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映画評・集団左遷

2019-06-26 22:45:17 | 映画

映画評・集団左遷

 テレビドラマ評であるが、評論に便乗して政治風刺をするので、全くドラマ評にはなっていないことをお断りしておく。このドラマは比較的人気が高かったのに、何となく福山雅治のかっこ良過ぎで、見るのに抵抗があり、ようやく途中から見始めて面白いと思ったのである。

 三上博史演じる横山が、銀行の経営改善のために、外資系会社との提携を画策し、国会議員に賄賂を贈り実現直前にまでにこぎつけ、副頭取に就任しようとする。福山演ずる片岡は、横山の副頭取就任を阻止するため、銀行の裏金の受け取りリストを入手するのだが、役員会で公表するとリストから横山の名前が消えていて、片岡は失敗した。事前に頭取にリストを見せたものだから、頭取は外資系会社との提携の方が社のためになると判断して、もみ消したのだ。

 次に片岡は、同期の梅原から政治献金の証拠の手帖を入手し、マスコミに告発しようとする。しかし横山から、社内改革をするなら会社を立て直すことが必要で、政治献金は必要悪だと言われる。片岡は告発を共謀した真山の出向を取消すことと、片岡を新プロジェクトメンバーに入れて、今後出世し、横山と同じ土俵に立って社内改革をすべきではないか、と説得され、告発断念に傾く。これは少々の不正は目をつぶらなければならない、現実社会では、間違っているとは断言できない。この場面が現実味を帯びる所以である。

 しかし、不正を温存したままでの社内改革は意味がないから、俺たちの世代で断ち切ろう、と真山が片岡を説得した。社会正義あっての社内改革でなければ、お客様にも後輩行員にも申し訳ないではないか、という真山の熱誠に片岡は決断する。不正阻止一直線だった片岡が、最後に人参をぶら下げられて、心が揺れるとところが最後の見所だった。政治疑惑がマスコミに告発されて以降は、お決まりのハッピーエンドである。

 小生は社会人になって長いから、官庁でも民間でも、少々の裏があることは想像できる。このドラマにあったような不正行為や隠ぺいは、数限りなくあるのかも知れないのである。それに直面しなかった小生は幸運であったのに過ぎない。というよりは、そんな場面に出会うような地位にまで登らなかったのかもしれないのである。

 しかし、これから言いたいのは、どこにでもあって良いような些末なことではない。この番組の描いた不正は、会社の提携に関して、賄賂をもらった政治家の介入である。このようなことは一般的に、自民党の政治家がする、とイメージされるであろう。実際に諸外国よりは比較的清廉であるとされる日本の政治家は、自民党に限らずこの程度のことはしているだろうと、多くの国民は思っている。

 否、政治献金を受けて口利きをすることは違法ではないのである。現に石破議員らは獣医師界から献金を受けて、加計学園等の獣医学部の新設反対工作を続けたが、合法的活動である限り問題はないのである。

 小生が感じたのはこのようなことではなく、日本の崩壊を企てる勢力や裏社会との、政治家の危険な癒着である。このようなものは、片岡のような一直線の正義では解決のつかない問題である。しかも「大企業との癒着」ではないために、この手の政治家はむしろ清廉な人士として評価されているから恐ろしいのである。しかも、大手マスコミは、知っていながらむしろ問題にしないのであろう。二人例示する。

 一人は立憲民主党の枝野党首である。令和元年6月20日の産経新聞の「阿比留瑠比の極限御免」に大方次のように書かれている。平成23年自民党の平沢勝栄氏が当時の枝野官房長官に、極左暴力集団、革マル派に影響力を受ける浸透を受けていて、JR東労組からも献金やパーティー券購入を受けている、と指摘した。枝野氏は、そうした浸透をしている勢力の影響を受けないように留意していることと、献金などは合法的に処理していると答弁した。これは、はぐらかし答弁の典型である。スキャンダルとはならず、それでことはお終いとなった。

 JR東労組は「暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史」に書かれるような危ない面を秘めた組織なのである。枝野氏は、日本の暴力革命を企図する革マル派や、国鉄を悪くしようとしたと公言した組合の系譜の労組と癒着し、献金までもらっていたというのである。これほど危険な政治家がどこにいようか。極論を言えば、日本国を破壊しかねない組織との癒着に比べれば、賄賂をもらって会社の便宜を図る政治家など可愛いものである。そもそも議会制民主主義の否定に等しいのだから。

 多くの国民は労働組合と言えば、労働者の権利を守る良心的組織だと思っている。ところが一部の左翼組織化された労働組合はそうではなく、労働者を左翼運動に利用しているだけである。小生はその暗部を少しだけ垣間見たことがあるから体感している。

 次は辻元清美氏である。今裁判で係争中の小川榮太郎氏の「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪、に次のようなことが書かれている。

 「辻元疑惑(P100)」である。森友事件の例の籠池淳子氏は「辻元清美議員が幼稚園に侵入しかけ、私達を怒らせようとしました嘘の証言をした男は辻元と仲良しの関西生コンの人間でした・・・作業員が辻元清美が潜らせた関西なんとか連合に入っている人間らしいです。」と言ったというのだ。

 そして小川氏は「民進党は、辻元は幼稚園の敷地に近づきもしていないと説明したが、実際にはこの日、辻元は視察団の一人として幼稚園の敷地に入っており、本人も認めている。民進党の抗議は虚偽だったのである。」これらを総合すると、辻元清美議員は「関西生コン」とは関係が深いようである。それでは関西生コンとは何か。

 ジャーナリストの須田慎一郎氏のニッポン放送での解説が、インターネットに出ている。それによれば、関西生コン事件があった。平成30年8月、滋賀県内の倉庫建設工事を巡る恐喝未遂事件で関西生コンのドンが逮捕された。ドンとは武健一氏である。正式な名称は「全国建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」だそうである。この逮捕は大阪府の公安が行い、強制捜査には四府県警察が動いていた、というのである。

 関連業者に組合に入ることを強要し、入ると上納金を納めさせ、うちから生コンを買えと脅す、組合を名乗っているが、実態上は暴力団組織と変わらない、というのである。辻元氏はボスの武健一と個人的に仲が良いばかりか、政治献金まで受け取っている、というのである。このような人物が清廉潔白を装ってきれいごとを言い、政府を追及している。

 日本の世も末ではないか。「集団左遷」で社内での立場も顧みず、勇気ある告発をした片岡とその仲間たちの勇気は是とする。見ごたえのあるドラマであった。しかし、テレビドラマのみならず日本のジャーナリズムは、例示した枝野氏や辻元氏のような日本の暗部には触れようとはしない。

日本の大手ジャーナリズムはことあるごとに、反権力を標榜し、自民党政権を追及する。しかし、日本は三権分立の国である。野党議員と雖も、三権のうちの立法権者である。権力者なのである。彼らは権力に対峙して、国民の側にいると見せかけて、実は絶大な権力をふるうのである。それも危険な暴力集団や、反社会的勢力と関係がある。日本の議会制民主主義の危険は、単なる政治家の賄賂汚職にとどまらないであろうことを、人気ドラマ「集団左遷」から思いを巡らせた次第である。



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