褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 地下鉄のザジ(1960) 強烈なドタバタ喜劇

2022年01月28日 | 映画(た行)
 フランスのヌーヴェルバーグを代表する映画監督であるルイ・マル。多くの名作を遺した偉大なる監督であることは間違いないが、個人的に最もインパクトがあったのが、今回紹介する地下鉄のザジ。流石に何回も観ると大して笑えなくなるが、初めて観た時は抱腹絶倒にして、全てのシーンにおいて驚きの連続。今までの映画の既成概念をぶっ壊したと言われるヌーヴェルバーグの作品の中でも、とりわけ本作はヌーヴェルバーグの映画らしいエッセンスが詰まっているし、今観ても驚きの映像技法を感じさせてくれる。

 本作の主人公は、まだ10歳ぐらいの女の子のザジ。この女の子が初めてやって来たパリで、ただでさえ頓珍漢な大人達が多く出てくるが、その大人達を混乱させる様子が笑えるストーリーの紹介を。
 母親に連れてこられて初めてパリにやってきた少女ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)。母親は愛人と会うためにパリにやって来たのだが、その間のザジの世話をガブリエル伯父さん(フィリップ・ノワレ)に任せて、サッサと愛人と一緒に去っていく。
 ザジがパリに来て楽しみにしていたのが、地下鉄に乗る事。早速地下鉄に乗ろうと駅まで行こうとするのだが、ところが地下鉄はスト中。ザジはショックを隠し切れないままガブリエル伯父さんの家に連れていかれることになるが、彼女は伯父さんの家を抜け出してパリの街を縦横無尽に駆け回り、変わり者だらけの大人達を混乱させるのだが・・・

 ストーリーはザジが初めてやってきたパリでの行動を描いただけ。しかし、この映画の見所はたくさんある。とりわけまだ10歳ぐらいの女の子のザジのキャラクター設定が笑える。女の子なのだが、大人が答えられないような事を言ってくる。例えば『ホモって何?』『あなたはロリコン?』等、他にも俺が言ったら気味悪く思われるようなことをガンガン大人に向かって言う。言葉だけでなく行動もやりたい放題。それでいてなかなか憎めない女の子だ。
 勝手な行動が多いザジをオッサンが追いかけるシーンが2つあるのだが、この追いかけっこのシーンが2つとも爆笑もの。ジャンプカット、早回し、瞬間ワープ・・・等など、あらゆる映像テクニックを駆使して描いているが、これが驚きと笑いの連続。大人を馬鹿にしたザジの行動がとにかく笑わせる。
 いつ事故が起きても不思議ではないような車の交通量の多さの中でのシーンや、ちょっとしたパリの観光気分を味わえるエッフェル塔でのシーンなど一つ一つのシーンが笑えるし、しかも無駄にハチャメチャな展開になっていくのも楽しい。最後の方ではザジが一人だけ寝ている中で、他の出演者が一斉に集まって戦争さながらの大喧嘩が始まるが、これが初めて観た時はマジで笑えた。少しばかり深読みすると、全体的に大人達の行動をシニカルに描いているように思えたりする。
 たくさん笑わせてくれる大人達が出てくるが、個人的に印象に残っているのがガブリエル伯父さんの美人な奥さん。唯一マトモな大人の出演者だが、けっこう無表情なのがこの映画ではけっこう笑える。他にも音楽の使い方にも特徴があったり、ここで全部を紹介できないぐらい多く笑えたり、驚けるシーンがたくさん出てくる。とにかく一生に一度ぐらい観ておけ!ということおで今回は地下鉄のザジをお勧め映画に挙げておこう

 監督はジャン・リュック=ゴタール、フランソワ・トリュフォー達と並ぶヌーヴェルバーグを代表するルイ・マル監督。彼が弱冠25歳で撮ったデビュー作品であるサスペンス映画の傑作死刑台のエレベーター、自殺を決意した男がパリを彷徨う様子を描いた鬼火、ナチス占領下におけるパリを舞台に子供同士の友情に感動できるさよなら子供たちがお勧め。

 









 
 














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