シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

SING/シング

2017-03-22 | シネマ さ行

アニメは基本的にディズニーのものしかあまり興味がないのですが、今回誘われて見に行きました。

見に行って良かったー。使われている洋楽が世代的にもジャンル的にもどんぴしゃでもう知らない曲はないってくらいだったのでオーディションのシーンとか楽しすぎでした。

落ち目の劇場支配人バスタームーン(コアラ)マシューマコノヒーが考えついた歌のオーディション。誰でも参加できて賞金1000ドル!…だったはずが、秘書のミス・クローリー(カメレオン)ガースジェニングス(なんとこの映画の監督さん)の印刷ミスでゼロが2つ増えてしまい、なんと賞金100,000ドルってことになっちゃった。そうとは知らずにバスタームーンはオーディションにたくさんの動物たちがやって来て大喜び。

オーディションの末、選ばれたのは25匹の子ブタのお母さんロジータリースウィザースプーン、パンク少女アッシュ(ヤマアラシ)スカーレットヨハンソン、窃盗団のリーダーの息子ジョニー(ゴリラ)タロンエガートン、いんちきネズミのマイクセスマクファーレン、ノリノリブタのグンターニッククロールだった。そして、シャイ過ぎてオーディションで歌うことができなかった象のミーナトリーケリーはスタッフとして雇われることに。

バスタームーンは本当に劇場でのショーが大好きで、個性も希望もばらばらの動物たちをなんとかまとめて演出を頑張っていた。しかし、動物たちはそれぞれに事情を抱えており、バスターも100,000ドルの賞金を出さなければならないと分かりピンチに。なんとかスポンサーになってもらおうと往年の大スターナナヌードルマン(ヒツジ)ジェニファーソーンダースに来てもらって大がかりなショーを見せるが、その最中にマイクがギャンブルでモメたクマたちが乗り込んで来たり、結局みんなにバスターが100,000ドル持っていないとバレたりと大騒動。ナナのために作った巨大な水槽でのイカの照明ショーは美しかったのだが、水槽が崩壊して何もかも大量の水に流されてしまう。

バスターは劇場を諦め、父がやっていた洗車業でやっていくことにするが、崩壊した劇場跡で1人歌うミーナの歌声に励まされ、何もないところからまたみんなと一緒にショーをスタートすることを決意する。

オーディションのシーンが終わると、みんなの練習のシーンとかでちらっと曲が聴けるくらいで、ミュージカルと言うわりに歌のシーンが少なめで残念だなぁなんて思っていたら、最後のショーでたっぷりと1人ずつの歌を聴かせる時間を取ってくれて大満足でした。

108分という短い時間の中で聴きごたえのある歌をたっぷり聴けた上に、それぞれのキャラクターの背景となるお話がすべておざなりになることなく、絶妙な塩梅で配分されていて、素晴らしい出来栄えでした。笑えるシーンもたくさんあるし、じーんと涙が出そうになるシーンも。やっぱり歌のパワーってすごい。

ハリウッドの役者さんたちには歌える人が多くていつも驚かされるんだけど、今回は歌わなかったバスター役のマシューマコノヒーに一番驚かされました。彼が達者な役者だということはもちろん知っているのですが、あのテキサス男がコアラって!しかもめちゃくちゃうまい。バスターって冴えない劇場主で調子のいいことばっかり言ってるようなんだけど、どこか憎めなくてさっぱりしたキャラクターだと思ったら、マシューのキャラが反映されているのかもしれないなぁと思ったり。この人歌もうまいんだ!っていう他のキャストよりも一番意外性があってますます好きになりました。

エンドロールが終わって「早くも続編決定!」と出ると、さらにまたワクワクが続くのかと嬉しい気持ちになりました。

オマケきゃりーぱみゅぱみゅの歌を歌っていた日本のアイドルみたいな子たちに変な日本語でバスターが話すシーンは吹替え版ではどんなふうになっていたんだろ?

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なんちゃって家族

2017-03-17 | シネマ な行

チンケな麻薬の売人のデヴィッドジェイソンサダイキスはボスに渡すはずのブツと金を盗まれてしまい、その埋め合わせにメキシコから大量の麻薬を密輸入するという大きな仕事をさせられることに。どう考えても国境で捕まってしまうと悩んだ彼は、どこにでもいる普通の家族になりきって運べば怪しまれないと思いつく。

そこで、同じアパートに住むストリッパーのローズジェニファーアニストンを母親役に誘い、いつもフレンドリーに接してくる高校生ケニーウィルポーターを長男役、アパートの周りをよくうろついてる不良の女の子ケイシーエマロバーツを長女役に誘う。お金目当てとかただ退屈しのぎとかそれぞれ理由があって参加することになったメンバーが、はちゃめちゃでトラブル続きの旅をすることになる。

このブログで何度か取り上げていますが、ジェイソンサダイキスは日本では無名ですが、アメリカでは有名なコメディアン。ワタクシは結構彼好きなんですが、日本ではほとんど彼の作品は取り上げられることがないですね。ジェニファーアニストンは映画界では大成していないけど、やはり「フレンズ」で培ったコメディセンスは光るものがある。エマロバーツはこの作品のころはまだ有名とまでいってなかったのかな。当然だけど、いまより幼い雰囲気が可愛い。でも不良の役だからかなりきわどいセリフも平気で言っちゃうギャップが良いですね。ひとり真面目な童貞君を演じるウィルポーターは「ナルニア国物語」で主役4人の従兄弟役でしたね。彼がめちゃいい味出してました。

アメリカのコメディにありがちな展開で、かなり下品なシーンやセリフも多いです。ワタクシはこういう系は大好きなので非常に楽しめました。そして、こういう系の話にありがちななんだかんだ言ってみんないい奴なんだよなーっていうパターンが好きです。麻薬を密輸しようっていうのに、いい奴ってなんだよ。そんなのダメだよ、と思う人は全然ダメな作品だと思いますが。

ワタクシはだいたい邦題は好きじゃないという場合が多いですが、この「なんちゃって家族」っていうのは結構好きだな。本当に彼ら「なんちゃって家族」って感じだし。長女役のケイシーが変な男に着いて行っちゃったときのデヴィッドとローズの心配の仕方なんて、本当のパパとママみたいで笑っちゃう。童貞君のケニーにキスの仕方を教えるケイシーとローズはちょっと調子に乗り過ぎちゃって、もちろんあれは“なんちゃって”家族だからできることなんだけど。

犯罪者が主役のコメディですから、物語も不道徳だし、オチも彼らに都合よくできています。それでも笑い飛ばせる方はぜひ。

オマケコメディ映画によくあるように最後にNGシーンが流れるのですが、カーラジオでみんなで音楽を聴くシーンでジェニファーアニストンにだけ内緒で「フレンズ」のテーマソングが突然流れるというドッキリが面白かったです。

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ヤクザと憲法

2017-03-14 | シネマ や行

「ヤクザと憲法」ものすごい題名だ。題材もものすごい。こんなドキュメンタリー発表してるの、やっぱり東海テレビ。

大阪府にある指定暴力団に密着取材をしたドキュメンタリー。

暴力団対策法のきっかけともなったと言われる殺人事件で15年の服役から出所してきた会長を迎える組員たち。誤解を恐れずに言うが、この会長さんがすこぶるカッコいい。見た目が男前で若々しくて実際すぐにでもヤクザ映画の主役を張れそうなほど。このドキュメンタリーを撮らせることに何かしらのメリットを感じて応じたのだとは思うが、その面を考えてもきっと頭も良い人なのだろう。

この会長さんが大阪の西成区から飛田を抜けて新世界の居酒屋へ向かう。新世界というと最近では随分観光地化しているようでよくテレビの取材なんかも入っているが、会長さんが行く居酒屋辺りはおそらくそんな場所じゃないもっと本物の新世界。居酒屋のおばちゃんに撮影スタッフが聞く。「この人がヤクザの会長さんって知ってるんですか?」「知ってるよ」「怖くないですか?」「なんも怖いことなんかあるかいな。よう面倒みてくれるよ。あんた、警察が私らに何してくれる思う?」本物だ。おばちゃんも会長さんも。

会長さんは言う。暴力団対策法や暴力団排除条例で全国のヤクザが銀行口座を作れない、自動車保険に入れない。これわしら人権ないんとちゃうの?ヤクザが人権とは何を言うか。そんなものを守らない自分たち、そんなものを放棄したのがヤクザじゃないのか?という意見もあるだろう。ワタクシも正直どう考えたらいいか分からない。ただ犯罪者相手だからこっちも人権なんか守らなくていいというのは違う気はするんだよね。。。途中でガザ入れに来た警察の姿も映されるが、あれを見ているとどちらがヤクザだか…という感じもした。(まぁそれくらいじゃないと対抗できないのだろうけど)

山口組の顧問弁護士である山之内幸夫さんも登場する。自分も貧しい商売人の家に生まれ、ヤクザの組員たちの境遇に共感するという山之内さん。彼はとても正直に、ヤクザの世界への好奇心を語る。それがあったから彼らの顧問弁護士になったのだと。彼自身、山口組の顧問弁護士であるという立場のせいで、いちゃもんまがいの罪を検察にかぶせられて有罪判決を受け弁護士資格をはく奪されているし、それ以前に家族にも疎遠にされているけれど、それでも元をたどるとやはり自分の好奇心に勝てなかったというわけだろう。

西成区とその傘下にある堺市にあるヤクザの事務所が登場し、現役の本物のヤクザが何人も登場するのだが、なんかやたらと人当りは良くて少し拍子抜けしたりもする。しかし、その一方で「しのぎ」について行けば当然何をやったかは教えてもらえない。そりゃそうだ。一人の組員がお墓をピッカピカに掃除するシーンがあるのだけど、学校時代からこういうこと全部サボりたい人だったからヤクザになったようなもんなのになぁ、ヤクザになったら下っ端が掃除とか隅から隅までピッカピカにするんだから不思議だよね。

部屋住みと呼ばれる一番下っ端の男の子が登場するのだけど、およそヤクザのイメージからはほど遠い学校でいじめられていた青年だったのが印象的だった。戸塚ヨットスクールが昔は不良の集まりだったのがいまはひきこもりの子の受け入れ施設のようになっているのをなぜだか思い出した。普通じゃなくてつまはじきにされてきた彼はどこかでヤクザに共鳴したのだろう。

ワタクシはこの作品に登場する地域がまさにどこか分かる場所の出身なので、ヤクザの事務所の前の道を小学生が普通に通っていく光景もあまり違和感なく見ていたし、登場する組員たちの人当りの良さに少し拍子抜けすると書いたが、やはりこの映像にあるあのめちゃくちゃ重そうな鉄の扉の玄関を見ると、あぁやはりここはヤクザの事務所なんだなと実感させられる。

ヤクザの勝手な主張ばかり宣伝するプロパガンダ映画だと感じる人もいるだろうけど、ワタクシは山之内さんのように好奇心から見て、色々と考えさせらた作品でした。

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パディントン

2017-03-07 | シネマ は行

ペルーの森の奥深くからロンドンにやってきた人間の言葉を話すクマ。ロンドンのパディントン駅で「このクマをよろしくお願いします」という札をぶらさげて座っているところをブラウン一家の奥さんサリーホーキンスに声をかけてもらう。ブラウン一家の旦那さんヒューボネヴィルは初めは反対するが、奥さんに押されて正式な家が見つかるまでという約束で家に連れて帰る。クマには人間語の名前がなかったため見つけた駅にちなんで「パディントン」と呼ぶことに。

パディントンはペルーの森で人間のマナーを学んできており、とっても礼儀正しいのだが、実際の都会の暮らしが分からずにシャワーにびっくりして家じゅうを水浸しにしてしまったり、ブラウンさんの歯ブラシを耳に突っ込んで耳掃除をしたりと家の中をめちゃくちゃにしてしまう。

初めはパディントンのことを煙たがっていたお姉ちゃんジュディだったが、パディントンがたまたまスリを捕まえたところに遭遇して友達に羨ましがられ、パディントンを受け入れるようになる。

色々と騒動を起こすパディントンなんだけど、持ち前の礼儀正しさと純粋さで、ブラウンさんも彼を好きにならずにはいられず子供たちとも仲良くなって街の人気者になっていく彼を狙う黒い影があった。それはパディントンをはく製にしてしまおうとするミリセントニコールキッドマンという謎の女性だった。

パディントンはぬいぐるみとかイラストでしか知らなくて、基になっている児童書は読んだことがないのですが、原作を知らなくてもまったく問題なく楽しめました。とにかくこのクマのパディントンがすごく可愛い。礼儀正しいくせに思いこんだら一直線みたいなところもあって騒動が巻き起こっちゃう。でも、純粋で素直な性格だからなんだか丸くおさまっちゃうんですね。なんか他にはない雰囲気を持ったパディントンが可愛くてたまりませんでした。

パディントンを迎えるブラウン一家も面白くて。反抗期のお姉ちゃんがパディントンと仲良くなっていくのもいいし、それによってお母さんとも歩み寄ったりとか。頭の固そうなお父さんもパディントンをなんだかんだ言って受け入れてくれるし、家政婦のバードさんジュリーウォルターズもちょっと豪快なところもあったりして面白い。

パディントンのしゃべり方も可愛いし、素敵な声だなぁと思いながら見ていたのですが、ベンウィショーが声を担当しているとはまったく気づきませんでした。いやーこれは嬉しい驚きだなぁ。めちゃくちゃピッタリだった。最初はコリンファースで録ったけど、ポールキング監督が「やっぱり」とまたベンウィショーで録り直したという情報をネットで見たのだけど本当なのかなぁ。それならコリンファースには気の毒だけど、正解だったかも。

超子供向けの雰囲気ですが、大人でも十分に楽しめる作品だと思います。

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素晴らしきかな、人生

2017-03-02 | シネマ さ行

当然のことながら、ブログのタイトルはいつも映画作品のタイトルにするのですが、これはブログのタイトルにすらしたくないようなひどい邦題ですね。原題の「Collateral Beauty」自体が造語のようなものだし、日本語に直接訳すのは難しいとは思いますが、それなら素直に字幕で使った「幸せのおまけ」にしても良かったのでは?と思います。時期もクリスマスだし1954年の「素晴らしき哉、人生!」のリメイクかと思って間違えて見に行く人を見込んだのかと勘ぐってしまう。

ワタクシはケイトウィンスレットヘレンミレンが出ているというだけで見に行くつもりだったのですが、他の面子もかなり豪華です。

広告代理店で成功を収めていたハワードウィルスミスは社員の前でのスピーチで「愛」「時間」「死」をテーマに広告を作り、人々とつながることが重要だと話していた。そんな彼が幼い娘を亡くし、私生活も仕事もめちゃくちゃになってまったく立ち直れなくなっていた。広告代理店の仲間ホイットエドワードノートン、クレア(ウィンスレット)、サイモンマイケルペニャはハワードを心配する一方、彼が仕事をしないせいで潰れてしまいそうな会社を救う手だてを考えなければならなかった。

探偵を雇ってハワードの日常を探らせたところ「愛」「時間」「死」という概念に対して手紙を書いていることが分かる。ホイットは広告代理店にCMのオーディションに来ていた役者エイミーキーラナイトレーとその役者仲間のブリジット(ミレン)、ラフィジェイコブラティモアにそれぞれ「愛」「死」「時間」を演じてもらうことでハワードの心を開くと同時に、他の人には見えない(という設定の)概念が人物化した人に話しかけるハワードを撮影して、取締役会での権限を奪おうとしていた。

「愛」「時間」「死」に扮した役者たちがハワードの心を開いていく一方で、自分の不倫が原因で離婚し小学生の娘に異常に嫌われている「愛」が必要なホイット、会社に人生を捧げて家族を持たず精子バンクで子供を産もうと考えている「時間」が必要なクレア、ガンが再発して「死」を迎えそうなサイモンもそれぞれ役者との対話の中で自分の人生に必要なものを見つけていく。

少しずつだか心を開き始めたハワードは同じく幼い子供たちを亡くした遺族たちのセラピーに通うようになり、主催者のマデリンナオミハリスと心を通わせていくが、どうしても亡くなった娘の名前を口にすることはできなかった。

「愛」「時間」「死」という概念を演じた役者たちがそれぞれにとても魅力的。役者とは言え脚本なしの即興演技ということになるのだけど、概念のテーマに沿って核心を突くことを言ってくる。そして、やはりハワードよりもホイット、クレア、サイモンに対する影響力が実は映画の肝となる部分だったのかも。ハワードも自分の悲しみにうまく対処することはできていなかったけど、友人3人の悩みについてはちゃんと見ていたんだよねー。

肝心な題名となっている「Collateral Beauty」ですが、マデリンが自分の娘が死んでしまいそうなときに待合室で隣に座った女性に「誰が亡くなりそうなの?」と聞かれて「娘です」と答えたら「そこには必ずCollateral Beautyがあるから見落とさないで」と言われたとハワードに話します。こんな不幸な出来事の中にも必ず“幸せのおまけ”がある、と。Collateralという英語は「担保」とか「巻き添えの」という意味で「担保」は文字通りの意味で「巻き添えの」というのは戦争などで市民が殺されてしまうような「巻き添え」を指します。その言葉をこのようにポジティブな意味で使うというのはなかなかないかもしれません。不幸な出来事の中にもそれに付随して副産物的に美しい何かが生まれる。それはどんなに否定しても確かな事実かもしれません。そして、それがどんなに些細なことでもそれに目を向けることが、生きる糧になるとワタクシは解釈しました。

最後にマデリンとハワードの関係性が明らかになるとき、一瞬前に予想できましたが、マデリンの愛の深さを感じて涙せずにはいられませんでした。

結局「愛」「死」「時間」を演じた役者たちは実在したのかしなかったのか。それはそれぞれがどちらと取ってもいいのでしょう。ファンタジー的な要素をうまくドラマに落とし込んだ脚本だったと思います。

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ラ・ラ・ランド

2017-02-27 | シネマ ら行

いままさにアカデミー賞の発表が行われているところですが、おそらく取るでしょう。今年は「ラ・ラ・ランド」の年と言っても過言ではありませんね。

ライアンゴスリングエマストーンがミュージカルと聞いただけでワクワクしていました。ゴールデングローブ賞も取ったし、期待大と速攻見に行ってきました。

冒頭の高速道路の渋滞からみなが歌いだすシーンから心躍りました。急に誰ともなく歌い始めてみんなが振付を知っていて、息ピッタリに歌い踊る。そして歌が終わったらまるで何事もなかったかのようにそれぞれの世界に戻っていく、というミュージカルの典型のシーンですが、ミュージカルだめな人は多分もうこのシーンでだめでしょうね。ミュージカルだめな人でこの作品を見に行く人もほとんどいないとは思いますが。

オーディションに落ちまくっている売れない女優ミア(ストーン)が今日もまたオーディションに落ちて、ピアノの音色に魅かれてふらっと入ったお店でセブ(ドスリング)と出会いますが、ここでの出会いは予告で見たあのキスシーンとは全然違う最悪の出会いでした。あれ?あのシーンは宣伝のため?と思ったのだけど、それは最後の最後にからくりが。

その後家に帰ったミアとルームメイトたちの4人でのダンスがまた素敵。それぞれ違う色のドレスを着て並んで踊る姿がとても魅力的でした。そしてそのパーティでセブと再会。まだ印象は最悪でしたが、徐々に魅かれていき、、、というまぁよくある恋の始まり。

セブは売れないジャズピアニストで自分の店を持つという夢を持っていますが、仕事はなかなかうまくはいっていないよう。ライアンゴスリングが特訓してピアノを弾いているらしいのですが、音色も全部彼のものなのかな?それなら本当にすごいと思います。3か月の特訓であそこまで弾けるようになるものなの?音楽もやっていた人だからもともと素養があったのかな。

ただライアンとエマの歌とダンスは正直びっくりするほどうまいというほどではなくて、まぁ普通にうまいという感じでした。なので、「レ・ミゼラブル」のようなスケールのミュージカルを期待していた人はがっかりしてしまったかもしれません。

映画の始まり方を見ても分かるように往年のハリウッドの雰囲気を湛えたまま舞台を現代に置き換えているので、そもそも舞台劇としてのミュージカルではなくて往年のハリウッド映画のライトな雰囲気を持ったミュージカルの再来として楽しむほうがいいのかもしれません。

物語としては上に書いた予告編で使われていたキスシーンが登場するのが、なんとセブの妄想ハッピーエンドの中というなんとも切ないお話。あの最後の妄想が実は現実で、パリで成功して結婚して子供もいるエマのほうが実は「if」だったというオチを切実に願いながらあの妄想シーンを見ていたのですが、やっぱりそうは問屋が卸しませんでした。あまり単純に「男」「女」と二極化して語るのは嫌いですが、過去にすがり生きる「男」と未来を見て生きる「女」の違いが描かれたラストでした。

ワタクシは必ずしもハッピーエンドの映画が好きなわけではありませんが、この作品にはハッピーエンドで終わって欲しかったなぁ。2人とも夢を叶えてその分にはハッピーエンドと言えるのかもしれないけど、やっぱり恋人同士としてハッピーエンドを迎えて欲しかったです。そう思えるのも主人公が魅力的な物語だからかもしれませんね。

追記この記事をアップした直後に作品賞の発表がありまして、取りませんでしたねー。今年はガチガチやと思ってたんですが。しかもあんな世紀のハプニングというか大失態があるとは。「ムーンライト」も楽しみです。

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ナイスガイズ

2017-02-24 | シネマ な行

なんか全然宣伝されてない作品ですが、ラッセルクロウライアンゴスリングが好きなので見に行きました。70年代が舞台っていうのも好きなカテゴリーです。

腕っ節の強い示談屋ヒーリー(クロウ)はアメリアマーガレットクアリーという少女に雇われ、彼女を探し回っているという男と示談しに行く。その男というのが私立探偵のホランドマーチ(ゴスリング)。ヒーリーの示談というのは実際にはボコボコにして言うことをきかせるというもの。ヒーリーはマーチをボコってアメリアにつきまとうなと言う。

家に帰ったヒーリーは2人組の男に襲われ、アメリアの居場所を教えろと脅される。なんとか2人を追っ払ったヒーリーはアメリアの命が狙われていると知り、今度はマーチにアメリアを探すよう依頼する。マーチはアメリアの居場所を知っているとヒーリーを大気汚染に反対するデモに連れて行く。その団体を率いているのがアメリアだと言うマーチだったが、そこにアメリアはおらず、ボーイフレンドが火事で死んだからだと聞かされる。

こうして2人とマーチの13歳の娘ホリーアンガーリーライスも行きがかり上加わって、ひとつの手掛かりから次の手掛かりへと探っていくうちに、自動車メーカーの大気汚染問題、ポルノ問題、司法省長官キムベイジンガーまで続く大きな社会問題につながる事件だということが分かってくる。

この社会問題なんかもとても70年代的。ラジオで光化学スモッグ汚染の注意報なんかが流れていて、懐かしい気がした。日本でもワタクシが小さいころはよく光化学スモッグの注意報が出ていました。

もちろん舞台が70年代なんだから当たり前なんだけど、登場する人たちのファッションや家の内装なんかがすごくいい感じ。マーチが娘のホリーに"and stuff"って言うのをやめなさいって何度か言っていて字幕では「~とか」となっていたけど、当時の若者言葉で大人が聞いたらちょっとイラッとする感じだったんでしょうね。

ライアンゴスリングという人はハリウッド男前ランキング上位に常にランクインしている人なんだけど、こういうコメディもいけちゃうというのはすでに証明済み。だいたい変な役の時は変なヒゲでちょっと男前を崩して現れる。このドンくさいけど、実は頭は切れるというマーチを男前が演じるっていうのが絶妙ですね。

ラッセルクロウも腕っ節は強いけど、子供たちには優しい男っていうのがぴったりで。頼りがいありまくり。彼といたら絶対大丈夫って無条件に思わせてくれる。

そして、マーチの娘を演じたアンガーリーライスちゃんが良かった。よく見ると顔も可愛いんだけど、キャラのせいで見た目の可愛さが隠れていたかも。13歳でパパに生意気言ったりもするけど、全然憎らしくなくて可愛い。パパがダメ男だから彼女の良さが引き立つというか、彼女のツッコミにダメなパパは救われてる。

現代のようにネットでちょちょっと調べれば何でも分かるっていう時代じゃないから、泥臭く聞き込みとかして回る姿がかえって若い人たちには新鮮かも。ワタクシはこの時代を生きてきたわけじゃないけど、昔のドラマの雰囲気があってやっぱりどこか懐かしい。

ライアンゴスリングのコメディセンスがめちゃくちゃ光って、ラッセルクロウもなかなかにその間(マ)にうまくハマっていて、意外な顔合わせがまさにナイスはケミストリーを生み出していた。これはぜひ続編作って欲しい。

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マリアンヌ

2017-02-23 | シネマ ま行

公開前からブラッドピットの離婚騒ぎで有名になってしまった作品でした。見に行こうか迷ったのですが、ネットでのレビューが良かったので行って来ました。

ワタクシ的には、んーーーいま一歩。という感想です。

お話は超超超オーソドックス。戦時下で出会ったスパイ同士が恋に落ち、結婚し子供ももうけたが妻マリオンコティアールに二重スパイ容疑がかかり、暗殺命令が出て夫が苦悩する。もうこんな脚本何回映画になってきた?っていう印象。

ロバートゼメキス監督は往年の1940年代のモノクロ作品のようなロマンスを撮りたかったのかな。ハンフリボガードやグレゴリーペック、キャサリンヘップバーンやイングリッドバーグマンが登場するような。そんなスターの再来としてブラッドピットとマリオンコティヤールを選んだのは正解だと思います。往年の銀幕のスターの風格を現代でも持っている2人と言っていいでしょう。

冒頭、砂漠にパラシュートで1人降り立つブラピ。ハンドラーの車に乗り込み用意されたカバンを開ける。この時のブラピの前髪が風にゆらゆら揺れるのですが、それすらもうカッコいいです。役柄が実年齢より若いのでしわ取りメイクをほどこされているようで本当に少し前の若い時のブラピのよう。なんですが、このブラピ演じるマックスという男、随分寡黙な役のよう。ブラピの演じてきた役はこれまでほとんど見てきていますが、ここまでつまらなそうな顔した彼を初めて見ました。なんだろうなぁ。単純に寡黙だから、が原因じゃないような…それが何かは分からないのですが。

映画の筋は悪くないんですけどねぇ。妻に二重スパイ疑惑がかかってからの展開がいまいちスリリングさに欠けたような気がします。もう少しブラピの疑心暗鬼状態と妻の行動をうまく見せてほしかったような。

それとこれは二重スパイ疑惑とは関係ないのですが、マックスが軍の仕事にいつも急にかり出されていくことに、あからさまに不満を表していたマリアンヌがなんだか不自然な気がしました。フランスのレジスタンスで活躍してきた女性が、ナチスと戦っている夫に「家にいない、休暇がない」ってぶーぶー文句言うかなぁ?自分も参加したいくらいの気持ちでいるんじゃないの?と思いました。結果彼女はレジスタンスではなかったわけですが。

ちょっと悪いことばかり書き過ぎましたね。マリオンコティアールって決して美人だとは思わないけど、やはり魅力的な役者さんだと思います。ブラピと彼女のツーショットはやはり美しかった。良いこと書いていないですが、見ている最中飽きることはありません。作戦のシーンも彼らのロマンティックなシーンも良かったと思います。どちらかのファンなら見て損はないと思います。

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チャッピー

2017-02-17 | シネマ た行

ギャングに拉致されたロボット研究者ディオンデヴパテルは、ギャングに脅され廃棄されるはずだった警官ロボットに自分が開発した人工知能を搭載させて起動させる。こうして誕生したチャッピーシャールトコプリーはギャングのカップルをニンジャニンジャとヨーランディヨ=ランディヴィッサーをパパ、ママと慕って成長していく。

予告編を見ていたときはよくあるAI系の話かと思ったんですが、さすがはニールブロムカンプ監督。やっぱり独特の世界観を持っています。今回のロボットはなんとギャングに育てられ、うまく口車に乗せられて窃盗したりしてしまいます。犯罪的なことをしでかすだけではなくて、ギャングっぽい歩き方とか挨拶の仕方とかそういうのを覚えていきがっているチャッピーがやけに可愛かったりします。

チャッピーはまるで反抗期を迎えた子供のように作り手であるディオンが自分のバッテリーが5日しか持たないことを黙っていたと、ディオンに怒ってしまうけど、途中でニンジャはパパなんかじゃなく自分を犯罪に利用していただけだったと知り、最後には結局ディオンを助けてくれました。

ヨーランディはニンジャの恋人で彼女もろくでもない人間なんでしょうけど、チャッピーへの母親的な愛情を見ていると、自然に彼女を応援したくなってしまいました。

このお話って善vs悪ではなくて、それどころが「善」にあたる人が誰も出てこないというところが独特で面白いです。ディオンは会社に逆らって勝手にAIを搭載したロボットを作り、アップデートするためのマスターキーを取っちゃうし、ギャングはギャングだし、ディオンの上司でライバルのヴィンセントヒュージャックマンは自分が開発した戦闘ロボが優秀だということを証明するためになんだってやる。(後ろ髪を伸ばして変な髪型のジャックマン)

結局のところ、善でも悪でもなくチャッピーはただ「生きたい」という本能的な欲求にただまっすぐに突き進んでいきます。自分のバッテリーが切れてしまう前に代わりのボディを探す。または別の生き残る方法を探す。それが結果自分の意識をコンピュータに移すということだったわけだけど、それでギャングの抗争やらヴィンセントの攻撃やらで最終的にディオンもヨーランディもロボットの体を得て3人(3体?)で生きていくことになります。

このラストの脚本のひねりがとてもブロムガンプ監督らしいです。主人公たちがロボットとして生きていくなんて昔の日本の漫画ならありそうな感じがしますが、ハリウッドのメインストリームでやれる人はかなり少ないだろうなぁと思います。そういう死生観に抵抗のある人は拒否反応を起こしそう。

まぁとにかくチャッピーが可愛いのと、ニンジャやヨーランディの武器が黄色やピンクだったりして映像的にも独特で楽しいです。ブロムカンプ監督は「第9区」「エリジウム」、本作とかなり似た雰囲気の作品を撮っていますが、これからは少しここから変化して行かないと苦しいのではないかなーと思います。

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オデッセイ

2017-02-16 | シネマ あ行

公開当時見に行こうかどうか迷っていた作品です。リドリースコット監督は好きなんだけど、彼のここ数作とは相性が良くなかったので、少し敬遠してしまいました。wowowで放映があったので見たのですが、見に行っても良かったなぁと思いました。

火星探索途中に嵐に遭い、ケガをして倒れてしまったマークワトニーマットデイモン、船長のメリッサルイスジェシカチャステインはなんとか助けようとするが、最終的に彼は死んだと判断し、隊員たちは宇宙ステーションに向かう。しかしワトニーは生きていた。他の隊員が去ってしまってから目覚めたワトニーは1人火星に取り残されたことを知る。

ワトニーは植物学者なので、残された食糧を計算し、じゃがいもを種として栽培することにする。不毛の地火星でどのように植物を栽培してサバイヴするか。ワトニーが植物学者というのがうまい設定だ。ワトニーが自分の置かれた状況をただ悲観するのではなく、どこか開き直ったような感じがするのが面白い。マットデイモンのどこか子供っぽい風貌もワトニーのキャラクターにとても合っていた。この作品の魅力は色々あるけど、やっぱりこのワトニーの性格や技量によるところがとても大きいと思うので、これだけの作品を背負えるマットデイモンを選んだことは大正解だと思います。

一方NASAもワトニーが火星で1人生き残っていることを突き止め、なんとか彼を助けようとする。地上の面子もジェフダニエルズキウェテルイジョフォークリステンウィグショーンビーンと結構豪華。「アポロ13」などでもあったけど、現地に存在する同じ道具や設備を用意して、まったく別の物を作り出す方法を考えたりするシーンはやはり見ていて楽しい。

こういう作品はいつも登場人物たちが発している技術的なセリフがなんのことを言っているのかさっぱり分からないくて困るんだけど、それでも宇宙ものの傑作はそれが理由でつまらなくはなったりしない。それこそ技術的なことを知っている人が見れば、そんなわけねーみたいなシーンが沢山あるのかもしれないな。分からないほうがある意味幸せか。

ワトニーとクルーたちの関係性があまり見えないのでちょっと感情移入しにくいのだけど、初めてワトニーが生きていることを知らされ、彼との通信が許されるシーンでもしめっぽいことは言わずユーモアに溢れた皮肉を言えるところがまたニクい。隊長が残していった音楽の趣味とかね。ワタクシはディスコ音楽好きだけど。

先にも書きましたが「アポロ13」と「ゼログラヴィティー」と足して2で割ったような感じかな。「プロメテウス」「悪の法則」「エクソダス」とリドリーと合わない作品が続いていたので、これは面白くてホッとしました。

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