毎日のできごとの反省

 毎日、見たこと、聞いたこと、考えたこと、好きなことを書きます。
歴史、政治、プラモ、イラストなどです。

ベアキャットと疾風

2021-12-27 16:00:27 | プラモコーナー
 意外に言われないのだが、ベアキャット(F8F)と疾風のスペックは案外似ているのである。これはベアキャッとが小型軽量を第一とした結果、小型軽量な日本機に似た、という結果による。表のように、全長全幅はともかく、翼面積はむしろベアキャットの方が大きく、重量は重いから翼面荷重は似たようなものとなっている。
 最大速度は、疾風を米国でテストした値を比べれば、ベアキャットの方が速いものの、ともに700km/h弱で大して変わりはない。疾風が日本側の測定値を上回ったことは、燃料のオクタン価に起因すると説明されているが、それだけのことか小生には疑念がある。
というのは、計測時の燃料や弾薬などの搭載量が日米でどのように設定されているかわからないからである。ここで敢えて疾風の最大速度を米国での計測値を記載したゆえんである。欧米の機体を日本でテストすると、カタログデータを下回り、ガッカリさせられることがままあったからである。日本国内ですら、陸海軍でテスト時の搭載量の規定に差があると証言されている。なおベアキャットの最大速度は水噴射の緊急出力によるものと考えるのが自然である。

ベアキャットと疾風・出典はいずれも文林堂の世界の傑作機

      全長(m)  全幅(m)  翼面積(㎡)   全装備重量(t)   離昇出力(HP)   最大速度(km/h)
F8F-1  8.38      10.82   22.67         4.26        2,100**        698/6,050m
疾風    9.74       11.3    21.0         3.77         2,000        689/6,100m*

*日本航空機総集(中島編)による米国での試験値
**2,450HP(水噴射,2,930m)


キットは72であるが疾風はハセガワでベアキャットはどこのか忘れたかが良いものである。


こうやって見るとベアキャットはさすがにずんぐりしている。全長が特に短い。



疾風は漢字のデカールを使ったが意味不明である。洋もののデカールを面白半分に貼ってしまったせいでしょうか。ドロップタンクはキットの指定でブルー系を使ったが、今では疑問がある。


ベアキャットは前述のように全幅が小さいくせに主翼面積が大きい。艦上機のゆえか。


疾風は縦横ともにすらりとしてスタイルにバランスが取れている。誉エンジンのスリムさのゆえんか。はたまた中島独特のアスペクト比が大きく、テーパーのきつくない主翼のゆえか。


さて年も暮れます。今年最後の投稿にさせていただきます。








一式双発高等練習機見学記

2021-12-15 14:47:55 | 軍事
 先日、一式双発高等練習機(キ-54)の見学会に行ってきた。平成24年に十和田湖から引き揚げられ、青森の三沢航空博物館に展示されていたものを、今回、製造元の立川飛行機の後身の立飛ホールディングスに移管されたものを展示、それも無料だというので、最終日に行くことができた。三沢でも塗装等若干の補修がなされたようであるが、基本的には引き揚げられたそのまま、ということである。アメリカなどでは、完全に復元して展示されるのが常であるが、引き揚げられたままのおかげで、認識を新たにしたことがある。
 それは、飛行機というものがいかに繊細で脆弱な構造物であるか、ということを腐食で穴だらけになって構造をむき出しにした機体にみることができたことである。毎年恒例になった鳥人間大会に参加する木や発泡スチロールでできた機体を見て、我々は何と繊細で脆弱なものだと思うが、立川で見たキ-54は負けず劣らず繊細で脆弱なものだったからである。それもこれも引き揚げられたままに近い展示だったおかげである。飛行機は繊細で脆弱だから軽くて飛ぶことができることを思い知らされた。遊就館に展示されている零戦も中身を見れば同様なのに違いない。必ずしも全く引き揚げられたそのままとは言えないようなので、小生の無知による誤解もあるかも知れないが、撮ってきた写真を厳選して解説を加えたい。

 キ-54というマイナーな機体にもかかわらず、テレビニュースで流されたこともあってか、屋外に2百人以上並び、一時間以上待たされる盛況であった。展示建屋に入るとこのような引き揚げ機体の解説や引き揚げ状況等の映写があったのは親切だった。


展示建屋は戦前に建てられたという立川飛行機由来のものであった。


このエンジンにはカウリングが喪失しているが、反対側にはカウリング付きのエンジンがあった。


機首側面のアップである。日本の戦闘機などの高性能機は昭和十年頃から、リベットの頭が機体表面から飛び出さない、平滑な沈頭鋲が使われていた。しかし、見る限りこの機体には沈頭鋲は使われておらず普通の凸リベットである。米軍機では、P2Vなどで、乱流となる胴体後半には、工数のかかる沈頭鋲をあえて使っていないのを見たことがあるが、この機体はそんな配慮ではないように思われる。低速だからおそらくは工数のかからない全面凸リベットである。端っこに見られる点検孔の蓋には取り外し用のマイナスねじが使われている。


スピンナーキャップだが先端には、エンジン始動用の棒に溝が切られている。発動機始動車と嚙合わせるためで、日本では陸軍機専用の装備である。模型では1/32スケール位でないと正確には再現できまい。


着陸灯である。よく見るとお椀型の反射板の中央に電球がついている。これで夜間滑走路前方を照らすのだろう。なお、この機体には左右に着陸灯があった。


翼端灯である。注意してみると翼外板の内側にさらに金属板が見える。電球の交換のための構造だろうか。右翼だから青色光なのだがガラス板が着色されているのか、その時は確認し忘れた。写真では青っぽく見える。




補助翼作動用のトルクチューブがむき出しになって見える。上下に張り出したテーパーの棒をワイヤーで引っ張るのだろう。


羽布は腐って無くなっているが補助翼の骨組みだけ残っている。右下の金属板は、トリムタブである。写真では分からないが、トリムタブは、パイロットが操作できるものである。よく見ると表面には凸リベットがある。



水平尾翼で、左右を繋ぐ二本の桁がある。リブには軽め穴が開けられている。


フラップの位置の主翼外板に書かれた「ノルナ」の文字だが小さくて目立たないし、筆書きのようで粗雑である。引き揚げ後にタッチアップしたものかどうかすら分からない。


右翼後方からのショットでカウリングは残っているが、その後方の外板は失われている。エンジン後方のドーナツ状のリングはエンジンの導風板である。


胴体側面の、水平尾翼のやや前の位置に書かれたステンシルである。ご存じのように、「ココヲノセル」とは、運搬などで機尾を持ち上げる必要がある時、ここを支点にして支えること、という意味である。通常は支えの棒を突っ込む穴が開いているものだが、この機体には無いようだったと思う。文字は様子から、紙を切り抜いたものをスプレーで吹いたように見える。オリジナルであろう。


垂直尾翼は取り外されていた。先端の黄色と部隊キークの赤が薄っすら残っている。右下の看板に正確な部隊マークを親切に再現してくれている。説明があったはずだが、どこの部隊か小生は撮影に夢中で確認し忘れた。


胴体尾端に近い箇所で、水平尾翼のフィレットが胴体側に付けられていることが分かる。水平尾翼も垂直尾翼も引き揚げられてから取り外したようだ。


尾端部分で、ガラスが失われて、電球が露出している。


胴体内部を後方から見たもの。壁や天井には桁が露出しているが、元々壁材などは張られていなかったのだろう。前方は操縦席の隔壁とドアらしきものが見える。


操縦席の窓である。窓枠下部は、胴体外板の上に重ねられ、リベッとで止められていることがよく分かる。。平面窓の中央の縦枠にはリベットが打たれておらず、窓ガラスを抑えているだけのように見える。リベットはここも沈頭鋲ではなく、普通の凸リベットであることが分かる。



機首先端の上半部である。ここは三次元の曲面のカーブが比較的箇所なので外板の一枚一枚が幅の狭い、細長い板をプレスしたものである。外板の継ぎ目のリベットは一列なので継ぎ手は、突合せ継ぎ手ではなく、重ね合わせ継ぎ手である。前方は外板の腐食による喪失部が多いため、外板の継ぎ目の一本に骨格のリブが一本づつ配置されていることが、透けて見える。


操縦席は取り外したとみえて、別に展示してあった。操縦席は並列で、操舵輪が二組あるのは、複操縦式なのだが、教官用と訓練生用なのかは不明である。練習機ではなくても、飛龍爆撃機は並列複座の複操縦式である。フットバーは機体内に残されているものか確認しなかった。操縦席は一枚板で、零戦のような軽る目孔は開けられていない。



看板に書かれている通り、主翼の胴体への結合部である。引き揚げてから分解したのだろうから、結合部のピンを抜いてから、また差し込んだのだろう。同じような結合部がもう1か所あったから片側2か所で結合されているのだろう。


主翼付根の拡大写真である。特に右方の腐食が激しく、外板が失われてリブが浮き上がっている。赤線は「ノルナ」の範囲を示したものだが、マスキングして正確に直線を引いてあるように見える。



左主翼で日の丸が残されている。注意してみると、日の丸の円形は正確だが、刷毛跡が見られたので周囲をマスキングして塗装は刷毛のようだ。日の丸を左右に貫通しているテーパーした帯状のものは、主桁のうちの一本の位置だと思う。腐食の激しいのは主桁・補助桁とリブの位置とみられるから、それらの配置がわかる。



操縦席と機首である。木枠で補強しているのは、そのままでは腐食のため原型を保っていられないからだろう。操縦席内部も横断見学できるのだが、見学者が多く押されてじっくり観察撮影できなかったのは残念だったが仕方ない。


計器盤である。省略したが取扱説明書からコピーした計器盤の配置が展示されていたが、速度計や旋回指示器などいくつかの計器は左右に二組配置されていた。これは複操縦式のためなのか、練習機のためか小生には知識がない。なお、右席側には左には無い計器がみられたが、右席が主操縦席か教官用なのだろう。キ-54には輸送機型もあるのが、計器盤の配置は同じとみられる。


着陸灯の拡大写真である。周辺がマイナスねじで止められているのは、ガラス板を外して交換するためだろう。黄色は敵味方識別色で、余談だが、マスキングして塗装してあるのが、マスキングから染み出した失敗部分も見られたのは面白い。



スピンナーキャップを外したプロペラ軸が見える。プロペラ軸のすぐ上の円盤は、遠心力で開きプロペラ回転数をコントロールするための調速器(ガバナー)であろう。外観図面を見る限り、カウリング外面には気化器空気取り入れ口も滑油冷却器取り入れ口も、露出していないことから、斜めに見える網状のものは、そのいずれかであろうが確認できなかった。



 ここに示したものは展示撮影したほんの一部であり、気化器や伝声管、計器その他の小物も丁寧に展示されていたが省略した。休日で無料だというのに親切に対応していただき、メモ用紙らしきものやペットボトルのお茶までいただいたのは、多くの案内員を動員してくれたのとあいまって、望外の感謝である。いつかこのような展示を再開するようなので興味ある諸氏は行かれたい。マイナーな機体ながら得るものは多い。






























立憲民主党とは何か

2021-12-05 15:34:04 | 政治経済
 立憲民主党の支持母体労は働組合「連合」である。このことははっきりさせておかなければならない。かつて民主党は政権交代を実現したが、あまりに拙劣な政権運営の結果、わずか三年で自民党に政権を取り返されてしまった。民主党がこのような仕儀に至った経緯は明白である。
長く続く自民党政権から政権を奪うために作られた民主党は、支持基盤は官公労を支持基盤とした社会党や共産党と異なり、左右の全体主義すなわちナチス流の極右ファシズムと極左ファシズムの共産主義を排した中道を標榜する労働組合の連合である。
民主党は連合を支持基盤としながら、有権者から労組主体だということを見抜かれないように、松下政経塾出身の前原誠司氏など、政治には素人だが穏健で比較的自民党に似ているとみられる人物を党の看板に据えて目くらましをして、自民党に飽いた多くの無党派層や、それまでの自民党支持者の票も取り込んで政権奪取に成功したのである。
前述のように、この詐術は民主党自体が票欲しさの素人議員集団であることがすぐにバレてしまったのである。その結果野に下ると、自民党的体質を持ちながら反自民を掲げる、希望の党や国民民主党といった分派を生む過程を経て、結果は立憲民主党と国民民主党に整理されるに至った。今の連合会長が共産党を排して、立憲民主党と国民民主党の合同を求めるのも、この流れからすれば当然である。
先に、連合は左右の全体主義を排す、と言ったが実は世界的に見れば中道、ということを意味しない。それは日本の労働組合の宿命というべきものであろう。確かに共産主義を排するという観点は事実であろう。しかし、その結果生まれたのは日本型リベラリズムである。共産党のように明確に皇室は排除はしない。
しかし、夫婦別姓などについては賛成する。中国に贖罪感を抱く。国防には無関心。つまり、共産主義を排しているだけで世界的には左翼と呼ばざるを得ない。

自民党は保守政党と呼ばれるが媚中派もいるといった具合で当全体としては、国民の左右の思想構成を反映しており、全体として保守政党として動いているのに過ぎない。立憲民主党はその裏返しで、改憲派も含みながら全体としては反改憲の日本型リベラル、すなわち左翼政党なのである。その原因は、大手マスコミの声の大勢に媚びて国民の支持を得ようとたくらむからである。大手マスコミの声の大勢は、無党派層の考えに必ずしも一致しない。
民主党政権の悪夢でそれに気づいた国民は、今回の衆議院選挙で立憲民主党の議員を減らし、自民党に不満な無党派不満層の票は維新の会に流れたのである。多くの国民は日本型リベラルの危うさに気付いた。ところが大手マスコミ、特にテレビマスコミは日本型リベラルの典型と言ってよい。
そこで、大手マスコミが立憲民主党を支持しながら、衆議院選挙の投票結果はそれを否定している。立憲民主党が連合を支持基盤としている以上は、政権を担当する政党にはなり得ないで、連合の勢力に見合った議員数しか得られないであろう。多くの国民から労働組合離れが進んでいる現在、その限界は知れている。