ちょっと前の週間予報どおり、とても良い天気でした。とはいっても、未だ大気の不安定さから日本列島が逃れることも出来ず、全国が集中豪雨におびえている事態に変わりはないようです。
今日はちょっとした野暮用が重なって、夕飯が遅くなってしまいました。それでも料理当番から逃げられもせず、とりあえずは『料理当番、本日の一品』であります。
あはははは、一つの反抗ですね、今日は完全につまみ系に徹してしまいました。
プレートの中身は、サーモン団子(笑)、マッシュポテトのトロ豚添え、ホタテと海老とトマトのグラタンもどき、インゲンとベーコンのスパゲッチョです。
こんなんをつまみながら、趣味部屋ではなくダイニング(????)で飲んでおりますと、テレビでは『篤姫』が放送されています。
「ほう、ついに島津久光上洛ですかぁ」
何て言いながら見ていると、小松帯刀に妻お近役のともさかりえが
「戦ならば、必ず勝って、生きてお戻り下さい!」
といつになく強い調子で話してるではありませんか。なるほど、命がけの夫を送り出す妻のこれが心境なのでありましょう。
「いいよなぁ、俺もともさかりえにこんなこと言われてみたい・・・・」
昨日の朝日新聞土曜版beに『歌の旅人 泣かずにはいられなかった 古今亭志ん生「冬の夜に」』という記事が載っていました。
冬の夜に風が吹く
知らせの半鐘がジャンと鳴りゃ
これさ女房わらじ出せ
刺子襦袢(さしこじゅばん)に火事頭巾(かじずきん)
四十八組おいおいと
お掛り衆の下知(げち)をうけ
出て行きゃ女房その後で
うがい手洗(ちょうず)にその身をきよめ
今宵ウチの人になァ
怪我のないよう
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
清正公菩薩(せいしょうこうぼさつ)
ありゃりゃんリュウの掛け声で
勇みゆく
ほんにお前はままならぬ
もしも生まれたこの子が男の子なら
お前の商売させやせぬぞえ
罪じゃもの
これは、武士ではなく火消しの旦那を送り出す妻の歌ですが、落語でもないのに志ん生の歌が有名なのでありまして
これを聴いて涙したという、今上天皇の家庭教師でもあり、慶應義塾大学の塾長でもあった小泉信三氏と志ん生の関係、そしてこの歌にまつわる話などが書かれた記事でした。
小泉氏は空襲で、ご自身も顔や手に火傷を負われ、また最愛のご子息も亡くされ、さらには多くの弟子や学生を戦争で失っていたわけで、けして上手くもないけど味のある歌が心に染みたのでしょうねぇ・・・・
志ん生のCDにもしっかり録音が残っていますので、一度お聴きになってみて下さい。たしかに心に染みるものがあるはずです。
海の機嫌をとってきた都万のおかみさんたち
ひと荒れすりゃひと年も老けてきた
明日の朝は去ってしまおう
だって ぼくは怠け者の渡り鳥だから
これは拓郎の『都万の秋』
先日、Mさんから録音を依頼された『よしだたくろうLIVE'73』にも入っていました。
そうか確かに漁場に夫を送り出す漁師の妻も、心境は同じかもしれませんねぇ。
武士を戦場におくる妻、火消しを火事場におくる妻、漁師を漁場へおくる妻、ああなんと強き絆でありましょうか・・・・
「お~~い、出掛けるよぉ」
「あっ、行ってらっしゃい、気を付けてね」
新婚の頃は、玄関まで必ず見送ってくれたもんですよねぇ
それがあ~た、見送るどころか「帰ってこなくていいよ」みたいな空気さえ感じながら、仕事へ向かう・・・・・・
そう!そこのあなたも同じでしょ、一度言ってみたらどうです、
「今日は命がけの仕事が待ってるんだ、もしもの時には、後を頼む」
なんて
・・・・・・でも、
「あっ、そ」
で、終わりでしょうねぇ・・・・・・寂し~~!厳し~~!
さて、今日の一枚は、ソニー・ステットとブッカー・アービンです。
ステットが当時のアービン・グループと共演したといったような形のアルバムなんですが、二人のテナー(ステットは一部アルトも吹いていますけど)の違いは一目瞭然、誰が聴いてもハッキリと分かります。
そんな二人をひとまとめにしているのは、間違いなくドン・パターソンですね。ヘタをすると彼がリーダーでも良いんじゃないかというくらいに私には感じられます。
つまり、このアルバムの魅力は、ステットとアービンのテナー・バトルではなく「パターソンに誘われて心地よい音色を醸し出す二人」そんなところにあるのだと思います。
SOUL PEOPLE / SONNY STITT & BOOKER ERVIN
1974年8月25日録音
SONNY STITT(ts,as) BOOKER ERVIN(ts) DON PATTERSON(org) BILLY JAMES(ds)
1.SOUL PEOPLE
2.SONNY'S BOOK
3.C JAM BLUES
4.MEDLEY - I Can't Get Started / The Masquerade Is Over