JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

嘆きの鰹

2011年04月05日 | p-r

休み無しで手伝ってきたMさんのお店ですが、昨日は「個人的用件も少し済ませなくちゃイカン」と始めて休みを取ることにしました。
そして夕方、S君の様子を見に事務所に回ると、
「なんかいろんなもんが溜まってねぇ?ひろしさんのとこが営業始めたっていうから行ってみようか?」

被害は少なかったとはいえ、たしかに震災以来非日常的な毎日を過ごしてきた中いろんな物が心の中に溜まっている気はします。
けっきょくひろしさんの被災状況も知りたいし、ここらでガス抜きをしてもバチは当たらんだろうと、奥様の了解を得て顔を出すことにしました。

以前も紹介しましたのでご存じだとは思いますが、割烹『ひろし』は地場の魚をそれは美味しく提供してくれるお店です。
しかし、とうぜんのごとくこの震災で地場の魚などあるはずもなく
「出す料理も限られてんだけどね、とりあえず潰れているだろうと思った店が生き残ってたから、開店だけはしたんだ」
とひろしさん
とはいえ以前の客足があるわけもなし、昨晩も我々二人(あとからMさんも合流しましたので三人かな)と常連客二人、そしてひろしさん本人も交えての酒盛りとなりました。

「そうだ、鰹があるよ。たぶんこれが最後の鰹になるんじゃないかなぁ・・・」
そう言って、レートルも上がったひろしさんが嘆き始めました。
「もう、いわきの海はお終いだな・・・・ハブちゃん、汚染水を放水するってどうゆう事よ?低レベルっていったって泣きながら発表されたら、低レベルもヘッタクレ無いでしょうよ、ねぇ、バブちゃん、いわきに魚が揚がんなくなったら、うちみたいな店はどうなっちゃうの?東電がそこまで保障しないだろうし、バブちゃんは俺より頭いいんだから、どうなっちゃうんだか教えてよ」
と言われましても
「・・・・・・・」

「こうなったら、今まで築地に回してた旨い魚をこっちで全部食べちゃってさ、放射能香る戻り鰹なんざぁあんがいおつなもんかもしれないし、野菜でもなんでもいらないって言うんだったら、俺達で全部喰っちゃうんよ、もちろん電気だってくれてやんねぇ、全部こっちで使って、ネオンバンバン、おねぇちゃん口説きほうだい、ってぇのはどうよ」
って、投げやりな。

とはいえ、漁業、農業はもとより、観光もサービス業も・・・・何をとっても先の見えない、いや、間違いなく打撃を受ける現状に、そんな冗談しか酒の肴にならないのも現実です。

「いい、もういい、こうやって酒盛りあげていられるだけ幸せだって、元気に飲むぞう!」
S君が仕入れたという愛媛の銘酒まで持ち込んで、投げやり宴会は夜遅くまで続いたのでありました。とさ。

「おいおい、おまえ達そんな事でいいんか?」
いえいえ、これはあくまでガス抜き、一夜明ければ放射能にも風評にも負けずにみんな頑張ってるんですから。


近くの運動公園は、連日頑張っていただいている
自衛隊の駐屯地になっています。

さて、今日の一枚は、またしても以前紹介したもの、バド・パウエルです。
昨夜、酔っぱらいが家に戻って独り聴いた「CLEOPATRA'S DREAM」は、もう一杯呑み直す力を私に与えてくれました。
チャリンコ、いただいたオールドパーの18年もの、美味しくすべていただきました。ごちそうさまでした。(笑)

THE SCENE CHANGES / THE AMAXING BUD POWELL Vol.5
1958年12月29日録音
BUD POWELL(p) PAUL CHAMBERS(b) ART TAYLOR(ds)

1.CLEOPATRA'S DREAM
2.DUID DEED
3.DOWN WITH IT
4.DANCELAND
5.BORDERICK
6.CROSSIN' THE CHANNEL
7.COMIN' UP
8.GETTIN' THERE
9.THE SCENE CHANGES


贅沢なふつう

2011年04月01日 | m-o

4月1日、年度初め、スタートの日です。
地元のスーパーも営業を始め、港にはガソリンを積んだタンカーが数隻入港した等々、徐々にではありますが生活を取り戻そうとする動きが活発化してきました。みんなが前向きに進み始めるスタートの日として今日があると信じたい思いです。
私も今のところ午前中はなんやかやと忙しく動き回り、午後から夜遅くまではMさんのお店と、疲れるのも忘れるほどある意味充実した毎日を過ごしています。

一昨日の晩はO-クのママに再会してきました。
彼女は一時避難所に避難したものの、幸いにも自宅もお店も港の近くにあったにもかかわらず大きな被害を受けずに済んで、元気な様子でした。
ただねぇ、負い目ではないんでしょうけど、家はもちろん生活の糧まで無くしてしまった方々が身近に多くいるママとしては、心のダメージが大きかったようで・・・・・・
私とウダクダ話したことで少しはまぎれたでしょうかねぇ?
最後は「これからは我々被害が少なかった人間が元気をふりまいて行かなくちゃ、元気にいくぞう!」と、食パンのお土産までもらって帰ってきました。
被災者は損害の大小にかかわらず、心には大きな痛手をおっているのだと思います。「心のケアー」これからはそれも大切なことなんでしょうね。

一晩明けて、これも未だ避難所で先が見えない生活をされている被災者には申し訳ないんですが、水のある生活をちょっとだけ満喫させていただきました。
ヤナイ珈琲さんで珈琲豆を仕入れ香りを楽しみ、風呂に入り、溜まっていた洗濯をして、ラップコーティングをしていない器で食事をとりました。(洗い物が出来ないんで、器はきょくりょく使わない、使うにしてもラップで包んで汚さないようにしてましたから)もちろんトイレも(失礼)
一人っきりってぇのがちと寂しかったですが、とても幸せな気分になりました。


洗濯に気を取られ、鮭が焦げてしまいました。(笑)

震災前はごくあたりまえに思っていた「ふつうの事」が、いかに「贅沢で幸せな事」なのか・・・・・この気持ちはこれからも忘れちゃいけませんね。
そうそう、今日の新聞には三枚の折り込みチラシが入ってたんですよ。
え?チラシがどうしたってですか?
だからぁ、新聞の配送が開始されてもチラシなんざぁ今まで一度も入ってなかったんです。
地場のスーパーとその薬屋さん、そして仕出し屋さんのチラシでしたが、いつもならウザイチラシも、復興の兆しのようでなんだか嬉しかったんです。

原発問題は未だ先が見えない常態ですが、避難所生活を余儀なくされているみな様も、いずれ必ず「贅沢なふつう」が味わえます。味わいましょう。
それまでは、ちょっとだけでも味わえるようになった私みたいな贅沢者にどうぞあまえて下さい。金はないけど元気はありますから。

さて、今日の一枚は、まだ新たなアルバム紹介をする気持ちまでは戻っていませんので、今朝も元気をもらった「HARLEM BLUES」が入ったこのアルバムを選びました。
これを聴くと、ムクムクムクっと身体が動き出すんです。(ん?なんだかイヤラシイか?笑)

HARLEM BLUES / PHINEAS NEWBORN Jr.
1969年2月12,13日録音
PHINEAS NEWBORN Jr.(p) RAY BROWN(b) ELVIN JONES(ds)

1.HARLEM BLUES
2.SWEET AND LOVELY
3.LITTLE GIRL BLUE
4.RAY'S IDEA
5.STELLA BY STARLIGHT
6.TENDERLY
7.COOKIN' AT THE CONTINENTAL