毎日のできごとの反省

 毎日、見たこと、聞いたこと、考えたこと、好きなことを書きます。
歴史、政治、プラモ、イラストなどです。

安保法制は必ず成立する

2015-08-07 15:21:11 | 国防

 安保法制は必ず通る。理由は簡単である。もちろん仮説であるが、そもそも安保法制が持ち出されたのは、日本側の国際情勢に対する危機感もあるが、根本的には米国の指示によるものだからである。確か、憲政史研究者の倉山満氏の著書だったと思うが、日本の重要な政策の決定については、政府の一定以上の地位の人物には、米国からの指示が伝達され、その通りに政策を決定しなければならないシステムができているのだそうである。頂点にいるのはもちろん総理大臣である。

 小生はもちろん、多くの国民も口には出さずとも、直観的には同じことを感じているはずである。小生は特に安全保障政策と、それに関連する外交に関しては、絶対的に米国の指示があるはずだと推定している。村山富市氏が総理大臣になったとたんに、社会党が安保条約賛成に政策を正反対に転換したのも、単に立場を考慮したものではなく、村山氏は米国の影響力を知らされたからである。

 もっとも倉山氏は、「本当は恐ろしい日本国憲法」という長谷川三千子氏との共著で、村山氏が安保条約などを認めたのは、内閣法制局長官が一時間かけて説得し、法制局を敵に回しては政権を運営できないと悟ったからてある、と書いている。しかし、小生にはそれだけではないとしか考えられないのである。

 小生は不完全なものながらも、今回の安保法制には基本的に賛成である。しかし、その成立は米国の力によるものである。本来の公明党は、安保法制には反対の立場であるはずである。それが自民党に協力しているのは、与党にいるからであり、その限りにおいて公明党幹部は米国の意志に逆らえないことを知っているのである。

 また野党も、反対している民主党などの野党も、そのことを薄々感じているからこそ、反対論が「戦争法案」だとか「徴兵制」につながるとか、論理的ではなく感情的な批判論しか展開し得ないのである。街頭で安保法制反対のびら配りをしている良心的な人たちは、何も知らずそのデマコギーのような反対論に踊らされているのである。以上のような訳だから断言する。安保法制は必ず通る。

 


書評・日本列島防衛論・中西輝政・田母神俊雄・幻冬舎

2015-04-26 14:07:57 | 国防

・日本と英国の類似点と相違点について

類似点:島国という閉鎖社会だから信用が必要となる。狭いから逃げ出すところがないから、同じ人たちと長く付き合わなければならないからである。信用で生きているから慣習法のようなもので、物事が決まる。だから日英人共に大陸の人間から本音が分からないといわれる。(P47)

相違点:大陸を隔てる海峡が、英国では狭く流れも緩く、周辺の海も穏やか。日本はその逆。そのため英国人は外洋進出したのに、冒険心の強い日本が日本に閉じこもった。外国から攻めにくいが、外にも出にくい。(P62)イギリス人やスペイン人たちが、海洋に出たのは、陸路がイスラム圏に抑えられていたからだ、と説明するのも納得できるが、この説明も正しいのだろう。

・日本は戦後戦争している

 日本は朝鮮戦争の時、海上保安庁が掃海に行って死者が出ている。(P88)その通りで、平和憲法を唱える人たちが、このことを看過し、拉致問題も長く無きことにしてきたのである。戦後は憲法9条のおかげで戦争もしなければ、犠牲者も無かったという虚構が壊れるからである。竹島も奪われた。日本は戦後「平和憲法」のもとで侵略されたのである。

・アメリカは衰退する(P172)

 中東に手を出して、生きのびた島国帝国はない、というのが中西氏の命題である。英国の衰退の原因のひとつは、中東に関与し過ぎたためである。英国はインドを支配した時、通過点である中東は部族の首長を買収して間接支配していた。ところが石油時代になると本格的に干渉に言って失敗した。アメリカも中東で失敗しつつある。

 もうひとつは過度に国際化すると、国家の中心が拡散して老化する、というのである。田母神氏は、自衛隊が状況を説明する時日本地図を持ちだすが、アメリカは自国が中心にある世界地図を持ちだすと言う。中西氏は、これがアメリカが過度に国際化した証拠であり、ベトナムでの敗戦で限度を悟ればよかったというのである。世界中がアメリカである、という意識になっているのが「終わりのはじまり」だという。

 ちなみにアメリカは巨大な島国だというのであるが、かつてアメリカは中南米に閉じこもろうとする、モンロー主義とヨーロッパや支那に干渉する、国際主義に揺れ動いた。現在のオバマ大統領は世界の警察官は止めた、と言ってモンロー主義を目指しているように見えるが、アメリカの政治経済は国際主義から逃げるつもりはないようである。

・中国という「共通の敵」出現は日本の幸運(P216)

 今、中国が外洋進出しようとしているのは、島国としてアメリカと対決することになろうとしている。大島国は並び立たずの原則から、日本は大東亜戦争で負けたが、冷戦の終結で再び米国と対峙しなければならなかったのかも知れないが、中国の進出は日本にとって幸運だった、というのである。


戦争ができる国で当然

2014-08-31 13:20:52 | 国防

 集団自衛権問題で、朝日新聞は日本が戦争ができる国になるから、というのが反対理由の大きなものである。だが、これは実におかしな考えである。国会答弁でも政府は専守防衛だと言っていて、護憲政党もこれで納得していたはずである。だから、戦闘機からわざわざコストをかけて空中給油装置を外して、敵基地を攻撃できないようにした。ところが、専守防衛でも、敵がせめて来たら反撃する。これは戦争である。

 日本が戦争ができない国では、専守防衛すらできないのである。突き詰めれば、こうなるのは朝日新聞もよく知っている。そこに真意があるからである。そもそも朝日新聞は軍隊を持つことに反対である。専守防衛と言う言葉を持ち出すのは、政府を攻撃する方便でしかない。彼らには日本が侵略することはあっても、侵略されることはあり得ない。だから戦争ができる国になってはならないのである。


日本は集団的自衛権を行使していた

2014-06-07 13:59:39 | 国防

 日本は集団的自衛権を行使したことがある、と言ったら意外だろうか。そもそも、日本が昭和二十年の八月十五日以後戦争に参加していない、というのは国際法に無知な所以である。参戦とは、直接に戦闘に参加するだけではない。参戦国への軍需物資の提供、基地の提供はもちろん、参戦国の軍隊の通過を許してしまうことさえ、国際法では戦争に参加していると見做される。

 戦争に参加しない中立国の要件とは、中立を守れること、すなわち交戦国の軍隊の通過をすら排除できることである。永世中立国のスイスが実は重武装である原因のひとつが、中立を守るためである。こう考えれば、日本が朝鮮戦争やベトナム戦争に参加していなかった、とは言えないのである。両戦争で日本は基地提供と軍需物資の提供を行っている。戦闘に参加していなかっただけのことである。朝鮮戦争においては、機雷の掃海という準戦闘行為にさえ参加している。

 朝鮮戦争は国連決議による国連軍対中共と北朝鮮の連合軍との戦争である。米軍すなわち国連軍であったから、日本は国連憲章の集団的自衛権に基づき参戦した、と国際法上は解釈するしかないのである。それでは、北朝鮮も北ベトナムもなぜ日本を攻撃しなかったのか、と。皆さん勘違いしてはいませんか。両国とも日本を攻撃したくても攻撃する能力がなかっただけなのです。

 米国民は、真珠湾攻撃が行われるまで、第二次大戦への参戦に反対であった、というのは常識であるが、大間違いである。ルーズベルト大統領は、英国が危機に追い込まれると武器貸与法を作り、大量の武器弾薬を英ソなどに供給した。それ以前から英国に大量の駆逐艦を提供するなどして、援助していた。それどころか、軍需物資を輸送する船団を攻撃しようとする独潜水艦を攻撃した。これらのことは、米国内秘密でも何でもなかった。公然と報道され、議会でも議論されていた。しかし、マスコミも米国民も戦争になるから反対だと言わず、大勢は政府を支持していた。これは反戦国民のすることではない

 日本が戦後高度成長をすることになった切っ掛けは、朝鮮戦争による「朝鮮特需」であることは常識である。特需とは「軍需物資」の隠語として発明されたものであるのは、いかにも日本的です。経済大国日本も朝鮮戦争、ベトナム戦争のおかげなのである。ちなみに、戦前の米国の国際法の大家は、経済制裁は戦争行為であると公言していた。イラクがクェートに侵攻し、クェートから撤退しなければイラクを攻撃すると、米国が宣言すると、反戦団体は経済制裁で充分ではないか戦争はするな、と言っていたが、戦争と経済制裁は五十歩百歩なのである。北朝鮮に対する経済制裁もかく考えなければならない。戦争する覚悟なくして、経済制裁などしてはならないのである。

 


情けない田母神論文批判

2008-11-12 21:52:01 | 国防

 櫻田淳氏が産経新聞の11月7日の「正論」で田母神前航空幕僚長の投稿論文に対する批判をした。ひとつは田母神論文は左翼側をかえって勢いづかせてしまって逆効果だといういうことである。戦後かなりの間、学会はともかく、保守政治家や多数の国民は、日本が侵略国だなどとは思っていなかったはずである。当時周囲の顔色をうかがって、自己主張しなかった結果、現在では安倍元首相などの保守政治家でさえ、その事を公言できない事態に陥った。

 なるほど目先を考えれば田母神氏は黙っていればよかったのだろう。だが長年大部分のの保守政治家や政府関係者がそうしていた結果、自国を悪者だったと規定した、世界に類例がない村山談話さえ定着してしまった。それもこれも大多数がことなかれ主義を通した多年の積み重ねの結果である。

 集団自衛権の行使を否定するなど、日本の国防政策が歪んだのは、日本を侵略国だと認めたことが前提だから、正すためには歴史認識の誤りを指摘しなければならない。そもそも田母神氏などの政府関係者が現行の政府の間違いを指摘するな、というのがおかしいのである。

かの石原莞爾がそうであったように、国防の戦略は世界観、歴史観の裏づけが必要である。単に戦闘技術への習熟ばかりではだめである。特に国防の幹部にはそれが求められる。自衛隊や防衛省内部に適切に研究や意見発表すべき場がないから、氏は民間論文への応募と言う奇策に出なければならなかったのである。国防の現場の意見をくみあげるシステムがないのは危険な事である。

 また桜田氏の「日本の自衛隊は、往時の日本の軍隊とは違う」と言ったのは愕然とした。左翼にとって残虐な日本軍と、日本のアジア侵略とは不可分なのである。櫻田氏は田母神論文は内容は正しいと言いながら、無意識に左翼史観に毒されているように思われる。