6丁目のつぶやき

歩く、登る、耕す、聴く、造る、採る、乗る、見る、の写真ブログ徒然草

芭蕉翁生家の平面

2007-11-09 | 建築
月日は百代の過客にして、行きか年も又旅人なり
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらへて老いをむかふる物は
日々旅をして旅を梄とす
・・・・

中学一年生のとき
出っ歯とあだ名された女先生がつばを飛ばしながら
「奥の細道の第一章を暗記して来い」と熱ぽっく語っていたが
暗記は出来たものの意味はまったく解からなかった

その後大学では教授自作の解釈本をもとに
日程150余日、行程2千400キロの奥の細道 すべてを
暗記していると思うので間違ったら指摘してくれと
教科書なしで一年間講義されたことが妙に印象に残った

講義は奥の細道以外の話が多かったが
ヒューマンな先生の語り口と
芭蕉の旅を住みかとする思想に
非常に感銘を受けた記憶がある

そんな訳で、伊賀上野に来たからには芭蕉の生まれ育った
芭蕉翁生家 を見なければ先生に申し訳ないと
町中を歩き始めた 

見当はついていたのだが見当たらず
通りがかりの女学生達に声をかけたが
小首を傾げるばかり

すると通りかかった自転車に乗ったおじさんが
ニコニコしながら寄ってきて、俺に任せろと
親切に案内してくれた

地元女学生 奥の細道を学んでないのかよぅお



正面は連子格子でシンプルだが一歩中に入ると
土間が南側に12間もあり
その奥には芭蕉が起居した釣月軒がある

土間は建坪の半分ほどあり、屋内でありながら庭であり
井戸、台所、便所、とその空間が実に見事に配置され
「間」としての効用を発揮している
こう言う空間に育ったからこそ風流の極みを俳句に託すことが出来たのか
ちなみに小生の設計キーワードは「間」なんだけど 勉強になるなぁ


釣月軒土間6帖 畳間6帖だけ まさにわび寂びの境地だ


芭蕉が起居した最小空間の釣月軒 障子を閉めれば小さな高窓が一つ
下界と離れ、物思いにふける絶好の場所に違いない 壁のはかま模様が絶品だ
コメント
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