九七戦は、ICMから決定版がでている。にもかかわらず、このキットを2000円も出して買ったのは、どうせRSだからキットはさておいて、カラー図の鷲(鷹?)のマークが気に入り、いつか手製のデカールを作り、48あたりで作ってやろう、という無謀な考えがあったからである。
そんな無茶ができるはずもなく、10年も放っておいて、加藤隼戦闘隊の「胸に描きし赤鷲」のデカールにすることに切り替えて、下図の64戦隊のものを作ってみることにした。塗装は手軽そうだし、どうもキットの素性に問題はない、ということが分かったからである。
従来、72のハセガワのものが定番とされていたのだが、小生は少々気に入らない。このキットは、九七戦の主翼平面形が、日本航空機総集をはじめとする、各種資料の間違いを正したという意味で画期的なもので、意義のあるものである。しかしカウリング形状に難があるのである。下図の左がハセガワ、右がRSである。RSのが赤線のように機首から操縦席までが直線になっている。ハセガワのは、ラインが折れ曲がり、前に行くにしたがってラッパ状に広がっているのである。NACAカウリングではこんな形状処理はしない。もちろん直線状のRSが正解である。ただキットは完全でないのは当然なので、、それをうまく胡麻化すのが腕だと言われれば、それまでである。
これは下図のように平面形でも分かる。ハセガワのは、平面形で胴体が急に絞られているので、カウリングがそれとスムースにつながるようにしたのである。そのうえカウリング断面を真円形に保ったため、側面形もラッパ状に広がってしまったのである。
それに比べるとRSのは、下図のように赤線部が機軸に平行になっている。「丸メカニック第四九号」の決定版とも思われるものでも平面形だけがわずかに絞られて機軸に平行にはなってはいない。これはエンジンを最小径で包むためにも、製作上からも不合理であり、間違いではなかろうか。流布している日本機の図面なるものは、キ-74などのように担当技術者の記述と矛盾するものがいくつかある。これも敗戦の混乱がなせるわざであろう。
いつか別記事で検証したいが、不思議なことに、P-40の原型となった、カーチスP-36も下図のあたりの形状がそっくりなのである。さてキットはさほどの問題もなく、組み上がった。ICMの決定版キットが、72にもかかわらず、内部の再現に凝っていて生真面目に組み立てると面倒なのとは違う。・・・続く。