毎日のできごとの反省

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シネマ紹介・戦火の馬

2016-01-19 16:41:34 | 映画

 第一次大戦に軍馬として使われた英国の馬の話である。原題はWar horseというのだから、直訳すれば、軍馬というのになるので、味気ないから工夫したのだろうが、最近のようにウォー・ホースなどと直訳されるより、よほど気が利いている。監督はかのスティーブン・スピルバーグである。昔、「激突」というスピルバーグの映画があったが、ストーリーは全く異なるものの、同様にスピルバーグらしい、味わいある映画になっている。

 元々原作に人気があるらしく、スピルバーグの目の付け所が良かったというところであろう。ろくに金もない父が、高値で馬を競売で落札したので、農耕馬として育てると言った、息子アルバートは馬にジョーイと言う名をつけて訓練した。ところが、英軍騎兵に目をつけられて、軍馬として買われることになった。

 そこからジョーイの運命の変遷が始まる。ドイツ軍に引き取られたり、少女に飼われたり、気性の激しい馬との友情が芽生えたり、ジョーイの生活は次々と変わる。数々の戦場を駆け抜けたジョーイは、終戦とともに結局少女の祖父に競売で落札されたが、彼の好意でアルバートのもとに戻った、というハッピーエンドの物語である。馬は多くの苦労をしたので、ハッピーエンドは有難い。

 何故かジョーイに出会った青年たちはジョーイに惹かれ、一種の友情が芽生える。ジョーイを象徴するのは、最初にアルバートにつけられた赤白の三角布である。日本でも馬と人間との情愛は知られている。西洋人にも同様な感情があるのだと実感させられた。靖国神社にも戦火に倒れた軍馬を象徴するブロンズ像が飾られている。

 馬は犬以上に人間になつき、時には死を賭して働くそうである。小生の家は農家だったから、小学生の途中まで農耕馬がいた。馬を扱ったことはないが、副収入を稼ぐため、山羊や牛も飼っていた。山羊や牛を放牧の為に連れ出すのだが、強情で素直について来ないので、苦労した覚えがあるが、馬はそんなことはなかったろうと思う。

 だから牛が食用として売られていくときに、何の感傷もなかった。だが馬が売られていった時のことは鮮明に覚えている。当時最新の耕耘機を買ったので、馬がいらなくなったのだ。夜、裸電球で照らされた下で祖父が、最後の餌として、桶に切った干し草や、糠を入れて水でこねたのだ。

 電球に照らされた馬の、パッチリした大きな目は、潤んでいたが悲しかった訳ではあるまい。今でも馬を見ると、目が気になる。当時は珍しい、競馬馬を運ぶような箱形のトラックに乗せられて行ってしまった。馬は若くはなかったので、どうなったか見当もつかない。悲しかったかどうか記憶はないが、その時の光景は、よく覚えている。

 



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