私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

白いヘルメット( White Helmets )

2016-10-05 22:09:58 | 日記
 今年のノーベル平和賞が「白いヘルメット」に与えられないように祈っています。もし与えられれば、それは、あまりにも情けない、悲しいことですから。いや、情けない、悲しい、などと個人的な感情の中に佇んでいることは、私のような者にも許されないのかもしれません。「白いヘルメット」がこれだけ前面に押し出されてきたということは、リビアに続いて、シリアも、米国によって、破壊されつくしてしまう前兆と考えるべきでありましょう。リビアでもシリアでも、若者たちは、大学まで無料で進学できました。医療保健制度も、米国などとは比べ物にならないほど、立派でした。
 去る9月25日、シリア情勢について、ロシアに先立って、米国の国連大使サマンサ・パワーが講演し、その中で幾度も「白いヘルメット」の名を上げて、その勇敢無私の行動を称え、その要員に対するロシア/シリア空軍の攻撃の非難を繰り返します。例によって、5歳の少年と、もう一人、5歳の少女を材料にして、御涙頂戴のストーリーが繰り広げてあります。サマンサ・パワーの講演は、虚偽と、悪意と、挑発に満ち満ちた実に読むに耐えない内容で、英語風に言うならば、I am going to throw up というところです。

https://usun.state.gov/remarks/7453

この後、ロシアの国連大使ヴィタリ・チュルキンが講演する番になると、サマンサ・パワーはフランスと英国の代表とともに席を立って退場し、チュルキンの講演を聞きませんでした。

http://russiaun.ru/en/news/sc_salp

このチュルキンの講演とパワーの講演を比較すると、いろいろのことが学べます。
 問題の「白いヘルメット」の正体を教えてくれる記事も多数存在しますが、我々日本人の間では、十分な情報が流されていない状況で、米国側のプロパガンダに乗せられている向きも多いのではないかと思います。グローバル・リサーチの次の記事は有用です。Youtubeにも多数の資料があります。

http://www.globalresearch.ca/the-real-syria-civil-defence-exposes-natos-white-helmets-as-terrorist-linked-imposters/5547528

https://www.youtube.com/watch?v=LS1Nx8L3QTk


藤永茂 (2016年10月5日)