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映画 そして誰もいなくなった(1945) 傑作推理小説の映画化

2018年10月18日 | 映画(さ行)
 ミステリー小説の女王であるアガサ・クリスティ女史の代表的作品でもある推理小説の同名タイトルを原作とする映画化作品が今回紹介するそして誰もいなくなった
 たくさんの友人が周りに居たのに、いつの間にか一人ぼっちになってしまった俺のことを言われているような嫌味なタイトル名だが、小説版とは少し違うために展開、登場人物のキャラ、そして結末も違うので原作を読んだ人でも見終わった後は新鮮な気分になれる。
 そして、監督のルネ・クレールらしいライトコメディなタッチが効いていて、たくさんの死人が出てくる割に悲惨な印象が全くない。それに冒頭からの登場人物達の紹介の方法がなかなか楽しい。

 それでは有名なストーリーを出来るだけ簡単に紹介を
 遠く離れた孤島に8人の男女が荒波の中を頼りない船に乗せられてやってくる。孤島の豪邸には予めお手伝いさんとしてやってきたロジャース夫妻の2人が既に到着していたのだが、肝心の招待者であるオーエン氏は不在だった。
 しかも、集められた10人はロジャース夫妻を除いて皆が初顔合わせ。しかも、その中には誰も招待者であるオーエン氏を見た者はなく、全員がオーエン氏から手紙で招待された者ばかりだった。
 そんな中でロジャースがレコードをかけると、それは音楽ではなく集められた10人の罪状が告発された内容だった。全員がその罪状を否定するのだが、1人が毒入りの水を飲んで死んでしまったことを切っ掛けに更に1人、また1人と殺される。
 死んでしまった者以外に、今生きている者の中に殺人者が居る事は明らか。最後に生き残った者がオーエンを演じていた者だという結果になるはずだと思われたのだが・・・

 置物のインディアン10体が、1人死ぬごとに1体壊される。観ている人が『今何人殺されたんだったっけ?』と悩まないための親切な設計。それに誰がインディアンを壊しているのかわからないのが不気味な雰囲気を煽る。
 そして登場人物が10体のインディアンを見て、歌う音楽がブラックジョーク。その音楽の通りに1人ずつ死んでいくストーリー展開は今ではそれほど珍しくはないが、このようなストーリー展開を思いついたアガサ・クリスティは、やっぱり凄いと思わせる。
 しかし、この映画は笑えるようなシーンもある。疑心暗鬼になっている各人の部屋から鍵穴を覗いて隣の部屋の人物を覗いているシーンや、名優バリー・フィッツジェラルドウォルター・ヒューストンといったベテラン達の演技が飄々とした面白さを感じさせる。
 個人的にはサスペンスというよりも、次は誰が死ぬのか?ということをメインに楽しんだのだが、オーエン氏になりすましているのは誰か?何のために10人が集められた?実はオーエン氏は孤島のどこかで隠れているんじゃないかと考えたり、色々と楽しめるための要素がたくさんある。
 そして、結末が訪れた時にまだ残っているじゃん!なんて思っていると、最後のオチで確かに誰もいなくなったわ!と俺は感心した。
 アガサ・クリスティと聞いて心が躍るミステリーファンの人、ミステリー小説において原作と映画と見比べるのが好きな人、最近のハイテクノロジーを活かした犯罪映画よりも手作り風の犯罪映画が観たい人・・・等に今回は映画そして誰もいなくなったをお勧めに挙げておこう。


そして誰もいなくなった CCP-147 [DVD]
バリー・フィッツジェラルド,ウォルター・ヒューストン
株式会社コスミック出版


 監督はフランス人で1930年代のフランス映画黄金期を支えたルネ・クレール。ナチスの脅威にフランスを逃れてハリウッドで映画を撮るようになったのが本作。ハリウッド時代のお勧め作品として後にテレビシリーズでも人気の奥様は魔女が面白い。 
 フランス時代では、あのチャップリンにも影響を与えた自由を我らに、トーキー初期を感じさせ音楽が印象的な巴里の屋根の下、そして不器用な男とお花売りの娘の恋愛を描いた巴里祭が良いです。 


 
 



 
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映画 成功の甘き香り(1957) 骨太の社会派映画

2018年10月07日 | 映画(さ行)
 金や富の匂いがするニューヨークを舞台に野心家の男たちが成功を求めて暗躍する。マスコミの裏側を暴露した社会派映画の傑作が今回紹介する成功の甘き香りだ。
 バート・ランカスタートニー・カーティスの当時の大スターの二人が、両方とも悪役を演じている。
 人気コラムニストとして権勢を誇るバート・ランカスターの傲慢さ、成功するために大物に媚びを売り、弱みを握った相手を卑怯な手段をつかってでも陥れたりする姑息で小物のトニー・カーティス。両者ともに悪役ながら正反対のキャラクターで魅せる。
 日本でコラム二ストと言ってもあんまりピンとこないが、本作を見る限りアメリカのコラムニストはかなりの凄さを本作では見せてくれる。豊富なネタを持っているために政治家にも脅しをかける。そして同業者のライバルが弱みを見せたら、それを脅しに利用して成り上がっていこうとしたり、自分のネタを新聞に載せてもらうために生活苦にあえいでいる女性も利用する卑怯っぷりが見れる。
 
 それでは良心の欠片もない人間のクズっぷりを見ることができるストーリーの紹介を。
 ニューヨークを中心に活躍する人気コラムニストであるJJ・ハッセンカー(バート・ランカスター)は政治家にも顔が利く超大物。目障りな相手が居ると電話一本で陥れることができるので、誰も彼に対して表立って批判する者はいない。
 そんな彼でも悩ませているのが最愛の妹スーザン(スーザン・ハリソン)がナイトクラブでバンドのギター弾きであるスティーヴ(マーティン・ミルナー)と恋仲であること。妹を溺愛するJJ・ハッセンカーは自分に媚びを売ってくるシドニー(トニー・カーティス)を利用して妹スーザンとスティーヴの仲を引き裂こうとする。
 シドニーはスティーヴを陥れるためにウソの記事を新聞社に卑怯な手段を使って売り込むのだが・・・

 ニューヨークは俺の物だと言いかねない傲慢な男が、妹を結婚させまいとする内輪揉めの小さな話がメインストーリーになっているのが少々残念だが、それでもウソやでっち上げで他人を陥れる様子を見ているとマスコミの怖さを感じるし、保守と言われる政治家、書評が大いに叩かれて陥れられている何処かの国を見ていると、本作のストーリーが決して日本人にも絵空事でないことがわかる。
 男の野望、欲望の犠牲に立つのは常に女性。本作を見ているとそのように感じるが、ラストシーンは女性の強さを簡潔にだが上手く描いていると思う。
 モノクロの画面に写し出される夜のニューヨークの雰囲気は渋くてジャズが似合う。そして、絶対に嘘やデタラメを言って人を騙してはいけないと心に誓おうと思える映画だ。
 渋いモノクロの映画を観たくなった人、悪役が活躍する映画観たい人、ニューヨークが好きな人・・・等に今回は成功の甘き香りをお勧めしておこう。

成功の甘き香り [DVD]
トニー・カーティス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 


 

 
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映画 獣人(1938) ついつい発作が起きてしまいます

2018年09月29日 | 映画(さ行)

 フランスの文豪エミール・ゾラの同名タイトルを原作とする映画化。冒頭でいきなりエミール・ゾラの画像と署名が出てきて驚いた。そして、その後に主人公のジャン・ギャバン扮する機関車の操縦者の先天的な精神的な病の説明がされる。それは『時々、女性を殺したくなる症状』俺はこの説明を聞いて、そんなことがありえるのかと思ったのだが。もうこんな男性と知り合いになった女性は、運が悪かったと諦めるしかないのか?

 それでは早速だが、祖父や父から遺伝子を受け継いでしまったがために悲劇を生みだしてしまうストーリーの紹介を?
 機関車の操縦士であるジャック(ジャン・ギャバン)は祖父や父から先天的な遺伝子を受け継いでいた。彼はそのおかげで故郷に彼女がいたのだが、結婚せずにいた。
 ジャックは自分の操縦する機関車が修理される3日間を故郷で過ごしていたのだが、3日間が終り彼はル・アーブル駅に戻る。その道中の列車の中で助役ルポーとその妻セヴリーヌ(シモーヌ・シモヌ)が彼らの養父である金持ちの爺さんを殺害する。
 みんなが列車を降りた後に犯人捜しが行われたのだが、ジャックはルポーとセリーヌが殺したことに気づいていたのだが、彼は知らないふりをする。
 セリーヌは念のためにジャックに近づいてきた。ジャックは口外しないことを誓うのだが、そのことを切っ掛けにジャックとセリーヌは愛し合うようになり、夫婦仲が悪かったセリーヌはジャックに夫のルポーを殺害するように持ち掛ける。ジャックは実行しようするのだが・・・

 実は変な遺伝子を祖父や父から受け継がなければ、ジャックは本当は好いやつだ。しかし、いくら遺伝だと言っても常に保護観察者が側にいないとダメだろう。しかも、男を殺そうとして殺せず、女はいつの間にか殺害してしまう。しかし、このなかなか滅多に見ることが出来ない設定のお陰で面白い映画を見た気分になれた。
 遺伝子によるアイデアはエミール・ゾラの自然主義文学から発生した。だからエミール・ゾラの愛読者ならこの無理があるような設定でも受け入れられる。
 しかし、俺がよくわからなかったのは自分の先天的症状を知っていながら、セリーヌとは愛し合おうとしたこと。ジャックはセリーヌを愛していながらも、犯罪者とならば発作が起きてしまっても良し、という考えからだろか?
 そんな疑問があるが、雨の中で2人がこっそり遭うシーン、当時の映画にしては激しい殺害シーン等、時代を考えれば鉄道の発展にも驚いた。印象的な場面があるので退屈感はない。
 エミール・ゾラの小説が好きな人、ちょっと昔のフランス映画を見たいと思った人、ジャン・ギャバンが好きな人、ラストは悲劇で終わる映画が好きな人等に今回は獣人をお勧めしておこう。

獣人 [DVD]
ジャン・ギャバン,シモーヌ・シモン,ジュリアン・カレット,ブランシェット・ブリュノア
ジュネス企画


 監督は印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールの次男坊であるジャン・ルノワール。1930年代から40年代にかけてのフランス映画黄金期を代表する監督。お勧めは反戦映画にヒューマニズムを叩きこんだ大いなる幻影、ジャン・ギャバン、ルイ・ジューヴェの当時のフランスの二大スターが競演したどん底、インドを舞台にした西洋人と東洋人の交流を描いたが良いです。 
 
 

 

 

 
 
 
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映画 サクリファイス(1986) 名監督アンドレイ・タルコフスキーの遺作です

2018年09月12日 | 映画(さ行)
 ソ連の映画のレベルの高さを世界中に広めたアンドレイ・タルコフスキー監督。その作風はよく難解だと言われる。そして映像の詩人と呼ばれ、特に水をモチーフにした自然描写は独特の感性がある。よく彼の作品で家の中に居るのに雨が降っているシーンがあるが、『何で?』と質問されても、それはタルコフスキー監督の個性だという答えになってしまう。特に後半の彼の作品群になると人類の救済をテーマにした作品に偏ることになるが、核戦争をテーマにした作品が今回紹介する映画サクリファイスだ。
 ちなみにタイトルのサクリファイスの意味は『生贄、犠牲』といった意味。日本人は神社に行って『世界が平和になりますように』と祈ってるだけの人が多いが、俺に言わせれば、こんなのは平和という尊いものを冒涜しているにしか思えない。祈っているだけで平和がやってくるはずがない。祈った後に具体的に行動しないとだめだ。だいたい神様も人間の限りない我儘を全部聞けるはずがない。そりゃ~、神様だって祈ってくる人に対して何か見返りを求めてくるのは当然だろう。そのことは旧約聖書に親しんでいるヨーロッパ人はよく理解しているようだ。

 さて、本作の主人公は核戦争が勃発した時に彼は神様に何を犠牲として差し出すのか?それではストーリーの紹介を。
 舞台はスウェーデン、バルト海をのぞむゴッドランド島。かつて舞台俳優と名声をはせていたアレクサンダル(エルランド・ヨセフソン)だが、今は上手く仲がいっていない妻と娘と喉を手術したために声が出せない幼い息子と暮らしている。そして女性の召使が2人がいる。
 アレクサンダルの誕生日の日、郵便屋さんのオットー、医師であるヴィクトルもやって来て、誕生日祝いをする。
 ある日のこと、二階で息子を寝かして降りてきたアレクサンダルだがテレビで核戦争が勃発したことのニュースを見る。そのことに妻は発狂してしまう。無神論者だったアレクサンダルは初めて神様に祈るのだが・・・

 最初の方は伝説、文学、絵画などの話がグタグタ言っているが、そういうことに興味の無い人は退屈するかもしれない。まあ、だいたいタルコフスキー監督作品は最初はダラダラしているので退屈だ。しかし、この映画がちょっと面白くなるのはやはり核戦争が起こってから。別に核戦争が起こっているシーンなんかは出てないが、その場にいる人間の本性が少し垣間見れてから楽しい。アレクサンダルの妻は自己中だし、女性の召使の一人であるマリアは魔女だと噂されていることがわかり、けっこう男を誘っていることがわかる。
 そして感動するのがアレクサンダルが神に祈るシーン。彼は日本人のように『お願いですから助かりますように!』なんて自分の願望だけを言ったりしない。自らの大切な物を犠牲にすることを誓うのだ。そして祈った後に目的を達成するために実行する。俺はキリスト教徒ではないが、たまには参考にすると自分の心の癒しになる。
 しかし、この映画は何気に美しい。アレクサンダルとマリアが愛するシーンの空中を浮遊したり、湿地帯に建てられている家が燃え上がっているシーン、冒頭のシーンとエンディングのシーンの映像など。そして結末は暗闇の絶望の中にも、わずかな希望を感じさせる光が小さいけれども生きる気力を感じさせるのが良い。
 そして、アレクサンダルに届くお誕生日プレゼントが色々あったが、果たしてこれらは何かのメタファーなのかと深読みのしがいがある。まあ、タルコフスキー監督の映画を観て彼の意図を探ろうとすればするほど無間地獄におちいりそうになるが。
 アンドレイ・タルコフスキー監督作品と聞いて心が躍る人、キリスト教の考え方に少しでも触れてみたい人、宗教画やロシア文学に詳しい人、そして神社に行くたびに同じことばかりお祈りしている人、自分さえ良ければ良いという自己中の人、難解な映画が好きだというレアな人・・・等に映画サクリファイスを今回はお勧め映画としておこう。

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 監督は前述したアンドレイ・タルコフスキー。水、火、木、などの自然を写し出し、犬、馬、ヤギなど動物を登場させ、宗教、平和への祈りを込めた独特の映像は、まさに映像の詩人と呼ぶのに相応しい。彼のお勧めはストーリー性はしっかりしている僕の村は戦場だった、そして2001年宇宙の旅とならぶSF映画の金字塔とでも言うべき惑星ソラリス、タルコフスキー監督がイタリアで撮った平和と祖国への想いが伝わってくるノスタルジアが良いです。でも、彼の映画はどの作品も合う合わないがあると思います




 


 




 
 


 

 





 
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映画 市民ケーン(1941) 映画界の金字塔と言うべき作品

2018年09月09日 | 映画(さ行)
  映画史に語り継がれ続かれている大傑作が今回紹介する映画市民ケーン。しかもオーソン・ウェルズが弱冠25歳にして監督、主演まで兼ねた彼のデビュー作。現在においても映画評論家達の評価が高く今でも映画史上最高傑作と呼ばれる作品だ。この映画を褒めるのによく撮影技術のことが言われる。パンフォーカス、長回し、超ローアングル、老けメイク、時間軸構成など。しかし、このような予備知識を無しで本作を観て、あのシーンの撮影テクニックが凄いぞ、と気づく人はまずいない。今の映画の特撮技術に慣れてしまっている人にとって、正直なところ本作を観ても驚くことは何もない。1941年という時代を想像しながら見れば、あの映像はどうやって撮ったんだろうと思うかもしれないが、このシーンはどんな撮影テクニックが使われているのかを考えながら観るのはやめた方が良い。『映画好きならば絶対に市民ケーンは観ろ!』なんて偉そうに言うような自称映画評論家が多いが、ハッキリ言って余計なお世話だ。
 そりゃ~、俺だってスピルバーグ監督のジュラシックパークを見た時はリアルに動く恐竜に驚いたが、やはり映画に求めるのは感動できるか、衝撃があるか。その当時の人はこの映画の革新的な作りに衝撃を受けたようだが、今を生きる俺の観点から言うと、確かに後世に残る傑作映画はこの映画から凄い影響力を受けている。俺も本作以前の古い映画も見ているが、この映画の題材、構成、結末は現在の映画に見られるパターンが多い。
 実はこの映画の主人公は当時実在したウィリアム・ランドル・ハーストをモデルにしている。彼は新聞王と呼ばれ、アメリカのメディアを殆ど支配下におき、当時のアメリカにおいて世論を大きく動かすことすらできた。実は俺が面白かったのは、この新聞王の描き方。まだ存命中でありアメリカの政界、財界、民衆に大きな影響を与え、海外の大物政治家にも繋がりのあったハーストを25歳の青年が果たしてどのように描いてしまったのか。

 それでは映画史に残る大傑作のストーリーの紹介を。
 大豪邸において寂しく新聞王ケーン(オーソン・ウェルズ)が『バラのつぼみ』という言葉を残して死んだ。早速、彼の記録映画が製作されるが、それを観た経営陣たちは何か物足りなさを感じていた。しかし、死ぬ間際に発した言葉『バラのつぼみ』の意味を知ることによってケーンの人物像が明らかになると考え、ニュース記者のトンプソン(ウィリアム・アランド)は、ケーンの生前を知る者を片っ端から訪ねていく。
 ケーンの生涯の最初の転機は両親とはまだ幼い頃に引き離されて、銀行家の金持ちサッチャーを後見人として育てられたこと。しかし、ケーンが最も興味を持ったのは新聞の仕事。彼は友人のリーランド(ジョゼフ・コットン)、バーンステイン(エヴェレット・スローン)を引き連れ、新聞経営に乗り出す。民衆受けする記事を載せて新聞の売り上げを伸ばしまくり、そして大統領の姪であるエミリー(ルース・ウォーリック)と結婚。後々は大統領にまでなろうかという勢いで、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで一躍注目の人物になる。
 そして、ついにケーンは州知事に立候補し当選するような勢いだったのだが、思わぬ墓穴を掘ってしまい次第に人生の歯車が狂ってくる・・・

 一度でも栄華を極めた人間の落ちっぷりが凄い。この主人公ケーンだが他人のアドバイスは全く聞かずに、自己中心。そりゃ~かつての友達も愛する奥さんも離れて行ってしまう。まるで自分を応援してくれている人を裏切ったり、騙したりしているために段々と人が離れていく俺の知人を思い出す。
 しかし、笑えるのが愛する売れない歌手をしている女性に対して豪華な宮殿やオペラ劇場をプレゼントしているところ。しかも、その宮殿はヨーロッパから集めた骨とう品だらけで動物園なみに象やキリンがいる。しかし、さすがにそんな物をもらっても喜べない。女性がでかい宮殿で一人ぼっちでジグソーパズルをしているのには笑ってしまった。
 そしてケーンがその女性が宮殿を出て行ってしまう時に言うセリフが凄い。『こんなに愛しているのに、なんで愛してくれないんだ?』。とんでもなく自己中で笑った。

 しかし、オーソン・ウェルズは老けメイクをしていない時でもかなりのおっさんに見える。お前本当にこの時はまだ25歳だったのかよ。しかし、本作を観て思うのは若さというのは一歩間違えれば恐ろしい。当時の新聞王ハーストは絶大な権力を持ち、まだ存命中なのにかなり馬鹿にした内容の映画を撮ってしまった。俺はその部分がかなり面白かった。それは若者が軽い冗談で、新聞王をからかってやろうかと思ったぐらいのつもりで撮ったのじゃないかと俺は想像してしまったのだが。しかし、若僧が大手の新聞会社を敵に回してはいけない。それは今の日本でも、政治家がメディアからデタラメなでっち上げで袋叩きに遭っていることからもわかる。
 ちなみに本作市民ケーン新聞王ハーストの圧力に遭う。おかげで映画の興行成績は惨敗。アカデミー賞も本命視されながらこちらも惨敗。そして、オーソン・ウェルズ自身もその後は自由に映画を撮らさせてもらえず、その後の監督作品は出来上がったフィルムが映画会社からズタズタにカットされるなどされてしまう。結局、彼は監督として市民ケーンを超える映画を撮ることもなく、脇役で見るぐらいになってしまった。
 さて、結局『バラのつぼみ』の意味は何だったんだろう。最後に理解できる仕組みになっているのだが、俺にはハッキリとしたことがわからなかった。個人的には幼い時に離れた母親との思い出の象徴だと思っているのだが。この白黒はっきりしない終わり方も今風のハリウッド映画に近い気がする。
 映画史に残る最大の傑作を見てみたい、ストーリーの内容は無視してもどんな驚くような映像技術を使っているのか知りたい人、謎解きが大好きな人、主人公の馬鹿っぷりに笑いたい人、新聞王ウィリアム・ランドル・ハーストに興味が湧いた人に映画市民ケーンを今回はお勧めしておこう。


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 監督は前述したように悲劇の天才オーソン・ウェルズ。この人のお勧め映画は黒い罠。冒頭からの長回しは、流石だと思わせます。

 

 



 

 

 
 
 
 
 


 

 




  
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映画 静かなる男(1952)アイルランドの誇りを感じさせます

2018年08月11日 | 映画(さ行)
 よくアイリッシュ魂という言葉を聞くが、実は俺には何のことを言うのかよくわからない。しかし、本作を観れば何となくだがアイリッシュ魂を感じれることができる。だいたいアメリカ合衆国においても警察や消防隊で活躍するのはアイルランド系アメリカ人が比較的多い。なぜならケルト民族でありゲール語という語源を持っている彼らは体がデカくて、心が広い。そして本作に登場するアイルランド人はバーに通って酒やビールを呑み、歌をよく歌い、よそ者にも気さくに話しかけてくる。それでいて古いしきたりに拘ような頑固な部分も持ち合わせている。そしてこれは本当なのかどうか殴り合いが好き。本作でもそのようなアイルランド人の特徴が描かれているが、そこにはジョン・フォード監督らしい人情劇に仕立てて、全体的に詩情豊かに描かれているのが本作の特徴だ。

 アイルランドの緑豊かな風景が綺麗でありノスタルジックを感じさせ、それでいてアイルランド人の誇りを感じることができるストーリーの紹介を。
 アメリカからショーン(ジョン・ウェイン)が幼少期を過ごしたアイルランドのイニスフリー村に帰ってきた。彼は人手に渡っていた生家を買い取ろうとするのだが、地主の粗暴なレッド(ヴィクター・マクラグレン)もこの家を買い取ろうとしていたので2人の間には険悪な雰囲気が流れる。
 ある日のこと、ショーンは赤毛の女性メアリー(モーリン・オハラ)に一目惚れ。彼女もショーンのことを好きになるのには時間は掛からなかったが、実は彼女はレッドの妹。もちろんレッドが妹のメアリーとショーンの結婚を許すわけがないが、今や村中の人気者であるショーンは村人達のおかげもあり、ショーンとメアリーは結婚することになる。しかし、アイルランドでは奥さんになる方は持参金を持って嫁入りするという風習があるのだが、兄のレッドは持参金をメアリーに持たさなかった。アメリカの生活になれたショーンは持参金なんかどうでも良かったのだが、メアリーにとっては一大事。メアリーはショーンに兄のレッドから力づくで持参金を奪うように背中をおすのだが、ショーンはある事件を切っ掛けに二度と拳を使わないことを決めていたのだ。
メアリーはショーンが意気地なしだと思い、列車に乗ってダブリンへ行こうとする。それを見てショーンはついに意を決してレッドに殴り合いの喧嘩を挑むのだが・・・

 自然の豊かさに目が行き勝ちだが、ショーンとレッドが殴り合うシーンが素晴らしい。アイルランドの野原から小川を超えての怒涛の殴り合い。男同士のプライドを賭けた殴り合いが本当に気持ち良い。しかし、この殴り合いのシーンを女性が見たらきっと阿保らしいと思われないかちょっと心配。世の中の風潮として殴り合いの喧嘩なんて問題外なんて言う人が多いだろう。しかし、男のプライドを賭けた殴り合いは時に真の友情を育むことがある。
 しかし、こんなシーンを撮れる監督はもう居ないな。ジョン・フォード監督の人情、ユーモア、抒情詩的な部分が最も活かされた映画であり、彼の数多い名作群の中では個人的に最も好きな映画が本作。観終わった後の爽快感は本当に良い映画を観た気分にさせてくれる。
 ジョン・フォード監督の作品は西部劇しか観たことが無い人、アイルランドに興味がある人、男ってやっぱり馬鹿だと思ってる人、人情喜劇のような映画が観たい人、男にとって一番大事なのは命よりもプライドだと信じている人・・・等に今回は静かなる男を紹介しておこう。


静かなる男 [DVD] FRT-190
フランシス・フォード/ウォード・ボンド/ジョン・ウェイン/ヴィクター・マクラグレン/モーリン・オハラ
ファーストトレーディング



 監督は前述した西部劇の神様と呼ばれるジョン・フォード。多くの傑作を世に遺した実績はまさにハリウッドの大巨人。西部劇の代表作駅馬車、スタインベックの原作の同名タイトルの怒りの葡萄、本作以上に詩情豊かな我が谷は緑なりきを今回はお勧め映画として挙げておこう。





 



 

 


 

 

 

 
 



 




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映画 死刑執行人もまた死す(1943) 反ナチ・レジスタンス映画の傑作

2018年06月03日 | 映画(さ行)
 ナチスやヒットラーを題材にした映画は現在においても数多くあり、それはこれからもドンドン製作されていくだろう。いかにナチスドイツの台頭がヨーロッパ全土及びアメリカにまで相当なインパクトを与えたことは、このことからもよくわかる。
 反ナチスのレジスタンの様子を描いた映画ほはたくさんあり、その中でも傑作として誉れ高いのが今回紹介する映画死刑執行人もまた死す。なかなか刺激的なタイトル名だ。
 タイトル名だけでなく、とてもスリルがあり、民族のプライドが崇高な精神を持って描かれているのが感動的でさえある。

 人間には時として自分の命よりも大切なことがあり、そのためには戦わなければならないことがあることを教えてくれるストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦中のナチスドイツ占領下のチェコスロバキア、プラハが舞台。死刑執行人と呼ばれ、プラハ市民から恐れられていた総督ラインヒハルト・ハインドリッヒが暗殺される。ナチス配下の秘密警察ゲッシュタポは犯行者を捕まえるために、名士たちを手段を選ばずに手当たり次第にひっ捕らえて刑務所へ次々と送り込む。
 犯行者である反ナチレジタンス運動家のフランツ・スヴォボタ医師(ブライアン・ドンレヴィ)は、マーシャ(アンナ・リー)の機転のお陰で、追手の追撃をかわし、彼女の父親である大学教授ステファン(ウォルター・ブレナン)の家に匿われ、なんとかその場をしのぎ切る。
 しかし、追撃の手を緩めないゲッシュタポは、ついにステファンを捕まえる。次々と怪しい人物を捕まえて、死刑に処するゲシュタポによって、父親のステファンが死刑にされるのを食い止めるために、マーシャはフランツ医師を探し回り、自首させようとするのだが・・・

 逃げていた男を助けたために、父親が死刑にされてしまいそうになってしまうように、とんでもない不運に遭ってしまった美人な娘さん。
 そりゃ~、娘さんがせっかく助けてあげた男であっても『お願いだから、自首してよ~』『なんでアンタは生きているのに、私のお父さんが死刑にされなきゃならないのよ~』と泣き叫んでせがむ気持ちはよくわかる。
 なんせゲシュタポの奴らときたら、ほとんど適当に捕まえた人間を1日に数名ずつ死刑に処しているのだから、お父さんの番が来たらと思うと気が狂いそうになるのも無理はない。ここら辺の演出はスリルを増長させる効果が抜群だ。

 しかし、この娘さんのお父さんが立派だ。自らの命よりも、祖国・民族存続のために、レジスタンス達の活動を邪魔しない。このようなお父さんを見ていると、平和や自由は自らの手で掴み取らなければいけないことがよくわかるし、俺たち日本人がこうして平和に暮らし、自由に政府に対して意見を述べることが出来る雰囲気があるのも、先人の尊い命の犠牲に成り立っていることがよくわかる。
 ちなみにこの映画は1943年の作品。ナチスがまだ猛威をふるっているいる時期の作品だから制作者の熱い気持ちが観ている我々にも伝わってくる。
 
 そして、この映画には祖国を裏切って、ナチスのゲッシュタポの手先になってスパイ活動する奴が出てくるが、このスパイがとんでもなく卑怯者で売国奴。愛国心を煽って戦争へ突き進もうとする馬鹿が後を絶たないが、逆に愛国心を持っているように見せて偽保守みたいな奴を時々よく見かける。本作のスパイを見ていたら、口先だけで日本を守るなんて言っている奴には注意が必要だということがよくわかる。

 最近流行りのナチス映画に飽きた人、古いサスペンス映画を見たい人、祖国や民族を守るとはどういうことか知りたい人、平和や自由を得ることの尊さを理解したい人等に今回は映画死刑執行人もまた死すを、お勧め映画として挙げておこう。

死刑執行人もまた死す [DVD]
ブライアン・ドンレヴィ,ウォルター・ブレナン,アンナ・リー,ジーン・ロックハート,デニス・オキーフ
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督はドイツ出身のフリッツ・ラング。ナチス政権に反対してアメリカへ渡って映画を撮り続けた。彼はドイツ時代に多くの名作を遺していますが、そんなドイツ時代のサスペンス映画の名作としてをお勧め映画として挙げておこう。
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映画 ソフィーの選択(1982) ナチスによる傷跡は永遠に消えない

2018年01月01日 | 映画(さ行)
 明けましておめでとうございます。昨年は公私ともに、どうでも良いことで忙しくなってしまい、すっかりブログをサボり気味。今年はもっと自分自身のテンションを上げて更新するようにしますので本年もよろしくお願いします。
 さて、新年一発目はできるだけ年明けに相応しくユル~イ内容の映画を毎年紹介するようにしているのだが、今回は珍しくメンタル的にタフな映画を紹介しよう。
 ウィリアム・スタイロンによるアメリカで最も権威のある賞であるピューリッツァー賞を受賞した同名タイトルの原作を映画化した作品が今回紹介するソフィーの選択。田舎からニューヨークに出てきた作家志望の童貞の青年、気が短い荒れくれ男、なんだか悲劇が付きまとっているかのような幸が薄そうな女性。この3人の織りなすドラマが展開されるが、そこに誰もが知っている怖いナチスが絡んでくるストーリー。ナチスをモチーフにした映画なんかはたくさんあるが、そのような映画でよく見かけるのが、最初から最後まで非人道的な行為を繰り返すナチスの残虐さ。しかし、本作はそのような場面に大して時間を割いていない。しかし、それ故にピンポイントでナチスの残した大きな傷跡を観ている我々は痛感し、その傷跡は永遠に消えないことを実感するのだ。

 少々奇妙に感じる3人の人間関係が軸に展開されるが、次第にヘビーな気分に襲われるストーリー紹介を簡単に。
 第二次世界大戦が終わって2年後の1947年のこと。アメリカの南部に住む青年のスティンゴ(ピーター・マクニコル)はニューヨークのブルックリンに自分探しの旅にやってくる。安いアパートを見つけて滞在しようとするが、何やら大声が聞こえてきた。
 それはネイサン(ケヴィン・クライン)が怒鳴り散らし、ソフィー(メリル・ストリーープ)が泣き喚いているのだった。収拾不可能なネイサンのソフィーに対するドメスティックバイオレンスかと思いきや、直ぐに2人は仲直りし愛し合う。そんな2人に巻き込まれるようにスティンゴは次第に彼らと親しくなっていくのだが、やがて2人の隠された秘密を知っていくことになり・・・

 第二次世界大戦中のヨーロッパを恐怖のどん底に陥れたナチス。ナチスの罪は多くの人命を奪っただけでなく、理性のある人間の精神を破壊してしまったこともある。タイトル名が示すソフィーの選択を観ている我々が知った時、驚きと共に複雑な心境に襲われる。それは人間の最も尊い物を差し出したソフィーの行動は罪深いことではあるが、果たして誰がソフィーの苦渋の選択を非難することができるのか。
 そして人間はなぜ生きているのか?と言うことが本作を見れば西欧人の観点から少々理解できる。人間は誰しも罪を背負って生きており、生かされているということ。
 そうは言っても何で最後はこのような結末になっちゃったの?なんて俺は思わず考え込んでしまったのだが・・・。
 しかし、今でもナチスドイツ、ヒットラーを題材にした映画が多いが、そのことをとってみても如何に西洋人(アメリカ人も含む)がナチスに対して、大きな衝撃を受けているかが近年の映画を観ていてもわかるが、1982年に公開された本作を観てもよくわかる。
 多くの大衆の賛同を煽り、少しでも反対する人間は消してしまおうとする独裁者の誕生は本当に恐ろしい。反対意見には全く耳を貸さず、自分のイエスマンばかりを集めるような人間は絶対にリーダーにしてはいけないと言うことが歴史を学べばよくわかる。まあ、そのことは本作にはあんまり関係が無いっか。
 今でもメリル・ストリープは主演クラスで活躍している女優ですが、本当に凄い女優さんだと思う。本作でもドイツ語、ポーランド訛りの英語(実のところ英語が話せない、聞き取れない僕にはわかるはずがありませんが)を完璧に操り、女性の両面性を見事に表現するなど流石。彼女のファンなのに本作をまだ観ていない人は必見だ。
 おせち料理の食いすぎ、酒の飲みすぎでお正月気分に浸っている人には少々胃にこたえる映画ではあるが、ゆっくり時間がとれる時に見たい映画として今回はソフィーの選択をお勧め映画として挙げておこう

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 監督はアラン・J・パクラ。社会派サスペンス映画において傑作を多く遺している名匠。ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード競演の大統領の陰謀がお勧め。

 切れると怖いネイサンを演じたのがケヴィン・クライン。芸域の幅広さが魅力の俳優。本作のようなシリアス路線では遠い夜明け、西部劇ではシルバラード、コメディではワンダとダイヤと優しい奴らデーヴがお勧めです。 
 

 

 

 

  
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映画 死刑台のエレベーター(1958)ジュテ~ム、ジュテ~ム

2017年07月09日 | 映画(さ行)
 フランスのヌーヴェルヴァーグを代表する監督であるルイ・マル監督。彼が弱冠25歳の時のデビュー作であるのが今回紹介する死刑台のエレベーター。名監督と呼ばれる人はデビュー作からその才能を見せつけることが多いが、本作がまさにそのパターン。今観ても色あせないフランス製サスペンス映画の傑作だ。

ちなみに俺が最初に覚えたフランス語がje t'aimeジュテーム)。実は今でもこの言葉しか知らないのだが、日本語で『愛してます』という意味だ。
 さて、そのジュテームだが、この言葉を覚えたのは本作を初めて観た時のこと。冒頭から電話で男女が話している言葉がジュテームの連発。
 今やフランスを代表する大女優となってしまった若きジャンヌ・モローが公衆電話から悩まし気に不倫相手の男に語りかける。その様子はまるで、かつて流行ったテレクラにふけっているかのようだ。
『ジュテーム、キスして』『ジュテーム、待ってるわ』『ジュテーム、怖いのね』『ジュテーム、早く殺してよ』・・・等。確かにこれだけ『ジュテーム、・・・』を連発されると俺でなくても自然にジュテームの意味がわかるし、そりゃ~言われている男の方も頭がおかしくなって、不倫相手の女性の旦那を殺そうかと思ってしまう。

 早速だが、サスペンス映画のストーリーの紹介を。
 ジュリアン(モーリス・ロネ)は自分が勤める会社の社長夫人であるフロランス(ジャンヌ・モロー)と不倫関係の真っただ中。
 ジュリアンは社長を自殺に見せかけて殺害することに成功。一旦は会社を出たジュリアンだが致命的なミスに気づき、証拠隠滅のために会社に戻る。しかし、エレベーターに乗っている途中に運悪く電源を切られてエレベーターは途中でストップし、閉じ込められてしまう。
 一方、フロランスは待ち合わせていた時間になっても来ないジュリアンを不安に思いながら、夜のパリを徘徊するのだが・・・

 ジュリアンの完全犯罪を狙った殺害シーンは、非常にお粗末なレベル。証拠隠滅することを忘れてしまう上に、エレベーターに閉じ込められる運の悪さ。ここからダイ・ハードのブルース・ウィリスなら見事にエレベーターから脱出してしまうのだろうが、悲しいことにジュリアンはチョッとだけブルース・ウィリス並みの精神力とパワーを見せるが、とにかく運が悪いのが致命的。そもそも、ジュテームボケに罹って人殺しをしているのが問題だ。
 更にエレベーターに閉じ込められている最中に別の殺人事件が起きるのだが、その容疑者にジュリアンがなってしまう展開が、非常にストーリーを面白くしている。
 しかしながら、妙に印象に残るのはジャンヌ・モローが深夜のパリを彷徨っているシーン。その時に流れるマイルス・デイヴィスの即興演奏(観ている最中に即興で作った音楽だなんて気付くわけがないのだが)で流れるジャズが、女性の不安、孤独、募る想いを感じさせる。本作を観ればサスペンス映画というのは、ストーリーが重要なのはもちろんだが、主演女優の魅力も作品の出来の良し悪しに大いに関わってくるというのがよくわかる。
 ヌーヴェル・バーグと聞いて心が躍る人、自分は運が悪いと思って悩んでいる人、名作と呼ばれるサスペンス映画を観たい人、フランス語が好きな人・・・等などに今回は死刑台のエレベーターをお勧め映画として挙げておこう

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 監督は前述したようにルイ・マル。ヌーベル・バーグを代表数する監督は多いですが、その中でも個人的に最も好きな監督。最初観た時はメチャクチャ笑えるドタバタコメディの地下鉄のザジ、個人的には破滅的な主人公に共感してしまう鬼火、悲惨な青春時代を送らざるを得なかった主人公を描いたルシアンの青春、監督の自伝的作品さよなら子供たち
等、お勧め映画多数です。 

 

 
 

 

 
 


 
  

 
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映画 自転車泥棒(1948) 戦後イタリアの不況のどん底を描く

2017年06月17日 | 映画(さ行)
 日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるイタリア。その後における両国の目覚ましい経済発展、やがて訪れる不況の波。何となく現在に至るまで同じような歩みを感じるのは俺だけか。
 戦後の不況のどん底状態のイタリア社会を描いた映画が今回紹介する自転車泥棒ネオリアリズモを代表する名作だ。

 冒頭から職を求めて職業安定所に殺到する人の多さにもびっくりするが、自転車の多さにもびっくりする映画だ。
 今や歩いて5分ぐらいしか掛からないようなコンビニへ行くのにも車を使っている俺。よく考えたら自転車って30年近くも乗っていないことに気がついた。しかし、本作に描かれている戦後の間もないイタリア社会は自転車があるか、ないかは大きな死活問題の状況。盗まれた自転車を必死の思いで探し続ける父と少年の姿に泣けてきた。

 さて、こんな貧困の時代が日本にもあったんだと感じさせるストーリーの紹介をしよう。
 数年間仕事に就けなかったアントニオ(ランベルド・マジョラーニ)は、ようやく役所のポスター貼りの仕事を得ることができた。しかし、そのためには自転車があることが条件。ところが生活苦を続けていたアントニオは自転車を質に入れていた。彼は女房と相談してベッドのシーツを数枚を質に入れて、自転車をとり戻す。
 仕事初日、ポスター貼りの仕事をしていたアントニオだったが、一瞬のスキをつかれて、自転車を盗まれる。自転車を買う金もないアントニオは、息子のブルーノ(エンツォ・スタヨーラ)を連れて、自転車を探し回り、ついに犯人らしき男を見つけ、問い詰めるのだが・・・

 この世の中、必ずしも正義が勝つとは限りない不条理な世界。真面目にやっても報われないどころか、なぜか次々と災難が自分の身に降りかかる時がある。しかし、そんな時にこそ自分の真価が試される。
 本作のお父さんがまさにソレ!残念ながらこのお父さんは誤った方向に導かれてしまう。しかし、人間なんて100%心が清い人なんかいない。俺なんかいつもニコニコ、どこからどう見ても善い人にしか見えないが、実はけっこう腹黒い。
 そして、このお父さんのある行動を完全な悪人として批判できる奴がいるのか?だいたい自分を良い様に見せている奴の方がもっと信用がならない。

 そして観ている最中は「あ~、これはロクな結果にならないな~」と何となく感じる。しかし、どこにでも神様って居るんだよな~と思わせてくれるラストシーンに心が洗われる。このお父さんの場合は息子が神様だ。
 決してハッピーエンドではないが、暗闇の中にも小さな希望の灯が薄っすらと光る映画。どんな辛いことがあっても、わずかな希望を持ってさえいれば生きていける!そんな気分になれる映画として、今回は自転車泥棒をお勧め映画として挙げておこう

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ランベルト・マジョラーニ,エンツォ・スタヨーラ
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 監督はイタリアを代表する名匠ヴィットリオ・デ・シーカ。多くの名作を遺したイタリアのみならず彼の映画は日本を含め、世界中に愛されている。
 モンゴメリー・クリフト、ジェニファー・ジョーンズ競演の終着駅、マルチェロ・マストラヤンニ、ソフィア・ローレン競演のひまわりがお勧めです。





 
 






 

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映画 セッション(2014) 熱い音楽バトルです

2017年05月01日 | 映画(さ行)
 「若き天才」かつては俺もそのように言われたことがあった。しかし、今や40歳代も半ばを超えても、孔子の論じるところの不惑の40歳どころかフラフラしてばかり。実は俺って「大器晩成」じゃん、なんて思う今日この頃である。
 さて、野望を秘めた若き天才ドラマーと体罰教師も真っ青のスパルタ鬼教師である指揮者の熱いバトルが繰り広げられるのが今回紹介する映画セッション。男の意地と誇りをかけた激しいぶつかり合いに観ている誰もが熱くなれる映画だ。
 しかし、熱きバトルとは別に個人的に感銘を受けたのが、真の天才になることの苦しさと厳しさ。生まれて持った才能が輝くあまり、俺を含めて若き天才と言われた人間が古今東西において多く登場したが、大した功を成し遂げずに露のごとく消えていった人間がなんと多いことか!。
 真の天才になるために汗と血を流し続け、好きになった女性ともお別れ、精神的にも追い詰められなければ真の天才になれないことが、本作を観ていれば理解できる。実際に観終わった後に俺にはその資格も適正もないことに愕然としショックを受けた。まあ、俺には無理

 さて、一流ドラマーを目指す若き天才ドラマーとスパルタ指揮者との熱いバトルの結末はこれいかに。それではストーリーの紹介をしよう。
 一流ドラマーを目指してアメリカの名門音楽学校であるシェイファー音楽学校に入学したアルフレッド・ニーマン(マイルズ・テイラー)は、ある日のことドラムを叩いていたら、この音楽学校の最高指揮者であるテレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)から彼が率いるシェイファー音楽学校の最高のバンドにスカウトされる。
 しかし、フレッチャーがキレキレのスパルタン指揮者。彼のいじめ同様の指導はニーマンを精神的に追い詰めていく・・・

 ストーリー的には一度挫折した男が再起をかけて立ち上がろうとする話。と言うよりも一度は持ち上げておいて二度挫折させられているか。俺なんかだと一度の挫折で再起不能に陥ってしまうが、真の天才はドン底の挫折を味わっても自らの力で這い上がることができる。
 まあ、この世の中這い上がることができずに自らの命を断ってしまう人が多いが、その理由がこの映画を観れば何となくわかった気になる。
 自尊心を傷つけられた男同士の争いなんかは、普通はみっともないとしたものだが、本作はそれ故に盛り上がる。マニアックなジャズの知識があれば本作をもっと楽しめる気がするし、もっと俺が若ければ細かくリズムを刻みながら打ち続けるドラムの演奏をマネしてみたいところだ。
 いつまでも天才という言葉に踊らさせられて人生を損している人には、きっと癒しを得られる?映画セッションをお勧め映画として挙げておこう

セッション コレクターズ・エディション[2枚組] [DVD]
マイルズ・テラー,J・K・シモンズ
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マイルズ・テラー,J・K・シモンズ
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 監督は最近もラ・ラ・ランドが好調なデイミアン・チャゼル。全く知らない監督だと思っていたら、まだ30歳代前半の若さ。これから新作が発表されるたびに期待が持てる監督ですね。


 


 

 
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映画 サムライ(1967) クールな殺し屋が見れます

2017年02月19日 | 映画(さ行)
 冒頭からなんだか意味深な文句が出てくる。『サムライの孤独ほど深いものはない・・・、武士道』。ちょんまげの格好をした侍(サムライ)が登場するのかと一瞬思ったが、本作は当時絶世のイケメンンの大スター、アラン・ドロン主演のフランス映画。フランスの大スターがカツラをかぶって、袴姿で刀を差して登場するわけがない。なるほどフランス人から見た日本のサムライ像とは、このようなものだったのかと少々わかったような気になる映画だ。
 アラン・ドラン演じるタイトル名のサムライとは拳銃一丁で人殺しを請け負う暗殺者のこと。とにかく寡黙で表情をほとんど変えず、高い報酬をもらう代わりに人殺しの任務を忠実に遂行するその様子は、まさに仕事のできる男の見本を見ているような気になる。それにしても暗殺者の行いから学ぼうとする俺の頭の中はどうかなってしまったのか?

 一匹狼の暗殺者の行動が丹念に描かれたフレンチ・フィルム・ノワールの傑作のストーリー紹介を。
 寂れたアパートの一室に、小鳥を一匹だけ飼っている孤独な暗殺者であるジェフ・コステロ(アラン・ドロン)。高い報酬を得るためにソフト帽にトレンチコートのいでたちで出かけて、今日もせっせと人殺しの任務を遂行する。
 いつも通りにひと仕事を終えたジェフ・コステロだが、帰り際にナイトクラブの女性歌手であるヴァレリーに見られてしまう・・・

 最初から暗い画調で台詞が無いまま結構な時間が過ぎるのだが、退屈など全くしない。それは殺し屋の主人公の不安、孤独、寂しさを表現する抜群の演出効果をもたらす。
 まあ、見た目はクールで、ストイックなアラン・ドロン演じる殺し屋だが、けっこうなオッチョコチョイな行動も見られたりする。俺から見れば全く信用できない奴にアリバイを頼んでいたり、まるでワザと誰かに見られてしまうように人殺しを行っていたり、孤独と言いながら綺麗なネエチャンの存在がいたり、カネの受け渡し場所にしてもソリャ~駄目だろうと思えたり・・・!それに数人の目撃者にしても目が悪すぎたり、たった一人の暗殺者を捕まえるのに、パリの警察はよほどヒマなのか笑えるぐらいの人数を動員したりでツッコミどころが多い。このように書いてしまうとボロボロの映画なのかと思えてしまうが、実はブログを書いていて思い返すと気づいたようなレベルで、観ている最中はアラン・ドロンが格好良いので全く気にならない。
 そしてラストのオトシマエのつけ方が、まるで侍の切腹シーンを感じさせ、しびれるぐらいに格好良い。この世の中、言い訳ばかりで行動が全く伴わない無責任な男が多すぎるが、本作を観れば男の美学を学べるわけだ。
 部屋の小鳥、輪っかに掛けられた大量の車のキー、ナンバープレート、札束、包帯など小さい事にも気を使われていて、繊細な描写はフランス映画らしく心地良い。
 すっかりドハデなドンパチする映画に飽きた人、フランス製の渋いサスペンス映画を観たい人、ペラペラ冗談ばかり話したがる男が嫌いな女性、男の美学を感じたい人に、映画サムライを今回は紹介しておこう

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アラン・ドロン,フランソワ・ペリエ,ナタリー・ドロン,カティ・ロジエ
KADOKAWA / 角川書店


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 監督はジャン=ピエール・メルヴィル。渋いタッチでフィルム・ノワール作品に手腕を発揮するフランスの映画監督。ナチスドイツが占領していたフランスでのレジスタンス活動の様子を描いた影の軍隊がお勧め。



 
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映画 ショコラ(2000) バレンタインデーといえばこの映画です

2017年02月11日 | 映画(さ行)
 もうすぐバレンタインデーがやってくるが、そんな時にパッと思い浮かぶ映画が今回紹介するショコラ。たくさんチョコレートが出てきて、一見したところ美味しそうに思える映画だ。バレンタインデーと聞くとなぜか心がウキウキする男性が多くなるような気がする。しかし、バレンタインの日こそ、実は男性にとっては勝ち組みと負け組みがハッキリと別れる1年で1番の特別な日。ダンボールに何箱分も詰め合わされているチョコレートをもらうウハウハな男性がいると思えば、何年も身内から義理チョコしかもらえない悲しい男性も多くいる。愛がこもったチョコレートしかもらったことがない俺には、義理チョコをもらう気持ちがわからないのだが・・・。
 そんな俺の自慢話なんかはどうでもよく、実際に本作に関してもチョコレートを多くもらったとか、もらってないといったような話は全く関係ない。チョコレートという甘い素材を活かしながら、人生に思い悩み、苦しんでいる人々に多くの癒しを与えてくれる映画だ。

 タイトルのショコラはフランス語であり、チョコレートの意味。何だかとっても甘~い恋愛映画を想像する人も多いと思うが・・・。それではストーリーの紹介を。
 1959年のフランスのある村において。そこは昔から閉鎖的で、鉄壁な規律、風習、思い込み、偏見等で、村長であるレノ伯爵(アルフレッド・モリーナー)をはじめ、村の人々も古くて、堅い考え方に捉われていた。
 ある日のこと、北風とともにヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)とアンヌ(ヴィクトワール・ティヴィソル)の母娘が赤いコートをまとってやって来る。ヴィアンヌはチョコレート店を開店し、村人達から好奇の目で見られながらも彼女が作る不思議な力を秘めたチョコレートは、次第に村の人々に癒しと希望を与えていく。
 しかし、それは彼女を快く思わないレノ伯爵とヴィアンヌの対決につながっていくのだが・・・

 まるで独裁的に振る舞う村長の圧政に苦しむ村人たちを、他所からやって来た風変わりな女性が助けるヒロインの活躍を描いたストーリのように思えたりする。しかし、実のところ悪人に思える村長は昔ながらの時代遅れの規律を守っているに過ぎないどころか、頑なに断食を守るところなんかはナイスガイに見えたりするし、保守的過ぎる村に対して改革者の役割を担っているかのような女性にしても旧い因習に捉われている事がわかってくる。
 この世の中において古き良き伝統を守ることは良いのだが、昔からの悪い点が改善されないのはいかがなものか?まあ、日本で言えばサービス残業がその類に当てはまるか。
 本作の村の住人は、宗教の教えにがんじがらめだったり、男尊女卑の考え方にしがみつき過ぎている夫婦、閉鎖的過ぎて寛容さが欠けている人、子供をしばりつけている親などである。このような登場人物を見ていると、ちょっと考え方を考えれば良いのに、本当の幸せを見失っていることに気付く。現実の世界においても、まるで何かに取り付かれたかのように頭の中が頑固な考え方に支配されてしまって損をしている人を見かけるが、この映画を観ればきっとそんな人達も幸せな生き方を見つけられる、って本当かよ。

 なんだか堅い紹介になってしまった気がするが、途中から登場してくるジョニー・デップは格好良くて大人の恋愛映画として楽しめるし、そしてユーモアがあって笑えるし、何と言っても人生に悩んで、傷ついている人を癒してくれるのが良い。
 チョコレートがいっぱい出てくるいう浅はかな考えだけで、バレンタインデーで思いつく映画として挙げてしまった気がするが、何はともあれ恋人同士が素敵なバレンタインデーを過ごせるために観てほしい映画として今回は映画ショコラをお勧めしておこう

ショコラ [DVD]
ジュリエット・ビノシュ,ジョニー・デップ,ジュディ・デンチ,アルフレッド・モリーナ,レナ・オリン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督はスウェーデン人のラッセ・ハルストレム。癒し系の感動する映画を撮ってくれる個人的にお気に入りの映画監督の1人。彼のお勧めはギルバート・グレイブサイダーハウス・ルールが良いです。


 
 


 


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映画 シザーハンズ(1990) 雪が降っている時に観たくなる

2017年01月03日 | 映画(さ行)
 俺は雪が降るのは好きではないのだが、ポカポカと温かい部屋から外の雪景色を見るのは大好き。雪が降っていて、ロマンチックな気分になりたい時に観たくなる映画が今回紹介するシザーハンズだ。主人公はタイトルから想像できるように、やたらデカいハサミが手の代わりになっているように、まだ出来損ないのエドワードと名付けられた人造人間
 ハサミで出来た手だけを見ていると、ホラー映画のキャラクター並みの怖さを感じさせるが、実はこいつがピュアでとても良い奴だ。根は良い奴なのに、手がハサミなのでうっかり自分の顔を傷つけたり、自分を愛してくれる人までも傷つけてしまったりで、そこがまた泣かせる。

 
 さて、手がでかいハサミである人造人間とちょっとヤンキーな少女の、儚くも美しいラブストーリーの紹介を。
 化粧品を売っているペグ(ダイアン・ウィースト)だが、自分の住んでいる住宅街では全く売れず、たまたま目にした住宅街に接している幽霊屋敷みたいな豪邸に化粧品を売りに行こうとする。そこでペグが見たのがエドワーズ(ジョニー・デップ)と名付けられた手がでかいハサミをした人造人間。独りぼっちでこんな寂れた豪邸に住んでいるのは可哀相だと思ったペグはエドワードを自分の家に連れて帰る。
そんな時にペグの娘のキム(ウィノナ・ライダー)が家に帰ってきて、エドワードを見て化け物だと思ってビックリ。しかし、やがてエドワードはキムに恋するようになり、キムも次第にエドワードに好意を持ち始めるのだが・・・


 手がハサミなんて全く役に立たないどころか、面倒なだけだろうと思って見ているとコレが意外に使い勝手が良い。住宅中の庭の植木を動物風に手入れしたり、人間や犬の毛もチョッキン、チョッキンと起用に素早くやるもんだから、人造人間でありながらも住宅中では超人気者、しかも心は人間よりも純粋なだけに性格の良さは申し分がない。この辺りの描写は異形物に対する愛情が溢れているティム・バートン監督らしい演出が際立っている。
 しかし、ファンタジー色が強い本作だがティム・バートン監督の凄いのは人間に対する皮肉も描いているところ。こんな素敵な人造人間エドワード君を人間が自分の欲のために利用する姿は非常に辛辣であり、多くの人もこの映画を観た後に、自らの胸に手を当てて問いかければ良いだろう。私もこの映画に登場する人間達のようになっていないだろうか?と。そして、どうしてエドワードがこんな中途半端で手抜きの人造人間になった真相を知ると、これまた泣ける。

 そしてこの映画のビジュアルセンスが良い。住宅の全てがパステルカラーの家なんて場所が本当にあるのかどうか知らないが、見た目からして楽しい映像が満載だ。氷の彫刻をエドワードが創造している時にキム(ウィノナ・ライダー)が踊っているシーンなんかは美しさを感じさせ、これが冒頭の話に繋がってきて素敵な話を盛り上げる要素になっている。
 手がハサミのために好きな人を抱きしめることができない悲しさを人造人間から教えられるという意外な展開は楽しいし、そしてチョッとアホさを発揮している人間に対するシニカルな演出はブラックユーモアを感じさせるし、恋愛の結末もこれで良かったんだと妙に納得できる。喜怒哀楽の全てを程よく感じさせてくれて、雪が降っている日にカップルで観ると更に楽しめる映画として今回はシザーハンズをお勧めとして推しておこう

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 もちろんブルーレイもあります
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 監督は前述したとおりティム・バートン。ちょっとグロイ映像もあるけれど、アニメ色豊かな映像及び意外性のあるストーリー展開は多くのファンを持っている。お勧めは、最近再ブレイクしているマイケル・キーンが怪演を見せるビートル・ジュース、ジャック・ニコルソンがやりたい放題のバットマン、個性的な登場人物が多く登場するビッグ・フィッシュ、チョコレートがやっぱり食いたくなるチャーリーとチョコレート工場等が良いです。

 

 
 
 

 

 
 






 

 
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映画 西部戦線異常なし(1930) 反戦映画の傑作

2016年12月28日 | 映画(さ行)
 1930年制作というメチャクチャ古い映画だが反戦映画の傑作として未だに色あせない映画がコレ。しかし、本作はアメリカ映画だが第一次世界大戦中におけるドイツ側からの視点で描いた珍しいタイプの作品だ。最近の俺は反戦映画と言われる映画を観ても、どこか偽善的な匂いしか感じられず大して感動しなくなってしまっていることが多いのだが、今回紹介する西部戦線異状なしは久々に戦争の悲惨さを感じることが出来た映画だった。ちなみにタイトルにある西部戦線とはドイツとイギリス・フランスをはじめとする連合国の戦いのことである。
 戦争と言っても悲惨なのは何も戦場だけの出来事ではない。次々と人の命が失われていくことの恐ろしさは当たり前だが、本作は更になぜ戦争が起きてしまうのか、なぜ戦争をしてはいけないのか等、戦争についてのダメ出しを次々と述べてくれる。
 しかし、本作が制作された1930年だが、この時期といえばちょうど第一次世界大戦の終了と第二次世界大戦が始まりの間。同名タイトルの原作は世界的ベストセラーになり、映画も大ヒットして多くの人の心を掴んだはずなのに、それでも第二次世界大戦が起きてしまった。今、この古い映画を観ると人間の馬鹿さが更に浮き彫りになってくる。

 本作が制作されて85年以上の年月が流れながらも、未だに世界大戦が起きることのリスクを背負い続ける世界情勢を重ねてみると更に考えさせられるストーリーの紹介を!
 第一次世界大戦中のドイツの学校において。授業中にも関わらず教師は学業はそっちのけで、生徒に必要以上に愛国心を扇動し、軍隊に入ることを促す。さっそく5人の生徒が教師の言葉に感化され入隊を志願。しかし、彼らは本物の戦場で過酷な現実を目の当たりにし、体験することによって、人間同士が争うことの戦争の意義に疑問を感じ始めるのだが・・・

 戦争が始まってしまう理由に扇動者の存在がある。変に強硬なナショナリズムを訴え、戦争を起こして来た人物が多く居ることは、我々も歴史の勉強を通じて、よく知っている。そうやって血気盛んな若者を次々に戦争へ送り込むわけだ。
 そして戦場と本国における人間の感覚の温度差の違い。戦場を知ってしまった主人公の若者が故郷に帰ってきた時の絶望的な様子は観ている我々に戦争の愚かさを問い質すシーンだ。そして、本作のラストシーンが非常に印象的。実はこの映画を観るのは2回目なのだが、このラストシーンしか俺は覚えていなかった。俺の記憶力の悪さもあるが、ラストシーンの印象的な映画としてこれからも後世に伝わるだろう。
 古い映画なので少々撮影技術的に危なっかしい場面も見られるが、銃撃戦の見せ方なんかはよく出来ている。こんな古い時代にもこれだけ戦争の愚かさを的確に突いている映画として名作中の名作である西部戦線異状なしをお勧めとして挙げておこう

西部戦線異状なし [DVD] FRT-003
リューエアーズ,レイモンド・グリフィス,ジョン・レイ,リュー・エアーズ,ルイス・ウォルハイム
ファーストトレーディング


 監督はルイス・マイルストン。この人のお勧めはオールスターキャストで話題になったオーシャンズ11のリメイク基であるオーシャンと十一人の仲間がお勧めです。


 
 
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