JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

十五理(ことわり)

2006年12月16日 | a-c

今日はなんとか雨も上がり、ときおり晴れ間も見えましたが、ほとんど曇り空。それでも寒さは感じない一日でした。
土曜恒例のロング散歩は、いつもより多めに歩いてきました。ふと気がつけば、亡くなった旧友宅近くまで歩きつき、
「せっかくだから、ご挨拶だけでもしていこうか」
♪ピンポーン
「あら、バブさん・・・・ひょっとして、いいところに来てくれたかもしれない」
「??????」

亡くなった旧友I君は、じつにマメで器用な男でした。
アパートの押し入れを改装して(中板を外しちゃって)利用していたかとおもえば、引っ越し当日に直してしまう、車の改装(変なヤツじゃないですよ)はお手の物、あげくは、アイロン掛けまで完璧、中学の時など、技術(昔は必修であった科目です)で自分のものだけじゃもの足らず、他人のものまで作ってしまうというヤツでしたから、家の中のことは、一手に彼がこなしていたようで

「今ねぇ、障子の張り替えをやってたんだけど、どうも上手くいかなくて」
と奥様、中学生の次男と四苦八苦の様子。
「偉いなぁ、お母さんの手伝いして」
「バブさん、張り方教えてもらえない?」

I君ほど上手くはありませんが、それでも障子張り程度ならお手伝いもできようかと、
「全部手伝ってる時間はないけど、一枚だけやってみるから、○○君、ちゃんと憶えて、お母さんに教えてやって」
ということで、次男に教えながら、一枚だけ障子張りをやってきました。
なんだか、久しぶりに息子と何かをやったような気分になって、ちょっと楽しくなってしまいました。

「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つことば、十二文(ふみ)、十五理(ことわり)で末決まる」
人間は、脳と体と心の三つから成っていて、心は脳と体を結びつける糸、三つまでに、この見えない糸を張らせるのが「三つ心」です。
次ぎに、六つまでに張られた糸のトレーニング、これが「六つ躾」。六つまでにきっちり躾をほどこせば、生涯、恥をかかない人間になれるといいます。
九つまでに言葉遣いを教え、十二までに書類が書けるようになり、十五までに道理がわかる人間に育てる、「十五理」となるわけで。これが親としての役割だと説いた江戸のことばであります。
十五で理をわきまえさせるのは、現代では難しいことかも知れません。というより、親が道理を忘れているのかもしれませんね。

そんな中、片親でこれをやるのは特に大変でありましょうに、I君のところは、じつに奥様がよくやっておられる、とてもしっかりしたお子さんに育っておりました。
最近のいじめ・自殺問題も、しっかりした親がきちんと子を仕込むことが肝心なのでしょう。いまさら私が思っても、我が家では後の祭りではありますけど(笑)

さて、今日の一枚は、コルトレーンです。しかも、いまさらなんたらかんから言わなくてもいいという、超ポピュラー盤。
じつは、今日なぜか無性に聴きたくなって、ターンテーブルに上げたのですが、やっぱり良いものは良い。
コルトレーンのアルバムの中で、『勢い』だけ考えるなら、このアルバムがやはり一番ではないでしょうか。
マイルス・グループを離れ、アトランティックで「よし、いくぞ!」という『勢い』、これには圧倒されるものがあります。
その『勢い』に無理矢理付き合わされたサイドメンには、少々「聞いてねぇよ!」的な、可哀想な面もありますが、後にトミー・フラナガンが「それでも、歴史的アルバムに参加できたことは、今となっては光栄なことだった」と言ってますから、コルトレーンの強引さにも納得がいったということなのでしょう。
ともかく、マイルス・グループを飛び立ったコルトレーンが、全曲オリジナルで「どうだぁ!」と意気込んだ名盤です。

GIANT STEPS / JOHN COLTRANE
1959年5月4,5日, 12月2日録音
JOHN COLTRANE(ts) TOMMY FLANAGAN[1~5,7], WYNTON KELLY[6](p) PAUL CHAMBERS(b) ART TAYLOR[1~5,7],  JIMMY COBB[6](ds)
1.GIANT STEPS
2.COUSIN MARY
3.COUNTDOWN
4.SPIRAL
5.SYEEDA'S SONG FLUTE
6.NAIMA
7.MR. P. C.