褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 オーシャンと十一人の仲間(1960) シナトラ一家が勢ぞろいです

2022年07月29日 | 映画(あ行)
 日本の芸能界において石原裕次郎や渡哲也など仲間で構成される石原軍団がかつては隆盛をほこっていたが、そのアメリカ版がエンターテイーナーとして大活躍していたフランク・シナトラをボスとするシナトラ一家。石原裕次郎はまさに皆から慕われていてダーティーな印象はまるでないが、一方フランク・シナトラ率いるシナトラ軍団、ではなくてシナトラ一家は政界、マフィアに足を突っ込み、ハリウッドの美人女優達を次々に食い物にした経緯がある。今回紹介する映画はオーシャンと十一人の仲間だが、フランク・シナトラとその一家達という題名の方が相応しいぐらいシナトラ一家の面々が登場。特にディーン・マーチンサミー・デイヴィスJr.は、映画の中でも美声を披露している。
 実は映画自体はラスベガスの大金強奪をテーマにした犯罪サスペンス。タイトル名から、勘の良い人ならわかると思うが、実は本作はあの人気者が多数登場するオーシャンズ11のリメイク基。オーシャンズ11の方は面白いのか、大して面白くなかったのか、判断に迷うところだが、ハイテクで守られた大金を強奪する現代風の味付けがあった。しかし、本作は監視カメラもないし、ハイテク設備なんかまるでない。しかし、その手作り風なラスベガス襲撃の手口は、一つ一つの行動にはスリルは大して無いのだが、ラスベガスの5つのホテルから大金を強奪しようとする壮大な計画だけでも楽しく思えるし、コメディー要素が強く出ているのでちょっとぐらいは笑わせる。

 前半の仲間集めから後半へ向けてのクライマックスへ向けてストーリーの紹介を。
 クリスマスが迫ったある日のこと、エースボスがとある計画を練っていたのだが自分で手を汚すことはしたくないので、ダニー・オーシャン(フランク・シナトラ)に全ての指揮を任せる。ダニーは第二次世界大戦中で一緒に戦った第84団空挺部隊であった仲間達を呼び寄せる。仲間たちはもはや戦争が終わった今では貧乏暮らし。仲間集めには大して苦労もせずに大晦日から日が変わった瞬間を狙ってラスベガスの5つのホテルから大金を同時に強奪する計画を練り、実行する。一攫千金を狙った彼らの作戦は大成功に終わったかのように思われたのだが・・・

 男くさい映画かと思いきやフランク・シナトラ演じるダニーの嫁であるアンジー・ディキンソンや無名の女優達まで綺麗どころが出てくるので、目の保養になる。それにしても少々ネタバレになってしまうが、意外なところから完璧?だった作戦から綻びがでてくるのが個人的には楽しかった。それは家族関係であったり、一番大活躍していたように思えたリチャード・コンテが実は悲壮な想いを抱えてこの作戦に参加し、無惨に散っていく様子が、悲しさを感じることもなく少し楽しめた。
 はっきり言ってシナトラ一家の内輪で楽しんでいるだけの映画に見えるが、流石にエンターテイメント一家の楽しんでいる姿は何故か観ている我々も楽しめるし、最後のオチも悲壮感があるはずなのだが印象的なシーンで笑える。リメイクされたオーシャンズ11とラスベガス大金強奪という点では一緒だが、ストーリー運びにおいては全然違うので別物映画として見れることができる。
 今やシナトラ一家と聞いても心が躍る人は殆ど居ないと思われるし、.そもそもシナトラ一家以前の問題としてフランク・シナトラを知らない人達にとっては、それほど心が躍る映画ではないかもしれない。しかし、意外にオーシャンズ11に始まって、オーシャンズ12、オーシャンズ13と続くシリーズが大して面白く感じなかった人には、実は本作は面白く感じられるかもしれない。シナトラ一家と聞いて心が躍るご年配の人達、オーシャンズ11を観ている人、笑いもあるクライムサスペンスを観たい人には今回は映画オーシャンと十一人の仲間をお勧め映画に挙げておこう

 監督はルイス・マイルストン。映画史に遺る西部戦線異状なしはぜひ観て欲しいです。


 

 
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映画 崖っぷちの男(2012) 滑ったら即死のサスペンス

2022年07月17日 | 映画(か行)
 タイトル名がまるで俺の日々の状況を表しているような嫌な気分になる映画崖っぷちの男。本作の主人公は超高層ビルの窓の外に出て、幅が約30センチの出っ張りから今にも飛び降り自殺をしようとしている場面が本作の上映時間の多くを占める。飛び降り自殺をしようとしている男を見るために多くの群衆は集まるのだが、なかなかこの人騒がせな男が飛び降りない。果たしてこの男の目的は何か、それともただの狂人か。
 今にも飛び降り自殺しそうな男が出ずっぱりでハラハラドキドキするような展開が続くだけでも面白そうだが、実は本作の裏に隠されたテーマは貧乏人の金持ちに対する恨みが込められている。群衆の野次馬の中に気が狂っているだけに見える奴もいるが、これが中々出番は短くても映画の中で重要な役割を果たしている。

 さて、全く先は読めないし、驚きの連発を味わえるストーリーの紹介を。
 元刑事であるニック(サム・ワーシントン)はダイヤモンド強奪の罪で刑務所に収監されている。そこへ同僚の刑事であるマイク(アンソニー・マッキー)が訪れ、ニックの父親が危篤であることを知らされる。マイクの計らいでニックの父親の葬式のために、その時だけニックを刑務所から出してやる。
 しかし、葬式の場でニックは弟のジョーイ(ジェイミー・ベル)と殴り合いの喧嘩をし、どさくさ紛れに警官の拳銃を盗んで逃亡する。そしてニックは高級ホテルのルーズベルトに泊まると見せかけて、高層階から飛び降り自殺をしようとする。その場に居た群衆が騒ぎ、警察も到着するのだが、ニックは交渉人として女刑事のリディア(エリザベス・バンクス)を呼び出す。ニックとリディアの交渉は単なる飛び降りるか、飛び降りないかの話ではなく、更にはニックは無罪を訴えるためだけにリディアを呼び出したのではなく、その間にニックはある作戦を実行しようとしていたのだが・・・

 卑怯な手に引っかかり、濡れ衣を着せられて刑務暮らしを強いられてしまう崖っぷち男。高級ホテルの高層から脚を滑らせたら人生終わりだが、果たしてこの自ら崖っぷちに飛び込んだ元刑事は、この狭い空間で一体どのような方法で無罪を証明するのか。ニックが崖っぷちの状態はもちろんハラハラドキドキさせるのだが、それ以上にハラハラドキドキさせるのが、弟のジョーイとその彼女のアンジェラ(ジェネシス・ロドリゲス)の方。特にジョーイは見た目からして頼りなさそうなので、こいつらの方が危険な状態がずっと続いているように見えた。
 しかし、本作はスリルはもちろんだが、色々と意外性を見せつけるので驚きの連発。ニックが崖っぷちに追い込まれるほど騙されるのは気の毒だが、観ている我々も最後まで騙される。簡単には権力や金持ちに屈しないアメリカ人の誇り、そしてアメリカ人の家族の結束も頼もしい映画崖っぷちの男を今回はお勧め映画に挙げておこう







 

 

 
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映画 リオの男(1964) 元気なジャン・ポール=ベルモンドが見れます

2022年07月03日 | 映画(ら行)
 近年は世界的にも著名人が多々亡くなっていく。その中でも昨年亡くなった世界で一番の大物だといえば俺の中ではフランス映画界を長年に渡って引っ張ったジャン・ポール=ベルモンド。それにしても日本ではこの偉大なる俳優の死亡記事の小ささに日本のマスコミの知識の浅はかさに嘆かされた。ちなみに彼は日本にも多くの影響を与えている。あの大人気漫画のルパン三世のモデルはジャン・ポール=ベルモンドであり、アニメにもなった漫画コブラのモデルも彼である。個人的に彼の映画を全部観ているわけではないが、特に面白い映画を挙げるとすれば今回紹介するリオの男だ。ちなみにベルモンド自身はアクションはスタント無しで自分で殆どのシーンをこなすが、それはジャッキー・チェンにも影響を与えている。
 本作のベルモンドは危険なアクションシーンの連続であるのだが、そのように思わせないベルモンドの運動神経の良さ、危険な時でも飄々として笑いをとったり、ベルモンドの魅力がたっぷり詰まった作品だ。アクション、アドベンチャー、謎の遺跡など、スピルバーグ監督のインディジョーンズの大ヒットシリーズは本作の影響をモロに受けている。

 リオとはブラジルの中心都市だが、実はリオの景色だけでなくパリからブラジルのリオだけでなく、ブラジリア、そしてアマゾン流域地帯の観光気分にも浸れるストーリーの紹介を。
 航空兵であるアドリアン(ジャン・ポール=ベルモンド)は1週間の休暇でパリに戻ってきた。早速、恋人であるアニュエス(フランソワーズ・ドルアレック)の自宅に行こうとする。その頃、美術館では何者かにブラジルの古代文明の土偶が盗まれる。しかも、館長である考古学者であるノルベール(ジャン・セルヴェ)が、美術館を出たところで何者かに拉致されてしまう。
 連絡を受けたアニュエスだったが、親しくしていたノルベールが拉致に遭ったことに驚き、しかも警察から尋問を受けている所へアドリアンがやって来る。しかし、ふとした瞬間にアニュエスも何者かに連れ去られ、その場面をみたアドリアンはすぐさまアニュエスを追いかけるのだが、飛行場に到着。何とかアニュエスを助けたいアドリアンは彼女が連れ去られた飛行機に乗ることができるが、何と飛行機の行き先はブラジルのリオデジャネイロ。不審者扱いされたアドリアンはブラジルの警察に追われながらも、執念でアニュエスを取り戻そうとするのだが・・・

 とにかくジャン・ポール=ベルモンド演じるアドリアンがバイクで追いかけ、車で追いかけ、そして車で走り去る悪党集団を走って追いかける。またベルモンドの走りが速いし、とにかく走りまくる。1週間の休暇を超えたら脱走兵と見なされ処刑されるから、休暇をブラジルまでやって来て追いかけっこをしているヒマなど無いのだが、妙に手強い悪党と戦う。それだけでも面白い展開が続くのだが、更にブラジル古代文明の秘密を探るミステリーアドヴェンチャーになっているのが楽しいし、意外性もあったりで面白い。
 そして、危険なベルモンドのアクションシーン。アクションスターは高い所に登ることが好きなことを再確認させられた。タイトルの邦題には問題ありだが、とにかくベルモンドが大活躍するのが楽しい映画。スピード感満載のスリルもあり、笑いもあり。オープニングのリオのカーニバルの音楽も良い。インディジョーンズシリーズは金が掛かっているから、簡単に激しいスリルにアクションが楽しく作れるのはわかるが、本作はフランス映画であり大してカネが掛かっていないことがわかるので、ベルモンドの危険なアクションをこなすシーンはなかなか感動的。
 なんだかフランス映画と言えば暗い映画ばかりだと思っている人、ジャン・ポール=ベルモンドに興味を惹かれた人、アドベンチャー映画が好きな人等に今回はリオの男をお勧めに挙げておこう。

 監督はフィリップ・ド・ブロカ。反戦映画をコメディタッチで描いたまぼろしの市街戦がお勧め。
 そしてジャン・ポール=ベルモンドだが、ジャン=リュック・ゴタール監督が高らかにヌーヴェルバーグの時代の到来を告げたかのような勝手にしやがれ、これまたゴタール監督の代表作である気狂いピエロ、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の禁欲生活に耐えるモラン神父、これまたメルヴィル監督のフレンチノワールの大傑作いぬ、鬼才アラン・レネ監督が実在した詐欺師を描いた薔薇のスタビスキー、そして父親が莫大な財産を遺したことで謎の組織から狙われる相続人、少々オッチョコチョイな大泥棒を演じる大頭脳、元F1レーサーがギャングのボスに成り上がるオー!、アラン・ドロンと共演した暗黒街を舞台にしたボルサリーノ等、お勧め映画があり過ぎ。そしてアクションだけでなくコメディ、文芸、シリアスな分野もこなせる巾の広い演技が魅力的でもあり、顔が良いとは思いませんが、ちょっとした仕草が非常に格好良い俳優です。
 それからヒロインの役で出演したいたフランソワーズ・ドルアレックですが、この映画が公開当時は24歳。今や大女優となったカトリーヌ・ドヌーヴの実姉と知られていますが、亡くなったのが本作の公開の翌年である25歳の時。妹よりも早く売れ出していただけに本当に残念です。この女優さんの名前もずっと覚えておいて欲しいですね。









 
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