毎日のできごとの反省

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不況対策などない

2008-12-22 20:25:26 | 政治経済

 あからさまに言えば、そういう事である。考えれば分かるではないか。バブル崩壊以後、政府の金融政策や景気対策を批判するものは多い。ところが批判する人たち自身、何一つ現実に可能な経済対策を提案した者はいない。批判でなく提案がたまにあると、実際的ではない奇矯な対策ばかりである。

 過去百年の世界経済の歴史を見ても私は寡聞にして不況を脱却した、有効な経済対策の実例を知らない。有効な対策の例がない、という事から何故経済の専門家は学ばないのだろうか。アメリカを大恐慌から救ったと言われる、ニューディール政策も実は何の効果もなかった事が今では知られている。

 ニューディール政策の後に起きた、第二次大戦による国債大増発による戦時増産が、不況を脱した原因だったというのである。そんなことがあり得たのは戦争と言う非常事態だったからで、経済対策としては使えない。ましてや日本での有効な対策の例など聞いたこともありはしない。歴史が教えるのは政府の対策は、好況を招来する事はなく、あり得るのは失敗すれば不況を招来するという事である。

 その典型が昭和5年の濱口内閣による金解禁である。つまり政府の経済対策は良くて効果なし、悪ければ悪結果を残す。数値計算による予測ができる、工学の世界ですら経験によるところは大きい。まして数値計算のできない、経済の世界ではもっと経験から学ぶべきである。

 ところが不況対策を語るとき、経済の専門家は過去の経験を引用しようとはしない。それは過去の経験からは、効果的な経済対策はないという、情けない結論しか導けない事を知っているからである。経済の専門家としては、口が裂けても不況対策はない、とは言えないのである。

 最近の政府の無策がせっかく回復した日本経済をだめにした、と言う経済の専門家がいる。小泉内閣の竹中平蔵氏である。この人にはマクロな見方ができないのだろうか。ついしばらく前までは、いざなぎ景気を超える史上最長の好景気を維持していたのである。

 好況の後には不況が来る、と言うのは戦後の日本経済史から学べる事実である。最長の好況期間が続いていたとすれば、いつ不況に転じてもおかしくはないのである。ただタイミングがいつか、というだけの事であった。竹中氏をはじめとする経済の専門家は、経験から学べるこんな明白な事が分からないのは情けない、と言うしかない。