩は同番組でこれまた興味津々なジャニス・ジョプリンを取り上げるそうで、
これから久しぶりに一人で飲みにでも行こうかと思っている私は、またしてもリアルタイムでは見られませんねぇ(笑)しっかり録画予約しとこっと

さて、今日の一枚は、レディがブレスと呼んだ男、レスター・ヤングです。
昨夜の番組でも、この二人の関係は何処までのものだったのか、最後まで結論らしきものは出していませんでしたね。
互いに特別な人であったことだけは間違いなく、それは友情だったのか?恋愛だったのか?尊敬しあった二人にはそれすらも越えた何かがあった・・・・そんなところでしょうか。

アルバム紹介といっても、残念ながらレスター・ヤングのアルバムはそれほど枚数を所有しておりません。それはべつに嫌いだというわけじゃないんです。ひょっとしたら、私にとって「レスター・ヤングは過去の人」といったイメージが強いのかもしれません。

そんな中、最も聴くアルバムが今日の一枚です。
彼にとってすでに絶頂期を過ぎた時期ではありますが、味わいはまさにいぶし銀、この心地良さはたまらないです。
どの曲も「起承転結」がハッキリしているというか、つまりは「間違いない!」といった安心感を感じます。(まぁ、面子を見ても当然なのでしょうけど)
特に「LOUISE」は名演として良く紹介されているようですが、私は二曲目が好きだったりします。
たまにはこの「PRISONER OF LOVE 」なんかをバックに、まさに「恋のとりこ」と化して、大人の女性を口説いてみるのも良いんじゃありませんか。
ほんでもって「TAKING A CHANCE ON LOVE」あたりでは、すっかりうち解けて楽しいお酒を飲んでるみたいな・・・・・・・

ほらまた、そんなこと言ってるから『ろくでなし』なんて言われちゃうんですよね。(笑)

PRES AND TEDDY / LESTER YOUNG
1956年1月13日録音
LESTER YOUNG(ts) TEDDY WILSON(p) GENE RAMEY(p) JO JONES(ds)

1.ALL OF ME
2.PRISONER OF LOVE
3.LOUISE
4.LOVE ME OR LEAVE ME
5.TAKING A CHANCE ON LOVE
6.LOVE IS HERE TO STAY