The West shot Russia and hit its own feet.
西側(米国、NATO)は苛酷な財政、経済制裁をロシアに課しましたが、自らの側も大変な打撃を被っています。その状況を、今、最も象徴的に目撃できるのは、米国が目の仇にしていたマドゥロに宛てたベネズエラへのバイデン大統領の働きかけです。
ベネズエラは南米大陸の最北部に位置し、重油埋蔵量では世界最大と言われていますが、1999年ウゴ・チャベスが大統領に就任して反米の姿勢を打ち出すまでは、米国の裏庭の一部として、米国石油資本の支配の下にありました。チャベスは2013年癌で亡くなり、彼の腹心のニコラス・マドゥロが大統領に就任しますが、米国はマドゥロ政権の転覆(レジーム・チェンジ)政策を強力に推し進め、重油精製停止を含む厳しい経済制裁を加えて、ベネズエラの一般国民の生活を困窮させ、国外への難民が急増しました。遂には、米国が選んだ傀儡政治家ファン・グアイドをニコラス・マドゥロに代わるベネズエラ大統領として承認し、この米国の傲慢極まる内政干渉に追随して、日本を含む五十数か国が、マドゥロではなくグアイドをベネズエラ大統領として承認しました。
ところが、ウクライナ戦争が勃発して、石油価格が暴騰し、米国にとって困った状況が発生すると、バイデン大統領は、自分がベネズエラ大統領と承認しているグアイドではなく、マドゥロの方に、石油の生産販売を許してやるからロシア側から、米国側に寝返りをしないか、と声を掛けたのです。こんな人を馬鹿にした恥知らずの話があるでしょうか!!
https://www.aljazeera.com/news/2022/3/8/venezuela-talks-us
マドゥロ大統領はウクライナ紛争が西側の挑発によるという正しい見方を発表していますから:
https://www.rt.com/news/551455-venezuela-says-nato-expansion/
ここで簡単に西側に寝返りを打つことはあり得ません。マドゥロ大統領が、自国やウクライナの市民のために最善の政策をとってくれることを私は切望します。
西側は、数多の有力民間企業をも動員して、総力戦的な経済制裁をロシアに加えていますが、そのダメージは自分自身にも及ぶであろうという見解が世界の多数の識者によって表明されています。ここではその二例だけを掲げておきます:
https://www.paulcraigroberts.org/2022/03/09/the-sanctions-bite-the-west-not-russia/
藤永茂(2022年3月11日)
それにしても、もとよりBRICS諸国や中東、トルコなどはロシアへの制裁に同調していませんし、ここへきて米国と独仏あたりとの立場の違いも明白です。
連日けたたましいプロパガンダの波が押し寄せていますが、実はより世界で孤立化を深めつつあるのは米国なのではないかと感じます。
戦火にさらされている人々の苦難とは比ぶべくもありませんが、エネルギーも食糧も自給とは程遠い日本という国では、私達にこれからどんな苦難の時代が待っているのだろうかと憂慮に堪えません。
とはいえ、どんな苦難があろうとも、いつか「嘘の帝国」には立錐の地なしという世界が来ることを何よりも望みます。
掻い抱けば孤心熾のごと
亮 1944生。
という本を知りました。アメリカがナチスの成長に関わっていたという主張が書かれているようなのですが、カナダの歴史家だそうで、もし先生がこのジャックさんについてなにかご存知のことがありましたらご教授願えないでしょうか。
カナダにいた時は知りませんでした。近頃この著者の本のタイトルに惹かれたことはありますが読んだことはありません。
藤永茂
ご返答ありがとうございます。
読んでみてまた報告さしあげます。