JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ウォーキング

2007年01月31日 | v-x

いよいよ今年もあと11ヶ月になってしまいました。正月料理を考えなくちゃ(笑)
それにしても、毎日のように言っていますけど、暖かいですねぇ。週末は少々冷え込むそうですので風邪をひかないよう気をつけましょう。

今日の昼食は陽気にも誘われ、おもてでコンビニ弁当を食べることにしました。同僚と二人でのランチタイムでしたが、食べ終わるとなんだかポカポカと気持ちがよくて、
「まずい、俺、寝ちゃいそう、そのへん一回り歩いてくんから、○△君は車の中で食休みでもしてて。」
と、「昨夜1時過ぎまで飲んでいたので、眠気がひどくて」とは言えずに、ミニ・ウォーキングを行いました。

国宝のお堂近くの駐車場だったので、お堂に隣接する池の周りを一回り、小さな子供が鴨に餌など与えていました。するとそこへ、一羽の白鷺が
「くちばしが黄色ということは、コサギではなく、ダイサギか?」



鳥類研究家でもないのでそのあたりは全くわかりません。
ただ、一羽で岩の上にたたずむ姿は、じつに優美に思えます。しばらく見入ってしまいました。
そのせいで、車に戻ると
「バブさん、遅いっすよ。もうとっくに昼休み時間超えてますから!」
「わりいわりい、まっいいじゃん、天気が良すぎたということで、勘弁して」(なんじゃそりゃ)

さて、今日の一枚は、ウォーキングにあわせて、ウォーキング・ベース、リロイ・ヴィネガーであります。(けしてリロイ酢ではありませんので)
私はこのアルバムを友人から譲り受けましたが、ご覧の通りジャケト・デザインがちょっと違うと思いませんか?ライナーノーツも全てアチャラ語でありますから、コンテンポラリーC3542とS7003、S7542が、どういったものなのか、コンテンポラリーの資料を余り持ち合わせない私には、よくわかりません。(笑)
おっと、一つだけ確かなのは私が持っているC3542は、モノラル盤だということだけです。

このアルバムは、ウォーキング・ベースで、すべて「WALK」に関連する曲をやっているという、じつに安易な選曲とも思えるのですが、内容はなかなかご機嫌なものになっています。
今日の私の「ウォーキング」の気分は、白鷺を眺めているときは「WOULD YOU LIKE TO TAKE A WALK ?」、テクテク歩いているときは「ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET」「WALKIN' MY BABY BACK HOME」みたいな感じだったかな。できるなら夜の街を「WALK ON」のように、もしくは颯爽と「WALKING BY THE RIVER」のように歩くっていうのがいいかな。
ともかく、聴くととても気分が良くなる一枚だと思います。

LEROY WALKS ! / LEROY VINNEGAR
1957年7月15日録音
LEROY VINNEGAR(b) VICTOR FELDMAN(vib) GERALD WILSON(tp) TEDDY EDWARDS(ts) CARL PERKINS(p) TONY BAZLEY(ds)
1.WALK ON
2.WOULD YOU LIKE TO TAKE A WALK ?
3.ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET
4.WALKIN'
5.WALKIN' MY BABY BACK HOME
6.I'LL WALK ALONE
7.WALKING BY THE RIVER

おまけ、
1月最終日にお正月みたいな写真が撮れましたので、載せておきます。

「梅に松、めでてえなぁ」
みたいでしょ。


アイツのおかげで

2007年01月30日 | d-f

いけません。まだ9時だというのに、そうとう飲んでます。
というのもみんなアイツが悪い!
アイツはだれか????・・・・なんて事はない同僚なんですがね。

「バブさん、昔、浅川マキも聴いてたことあったっていってましたよね。これプレゼントします。」
「いや、それほど聴いていたというわけでもないんだけど、ブツブツブツ・・・・、でもまぁせっかくだからいただくわ」
「よくよく見てみたら、『裏窓』って曲は、寺山修司の作詞だったんですねぇ、だからバブさん好きだったりして」
「いやいや、そういうわけじゃないんだよ。寺山修司だけじゃなくて、作詞筒井康隆、作曲山下洋輔なんてのもあるんだから」
「なんだ、やっぱり聴いてたんじゃないですかぁ」

ということで、もらってきたのが「DARKNESS Ⅰ/ MAKI ASAKAWA」という二枚組CDをCD-Rに落としたものでありました。
自宅に帰りこれを聴き始めたのですが・・・・
いやはや、浅川マキは酒無くしては聴けないでしょ? だから、こんなに早い時間なのにロックで五杯ほどいただいてしまったというわけです。(笑)

以前にもお話ししたことがあったかと思いますが、高校時代にアルバイトをしていたジャズ喫茶のママさんが、酔っぱらってお客さんがいなくなると浅川マキをよく聴いていたんです。なんだかその姿が、オーナーと別れた背景も合間って、浅川マキの歌詞にどうにもダブってしまってねぇ・・・・
私はおそらく彼女に惚れていたんだと思います。もちろんずいぶん年上でしたから憧れといった方が正しいでしょうけど、
「バブ君、今日はあんたしかいないんだから、最後まで付き合いなよ!」
「え~~~」
と言いながらも、そんなママと二人で飲めるのが嬉しくて、3時過ぎまでお付き合い、店内で寝てそのまま学校へ、なんてことがよくありました。
(まったくね、高校生の分際で)

浅川マキ好きはもう一人、同じく高校時代から付き合いのあったT君という同学年生です。今じゃ、何処で何をしているんだかまったくわからなくなってしまいましたが、とんでもないアウトローなヤツで、高校も中退、しばらく連絡もないかと思えば、演劇を始めたと連絡が入り、もぎりを手伝わされたり、また連絡が入らないと思ったら、怪しい不動産会社の社員になって羽振りがいいからと銀座のクラブに呼び出されたり、今、アメリカにいると手紙が来たり、かと思えばいつのまにかパチンコ屋の店員になってたり・・・
ちょうど劇団にいた頃でしょうか、
「酒を飲みたいから金貸してくれ」
夏のクソ暑い日に狭い三畳の部屋で、二人で大汗をかきながら飲んでいると、プレーヤーもないのに、浅川マキの「裏窓」を持ち出して眺めてるから、ならばと二人で大合唱をしたりして・・・・

ははははは、今日も聴きながら、知らず知らず口ずさんでいる自分がいました。
あ~ん、酔っぱらいそうだよう。・・・・みんなアイツが悪いんだ!(笑)

さて、今日の一枚は、酔った心を落ち着かせるためにピアノ・ソロにしてみました。
モンクじゃ、また酒が進みそうですから、ここはエバンスに出てきていただきましょう。彼の初ソロ・アルバムということになるのでしょうかね。
この頃のエバンス、多重録音に何度か挑戦していた時期だったと思いますが、このアルバムにはたしてその経験は生きているのか?
とらえ方はそれぞれでしょうね。
ただ、私はソロ・ピアノというと「穏やかなものには飽きる」というクセがありまして、エバンスのソロも正直その類にはいるのではないかと思っていました。
しかし、このアルバムを聴く限り、単調で飽きてしまうという感じは全くありません。
これが多重録音の成果であるのかどうかはわかりませんよ。

ALONE / BILL EVANS
1968年9,10月録音
BILL EVANS(p)
1.HERE'S THAT RAINY DAY
2.A TIME FOR LOVE
3.MIDNIGHT MOOD
4.ON A CLEAR DAY
5.NEVER LET ME GO

おまけ、
今日もらった、二枚組浅川マキの「DARKNESS ⅠDISC 2」に居並ぶメンバーを、一応紹介しておきます。近藤等則(tp) 本多俊之(sax,fl,p) 山下洋輔(p) 渋谷毅(p) 川端民生(b) BOBBY WATSON(b) 杉本喜代志(g) TONY MAIDEN(g) 飛田一男(g) つのだひろ(ds) ANDRE FISCFER(ds) 森山威男(ds)
「あまり聴かない」と言いながら、「裏窓」「マキⅡ」のレコードはしっかり持っているという私、本当は好きなのかもしれません。

ちなみに、筒井康隆作詞、山下洋輔作曲の曲名は「ケンタウロスの子守歌」です。
 ♪ ぼうや そんなに泣かないで
   そんなに ねんねが きらいなら
   ぼうやの星へ 帰りましょう
   ぼうやの星は 青い星
   青いお馬が走ってく ♪  (三番の歌詞です)
あら、また歌っちゃったぁ。


時代遅れの大臣

2007年01月29日 | g-i

暖かい日が続いていると、今日もけして気温が低すぎたわけでもないのに、なんだかとても寒く感じてしまう、人間の身体というのはじつに贅沢なものであります。

「バブさん、ヘンなとばっちりが俺にまでとんで来てんだけど」
今日、仕事先で突然こんなことを言われました。
どうも話は、れいの柳沢伯夫厚生労働相の問題発言にあるようで
「俺がね、ニュースを見ながら、全くしゃあねえなぁ・・口は災いの元だなぁ、って言ったわけよ」
すると、奥様が「世の男どもは少なからず同様の考えを持っている」みたいなことを言い出し、何故か、全国で問題になっている『凶暴ザル』の話まで持ち出し、機嫌が悪くなったのだというのです。
「凶暴ザル?」

奥様の言い分はこうであります。
男は多かれ少なかれ女性を単なるセックスの対象物、嫁は子供を産む道具ぐらいにしか考えていない。だから、女には知恵もいらなきゃ知識もいらない、へんに自分より賢くなられちゃ困るみたいに思っている。そのくせ、ちょっといい女を見つければ、ホイホイと鼻の下伸ばしてカッコつけて、なんだか知らないけど餌をばらまいて、まずい人に見つかりそうになると何とか振り払おうと必至になって、原因は自分で作ってるくせに・・・まるで『凶暴ザル』問題みたい。
「なぁるほど、それで凶暴ザルですか」
「まったく、柳沢さんにも困ったもんだよ」
(「それは、柳沢発言うんぬんの前に、○○さんの普段の行いに問題があるんじゃないですか?はははは」)

まぁ、『凶暴ザル』は別としても、たしかに奥様のおっしゃることには一理も二理もあるわけで、柳沢大臣だけでなく、どうも女性軽視の風潮は未だ日本ではまかり通っている傾向はありますね。
以前にお話ししたことがあったかもしれませんが、『男尊女卑』というのは、そもそも男が女に劣る生物であることを認めた上で、同等以上になられることを恐れた男が作り上げた制度であると私は思っています。

男というものは嘘の国の庶民であるが、女はそこの貴族である。

ドイツのエジプト学者の言葉だったと思いますが、所詮、男が右往左往しながら生きていても、その上には高貴な女性が君臨しているわけですから、日本男子もそろそろそんなものを押さえる力など無いことに気づくべきであります。
女性軽視などまさに時代遅れ、そんなことをしていると「子供を作る道具は優秀な男だけでいい」なんて言われて、子も成せない働き蜂に成り下がりますよ。
おっと失礼、形容が不適切でありました。働き蜂に怒られてしまいますね、しかも働き蜂は雌だし。

ともあれ、この少子化の時代だからこそ、男も女も道具などに成り下がらず、愛を持って子供を育てられる社会を目指して欲しいものです。

さて、今日の一枚は、これもまた、仕事先での話から選んでみました。
「バブさん、最近BSの懐かしいアメリカ・ドラマをよく見てんだけど、古くても良いものは良いよね。」
『コンバット』『奥様は魔女』『逃亡者』の話から、『タイムトンネル』『フライマン』『三バカ大将』の話まで、ついには『ローハイド』が出てきて・・・「ハイヨ!シルバー!」
あ~~~やっとつながった。(笑)
そう、今日のアルバムのラストの曲が「HI-YO SILVER」と、まぁそういうわけ。

舞台上を歩き回って、ブツブツ言いながらトロンボーンを吹く、ベニー・グリーンのあだ名は『ウォーキン&トーキン』であります。
御存じ、J.J.ジョンソンと並ぶ黒人モダン・トロンボーン奏者、ベニーは、J.J.のような上手さは持ち合わせません、しかし、シンプルで味のあるフレーズをきっちりと歌いきってなおかつ心地よく聴かせるという点では、私はベニーのほうが上のように思います。
なんとも人間味があって泥臭い感じ、これがいいんです。
話題の(笑)「HI-YO SILVER」では、ボーカルまで披露しちゃって、彼の魅力がじゅうぶんに味わえる一枚だと思います。

BLOWS HIS HORN / BENNIE GREEN
1955年9月22日録音
BENNIE GREEN(tb,vo) CHARLIE ROUSE(ts) CLIFF SMALLS(p) PAUL CHAMBERS(b) OSIE JOHNSON(ds) CANDIDO CAMERO(conga)
1.SOMETIMES I'M HAPPY
2.LAURA
3.BODY AND SOUL
4.SAY JAVK !
5.ONE TRACK
6.GROOVIN' THE BLUES
7.TRAVELIN' LIGHT
8.HI-YO SILVER

おまけ、
一つだけ、○○さんの奥様にも、世の多くの奥様にも、言いたいことがあります。
最初、小さい話だったのに、一人で話して一人で盛り上がって、どんどん話が大きくなって、それに併せて怒りも大きくなって・・・・・・・
あれは、止めてもらえませんかねぇ(おねがい!)


トンチキを探して

2007年01月28日 | d-f

すずめがなくな、
いいひよりだな、
うっとり、うっとり
ねむいな。

上のまぶたはあこうか、
下のまぶたはまァだよ、
うっとり、うっとり
ねむいな。
(金子みすず『春の朝』)

やっぱり昨日は少しお疲れ気味だったようで、昨晩も12時を過ぎた頃には深い眠りに落ちておりました。今朝も今朝とて目が覚めたのは8時近く、
「なんと8時間も寝てしまった」
いつもより2時間は多く寝ているのに、それでもなお眠い。
「だめだ、せっかくの日曜日なんだから・・・・」
洗面台の鏡をのぞき込むと、あらあら髪にみごとな寝癖がついております。顔を洗うついでに髪にも水浴びをさせ、珈琲を口にすれば、今日もやっぱりいい天気。
「昨日に引き続いてのバカ陽気かこりゃ、ひょっとしたら梅の花がババッと咲いてたりして・・」
「まだ、そんなには咲いてないでしょ、いくらなんでも」
「いやいや、わからんよ。梅の中にも俺みたいにうかれたヤツもいるから」
ということで、天気に誘われこのあたりではいちおう梅の名所とされているお寺へと出かけました。



鐘突堂を見上げながら境内へ
さすがに私みたいなうかれトンチキの梅も少ないようで、まだまだ見頃までには日数がかかりそうです。それでも、昨夜飲み過ぎた梅でしょうね、一輪二輪の花をつけたトンチキがおりました。

さて、今日の一枚は、アート・ファーマーのリーダー作ではありますが、ファーマーというよりはベニー・ゴルゾンの一枚といったほうが良いかもしれないアルバムです。
サックスレスのブラス・アンサンブルというのも珍しいですけど、ファーマー始め、リー・モーガン、カーティス・フラー、ジュリアス・ワトキンス、パーシー・ヒース、フリー・ジョーなどなどオールスターにありがちな大味なところもなく、大所帯嫌いの私でもじゅうぶんに楽しめるゴルゾンのアレンジはみごとなものだと思います。
収録曲も名曲集のようなものばかり、「NICA'S DREAM」をホレス・シルバーのそれと「MOANIN'」をメッセンジャーズのものと聴き比べてみるなんてのもいいかも。
基本的にファーマー好きの私は良く聴く一枚です。

BRASS SHOUT /ART FARMER
1959年5月15日録音
ART FARMER, LEE MORGAN, ERNIE ROYAL(tp) CURTIS FULLER, JIMMY CLEVELAND(tb) JAMES HAUGHYON(bh) JULIUS WATKINS(fh) DON BUTTERFIELD(tuba) PERCY HEATH(b) PHILLY JOE JONES(ds)
BENNY GOLSON(cond)
1.NICA'S DREAM
2.AUTUMN LEAVES
3.MOANIN'
4.APRIL IN PARIS
5.FIVE SPOT AFTER DARK
6.STELLA BY STARLIGHT
7.MINOR VAMP

おまけ、
最近、料理の写真を掲載していませんが、あいかわらず日曜日の夕食は私が担当しております。

今晩は、ビールに合うようにとジャーマン・ポテトとつくね棒を作り、ご飯を食べる家人用にと豆腐、菜花の辛子和えも・・・・・

 

「さて、食べようか」 その時!

刺身が近所から届きました。
「やったぁ!日本酒追加ね!」


ハスラーを気取って

2007年01月27日 | a-c

今日はまたまたとても良い天気、日当たりの良い趣味部屋などシャツ一枚でも過ごせるんじゃないかという暖かさでした。
いつものように趣味部屋の掃除を済ませ、monakaさんのコメントを受けての『ジャズ四方山話』を更新、背伸びをしたら大あくび
「なんだか疲れたなぁ~~」
先週同様飲み疲れということもありますが、それにしても肩が重い、
「こんな日は天気が良くてもビデオ鑑賞でしょ」ってんで引っ張り出してきたのが、ポール・ニューマン主演の『ハスラー』であります。

いやいや、ポール・ニューマン、いいですねぇ。マーロン・ブランドに似ていることが徒となって下積みが続いた彼ですが、やはり役者も苦労が必要なんですよね。
鼻っ柱の高いハスラーが挫折し、恋人の死を乗り越え新たな挑戦を始める。うんうん、久しぶりに観たけど、面白いものは古くても面白いものです。

ところで、もともと『ハスラー』というのは、ビリヤードのプレーヤー全てを表す言葉ではなく、『賭け玉師』のことのみを表す言葉だったって知ってました?
ポール・ニューマン扮する『ハスラー』エディ・フェルソン、モデルとなった実在の『ハスラー』も同じエディという名前だったそうです。
9歳でキューを始めて握り、10代ですでにスポンサーを持ち、マネー・プレーヤーとして活躍し、スポンサーが見つからないときには『ハスラー』として、一晩に1000万円をも稼ぎ出したという伝説の人。
ちょっと、アウトローでカッコイイ感じもしますよね。

映画を観ていて思ったのは、今やポケット・テーブルで『ナイン・ボール』というのが、主流となっているビリヤードですが、(これは『ハスラー2』の影響でしょうけど)『ハスラー』では14-1ラックでゲームを行っていたんですね。これも時代の流れでしょう。
そういえば私が学生の頃は、ポケット・テーブルはビリヤード場の隅に追いやられ、穴の開いていないキャロム・テーブルが幅をきかせておりました。赤白赤白の四つ玉や赤白赤の三つ玉で遊んでたんですよ。
「フリー・ゲーム」はもちろん、ちょっと上手いフリをして、「ワン・クッション」や「スリー・クッション」をやったりして・・・今の人にはよくわからないビリヤードですよね。(笑)

そうそう、一時は『プール・バー』っていうのも、大流行したことがありました。ロックグラス片手にキューを振るう、まぁそれなりにカッコイイとでも思っていたのでしょう。
『ハスラー』の中でも、エディが常にバーボンをショット・グラスであおっておりました、もちろん「ノー・チェイサー」で・・・
バス・ステーションでパイパー・ローリー扮するサラを軟派するくだりもなんともカッコイイ。

「もう一杯、彼女にもあげてくれ」と言いながら、バーボンを飲み干し
「感じが違うな、さっきとは・・・」
「きっと明かりとウイスキーのせいよ」
と答えると、彼女は白い手袋に包んだ手を自分のオールド・ファッションド・グラスに持っていく。
会話は進んでいくけど、彼女の左手はグラスから離れない、しかも右手には煙草をはさんで
「バーボンを買って帰ろうか・・・」
「いやよ」
「じゃあ、スコッチにする?」

う~ん、いいなぁ・・・同じバーボンを飲んでいても、どうしてこうまで雰囲気が違うのか。
「あんたのショット・グラスを持つ姿は、ぐい飲みで日本酒あおってる酔っぱらいと変わりないのよ!」
さようでございますか。

さて、今日の一枚はジャズ・ボーカルと言っていいのか、ちと疑問もありますけど、『ハスラー』の音楽を担当したケニヨン・ホプキンスが指揮・アレンジを担当したアルバムです。
ケニヨン・ホプキンスは『ハスラー』以外にも、『白銀のレーサー』『雨のニューオリンズ』『リリス』『ベビイドール』、そうそう私の大好きな『十二人の怒れる男』と数多くの映画音楽を担当したなかなかのお人です。

肝心のボーカリスト、スーザン・バレットですが、ほらボーカル大得意の私としては、紹介する知識もなくて・・・・
正直に言いますが、何故このレコードが我が家にあるのかもよくわからないのです。(私は買った覚えがない)
アーサーゴッドフリーのタレント・スカウトショーをきっかけにブロードウエイへ、さらにトップ・クラブへも出演していたという実力派ボーカルだと、ものの本には書いてありました。
確かに、小粋なボーカルというより、張った歌い方をする舞台映えするようなボーカルだとこのアルバムを聴く限りでは感じます。
ケニヨン・ホプキンスがらみで安易に選んでしまった一枚だということで、お許し下さい。

MIXED EMOTIONS / SUSAN BARRETT
1959年4月10,14,22日録音
SUSAN BARRETT(vo) KENYON HOPKINS(arr,cond)
1.BETWEEN THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA
2.IS YOU IS OR IS YOU AIN'T MY BABY
3.UNDECIDED
4.MIXED EMOTIONS
5.IT ONLY HURTS WHEN I LAUGH
6.SHOULD I ?
7.LAUGHING ON THE OUTSIDE
8.AFTER MY LAUGHTER CAME TEARS
9.BEWITCHED, BOTHERED AND BEWILDERED
10.HEY THERE
11.I GET ALONG WITHOUT YOU VERY WELL
12. RUN AWAY

おまけ、
記事内でも書きましたが、monakaさんのコメントを受け、HPの「ジャズ四方山話」にて、チャーリー・パーカーのお話を少々させていただきました。よかったら覗いてみてください。


名前だけ見ていても

2007年01月26日 | p-r

またしても二晩連続の酔っぱらい、何故私の悪癖は良くならないのでしょうか?
えっ?治す気がない?・・・・・・その通りです。

今日は本の紹介でもしましょうか。今年に入って最初に読み始めた本がこの『いのちの叫び』。藤原書店の『機』誌に連載された同名のリレー記事を一冊の単行本にしたものです。私がこの雑誌を購読していたというわけではないのですが『いのちの叫び』の題名にひかれ購入してしまいました。
執筆者は作家はもちろん、詩人、俳優、演出家、歌手、科学者、俳人などなど、多種多様の方々が『いのちの叫び』のテーマに寄せた文章が掲載されています。

読み進むと2001年2月掲載文として、白石かずこ女史の『バングラデシュの神話』という文章が・・・・
白石女史といえば、即興的で自由なイメージを展開した詩人。
そういえば、日産サニーのCMソングにも彼女の詩がありましたっけ、ことジャズの話ですれば『ジョン・コルトレーンに捧ぐ(Dedicated to the Late John Coltrane )』というアルバム?を出してもいらっしゃいます。『Now is the time』や『男根』などの詩には衝撃を受けたときもありました。

ここでは、バングラデシュで洪水の後に水遊びをする少年の光景に神話を観たという内容の文を寄せておられますが、「いかにも彼女らしい「出会い」を語る地母神的な感覚に溢れる文章だなぁ」などとわかったようなことを思いつつ読んでおりました。

その他にも、小沢昭一氏、日野原重明氏、加藤登紀子女史、吉永小百合女史、永六輔氏、多田富雄氏・・・・、執筆者の名前を追っているだけでも面白いかもしれません。短い文章の中に個々の特徴がよく出た文章が多く、あっという間に読んでしまうそんな一冊でした。よろしければ皆さんも一読あれ。

さて、今日の一枚は、ひょっとしてこのブログでは初ではありませんでしょうか、チャーリー・パーカーです。
白石かずこが出てきたからといって、バリバリのフリーでも紹介するのかと思えばさにあらず、全くの逆をいくあたりが私のへそ曲がり足らんところであります。
映画『バード』を観ればこの頃の彼がどんな生活を送っていたのかはおわかりかと思います。それでも衰えたとはいえ、水準以上の演奏を聴かせてくれるのが「バード」その人。珍しくワンホーンであるのも魅力ですが、録音がじつに良好に思えます。
彼のアルバムの中で、私的には上位にランクインする一枚です。
たまにこうして聴くと「やっぱりチャリー・パーカーは凄い」と思ってしまう、偉大なアルト奏者です。

NOW'S THE TIME / CHARLIE PARKER
1952年12月30日, 1953年7月30日録音
CHARLIE PARKER(as) HANK JONES, AL HAIG(p) TEDDY KOTICK, PERCY HEATH(b) MAX ROACH(ds)
1.THE SONG IS YOU
2.LAIRD BAIRD
3.KIM(alternate take)
4.KIM
5.COSMIC RAYS
6.COSMIC RAYS(alternate take)
7.CHI-CHI
8.CHI-CHI(alternate take)
9.CHI-CHI(alternate take)
10.I REMEMBER YOU
11.NOW'S THE TIME
12.CONFIRMATION


普通が普通じゃなくなったら

2007年01月23日 | y-その他

「天気良好なれど風冷たし」みたいな一日でした。
こんな日は車の中はとんでもなく暖かく、降りるとぶるぶるっときて、頻繁にこれを続けていると間違いなく体調を崩すだろうといった感じ、空気も乾燥していますので風邪をひかないように注意しましょう。

今日はいくぶん寒いとはいえ、寒中にもかかわらず昨日のマスターの話ではありませんが、まさに『迎春』であります。原因は地球温暖化なのか、エルニーニョなのか、専門家でもない私にはわかりもしません。ただお逢いする方々口をそろえておっしゃるのは「どっかおかしいよね」、私もそう思います。
暖かい冬は過ごしやすいし、燃料費も抑えられて悪くはありません。だけど、こんな年は一転冷夏だったり、大きな台風が襲ってきたり・・・・なんだかとても不気味です。
友人Mさんなど
「バブさん、こりぁそのうち地球がダメになっちゃうんじゃないの?」
これに答えて私
「地球の前に日本がダメになるような気もしますけど」
「ははははは・・・」って、笑い事じゃないんですけどね。

このまま、季節の移ろいがますますわからなくなる時代が来るのでしょうか?
日本に四季が無くなったら・・・
『節分』が無くなるってこと? 豆が食えなくなっちゃうジャン
『春分の日』も『秋分の日も』無くなっちゃう? 休日が減っちゃうジャン
『春休み』『夏休み』『冬休み』の呼び名が無くなっちゃう? なんて呼べばいいのよ
『四季の歌』が『昔話の歌』になっちゃう? いっぱいある『さくら』の歌はどうなんの
って・・・・バーカ

東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花
あるじなしとて春な忘れそ

明後日は『初天神』、太宰府をはじめ各天満宮では特別な縁日が模様される日です。受験生にとって大切な大切な神様、菅原道真公は梅がお気に入りだったそうですが、毎日が夏になっちゃったりしたら、彼も何に京を想えばよいのやら、学問の神の力もおちてしまいそうです。

いずれにしても、四季あっての日本、四季あっての日本文化であります。私たちの時代にそれを絶やすことになれば、なんだかとても恥ずかしいし、子孫に顔向けできなくなってしまいますね。
普通に季節が巡って、普通にそこで生きていく、普通の人間にはそれが一番の幸せですものね。
それでは私は普通に、いつものように、飲みますか・・・・・
ガーーン! ジン・ビームが一杯分しかありましぇん! しょうがない2杯目からはジンに切り替えます。

さて、今日の一枚は、私にとって可もなく不可もなくというスリー・サウンズです。
彼らのアルバムは無性に聴きたくなるといった感じもなく、かといって聴いていて邪魔にもならない、適当に安心して聴いていられます。
「最近の音楽はなんだか俺にはついて行けないなぁ」
なんて時に、スリー・サウンズみたいなのがへんに心和むのは私だけでしょうか?
普通が一番、普通がいい、それならスリー・サウンズもいい。

IT JUST GOT TO BE / THE THREE SOUNDS
1960年12月13,15日録音
GENE HARRIS(p) ANDREW SIMPKINS(b) BILL DOWDY(ds)
1.ONE FOR RENEE
2.STELLA BY STARLIGHT
3.IT JUST GOT TO BE
4.IF I WERE A BELL
5.BLUE 'N BOOGIE
6.THE NEARNESS OF YOU
7.REAL GENE
8.SOUTH OF THE BORDER

追伸、

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、この花の名前がわかる方いらっしゃいますでしょうか?
母が名前を知りたがっているもので、


運転者として父として

2007年01月22日 | y-その他

昨日、今日と風見しんごさんの愛娘、えみるちゃんの告別式等々のニュースが盛んに報道されております。
一運転者として、また父として、運転にはじゅうぶん注意しなくてはいけないと、肝に銘じているところです。
そしてあらためて、えみるちゃんだけでなく、飲酒運転等の心ないドライバーのせいで、あるいはちょっとしたドライバーの不注意で、命を落とすことになってしまった子供達すべてのご冥福を心よりお祈りしたいと思います。

昼食を食べていると、マスターが
「可愛い時期に、突然予告無しに逝ってしまうっていうのは・・・・辛いだろうね」
そういえば、マスターにも小学校4年生になる娘さんがおられるのです。
つい先日も
「いやぁ、バブさんまいったよ。娘がね・・・」
と、嬉しそうに年賀状にまつわる話をしてくれたばかりでした。

マスター宛に来た年賀状を見ていた娘さんが
「パパ、どうして冬なのに春を迎えるの?」、『迎春』の文字を見てのことだそうですが
そう訊かれて、答えられなかったマスターが、一生懸命に調べて
「『迎春』のことだけどな、昔は今のカレンダーと違うカレンダーを使ってて、昔のカレンダーだと元旦と節分、わかるだろ豆まきの日、あの日が同じぐらいの日にちだったの。豆まきの次の日から立春っていって春が始まんだよ。だから春っていうことばが、カレンダーが変わっても使われてんだよ。わかったか?」
とわかったようなわからないような答えをしたのだそうで、
「だけど、答えたときには、もう娘にとってはどうでもいい話だったみたいなんですけどね。」

こんな話を嬉しそうにするのは、この時期の娘を持つ父親には当然なように思います。私も娘とのくだらないことを嬉しそうに話していた記憶がありますから。(このまえも、娘のブラバンが雑誌に載ったと大騒ぎしましたしね。)
父親というものは娘に対しての愛情表現が、嫁に対する表現より尚、不器用になるもので、時にはそれが嫌われる原因になったりもします。
それでも、愛情は誰にも負けないと自身信じているものでもあります。
それを想うと愛娘を亡くされた風見さんの心中は察するに余りありますね。

「しんごちゃんは、凄いよね。明日から舞台の稽古を始めるんだってさ。俺だったら店たたんじゃうかもしんないなぁ・・」

しつこいようですが、本当にみなさんもう一度、安全運転を確認し合いましょう。

ということで、今日の一枚は、アルト・サックスをやっている我が娘に、先日贈った矢野沙織です。
・・・・・ところが、このアルバム私はまだ未聴なんです。聴きもしないで、前回贈った「PARKER'S MOOD : LIVE IN NEW YORK」が娘に好評だったものですから、買って送ってしまったという・・・・これも父親の弱みと笑ってください。
ですから、中身については何も言えません。ただ、今もっとも乗っている邦人ジャズメンの一人だと思いますので、後で娘に聴かせてもらうのが楽しみです。

GROOVIN' HIGH / 矢野沙織
2006年7月22,23録音
矢野沙織(as) RANDY BRECKER(tp) JAMES MOODY(as) JIMMY HEATH(ts) GARY SMULYAN(bs) SLIDE HAMPTON(tb) 今泉正明(p) RAY DRUMOOND(b) ADAM NASSBAUM(ds)
1.SPEAK LOW
2.MANTECA
3.MY IDEAL
4.GREENISM
5.OVER THE RAINBOW
6.GROOVIN' HIGH
7.CORCOVADO
8.THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
9.BILLIE'S BOUNCE
10.浜辺の歌


ユミちゃんとお粥さん

2007年01月21日 | m-o

夕方、裏の奥さんがいつになく大きな声で「ユミちゃ~ん、ユミちゃ~ん」と呼んでおります。
はて?裏の奥様は我が母よりも年上で、しかも今は一人暮らしのはずだけど・・
「お孫さんでも遊びに来てるのかなぁ?」と母に訊くと
「違う違う、猫を呼んでるんだと思うよ」
夕方になるといつも呼んでいるそうだけど、それにしても少し声が大きすぎるんじゃなかろうか?
「なんだか尋常じゃないよ」
母がおもわず表に出てみたところ、どうも猫のユミちゃんが行方不明になったらしく、
「○○、ちょっと探してきてやって」

白黒の斑猫だそうで、それだけを頼りにあたりを捜索いたしました。
小一時間ほど探してはみましたが見つからず、ふとあずきさんのブログ記事を思い出しました。
「俺の知っている人の飼い猫も、しょっちゅう居なくなるのがいて、何日間か探検すると戻ってくるらしいから、ユミちゃんもきっと戻ってくるよ。」気休めではありますが・・

夜になって、裏の奥さんがみかんを土産にお越しになり、
「おかげさまで、見つかりました。」とのこと。ともかく良かった良かった。

    立ちわかれ いなばの山の 峰におふる まつとしきかば 今かへりこむ

平安時代の歌人、在原業平の兄、行平の歌であります。
「因幡に行くことになったけど、峰に生えている『松』ではないが、『待つ』といってくれたならば、すぐ帰って来ますよ」だいたいそんな意味なのですが、昔はペットがいなくなったときにこの歌を紙に書いて、餌入れの下に置くと無事帰ってくるというおまじないがあったんですよ。
この秘法を伝授しなくとも、帰宅したユミちゃんはじつにお利口さんでありました。

行平といえば、『行平鍋』というのがありますけど、これも彼が広口の鍋で塩を取ったとの古事に由来するもの、その塩がまるで雪のように美しく白かったので『行平』、『雪平』となったとかならなかったとか・・・(笑)

『行平鍋』と聞いて、広口鍋ではなく、土鍋を思い浮かべた方、それもまた正解であります。そもそもは広口の鍋を『行平鍋』というのですが、あのお粥さんを炊く真ん丸い土鍋も『行平鍋』と称します。これは「お粥の米粒が『行平鍋』に浮かび上がった塩にも似て白く美しいから」だそうでありますよ。
ほら、そこの貴方、お粥はかくも美しく仕上げなければいけないのです。(笑)

そんな話をしていたら、「美味しいお粥もたまにはいいなぁ」なんて思えてきちゃう、明日の朝食はお粥さんにしてもらおうかなぁ・・・・

さて、今日の一枚は昨日に引き続いてのブルーノート盤です。しかもトミー・タレンタインが入っているという・・・・
じつはね、このアルバムを最近よく車の中で聴いているんですよ。というのも、私はMP3の小型プレーヤーを車のカーステに接続して聴いているのですが、しょっちゅう再生が先頭に戻ってしまって・・・・すると、このアルバムになってしまうという。まぁ意図せずによく聴いてしまう一枚となっています。

ソニー・クラーク、ブルーノート復帰第一弾レコーディングとなったこのアルバム、(発売日で追うと「LEAPIN' AND LOPIN'」が先)それを象徴するかのように1曲目「FIVE WILL GET YOU TEN」はクラークのオリジナルです。個人的には2曲目「SUBDUED」が好みですけど。
それと、私はこのアルバムB面をほとんど聴きません。MP3で落としているのもA面のみです。(さて、どうしてでしょうか)


LEAPIN' AND LOPIN'

ともかく、ライオンはクラークのドラック地獄からの復帰を心待ちにしていたのでしょうね。それはじつに伝わってきます。
私が心待ちにしているのは明朝のお粥さん。(けっきょく自分で作るはめになったりして・・・・・・笑い事ではない。)

A FICKLE SONANCE / JACKIE McLEAN
1961年10月26日
JACKIE McLEAN(as) TOMMY TURRENTINE(tp) SONNY CLARK(p) BUTCH WARREN(b) BILLY HIGGINS(ds)
1.FIVE WILL GET YOU TEN
2.SUBDUED
3.SUNDU
4.A FICKLE SONANCE
5.ENITNERRUT
6.LOST

追伸、
『行平鍋』というと、打ち出し模様の広口鍋を思い浮かべる方も多いと思います。この『行平鍋』は歴史的にはもっとも新しいタイプで、打ち出し模様が雪のようだとゆうことでそう呼ばれるときいております。


浮世風呂

2007年01月20日 | s-u

熟(つらつら)監(かんがみ)るに、銭湯ほど捷径(ちかみち)の教諭(をしへ)なるはなし。其故如何となれば、賢愚邪正貧福貴賤、湯を浴んとて裸形(はだか)になるは、天地自然の道理、釈迦も孔子も於三(おさん)も権助も、産(うま)れたまゝの容(すがた)にて、惜い欲(ほし)いも西の海、さらりと無欲の形なり。
欲垢と梵悩と洗清(あらひきよ)めて浄湯(をかゆ)を浴れば、旦那さまも折助も、孰(どれ)が孰(どれ)やら一般(をなじ)裸体(はだかみ)。
是乃(これすなは)ち生れた時の産湯から死(しん)だ時の葬潅(ゆくわん)にて、暮(ゆふべ)に紅顔の酔客(なまゑひ)も、朝湯に醒的(しらふ)となるが如く、生死一重が嗚呼まゝならぬ哉。

式亭三馬の『浮世風呂』冒頭の一節です。

今日は、「たまにはいいか」と温泉施設でひとっ風呂浴びてまいりました。
思えば、私は昔からサウナ好きで、友人とサウナで待ち合わせなんてこともしばしば、朝方まで飲んで駅前サウナで酒を抜いてご出勤なんてこともよくありました。
普段小さな湯船で「お湯入れすぎないでよ、もったいないから」なんて言われながら入ってるより、せいせいと足を伸ばせる大浴場、高温サウナでこれでもかと汗をかいて、ぽっちゃり浸かる水風呂、とうぜんこちらのほうが気分がいいわけで、久しぶりにゆっくりと出来た気分です。
唯一難点といえば、風呂上がりのあのビールが車で行ったために味わえなかったこと、「今度は誰かを丸め込んで送り迎え付きで行こうか」なんて不埒なことを考えたりもしました。

大浴場といえば、今流行の温泉施設に行かなくとも、昔通っていた銭湯だってじゅうぶんに味わえるわけで・・・・・しかし、悲しいかな我が家の近くには全く存在しない施設になってしまいました。

♪ 貴方はもう忘れたかしら 赤い手拭 マフラーにして
二人で行った 横町の風呂屋 一緒に出ようねって 言ったのに
いつも私が 待たされた 洗い髪が芯まで冷えて
小さな石鹸 カタカタ鳴った 貴方は私の身体を抱いて
冷たいねって言ったのよ ♪

これを地で行くような生活が私にもあったんですよねぇ・・・若い頃。
なんだかとっても懐かしい(シクシク)

話は全く違いますが、大きな湯船の代名詞のごとく『ローマ風呂』と呼ばれるお風呂がそこら中に出来たことがありましたよね。(今もあるのかなぁ?)
あれも、昔の『ト○コ風呂』みたいに、間違った認識で出来たお風呂ですよね。
そもそも、『カラカラ』で有名なローマ式風呂というのはまさにサウナだったわけで、今で言えば通常サウナとミスト・サウナの組み合わせみたいなお風呂(最後に水風呂には入ったそうですけど)。映画『クレオパトラ』なんかにも出てくるあれです。
熱いサウナで毛穴を開いて、オリーブオイルを塗りたくって、ひっかき棒みたいなヤツでオイルと汚れを掻き落としたというそんなお風呂です。

『ローマ風呂』も銭湯のごとく社交場でもあって、おしゃべりやゲーム、賭け事、マッサージなんかして楽しんでいたそうでありますよ。(今の温泉施設そのものジャン)まさに『浮世風呂』ですね。
『ローマ風呂』に行くときは、ひっかき棒とオイルの器、それに冷水をかけるのに使った『パテラ』と呼ばれるとって付きのお皿みたいなものを、大きなキーホルダーみたいな輪っかに通して、ジャラジャラぶら下げながら通っていたのだそうで、ローマじゃ「ジャラジャラ」日本じゃ「カタカタ」
ローマで『神田川』がつくられたら、どんな歌詞になっていたのでしょうか(笑)

ともかく、遠くの温泉もいいけど、近くの銭湯もおつなものであります。

さて、今日の一枚は、風呂に入り直してビールでも飲みながら聴こうかと引っ張り出したスタンリー・タレンタイン、偶然にも46年前の今日、録音された一枚です。
ブルーノート4065番、この番も4052番「BACK TO THE TRACKS」同様、ジャケット・デザインまで決定していたにもかかわらずお蔵入りとなったアルバム。
どのような意図でライオンが未発表にしたのかはわかりませんが、この録音の一ヶ月後に「ミントンズ・プレイ・ハウス」に出演していたホレス・バーランのトリオのところへ、タレンタイン、グラント・グリーン呼び寄せ、クインテットのライブ録音を行い、4069,4070番「UP AT MINTON'S Vol.1,2」として発売しました。しかもリーダー名はタレンタイン。

察するに、バーランのトリオとタレンタインの共演をここで新たに取り直したとも考えられるわけで、今日のアルバムに何らかの不満があったのでしょうかね?それとも、トミー・タレンタインに不満があったとか・・・、でもだったら、最初からこのアルバムの録音をしなければ良かったわけで・・・・
欠番4065は後に日の目を見ました。私にはそれほど出来が悪いとは思えないのですが。
「SOMEONE TO WATCH OVER ME」なんて、飲んでいるときにはじつに良く合う一曲だと思いますよ。

COMIN' YOUR WAY / STANLEY TURRENTINE
1961年1月20日録音
STANLEY TURRENTINE(ts) TOMMY TURRENTINE(tp) HORACE PARLAN(p) GEORGE TUCKER(b) AL HAREWOOD(ds)
1.MY GIRL IS JUST ENOUGH WOMAN FOR ME
2.THEN I'LL BE TIRED OF YOU
3.FINE L'LL LASS
4.THOMASVILLE
5.SOMEONE TO WATCH OVER ME
6.STOLEN SWEETS

おまけ、
銭湯から、ケロリンの湯桶と瓶入り牛乳しか思い浮かばない、発想の貧困さに呆れております。