JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

三脱の教え

2006年12月24日 | v-x

今日は、年賀状も書き終えたことだし、大掃除は正月休みに持ち越しということで、伸びきった頭髪をサッパリしてこようと床屋へ出かけました。
ところが、誰もが考えることは似ているのかいつもの床屋の駐車場が満杯状態です。
「う~む、システマチック理容室(短時間で低料金のかの床屋を私はかってにそう呼んでおります)にでも行くしかないかなぁ~~」
髪型になんのこだわりも持っていない私ですから、ようは何処の床屋でも髪さえ刈ってもらえれば用は足りるわけで
あきらめ半分でシステマチック理容室に向かう途中、最近出来たのか新しい床屋を発見いたしました。駐車場にもまだ余裕がありそうでしたので
「よし、新規開拓だ!」

いくつぐらいでしょ、まだ、いかにも独立間もないイケメンの理容師さんが、お姉様(確かめたわけじゃありませんから、定かではありません。ただ、奥様にしてはかなり年上に思えましたし、お顔もよく似ておられたので)と二人で切り盛りされておりました。
雑誌を見ながら順番を待っていると、ほどなく私の番に
「今日はどういたしましょ?」
「え~と、適当にサッパリしてもらえれば、土台が土台だから贅沢は言いませんから」
「お客様、お住まいはお近くなんですか?」

私は、床屋で髪をいじってもらったり、顔をあたってもらうのが大好きで、その間はできればあまり話しかけてもらいたくないタイプです。
それでも、初めての客となれば、あちらさんも話しかけないわけにも行かないのでしょう。「今日は気温は高いみたいですけど、風は冷たく感じますよね。」とか
「インフルエンザがなんたらかんたら・・・」
「スキー場も雪が無くて困ってるらしい・・・・」などなど、なんとか私の興味を探ろうと一生懸命です。
そのうち、「あー」とか「ええ」とかしか答えない私に、さすがの彼も「こりゃ話したくないな」と気づいたらしく、黙々と作業に徹しておりました。

とかく客商売をするのに、初めての客だと何を話題にしてよいのかわからないときが間々あるものです。
「政治、宗教の話は御法度、天気や三面記事的話をしてれば無難」
なんて人もいますが、
江戸の教えに『三脱の教え』というのがあるのを御存じでしょうか?
『三脱』の三とは、『年齢』『職業』『地位』。初対面の相手にはこの三つを尋ねちゃいけないという教えです。
「この三つの先入観が入ると、いらぬフィルター越しにその人を見てしまうことになる、これは人間を見る観察力、洞察力を鈍らす最大の原因になるからだ。」という事。
じつに的確な教えであります。
客商売において『観察力』『洞察力』は、最大の武器にして、絶対のテクニックなのでしょう。

逆に言えばこれは、私たちがお店を選ぶ一つの基準になる教えでもあるわけで、
たしかに、始めて行った飲み屋のお姉ちゃんが
「バブさん、お勤めは何処なの?お歳は?お名刺頂けます?」
なんて、ブイブイやられたら、考えちゃいますもんね。しかも名刺をわたして、社名と肩書きを見た瞬間に別のテーブルに行かれちゃったりしたひにゃあ~た、二度とそんな店には行かないでしょう。(笑)

ともかく、イケメン理容師は一生懸命さが伝わってきたし、『三脱の教え』も守れていましたから、また利用することにしましょう。
「頭もサッパリしたし、今年もあと一週間、忘年会はあと何回あるかなぁ~、そうそう新年会もあるジャン」って、お前の頭の中にあんのはそれだけかい、こんどは中身もサッパリしてこい!

さて、今日の一枚は、フランス屈指のテナーマン、バルネ・ウィランです。
ケニー・ドーハム、デューク・ジョーダンを迎えてのライブ盤ですが、22才のウィランが二人に負けずと頑張っちゃっている、乗りの良いアルバムです。
この当時のフランスは、ジャズがいかに盛んだったか、彼の演奏を聴くと納得いきますよねぇ。
そんでもって、とうぜんドーハムもジョーダンも気持ちよく演奏してます。「LADY BIRD」あたりのジョーダンのソロなんてノリノリですよ。
以前、アート・ペッパーの「BESAME MUCHO」も紹介しましたが、この「BESAME MUCHO」も一聴の価値はあると思います。なかなかの名盤です。

BARNY / BARNY WILEN
1956年4月録音
BARNEY WILEN(ts) KENNY DORHAM(tp) DUKE JORDAN(p) PAUL ROVERE(b) DANIEL HUMAIR(ds)
1.JORDU
2.LADY BIRD
3.BESAME MUCHO
4.STABLEMATES