新幹線事故問題を中心に、中国社会がいかにでたらめに満ちているかを綴るが書評ではあえて書かないから本書を読んでいただきたい。
ビジネスホテルに泊まろうとしてパスポートを出すと、外国人は泊めないと断られた。他にもこんな場面があるが、要するに盗聴設備がないからだそうである(P51)。毛沢東の竹のカーテンの時代は外国人の入国を徹底して制限したから、外国人に案内役と称する監視役をつけたが、現在では科学技術の利器が利用できるのだ。
親や祖父などが付き添う小学校の集団下校があるのだが、交通安全のためではない。誘拐帽子である。金持ちからの身代金目的ばかりではない。幼子田舎の工場に、闇炭坑や農村の嫁に売るのだそうである(P51)。これは特殊な例ではなく、一般的な闇ビジネスで、外国に里子に出す商売もある(P136)。上海や北京の繁華街などの目立つ所には、身体障害者が物乞いをしている。歩行困難、四肢がない子供たちである。産経新聞の報道として、誘拐は組織的に行われ、身体障害者は子供を誘拐して虐待して手足を不自由にしたり、硫酸を顔に賭けたりして作られる(P151)と記している。健常者は物乞いには同情を得られないからだそうだ。以前、中国では子供を誘拐して四肢の骨を折るなどして障害者を作り物乞いをさせる仕事があった、と読んだことがあるが昔話ではなく、現在でも行われているのだ。ちなみに、障害者にされた子供は不健康なので早死にするケースが多いそうである。古代社会でも中世社会でも、このような犯罪が常態化している社会はあるまい。支那人と言うのは古今東西稀に見る異常な人たちである。
新疆ウイグル自治区が原爆の実験場であったことはよく知られている。日本のある学者の試算によれば、核実験による死亡者は最悪18万人に達するという(P78)。実験のための管理など行われていなかっただろうから、当然であろう。ウイグルは漢族ではない。つまり支配者とは異民族の土地であったから平然と核実験を行ったのである。ウイグルはチベットに続き、1951年に毛沢東が侵略し、以後軍隊が100万人駐屯している(P80)。いくらウイグルが広大だとは言え、人口は僅かである。暴力による異民族統治は膨大な人員を必要とする。
中国崩壊説を唱える人は多い。しかし小生はそれに与しない。試算金融バブル崩壊も何年も前から言われているが起こらない。本書によれば、特権階級が当局と組んで通貨を強制的に維持し、ビルのテナントが埋まらなくても、価格を維持させるというインチキをしている(P128)からだそうだ。中国は軍や警察などの暴力装置が維持される限り、崩壊はしない。
一点疑問がある。渡辺利夫拓殖大学学長の指摘を引用して、北朝鮮が中国を振りまわしている状態であると言うのだ。その証拠に金正日が北京での会合をドタキャンした後、また訪中した金正日に胡錦濤が会いに来たし、江沢民も習近平も最初の外遊先に平壌を選んだ(P159)というのだ。だが、北朝鮮は中国の援助で細々と生きているのに過ぎない。中国ウォッチャーというのは朝貢外交と言う言葉に振り回されている気がする。
中国人が自国を信頼しないのは古今変わらない。北米では一定以上の投資をすると移民、永住のビザが発給されるので、富裕層の過半が脱出したがっている。50万ドル以上の資産家の内、10%が投資移民として海外移住を決意しており、さらに10%が近く移民申請する(P132)という。これらの多くは共産党幹部なのだ。庶民も同じである。福建省の沿岸の南の閩南から人が渡り閩南語が台湾語になった(P146)。また、中国から陸伝いにタイへ逃げた華僑がタイの経済実権を握り、今完全にタイの政治を乗っ取ろうとしているタクシン一家もこの華僑の末裔である(P197)。ベトナム戦争後100万人以上のベトナム人が海外逃亡してポートピープルとなったが、彼らは実は華僑の末裔である(P237)。
意外なのは尖閣領海で中国漁船が体当たりした事件で、レアアース輸出を凍結したのは、実はそれを口実に輸出制限をしただけであると言うのだ。この影響を受ける米国はWTOに提訴したと言うのだが日本は提訴に加わらなかった(P89)。なんだか戦前の支那で外国人襲撃事件に対して、欧米は一致して反撃したが、幣原外交は融和的に出て、かえって抗日侮日を招いたのと似ている。資源利権には中国は敏いのだ。アフガニスタンではタリバン政権当時から銅鉱山利権を持ち銅を採取している。欧米が軍事介入してカルザイ政権を樹立するが、中国は派兵しない。鉱山を護るのはアフガニスタン警察、それを訓練したのが米国、その人件費の半分を日本が負担している。筆者はポンチ絵である(P86)と笑うに笑えない状況を揶揄している。