毎日のできごとの反省

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モンスター官僚・面従腹背編

2018-07-18 18:05:35 | Weblog

 以前紹介したモンスター官僚の前川喜平氏が、とうとう座右の銘と語った「面従腹背」をタイトルにした本を出した。売れ行きが良いのだそうである。図書館で調べると6月に出版したばかりなのに、7月初めにアクセスしてみた都内の図書館全てで購入している。そればかりではない。予約状況が確認できた三図書館とも、全て予約待ちの状況である。どういう意味でか断定はできないが、読みたい人が多いのに間違いはない。

違法な天下りを指揮して馘首同然で退職し、野党からもマスコミからも非難ごうごうとなった。ところが、「加計問題」で元文科省役人の立場で安倍内閣批判をすると、マスコミは手のひらを反して、気骨ある元官僚のごとく持ち上げた。同時に出会い系バーという売春斡旋まがいの悪所に、勤務時間中に出入りしたことを報道されると開き直り、貧困女子の調査だと白々しい言い訳をしたが、多くのマスコミはそれを真に受けた風をした。

 当時言ったのが、座右の銘は面従腹背である。安倍総理に面従腹背を通したと言いたいのである。元通産官僚の岸博幸氏が「官僚のクズ」と罵倒するのも当然である。座右の銘とはその人の信条なり信念を言うものであろう。それを、上の者に媚びへつらい、その癖裏で裏切るに等しいことをすることが信念だと言うのだから恐ろしい。座右の銘の多くは、実現できなくても、その人の理想として、一歩でも近づこうと努力目標とする言葉であろう。理想が裏切りだ、と言うのだからなにをかいわんやである。

 だがこの言葉は安倍総理にだけ向けられたものではないはずである。天下りの件では前川氏は、野党からもマスコミからも痛烈な批判を受けて、嫌な目に遭った。しかし、安倍批判をした途端に批判が転じて野党やマスコミの寵児となり、出会い系バー通いが批判されることもほとんどなくなった。それなら前川氏が人間不信となるのは当然である。今氏を持ち上げている人たちに対しても、前川氏は面従腹背を貫いているのに違いないのである。

 あれほど非難しておきながら、途端に手のひらを反す面々を心から信用するはずはない。今は本の出版のチャンスもでき、売れている。講演をして稼ぐこともできる。しかし、間違えても前川氏を持ち上げた面々に気に入られない発言をしてはならないのである。

 氏は面従腹背の鎖に縛られたのである。もっとも前川氏は元々左翼官僚であったそうだから、安倍内閣を気に入らないのは当然だから、ドジを踏む気遣いは少ない。それにしても、GHQによってゆがめられた結果、教育行政のトップに、このような人物がつくようになった。日本の前途は多難である。

 ただ前川氏が見損なっていることがあるのではあるまいか。前川氏に安倍内閣批判の材料を提供したり、講演会の斡旋をしているのは文科省の労組の人達であろうと推察される。いくら前川氏が彼らに媚を売ろうと、彼等には事務次官などという出世競争とは、逆立ちしても縁のない人たちである。出世街道を歩いた前川氏とは、思想が一致しようが、立場は元々水と油である。本来蹴落としたい人物が権力者となったのが前川氏である。

 前川氏は生きてゆくすべを、本来味方であるべき彼の後継を目指す人々に託すのではなく、利用できる限りでしか利害の一致しない、本来の敵に委ねたのである。その証拠に中学の講演に前川氏が出て、文科省が調査に入った時、前川氏は文科省批判に利用された。批判されているのは前川氏の味方であるべき文科省幹部である。前川氏は期せずして、そういう綱渡りの路地にさまよいこんだのである。でもまあ、人生万事塞翁が馬。人生なんとかなるものである、という良き見本である。